モリコメンド 一本釣り  vol. 162

Column

ザ・リーサルウェポンズ 80年〜90年代をキーワードに歌詞のおもしろさと音楽のカッコよさを高レベルで共存。衝撃のエンタメ!

ザ・リーサルウェポンズ 80年〜90年代をキーワードに歌詞のおもしろさと音楽のカッコよさを高レベルで共存。衝撃のエンタメ!

ザ・リーサルウェポンズのライブを初めて観たときのインパクトは、本当に強烈だった。複数のアーティストが出演するイベントで、彼らのステージを初めて体験する客が多かったのだが、しっかりと会場を盛り上げ、笑いや歓声、拍手を巻き起こしたのだ。

80年代からタイムスリップしたかのような姿の男二人が「アニキ!アニキ!アニキ!」というコールを発し、ハードロックとシンセポップを合わせたサウンドととともに、シルベスター・ストローンやアーノルド・シュワルツェネッガーなどのアクションスターをイジりまくる楽曲の題名はずばり、「80年代アクションスター」。「エイドリアン!エイドリアン!」「アイルビーバック!アイルビーバック!」というサビのリフレインは大合唱され、80年代を知ってる人も知らない人も楽しく盛り上がることができた。深刻なニュースばかりが渦巻く昨今、彼らの(良い意味で)何も考えずに楽しめるエンタメ力は強く印象に残った。

…と、いくら言葉で説明しても彼らの面白さは伝わらないと思うので、まずは「80年代アクションスター」のMVを見てほしい。ジャンル的には“ネタもの”“コミックソング”ということになるのだが、歌詞、サウンドメイク、パフォーマンスを含め、かなり作り込まれていることがわかると思う。中心にあるのは、80’sの洋楽ヒットチューンのイメージを軸にしたサウンド、そして、マニアックなラインを突いてくる歌詞。B級感たっぷりの映像、メンバー二人のコミカルな動きも絶妙で、YouTubeのコメント欄でも「80、90年代のハリウッドスターと一緒に青春を駆け抜けた自分にとっては、このMVはたまらないです。小ネタがまた面白いww」「曲とPVの完成度が高過ぎてCDよりDVDで欲しい」「今更だけど 1:33 のブルースウィリスのとこで、ちゃんとM9使ってるの流石だと思った」と細かいネタまで読み取って楽しんでいる様子。“80年代・90年代”をキーワードにして、アーティストとリスナーのコミュニケーションが成立しつつあるようだ。

2019年1月、東京都中野区の都立家政(西武新宿線沿いの、都心に近いのにのんびりした良い街です)で結成されたというザ・リーサルウェポンズは、“80年代〜90年代のカルチャーを背景にアメリカ生まれのサイボーグ”であるサイボーグジョー、そして、彼を発明したプロデューサー・アイキッドによる2人組。ユニット名の元ネタはもちろん、メル・ギブソン主演のアクション映画『リーサル・ウェポン』(1987年)だ。前述した「80年代アクションスター」をはじめ、ファミコン風のチップチューンからはじまり、徹底的にポップなサウンドに乗せて“イヤなヤツには笑顔でF○○K Y○Uしてやれ”みたいなメッセージを響かせる「きみはマザーファッカー」、ドラマティックなハードロック・サウンドと『ストリートファイター』をネタにした歌詞がひとつになった「昇龍拳が出ない」などのMVを発表。2019年4月に発表したインディーズアルバム『Back to the80’s』がiTunes ロックチャート1位を獲得、12月に開催されたワンマンライブ(恵比寿リキッドルーム)即完するなど一気に注目度を高めた。

さらに2020年2月26日には4曲入り音源『E.P.』をリリース。「昇龍拳が出ない」のほか、ハードロック×シンセポップ風のサウンドと江戸時代の旅をテーマにした歌詞が楽しい「東海道中膝栗毛」(“80年代じゃなくて、1800年代じゃねえか!”というツッコミはやめてください)、“働きたくない!”という心の叫びをアグレッシブなロックチューンにした「プータロー」、メンバーの地元のお店とのコラボソング「都立家政のブックマート」を収録した本作は、映画『E.T.』をパロッたCDジャケットを含め、ザ・リーサルウェポンズのエンタメ性がたっぷりと込められている。

クレイジーキャッツやグループ魂などと同じく、歌詞のおもしろさと音楽のカッコよさを高いレベルで共存させたザ・リーサルウェポンズ。80年代のカルチャーを知ってる人も知らない人も、ゲラゲラ笑いながら盛り上がれる彼らの音楽をめいっぱい楽しんでほしい。いろいろヤバイことだらけの世の中において、何も考えずに笑えるエンタメはめちゃくちゃ大事だと思う。イヤ、ホントに。

文 / 森朋之

オフィシャルTwitter
@TLW80s

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