Interview

Uru 少しずつ色づき、広がったという自身の歌世界を丁寧に編んだ1枚。約2年ぶりの、2ndアルバムに込めた想いを訊く。

Uru 少しずつ色づき、広がったという自身の歌世界を丁寧に編んだ1枚。約2年ぶりの、2ndアルバムに込めた想いを訊く。

モノクロからブルーへ。YouTubeにアップした白黒のカバー動画が注目を集め、2017年12月に1stアルバム『モノクローム』をリリースしたUruが、前作から2年3ヵ月ぶりとなる2ndアルバム『オリオンブルー』をリリースした。ドラマ『中学聖日記』の主題歌としてヒットした「プロローグ」や絶賛放映中のドラマ『テセウスの船』の主題歌「あなたがいることで」などを収録したニューアルバムを彼女はなぜ“オリオンブルー”と名付けたのか。大きな話題となった木村拓哉への楽曲提供の話を皮切りに、彼女が手に入れた自身の“色”について聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ


『モノクローム』からスタートして、この2年3ヵ月で、自分なりにちょっとずつ色がついてきた感覚があって

木村拓哉さんへの楽曲提供が話題になってましたね。

私にとって、楽曲提供自体が初めてだったのですが、それが、まさか木村拓哉さんという、昔からテレビの中で活躍されていた方に歌っていただけるなんて、とすごく驚いてしまって。自分が作った曲を、自分ではない声で歌ってくださって、世の中に出ていくということが、こんな感じなんだなということが、とても新鮮でした。

こんな感じとはどんな感じですか?

普段よりも聴いてくださった方の感想が気になったんですよね。きっと木村拓哉さんらしさというのは、木村さんのファンの方がよく知ってらっしゃると思ったので、ファンの方が受け入れてくださるのかなって。そこが気になったのが、今までにはない感覚でした。

しかも、2曲も採用されてました。

私も最初に2曲って聞いた時に、「え!? 2曲もいいんですか?」って思ったんですけど、やっぱり嬉しかったですね。しかも、デモの雰囲気を大事にしてくださって。音数も増やさずに、私の歌の雰囲気をそのまま受け継いで頂けたこともうれしかったです。

私の中では木村拓哉さんは数々のドラマに出演されてきたイメージがあったので、ドラマのようなラブストーリーを描きたいなと思って

先方からはどんなリクエストがあったんですか。

木村さんに歌ってほしい曲というイメージで作ってくださいというリクエストをいただきました。私の中では木村拓哉さんは数々のドラマに出演されてきたイメージがあったので、ドラマのようなラブストーリーを描きたいなと思って。あとは、私のカバー動画を見てくださっていたということを聞いていたので、ピアノのバラードなのかなと。そこを求めてくださっているのであれば、私の色を出した曲でいいのかなと思いました。

「サンセットベンチ」はドラムレスでピアノとストリングスによる、実にUruさんらしいバラードになってますが、「I wanna say I love you」はアコギとスナップ、口笛が基調になっていて。どうしてこんなにしつこく話すかというと、木村さんのファンにニューアルバムに収録されている「marry」を聴いてほしいからなんですよね。「I wanna say I love you」と対になってる感じがして。

そうですね。「I wanna say I love you」は聴いてくださった方に解釈はお任せするのですが、私の中では、人生の節目の大事な言葉を伝えにきたというシチュエーションなんです。だから、「marry」とちょっと似ているかもしれないです。

僕は男性から女性へのプロポーズソングだと思ってるんです。「marry」もアコギのアルペジオがメインになってますよね。

私はピアノで作ったんですけど、アレンジをお願いしたShingo Suzukiさんがギターにしてくださって。このアルバムの中でデモと一番ガラッと変わった曲ですね。この曲もドラムレスなんですけど、後ろで大聖堂の鐘がなっていて。しかも、その鐘の名前がマリーって言うんですよ。Shingoさんがパリにいた時に録っていたそうで。

悲恋の曲が多いので(笑)、たまには幸せな曲も作りたいと

この曲はタイトル通り、ウェディングソングですよね。

そうですね。私は悲恋の曲が多いので(笑)、たまには幸せな曲も作りたいと思っていたのと、私の曲をウエディングソングとして使ってくださる方も多かったので、ザ・ウエディグソングを作ってみたいなと思っていて。以前、カバーさせてもらった中島みゆきさんの「糸」のように、人生のどんなシーンでも寄り添える歌もいいなと思っていたんですけど、まずはど真ん中を作ろうって、明るい曲をアルバムに入れたかったっていうのもありますね。

少しラップのような語り口になってますね。

話をしているみたいに歌いたかったので、言葉がギュッと詰まっています。ちょっと韻を踏んでる部分もあるし、メロディラインも振り幅が少ないので、私の中では新しい雰囲気の楽曲です。

これから結婚する人には、ぜひ、「I wanna say I love you」と「marry」を式場で流してほしいなと思います。いきなりこれまでにはない新しい一面が出ている曲から話はじめてしまいましたが、そんな新曲が入った2枚目のアルバムはどんな作品にしたいと考えていましたか。

『モノクローム』からスタートして、この2年3ヵ月で、自分なりにちょっとずつ色がついてきた感覚があって。それを音楽で届けるには、いろんな曲調の楽曲を歌いたいですし、自分が作ったものも聴いてもらいたいという気持ちがあったので、詞曲ともに私自身が担当している曲が前作より多く収録されています。Uruの音楽性がわかりやすく出せているかなと思います。

ライブの照明だとか、CDのジャケットでも青系が多いですし、バラードも多いので、みなさん、ブルーのイメージを持っているんだと思います。私は緑が好きなんですけど(笑)。

今、「色がついてきた」とありましたが、自分の色は「ブルー」でしたか。

そうですね。以前、ライブの映像を作るにあたって、皆さんに私らしい色を聞いたことがあったんです。

2018年3月4日に昭和女子大学人見記念講堂で開催された「monochrome〜吹き沁む頬に熱いザフサス〜」のロビーでは「ファンから募ったUruの色」で色づけされたロゴが飾られてました。

その時、やはり青系が多かったんですよね。ライブの照明だとか、CDのジャケットでも青系が多いですし、バラードも多いので、みなさん、ブルーのイメージを持っているんだと思います。私は緑が好きなんですけど(笑)。

ええ! 歌詞にも出てこないし。お会いする時の洋服もほとんどモノトーンですよね。

緑とオレンジが好きです。自分の以前のスタジオの床の色も緑にしていましたし、雑貨屋さんとかで小物を選ぶ時は、だいたい緑かオレンジを選びます。なので、ブルーの中でちょっと緑が入っているのが“オリオンブルー”だったので、みなさんがイメージするUruの色にちょっと自分の好きな色を入れてみたんです。

なるほど。オリオンブルーという色があることも今回、初めて知りました。ちなみに、様々な種類の青が詰まったアルバムの中でブルーを象徴する曲を挙げるとすると?

濃紺なのは「いい女」ですかね。で、黒いに近い青は、「Scenery」。ちょっと紫がかった薄い青が「space in the space」ですかね。

今、あげてもらった3曲について聞かせてください。「いい女」は1stアルバムに収録されていた「いい男」のアンサーソングですか?

“いい人”シリーズの女性バージョンですね。「いい男」を作った時に「いい女」も作りたいなと思っていて。「いい男」とは違うカップルなんですけど、同じ境遇ですね。別れ際にどんな態度を取るかという。

ネチネチしてなくて、さくっとさよならっていう感じです

Uruさんが思う「いい女」とはどんな人でした?

同性なので、逆に難しくて。男性がどう感じるかは想像するしかないじゃないですか。でも、「いい男」みたいに、あんまりすがらないと言うか。「行ってこいよ」みたいな感じてさっぱりしてる。本当は思うこともあるけど言えなくて。ネチネチしてなくて、さくっとさよならっていう感じですかね。

でも、本当は別れたくないんですよね、この人は。

扉を閉めた後に、泣いてるタイプの人ですね。相手は優しいんだけど、嘘がつけない人。だから、別の人に気持ちが動いていても、なかなか言い出せなかった、みたいなタイプの人ですかね。

Uruさん自身はこう思えます? 相手に好きな人ができて、自分がふられた時に笑ってサヨナラできますか。

いや、思えないと思いますね。思えないと思うけど、悔しくて、逆にすがれないかもしれないです。そんな人、こっちから願い下げだよ!と強がりはするかもしれないです。

だから濃紺?

そうですね。闇が深いと言うか(笑)。明るいフリはしてるんだけど、実はえぐれててっていう心の傷つき具合が濃紺ですかね。

いろんなものに揉まれていて、爪を立てながら、必死で前に進んでいるような

黒に近い青と表現したピアノバラード「Scenery」はアニメ『グランベルム』の挿入歌でした。

楽曲のイメージとして、私の2ndシングル「The last train」を挙げていただいて。サビで広がるイメージを求めてらっしゃることがわかり、流していただくタイミングのストーリーもお伺いして。そこに合う曲を考えたら、この「Scenery」が生まれました。登場人物の内面というよりは取り巻いている環境、いろんなものに揉まれていて、爪を立てながら、必死で前に進んでいるような。周りの状況が黒い青かなって思います。

そして、紫がかかった薄い青が、Kan Sano編曲のアーバンR&B「space in the space」。これも新機軸だと思うんですが、アルバムの中で一番好きです。

ありがとうございます! これも歌詞は妄想なんですけど、依存体質というか。現実世界でうまくいかないものを、体の関係だけで解消していくっていう、共依存の二人ですね。それでやっと天秤を平行に保っているというイメージ。

<二人の夜を溶かそうよ>と歌ってますが、ラブラブな二人ではないんですね。

お互いに欠落していて、性格上、生きづらいものを持っている二人ですね。お互いに求め合うことでやっとならしてるというか。Kanさんは、コーラスも全部、デモの時の歌をそのまま丸ごと使ってくれてたのですが、レコーディグの時はウエットな感じを出したくて、ちょっと露出して歌いました(笑)。

私が作ったオリジナル曲の中で最古の曲です。まだデビューをする前に、今の事務所の方にオリジナル曲を初めて聴いていただいた時の1曲です

甘くとろけるような音の粒が新鮮でした。このまま作詞作曲を手掛けたアルバム曲についてお伺いしたいと思います。2曲目のバラード「今 逢いに行く」はいつ頃に作った曲ですか。

このアルバムでは一番古くからあった音源です。いや、このアルバムでというか、私が作ったオリジナル曲の中で最古の曲です。まだデビューをする前に、今の事務所の方にオリジナル曲を初めて聴いていただいた時の1曲です。

じゃあ、デビューのきっかけになった曲と言っていい?

そうですね。一緒にいてくれるのが当たり前だった大切な人がいきなりいなくなってしまって、いなくなって初めて、その大切さに気づいて追いかけていくという。

これ、間に合います? 女子的にもう遅くはないですか?

「もう遅いよ」って言いながらも、まだ気持ちがあったら、受け入れると思います。でも、ちゃんと具体的な約束はするかもしれないですね。きっと長い間一緒にいたふたりなので、これ以上、待てないよっていう確約はするかもしれないです。

そんなルーツといえる曲を「プロローグ」と「あなたがいることで」のドラマ主題歌で挟んだのはどうしてですか。

「プロローグ」で私のことを知ってくださった方がたくさんいらっしゃるのと、印象的なイントロなので、この曲はまず、一曲目だなって決めてたんです。「今、逢いに行く」は、ずっと温めてきた思い入れの強い曲なので、純粋に聴いてほしいという気持ちがあり2曲目に収録しました。

「あなたがいることで」の編曲は小林武史さんですが、小林さんらしいイントロになってます。

期待感の膨らむイントロを作ってくださって、とてもありがたかったです。原作と脚本を読ませていただいて書かせてもらった曲なので、大前提としてドラマの曲ではあるんですけど、ドラマを見ずとも聴いてくださった方が、YouTubeのコメント欄に「男女の関係でも取れるし、家族や友達、如何様にも変容できる曲ですね」って書いてくださったのが嬉しくて。

困った時に、あなたがいることで強くなれたんだって、お互いに言えたら素敵だなって

MVでは母と娘が描かれてました。ドラマを見てると、父と息子はもちろん、夫と妻のようにも感じます。

そうですね。この曲の“僕”と“あなた”の根底には絶対的な信頼関係があって、どちらかが一方的に助けられる関係ってあまりないと思うんですね。“お互い様”という言葉の通りに、困った時に、あなたがいることで強くなれたんだって、お互いに言えたら素敵だなって思っていて。2番の<あなたが僕を信じてくれたように/次は僕がその手を握るから>というのは、握っていた手を組み換えて握り返すっていうイメージなんです。例えば、身近に落ち込んでいる人がいたとして、その人に声をかけたいけど言葉が選べなかった時に、「この曲を聴いてみて」って渡すことで、その人の気持ちがなんとなくじんわり伝わってくれたら嬉しいなと思いますね。

この曲を贈ることで、あなたを大切に思ってる、守りたいと思ってるって言う気持ちが伝わると思います。そして、「頑な」なんですが……。

これは、ボクサーの和氣慎吾さんのドキュメントを見た時に、ものすごく感動して書いた曲です。

そうなんですね! だから、<弱さを殴った拳>なんですね。僕は、1stアルバムに収録されていた「すなお」シリーズかと思ってました。「すなお」は「音楽を本気でやろうと決めたのはいいけれど、まだ何もなくて、悶々としてた時期に作った」とおっしゃっていたじゃないですか。この曲も前に進もうとする新たな決意が描かれているから。

雰囲気というか、方向性は似ていますね。頑張る人を見ると、自分も頑張ろうって思えるじゃないですか。それもあって、ドキュメンタリーを見た後の感想みたいに、自分も頑張ろうって奮起しながら描いた曲です。

いつかそのステージに立ちたいなっていう気持ちは今もずっとあります

では、この歌詞にある<誓ったあの日の揺るがない想い>というのは?

このステージに立つんだって決めた瞬間のことですね。スキマスイッチさんのライブを見た場所なんですけど、音楽を目指したいのに目指さなかった、「私が歌手だなんて」って、自分の夢を認められなかった頃に背中を押してもらった場所ですね。いつかそのステージに立ちたいなっていう気持ちは今もずっとありますね。

その<揺るがない想い>の部分が、最後だけ同じメロディラインで<「頑な」を>になってます。

「頑な」は、本当は「頑なに」じゃないと成立しない言葉だと思うんですけど、「頑なに拒否する」とか、意固地になってるようなネガティブなイメージがあると思うんですね。でも、それは誰に何を言われても揺るがない芯があるっていうことでもあって、内面では燃えてると思うんです。誰に何を言われても絶対に動かない、変わらないものがあるから、私は頑なに拒否をして、自分の道を突き進むんだって言う。だから、ネガティブなイメージがある反面、実はそれってカッコいいことなんじゃないかと思って。みんなの手を払ってきたんだから、そこまで貫き通してきたんだから、今日こそ、「揺るがない想い」=「頑な」を出すべきだっていう意味で、最後だけ変えてるんです。

デビューシングル「星の中の君へ」を手掛けたHidenoriさん提供の陽気なハッピーソング「Don’t be afraid」や柔らかなミードのミディアムナンバー「横顔」を含む全14曲が完成してご自身ではどんな感想を抱きましたか。

振れ幅のあるアルバムになったのかなって思います。1stの時よりは、私が作った曲も増えましたし、こんな曲にもチャレンジしてみたいという、点と点の間が埋まった感じですね。あとは、「出来た!」じゃなく、「出来た……」っていう感じです。

本当に“作った”という実感のあるアルバムですね

あはははは。その“……”は、どんな感情と言えばいいですか。

やったー!というよりは、出来た〜としみじみしてる感じですね。すでにあった曲をぽんぽんと入れたのではなくて、いろんなところに行って集めてきたみたいな感じがあって。本当に“作った”という実感のあるアルバムですね。

また初回盤にはカバー盤とライブ映像盤の2種類が用意されています。

カバー盤には、竹内まりやさんの「カムフラージュ」やDEENさんの「このまま君だけを奪い去りたい」のように普段の私の雰囲気に近い曲も入ってるんですけど、印象深いのは、the pillowsさんの「Funny Bunny」ですね。<ないぜ!>とか、私は絶対に使えない言葉も入っているし、<風の強い日を選んで走ってきた>という歌詞がすごく刺さりました。ライブの方は、「アリアケノツキ」がはじめて入るんですけど、MCも収録されてしまって…… (笑) 。照明が本当に綺麗なので、おうちのテレビで見る時にはお部屋を暗くしていただけるといいなと思いますね。

そして、初の東名阪ツアーが決定してます。

初披露の楽曲が多いので、自分がこのアルバムで出したかった自分の色というものを、今度はステージで、生で、伝えられる機会なので楽しみにしています。ぜひツアーに遊びにきてほしいです。お待ちしています!

その他のUruの作品はこちらへ。

ライブ情報

Uru tour 2020 「Orion Blue」 特設サイト
https://uru-official.com/feature/live_2020

その他の情報はオフィシャルサイトをご確認ください。

Uru

聞く人を包み込むような歌声と、神秘的な存在感で注目を集めるシンガー。
2013年よりYouTubeチャンネルを立ち上げ、新旧問わず数々の名曲をカバーする動画をアップする事をスタートし、楽曲の歌唱、演奏、アレンジ、プログラミング、動画の撮影、編集など、そのすべてを一人で行い、2016年6月のメジャーデビューまでに100本に及ぶ動画を公開。
2020年1月時点でYouTubeチャンネルの総再生回数は1.4億回を突破。
シングル「プロローグ」では、先行配信時に各サイトで自身最多となる11冠のデイリーランキング1位を獲得。
デビュー以来リリースを重ねるほどにその名前を浸透させている。
年間に限られた本数しか行われないコンサートは、ドレープ状の幕が幾重にも重ねられた幻想的なステージ演出と共に話題を呼び、これまでに行った単独公演はチケット発売とともにすべて即日完売している。

オフィシャルサイト
https://uru-official.com