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『AKIRA』IMAX上映に備えて。4Kリマスター&爆音の極限クオリティが傑作にもたらす新たな価値とは?【先行試写レポ】

『AKIRA』IMAX上映に備えて。4Kリマスター&爆音の極限クオリティが傑作にもたらす新たな価値とは?【先行試写レポ】

製作期間3年、総制作費10億円という当時では破格の時間と労力、そして最高のアニメーション技法。原作者・大友克洋みずからが監督を務め、1988年の劇場公開から日本のアニメ史に残る傑作となった『AKIRA』が、超高画質の4K ULTRA HD Blu-ray を含む「4Kリマスターセット」となって2020年4月24日に発売される。

今回はこれに先駆けるかたちで、4Kリマスター版の『AKIRA』が4月3日より全国の映画館でIMAX上映されることが明らかになった。「1988年7月、関東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した」という世界の30年後──2019年を舞台とした作品であったことから、未来を予見した作品として話題に上ることも非常に多い本作。 “AKIRAイヤー”に行われる期待のIMAX上映に備え、注目するべきポイントをまとめてみた。

※掲載の情報は2020年3月31日時点のものです。劇場上映の有無などは変更となる場合があるため、事前に各劇場Webサイトをご確認ください。(TOHO THEATER LIST


4Kリマスター版『AKIRA』を、パッケージ発売前に大スクリーン&爆音で体感可能に

4月3日より全国で上映される『AKIRA』は、35mmマスターポジフィルムから4Kスキャン&4Kリマスターを施し、2020年の劇場公開作品としてふさわしい高品質に仕上げられたもの。音楽監督・山城祥二指揮のもと、半年もの時間をかけて細部にまでこだわりぬいたという5.1ch音源のリミックスも実施された。

そして今回は、現在日本にIMAXが導入されている全36館での公開が決定。大スクリーンに映し出される鮮明な映像と、パワフルな高音質サウンドで『AKIRA』を楽しむことができる。公開から30年以上を経て、高品質の4Kリマスターと最新鋭の設備がこうして揃ったことで、「時代が作品にようやく追いついた」とも評される一大イベントだ。

今回は、メディア向け試写会でいち早く『AKIRA』IMAX上映を体験した記者によるレポートもあわせてご紹介する。

『AKIRA』IMAX試写レポート。これまで気がつけなかった“価値”を全面開放した驚愕のクオリティ!

劇場アニメ『AKIRA』って結局、何がすごかったのだろう? 異様にヌルヌル動く作画? 声と口の動きを同期させたリップシンク? 執拗に書き込まれた背景美術? 思い返すだけで、いくつもの「画期的」あるいは「偏執的」なこだわりを挙げることができます。思春期に映画制作に憧れた漫画家・大友克洋(当時30代半ば)が、予算と時間を度外視して緻密に作り込んだこのフィルムは、まさに“執念”の産物。そうしたフィルムだからこそ、4Kリマスターで32年の時を経て、改めてその価値を問う意義があるのです。今回、そんなアニメ史的にも極めて重要な映像を、IMAXデジタルシアター(TOHOシネマズ日比谷)で先行視聴・レポートする機会をいただきました。

まずは4Kスキャン&リマスターで生まれ変わった映像から見ていきましょう。筆者はやり過ぎなデジタルリマスターには批判的な立場ですが、4Kリマスター版『AKIRA』は、良い意味でフィルムの味を残しつつ、最新デジタル技術で情報量を極限まで高め(埃や傷、ガタツキなどのノイズを極力減らし)、より映像にのめり込めるようにしてくれているように感じました。今回からの新機軸であるHDR(ハイダイナミックレンジ)への対応も、NEO TOKYOの街並みの光と闇や、夜の街を切り裂くように疾走するバイクのテールランプなどをより印象的に見せる一助となっていました。

そして何より素晴らしいのが音声です。こちらについては過去のパッケージでも満足いく品質だったのですが(BD版に収録されているドルビー TrueHD音声はアニメ映画の音声として最高峰のものの1つ)、今回、大々的に謳われている「芸能山城組・山城祥二指揮のもとのリミックス」によって、それをさらに上回る、驚くべきクオリティにアップグレードされているのです。一言で言えば「緻密な爆音」。

これ、「音にはそんなにこだわりがない」という人でも必ず違いがわかります。冒頭、金田らが春木屋からバイクで“出動”するシーンでは、ジュークボックスから再生される民族調の音楽(交響曲AKIRA「金田」)が徐々に盛り上がっていき、そこにバイクの爆音が被さっていくのですが、音楽とSE、そして映像がここまで見事に絡み合い、高め合うのかと感心させられました。

そのほか、病室に隔離された鉄雄がナンバーズの子どもたちが操るぬいぐるみの幻覚に襲撃されるシーンも印象的。交響曲AKIRA「ぬいぐるみのポリフォニー」の「ポロン」「ピロン」という音声が5.1chサラウンドで四方八方に散らされており、これによって鉄雄の困惑と恐怖が格段に高められています。また、それでいて音が前に出すぎることもなく、むしろセリフなどは従来よりも聴き取りやすくなっているように感じました。

作品自体は30年以上前のものですが、今回の4Kリマスターは、フィルムに隠されていた、これまで気がつけなかった“価値”を全面開放したと言っても過言ではない極限のクオリティ。言い過ぎではなく、そこにはまるで最新アニメを見るかのような驚きと感動がありました。4月24日に発売される『AKIRA 4Kリマスターセット』は、それを何時でも自分の好きなときに楽しめるという点で素晴らしいのですが、今回実施されるIMAXシアター上映は、次にいつあるか分からない(もうないかも?)という貴重な場。この新しい『AKIRA』の繊細さと迫力を両立させた映像と音を、まずはぜひとも……いや、絶対にIMAXシアターで体験していただきたいですね。

(レポート / 山下達也)

『AKIRA』(4Kリマスター/IMAX上映)

全国東宝系にて2020年4月3日(金)より上映

【スタッフ】
原作・監督:大友克洋(講談社・ヤングマガジン連載)/製作:アキラ製作委員会/脚本:大友克洋・橋本以蔵/作曲・指揮:山城祥二/キャラクターデザイン:大友克洋/作画監督:なかむらたかし/作画監督補:森本晃司/美術:水谷利春/音楽:芸能山城組(ビクター) /音響:明田川進/録音:瀬川徹夫/撮影:三澤勝治/編集:瀬山武司/アニメーション制作:東京ムービー新社(現:トムスエンタテインメント) 他

【キャスト】
金田:岩田光央/鉄雄:佐々木望/ケイ:小山茉美/大佐:石田太郎/竜:玄田哲章/甲斐:草尾毅/ドクター:鈴木瑞穂/タカシ(26号):中村龍彦/キヨコ(25号):伊藤福恵/マサル(27号):神藤一弘 他

【STORY】
1988年7月、関東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した。
31年後― 2019年東京湾上に構築されたメガロポリス、ネオ東京は翌年にオリンピック開催を控え、かつての繁栄を取り戻しつつあった。
健康優良不良少年グループのリーダー・金田は、荒廃したこの都市でバイクを駆り、暴走と抗争を繰り返していた。
ある夜、仲間の鉄雄は暴走中、奇怪な実験体の少年と遭遇し、転倒負傷。呆然とする金田たちの前で、彼らは軍の研究所へと連れ去られてしまう。
鉄雄救出のために研究所へ潜入を試みる金田。だが、彼はそこで、過度の人体実験により新たな「力」に覚醒した、狂気の鉄雄を見る。
一方、研究所内の特殊ベビールームでは、実験体の少女が、「最高機密=アキラ」の目覚めを予言。
鉄雄は自らの力の謎に近づくべく、地下深く眠る「アキラ」への接近を開始した。

【IMAXとは?】
IMAXシアターで上映される作品は音響、明度、コントラスト、明るさなど細部にいたるまで高い精度で調整し、IMAX仕様にリマスタリングされます。このIMAX DMR と呼ばれる独自のプロセスによって、IMAXは他の劇場ではけっして味わえない画期的な映画体験を可能にしています。

【上映劇場】
TOHO THEATER LIST

※新型コロナウイルス感染症の拡大状況により、休館など、劇場の営業状況が大幅に変更になる場合があります。上映の有無などは事前に各劇場Webサイトをご確認ください。

©1988マッシュルーム/アキラ製作委員会