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狂気を覚えるボリューム『侍道外伝 KATANAKAMI』新しきローグライクに恍惚

狂気を覚えるボリューム『侍道外伝 KATANAKAMI』新しきローグライクに恍惚

先月リリースされた剣術アクションRPG『侍道外伝 KATANAKAMI』が、素直に楽しい。スマートフォンのゲームアプリを通過した現代のタイトルらしく、プレイするうえでムダだと思われる要素をバッサリとカットしたソリッドな作りが連日のプレイにちょうどいいのだ。そんな潔さに心と時間を奪われ毎日毎晩、辞界(本作のダンジョン)に潜り続けている。
ジャンルとしてはRPGを冠しているが、成長要素は刀のみ。実際は『侍道』シリーズの世界設定をベースに、リスクとリソースを管理しながらランダム生成型のダンジョンを潜り続けるローグライクのゲーム性を大きく採用。加えて爽快なアクションを上乗せしているので、ハックアンドスラッシュに近いプレイ感も有する独特な仕上がりに落ち着いている。そんな、旨味成分たっぷりの快作を紹介しよう。

文 / カタカメーン


ギュウギュウ感に序盤は困惑、馴れれば快感!

毎回、プレイヤーは1段(レベル1)から始まり、絶命すれば所持していたアイテムとお金はゼロになる目に遭う。キャラクターにはHP代わりの体力と、スタミナ兼満腹度代わりの活力が設けられている。後者は激しいアクションで消費するゲージなのだが、切らすと異常なほど強い“死神”がフィールドに出現してしまう。昇段で全回復するので進行の序盤は気にする必要はないが、中盤以降は絶やさないよう細かくアイテムで回復しておきたい。
なお、プレイでリセットされないパラメーターもある。それが刀のレベルとなる“刀級”で、斬りつけるごとに上昇し、強力な技が放てるようになる。つまり、刀級を上げた状態で辞界に持ち込めば進行が楽になるのだ。それに気づき、品質の高い刀を手に入れて上限の50まで刀級を上げるところまでが初心者の第一段階。調子に乗って進行したあげく絶命し、育て上げた刀を辞界の奥地に落としてしまうまでが第二段階、といったところか。絶命した地点に出現する“ツクモガミ”を倒せば失ったアイテム類を取り戻せるのだが、刀級を上げた刀を一振りしか用意していないと、詰む。この絶望感を叩きつけられたら初心者卒業だ。複数の刀の刀級上げを行い、しっかりと保管庫へ仕舞う習慣を付けることが大事。以上、経験者談。

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▲ツクモガミとの斬り合いは、まさに“負けられない戦い”。出現層は慎重に進行し、確実にアイテムを取り戻したい

本作は、剣術アクションも大充実だ。最初は複雑さに戸惑うが、操作が上達すればポンポンと繰り出せるようになる。通常の攻撃は弱と強の2種しかないが、ガードしている相手に有効な崩し手(蹴りと投げ)があり、使い分ければ襲いかかる敵を淀みなく斬りつけられる。また特殊な攻撃もいろいろと用意されており、タイミングよく防御や回避をすることで連続でくり出せる“極見(キワミ)”、一定時間納刀することで攻撃が強化される“抜符(バフ)”と範囲攻撃“抜無(バム)”など、どれも実用的だ。名称もチャーミング。とりわけド派手な快感必至の必殺技が、敵の討伐時に吸収する“おうぶ”を溜めて発動する“刀刻(カタナタイム)”。3段階まで溜まっているとじょんがら三味線の音色が鳴り響く間のみリーチが伸びたり爆破が伴ったり、刀の構えによって効果が異なる圧倒的に強力な攻撃が繰り出せるようになるので、密集時やボス戦などでピンチの局面を一転させられるのだ。“弓”と“無手”以外はどの攻撃も刀の種類や刀級を問わずに使用できるので、意識的に活用すれば攻略は楽になる。

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▲刀の種類によって攻撃方法のツリーが用意されている。奥義書で攻撃方法が解放される刀も存在

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▲刀は鍛冶屋で強化可能で、号を付与すれば性能ボーナスも付けられる。もちろん辞界で力尽きれば刀を本体ごと失うことになるので、悩ましいところ

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▲突如出現する“祟リ場”は条件を満たせば脱出可能。大量の敵やボスが出現するので刀刻で一気に切り抜けたい

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▲刀刻の効果は刀の構えごとに異なる。刀を持ち替えれば、おうぶを溜めた状態で保持できるので、ボス戦まで準備しておくといい(※写真は加工したものです)

辞界に潜る理由は金稼ぎ。繰り返すうちに……

プレイヤーは看板娘を借金のカタに連れ去られた刀鍛冶の店舗兼住居に寝泊まりしながら、夜間のみ解放される拠点中央のダンジョンの入り口である“一本松”へ向かい、商材としての刀と自身を納得させる刀(要はレアアイテム)を求めて辞界へ向かうことになる。スタート直後の小芝居で“借金の完済=看板娘との祝言”というゴールが提示され、“期日までの支払い”というショートゴールが掲げられるのだが、この直球な展開がわかりやすくていい。繰り返しダンジョンに足を運ぶ気持ちになり、お金稼ぎのモチベーションが持続するからだ。ベタベタな脚本だがプレイヤーの頭のなかに疑問が生じる余地を与えず、巧みに行動を誘導している設計には拍手したい。実際は絶命して裸で放り出されるプレイが続くので、なかなかに遠いゴールなのだが。
よって、拠点では昼夜の概念が設けられている。副惣菜のような昼の拠点も、シンプルながら楽しめるのがうれしい。毎朝、露天商は開店の準備をし、NPCが往来し、数日置きに金貸しが取り立てに来訪。情勢が不安になれば、そこらじゅうでNPCどうしの抗争が勃発。この、どこかでNPCが生活している雰囲気がなんだか微笑ましくなる。実際の画面はシンプルなので、多少プレイヤーの妄想力を加味する必要があるが、環境の変化が没入感を加速させている隠れた要因だと思っている。

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▲土下座をすれば、何度かは支払いを待ってもらえる。運転資金が貯まるまでは引っ張るといい

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▲対立が激化するとNPCどうしが拠点で斬り合う。『侍道』シリーズのキャラクターも参戦

刀に加え、衣装や道具、“ご依頼”の討伐対象などがいずれも100種以上が詰め込まれている。物量を揃えた影響かそれぞれの名称はいささかチープな印象を受けるが、わかりやすくもあり、刀に限っては少々のロストも気にならなくなる。したがって愛刀をコツコツと育て上げるのではなく、多くの刀を集め、分解し、納品用に製造し、お金にする消費活動こそが本作の楽しみかただと考える。収集品・収集項目の種類に応じるように、物語が進めば到達すべき辞界の階層も地下へ地下へと伸びていき、オンラインで他のプレイヤーとの対決もしくは共闘までも用意されている。ソフトの価格帯を鑑みると、このボリュームは快挙と断言できるほどだ。

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▲辞界の進行には、要所で巨大なボスモンスターを討伐する必要がある

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▲“ご依頼”は、言わばクエスト。辞界の進行途中に済ませられるものが多い

こんな、遊びきれないほどのある種狂気を覚えるボリュームの一端に触れるたびに、また辞界に潜りたくなってしまう今日なのである。なお鍛冶屋の借金を完済し、看板娘との祝言を実現させたあとに入場できるダンジョンも用意されている。しっかりとエンドコンテンツが完備されているので、ストーリーの終わりを気にせず、全力でプレイを進めてほしい。階層が進むたびに強まる恍惚と不安、ふたつの心境が同居するむず痒さをストレートに感じられる本作をこの春、どうぞお試しあれ。

フォトギャラリー

■タイトル:侍道外伝 KATANAKAMI
■発売元:スパイク・チュンソフト
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™、PC
■ジャンル:剣術アクションRPG
■対象年齢:18歳以上
■発売日:発売中(2020年2月20日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各3,980円+税


『侍道外伝 KATANAKAMI』オフィシャルサイト

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