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神ゲーへの第一歩!?『Dreams Universe』初心者が踏み込んだゲーム制作の面白さ

神ゲーへの第一歩!?『Dreams Universe』初心者が踏み込んだゲーム制作の面白さ

自由にグラフィックやサウンド、それらを使用したゲームや映像作品などを作ることができる夢のツール『Dreams Universe』。もはやこれはレクチャーから作品発表の場まで完備した親切なゲームエンジンだと言えるくらい、至れり尽くせりのゲームです。前回の記事では、この途方もなく膨大な要素を持つ本作の端っこを紹介したにすぎません。この“なんでもできちゃう感”をどう説明すれば伝えられるのかと悩んだ結果、実際にひとつの作品を作ってその過程を紹介することにしました。世界中のユーザーが作ったゲームの数々をただ体験しているだけでは、どう作ったのかは全く見えてこないですからね。ではまず「ないなら作っちゃえ」と動画コメントに書かれた、アーリーアクセス版のクリエイタートレーラーを見てみましょう。イメージを形にするまでの過程がテンポよく描かれていますよ。

文 / 内藤ハサミ


「作るぞ、オリジナルのゲーム!」のまえに……

神ゲーのアイデアをひねり出そうとPlayStation®4をまえにしてウンウン唸っていると、ゲーム大好きな小学2年生の娘が興味深げにやってきました。「お母さんゲーム作るの? じゃあワタシの好きな『スプラトゥーン』とか『マインクラフト』みたいなゲームを作って~!」うっ、そうきましたか。似たようなシステムのものを作り出すことが本作では理論上可能だろう、というところまではわかるんですが……お母さんの腕前では正直言うと難しいかな。「そう、仕方ないね、お母さんはゲームクリエイターじゃないもんね。気を落とさないで」私の肩をポンポンと軽く叩き、どこかに行ってしまった娘。ムムッ悔しい。なんとか魅力的な作品を生み出して、アッと言わせたいものです。というわけで、早速“ドリームメイキング”にイン。ちょうど人型のパペットをカスタムしながらキャラ作りを学べるワークショップがあったのでプレイしつつ、キャラを完成させてしまおうという目論見です。

Dreams Universe WHAT's IN? tokyoゲームレビュー

▲国民的アイドルたり得るキャッチーでキュートなキャラクターを作ろうと奮闘するも、なんだか前途多難……

それなりにポーズをつけ、試しにプレイモードでパペットを動かしてみたところ、デフォルトのポーズが中途半端な白鶴拳というだけのキャラクターになってしまいました。笑えはしましたが、目指していたものとはかけ離れています。動画を撮ったので、その情けない姿を見てください。

もっとインパクトのある見た目にするため、チュートリアルムービーで学んだ“エフェクト”を付けてみることに。選択したオブジェクトの表面をグツグツ煮立ったようにする、水面のように揺らす、心臓のようにドクドクと鼓動を刻ませる……すべて可能なのです!

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▲スライダーで、どの程度効果を付けるかも思いのままに調節できます。わかりやすい!

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▲炎をまとった紳士というのもイケているのではと考え、手元にある素材からシルクハットを選んでかぶせてみました。でもてっぺんにプロペラまで足してしまい、一瞬で紳士の風格がゼロに

方向性が定まらないまま作り始めたからか行き詰まってしまったので、「キャラクター作りは、ひとまずこれくらいにしておいてやる」と格好悪い捨て台詞を吐き、いったんセーブです。進行度をセーブしておけば他のワークショップやコンテンツを遊んだあと、すぐに続きからクリエイトできます。さて次はサウンドを編集してみましょう。

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▲イチから作るのは難しいだろうと予想がついたので、まずは素材をサーチして目指したい雰囲気に合ったものを選びます

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▲曲のタイムラインの中身を見て、どんなふうに曲が構成されているのかを確認しました。10種類の音やメロディを組み合わせてあるんですね

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▲タイムラインに並んだそれぞれの音を詳しく見てみます。この“ピアノ線をはじく音”はサウンドエフェクト的な使いかたをしているようだったので、適当に音を足してみました。音階などは気にせず、思いのままに音を置きます

何もないところからタイムラインにノートを置き、オリジナルの曲を作り出すことももちろんできますが、初心者からすると制作のハードルはかなり上がってしまいます。しかし、こうして既存の曲をアレンジするのはとても簡単です。メロディやコードを編集しなくてもリズムをちょっと変えてみたり足してみたりするだけで、曲の印象を変えることができます。元の曲がやや賑やかだったので、音をいくつか減らしてみました。静かな風景に流れていそうな、民族風のBGMになったと思います。動画で聞いてみてください。

サウンドのアレンジは満足のいく出来になったので、実際にゲーム内で使用します。では、実際にゲームを作っていきましょう。「どんなジャンルのどんなゲームにしようか」と考えてドリームメイキングのメニューをいろいろと見ていたら、チュートリアルとして自分が作ったステージのなかに古代廃墟風のものを発見。用意したサウンドにも合いそうだし、これでいきましょう! ゲームジャンルは、3Dアクションです。

改めて……「作るぞ、オリジナルのゲーム!」

ようやくゲームのステージを作る段階にたどり着きました。以前チュートリアルで作ったのは、古代文明の廃墟といった雰囲気の素材を組み合わせた風景です。スタート地点とゴール地点だけ設定されていて、自分でステージの地形を作っていくという練習メニューをプレイしていたんですね。

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▲スタートとゴールの設定をしてあるのは助かります。当然、ゲームのスタートとゴールを判定するプログラムが必要ですからね。今の時点ではどう作るものなのかが全くわかりませんし

現状ではスタート地点から階段を繋げて、かまぼこ型の踊り場をひとつ作ってあるだけです。草やツタ、照明などのディテールを足しはしましたが、あくまで“ステージの地形”を作ってみただけにすぎず、このままアクションゲームとして遊ぶにはまったく面白くないでしょう。このステージにいろいろな変化を加え、面白く遊べるようにしたいと思います。小さい足場を組み合わせて、ゴールまでつなげていくのはどうでしょうか。でもそれだけだと変化がなくて面白くないかも。足場となる部分に何か仕掛けを施してみます。

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▲上空からモノを吊るす“ストリングコネクター”を使って、グラグラ動く浮いた橋を作る。そういえばチュートリアルでこんなことをしたなぁ

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▲学んだことを思い出し、同じように作ってみました

というわけで、ストリングコネクターでぐらつく飛び石を作りました。紫の円柱から伸びている紐に大きな石がぶら下がっています。ゲーム中では紐が見えなくなるので、空中に浮いた石に飛び乗るとグラグラ揺れるという不思議なオブジェクトになるのです。ストリングを付ける位置はわざと中心からややずらして、不安定さを演出します。位置の調整に苦労しましたが、なかなか満足のいく出来になりました。次にこれまたチュートリアルで学んだ、移動する足場を作りました。

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▲空中の飛び石から、ピストンで行ったり来たりする足場に繋げます

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▲そしてゴールまでは、乗るとすぐに消えてしまう足場をたくさん置きました。ここが一番の難所です

作りかたの流れをつかむと作業がグンと速くなります。逆に言うと、経験がなければそれまでの苦労は多いでしょう。そんなときは、いつでも作業を中断して適したチュートリアルをやり直すのが近道ですね。筆者も知識不足ゆえに幾度となく行き詰まり、そのたびにチュートリアルを見直しました。チュートリアルに用意されたステージも、エディットモードでどうガジェットをつないでいるかなどを詳しく見ることができます。それをそっくり拝借することもできますし、新たな仕掛けを作るヒントにしたりもできます。ひとつひとつツールの使いかたを習得するたび、「あんなこともこんなこともできるかも?」と新たなアイデアが浮かんできて、どんどん作品を作りたくなりますね。基礎を身につける序盤は大変だけど、チャレンジをする価値は充分です。さて……ひとつだけのステージ、しかも少ないボリュームながらやっと作品が完成しました。プレイ動画をぜひぜひ見てほしいです。言わないとわかりにくい箇所ではありますが、近づくと反応するさりげないライトアップなどにも注目していただければと思います。きっとこの作品から伸びている道が、未来の神ゲーへとつながっているのだ……と筆者は信じています!

素材は用意されたものを使っていますし、ガジェットの使いかたなどはチュートリアルで学んだものを流用しているので、完全なオリジナル作品とはいきませんでした。特にキャラクターに関しては動きを制御するコツがまだつかめず、まったく手を入れていません。まあその、パペットのアレンジをするだけで冒頭のひどいあり様だったので、オリジナルまではとても……。でもいずれ、オリジナルキャラ作りにチャレンジしようと思っています。しかし既存の素材を組み合わせて作ったこのステージが、れっきとした“私だけの3Dアクションゲーム”になったことは確かです。プロのクリエイターだって、キャラクターデザイナーやプログラマーなど、その道のプロフェッショナルが集まって総合的に開発しているじゃないですか。そう思えば初心者なのによくやりました。「私、スゴイ」と自分を褒めてあげたい! ちなみに、ひとつのゲームをオンラインで他のユーザーとシェアしてクリエイトすることも可能です。現在、複数のクリエイターたちが手を加えた作品もオンライン上にたくさんシェアされています。違った個性を持つ頭脳が集まって作られた作品の妙を味わえますよ。

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▲特にひとりで作る場合には、用意されている完成度の高い素材集が助かります

作り上げた作品は、誰かにプレイしてもらいたくなります。オンラインにシェアするまえに身近な人……そうだ、娘にプレイしてもらいましょう。「おーい娘や、ちょっとお母さんの作ったゲームをプレイしてみない?」

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▲「やるやる!」とすっとんできた娘

プレイし終わったらきっと、「本格的だね、すごい!」って言ってくれるだろうな~。ワクワクしながら感想を待ちます。娘はちょっと考えて、「すごく良くできてると思うんだけど、最後の消えるブロックの場所は難しくてたくさん失敗しちゃったから、その手前に中間地点を入れて失敗してもそこからやり直せたらもっといいと思う」……もっともな指摘! 特に最近のアクションゲームでは失敗しても中間チェックポイントからやり直せるのがスタンダードですよね。失敗するたびにステージの初めに戻されるのはストレスの元かも。作品ができた喜びで、遊ぶ立場になって考えることを忘れていました。それにしてもわが子ながらセンスあるぅ。今度は娘も開発チームに加え、一緒に作品を作ってみようかしら。
こうしてひとつの作品を完成させて大きく実感した本作の特徴は、「面白さを感じられるまでには多少の時間がかかる」ということ。しかし、それは決して欠点ではないのだとも強く言っておきたいです。先ほども書きましたが、苦労の何倍も大きな喜びを味わうことができるからです。今回は素材集を使いましたが、オブジェクト、背景、音楽などの素材を自作すれば自分のイメージを思ったように形にでき、よりオリジナリティの高い作品に仕上がるはずです。そして高度な作品を作るためには、拙かろうと完成品をいくつも作ることが大事ですね。無数にシェアされている他ユーザーの作品を遊んで、自分の作品をクリエイトして……ずっと創作の世界に浸っていられる『Dreams Universe』は、ちょっとでも「何か作品を作ってみたい」と思ったゲームファンに激しくおすすめしたい作品です。

フォトギャラリー

■タイトル:Dreams Universe
■発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:ゲームクリエイティブプラットフォーム
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2020年2月14日)
■価格:パッケージ版 4,900円+税、ダウンロード版 5,390円(税込)


『Dreams Universe』オフィシャルサイト

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