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情熱的な戦いはこんなにも楽しい!『ストリートファイターⅤCE』が神ゲーであり続ける理由

情熱的な戦いはこんなにも楽しい!『ストリートファイターⅤCE』が神ゲーであり続ける理由

『ストリートファイターⅤ』が発売されたのは2016年2月のこと。そこから毎年大型のアップデートを重ねて、『ストリートファイターⅤ チャンピオンエディション』が発売された。現時点での完全版とも言えるこの作品には、2020年2月までに配信された追加キャラクターが全て収録され、多数のアレンジコスチュームやステージも使用可能。今回の記事では、格闘ゲームとそのeスポーツシーンを牽引する本タイトルの魅力を、格闘ゲームファンの目線から語っていく。

文 / 浅葉たいが


戦いを紐解くと見えてくる新しい攻防の駆け引き

『ストリートファイターⅤ』を最初に遊んだとき、すぐに“打撃と投げを使い分けた攻防”が軸になるゲームだということに気づいた。 “打撃と投げでガードを揺さぶる”というのは多くの格闘ゲームに共通する攻防のひとつだが、本作にもこの駆け引きが採用されていることがすぐにわかったのだ。この打撃と投げの攻防は『ストリートファイター』シリーズ自らが掘り下げてきた要素のひとつで、前作にあたる『ストリートファイターⅣ』でも“打撃と投げを使い分けた攻め“というのは、ゲーム開始後間もなく覚える代表的な戦術になっていた。これは『ストリートファイターⅣ』の稼働初期(アーケード版がゲームセンターでリリースされた頃)には想像しなかったことだが、この打撃と投げの攻防は対戦に没頭するプレイヤーたちのやり込みによって昇華した。稼働から数年を得た時点で、一部の強豪プレイヤーは”打撃と投げを使い分けた攻めをなるべく小さいリスクで回避する“という戦術やテクニックを用いるようになった。格闘ゲームプレイヤー以外にはピンとこないだろうが、いわゆる”複合投げ抜け“という防御手段が流行したのだ。結果としてゲームプレイがつまらなくなったわけではなく、トッププレイヤー同士の戦いは苛烈な攻めと固い防御がぶつかりあう非常に見ごたえのあるものとなった。そしてそれらの対戦は、打撃と投げを使い分けた攻防の終着点なのではと思わせるようなものだったことも確かだ。

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▲40キャラクターが使用可能。『ストリートファイター』らしさを継承しつつも、本作オリジナルの攻防がしっかりと備わっている

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▲『ストリートファイターⅤ』の最大の特徴は、VスキルとVトリガーというキャラクター固有の行動や攻撃だが、本稿では対戦の核となる駆け引きに焦点を当てる

『ストリートファイターⅤ』では、『ストリートファイターⅣ』で昇華したはずの攻防を再び闘いの軸に据えるのか、これは『ストリートファイター』らしさの表明なのかわからなかった。そのうえ複合投げ抜けの一部が削除されてよりシビアになったことで、繊細な操作とともに生まれる防御テクニックがなくなったように感じ、これは大味なゲームになると予想しさえした。だが、そのあとすぐに本作の核となる攻防がオリジナリティに溢れ、『ストリートファイターⅣ』やそれまでの作品とも異なるものであることを理解して驚嘆したものだ。
『ストリートファイターⅤ』の攻防の核となるのは、打撃と投げであることには変わりがない。しかし新しかったのは、投げを読んだ場合に”後退“で回避するという仕組みを用意したことだ。投げを仕掛けられる側は、投げを回避するために方向キー(アーケードスティックの場合はレバーを後ろに入れて)を後ろに入れて後退する。しかし、この後退という操作はその入力の仕様として下段攻撃に弱い。下段攻撃をガードするためには、斜め後ろに入力を行う必要があるからだ。そのうえで本作では、下段から始動するコンボ(連続技)に制限をかけている。ヒットの確認が難しかったり、始動技のリーチが短かったり、安易な下段技キャンセルを避けるような設計がされているのだ。この投げと後退と下段攻撃の相性を取り入れた『ストリートファイターⅤ』の投げの攻防は、シンプルながら非常に奥深く、過去のゲームにはない駆け引きを生み出した。打撃と投げを使い分けた攻防だが、それを紐解いてみると『ストリートファイターⅤ』だけの駆け引きが生まれてくる。さらに思い切ったことに本作では同じ攻めが安易に繰り返されることを避けたのか、相手の起き上がりに技をしっかりとヒットさせることがかなり難しくなっている。格闘ゲームの勝ち筋である”起き攻め“(相手の起き上がりを攻めること)をかなりシビアにしたことで、地面に足をつけた殴り合いが起きるシーンが多い。このことは、対戦を”観る“ときの楽しさにも繋がっている。
この作品を開発するうえで並々ならぬバトルプランナーがいたことは想像に難くないし、現在に至るまで一人ひとりのキャラクターに固有の戦術と操作の面白さを付与しているというのだから頭が上がらない。筆者がカプコンの2D対戦格闘ゲームを愛してやまないのは、”2D対戦格闘ゲーム“というジャンルを切り開いた『ストリートファイターⅡ』からずっと、常に新しい攻防や斬新なプレイの爽快感をもたらしてくれたからに他ならない。

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▲近距離では打撃と投げが対の選択肢として活きる。2D対戦格闘ゲームの多くは打撃をガードさせてから投げを仕掛けるのがセオリーだが、本作でもその戦術は有効

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▲しかし、本作の投げは後退に弱い。投げを読んだ場合は後退で回避するのがセオリー。この仕組みが、『ストリートファイターⅤ』ならではの奥深い駆け引きを生み出している

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▲後退には下段攻撃が刺さるが、本作の下段攻撃はリスクが高いものやリーチが短いものも多く、連続技の始動には使いにくいキャラクターが多い。しかし、うまく使わなければ相手の防御をこじあけられないという設計になっている

なぜ『ストリートファイターⅤ』はeスポーツなのか?

『ストリートファイターⅤ』は格闘ゲームのeスポーツシーンを牽引するタイトルである。格闘ゲーマーがよく使うスラングとして“覇権”という言葉がある。この言葉には、人気IPが格闘ゲーム化することが発表されたときなどに“この作品が人気を博し、格闘ゲームシーンを牽引するタイトル”になるだろうという意味合いがある。そして、新たな“覇権”と呼ばれるタイトルが現れるたびに“『ストリートファイターⅤ』は終わるのでは”というネガティブな視点も確認してきた。人気のあるタイトル=自身にとって楽しいタイトルではないため、こうした考えが生まれるのも当然と言える。しかし、実際にはそれら後発の覇権と言われるタイトルと並び、ときにはそれ以上の人気を持って多くのプレイヤーに支えられている。それはなぜだろうか。この理由は、単なる“面白さ”の比較によるものではないと考えている。

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▲『ストリートファイターⅤ』の魅力は、ゲームの外側にも光っている

『ストリートファイター』シリーズはここ数年、カプコンプロツアーなどをはじめとする大規模大会の開催にこだわっている。筆者は毎年これらのイベント観戦を楽しみにしているが、2019年もほとんど退屈することなく『ストリートファイターⅤ』シーンの熱気に触れることができた。自分の好きな格闘ゲームが熱いシーンを作り出していると感じたら、プレイヤーとしてはやっぱり幸せだ。筆者の場合は大会シーンに出るような腕前ではないのだが、動画勢としてイベントを楽しみ熱にあてられて“自分も練習してみよう”という気分になって友だちを誘って対戦したり、多くの猛者が火花を散らすランクマッチにエントリーしてみたりしている。結果、プレイする、プレイを観る、プレイしたくなる、さらにプレイを観たくなるという循環が自分のなかで生まれ、興味が常に離れない。

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▲『ストリートファイター』シリーズは、「他の格闘ゲームよりも、画面のなかで何が起きているかわかりやすい」とよく言われるが、これも動画や現地での観戦を楽しむプレイヤーを多く生んでいる理由のひとつだろう

多くの大会イベントはメーカーの協力や努力はもちろん、作品を愛するイベント運営やプレイヤーなどの力が集まって成されている。その原動力となっているのは、筆者が外側から見ている限り“熱意”だと思っている。もちろんその熱意には、eスポーツ元年という言葉が繰り返し使われたここ数年の盛り上がりのなかで将来的なビジネスを見越したものもあるだろうが、カプコンプロツアーをはじめとする公式・公認大会を観れば“『ストリートファイター』愛”とでもいうべきものが溢れている(実際、eスポーツ元年と繰り返し言われたここ数年でも、イベント運営であまり景気のいい話は聞いたことがなく、個人的には各タイトルが“熱意”によってさまざまなイベントを仕掛けているのが実情だろう)。そうして生み出されたシーンで活躍するプレイヤー、キャスター、イベント運営などは年々迫力を増している。筆者の知人にもプロゲーマーになったプレイヤーがいるが、今は会うとちょっと緊張してしまう。アーケードスティックをしっかりと握り画面に真剣に向かう姿は、年々凛々しく見えている。そうして成熟していったシーンに憧れる若手プレイヤーの姿も見え始めてきた。大げさな言いかただが、『ストリートファイター』が育てたり輝かせてきたものというのは確かに存在している。ちょっと印象的だったエピソードを紹介してみよう。
『ストリートファイターⅤ』のeスポーツシーンでは、数年まえに“中足ヒット確認”というテクニックが話題になった。これはもともと海外の強豪プレイヤーであるPunk選手が大会で“かりん”を使用時に見せたテクニックで、下段攻撃である中足(しゃがみ中キック)のヒットを確認してから必殺技を繰り出すというものだ。このヒット確認というテクニック自体は本作から生まれたものではなく、一部キャラクターでも応用されている技術だったのだが、Punk選手の見せたかりんのものは超人的な反応速度を活かした、当時で言うと“格闘ゲーマーの限界”を超えたテクニックだったのだ。Punk選手がその年の大会で素晴らしい成績を残したこともあり、この“中足ヒット確認”は大きな話題となった。
格闘ゲームの世界では“反応速度”がたびたび話題になる。相手の行動を視認してからそのカウンターとなる行動を入力するという駆け引きがあるなかで、反応が早いに越したことはないからだ。しかし一方で、反応速度が速い=格闘ゲームで勝てるというわけではないことも知られている。操作の精度、相手のキャラクターへの対策、あまり知られていないテクニック、そして大会を勝ち抜くだけの度胸。そんなことを知っているプレイヤーでも、Punk選手の中足ヒット確認には明らかな凄みを感じたのだろう。冒頭で書いたように本作は投げに対する後退を下段攻撃で仕留めるゲームなのだが、かりんというキャラクターは通常のプレイではこの下段攻撃からほどほどのダメージの連続技を狙うことが精一杯だった。しかしPunk選手の反応速度を活かした中足ヒット確認は、下段からローリスクで大ダメージが取れるテクニックだったのだ。このテクニックは反応速度によるもので“誰しもが習得できるものではない”し、それどころか“Punk選手以外にできる人間がいない”ものに感じられた。実際、話題になった当時に筆者も少し練習してみたが、全くと言っていいほど成功しなかった。身体能力に関係なく、“やり込み”によってカバーできるものが多いのがeスポーツの良いところであるという考えもあったが、この中足ヒット確認はやり込みによってカバーできないものではないのかという議論さえ生まれた。

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▲こちらが、かりんのしゃがみ中キック。この技がヒットしたのを確認してから、必殺技につなげるのが中足ヒット確認。猶予は実に短い

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▲しゃがみ中キックからの必殺技がヒットしたときのみ発動することができれば、ローリスクハイリターンな攻めの手段となる。しかしガードされたときに必殺技まで発動してしまった場合、手痛い反撃を受けてしまう

その衝撃的な中足ヒット確認の登場から年月が経った。そして驚くべきことに、かなりの数のかりん使いの強豪が“中足ヒット確認”を身につけてきている。おそらくこのテクニックはゲーム開発側の想定を超えたものだったのだろうが、ひとりのスーパープレイヤーが現れたことをきっかけに壁のようなものが破られ、自分もこのテクニックを使いたいというプレイヤーが研鑽していったことで現在の状況になったものと思われる。中足ヒット確認は反応速度に優れたものだけができるテクニックなのかもしれないが、それは選ばれたただひとりの人間ができるテクニックではなかった。もしかしたらPunk選手も絶大な努力の末に、いち早くこのテクニックにたどり着いたのかもしれない。こんなドラマが『ストリートファイター』シーンにはたくさんある。キャラクター間のバトルバランスも好評を博している。もちろんキャラクターごとに動きの差があるゲームなので、そのなかで組み合わせの有利不利、強キャラクター、弱キャラクターは生まれてくるが、どのキャラクターにも見せ場があるし可能性があるようにも感じる。そして発売からこれだけ時間が経過してもプレイヤーたちの研鑽は続いており、強豪プレイヤーの集う大会ではあっと驚くようなスーパープレイが見られるだろう。
本稿を読んで興味を持ったという方がいたとして、「今から始めるには遅すぎるのではないか」と思うかもしれない。しかし“楽しむこと”ができるなら遅いということはまるでなく、初心者レベルの腕前だったとしても年中開催されている大会の観戦は楽しいはずだし、ときには勇気を出して対戦会や大会に参加してみてはどうだろう。
また、『ストリートファイターⅤ』初期に本作を遊んだという方もいるはずだ。正直なところ発売当初はオンラインまわりの不具合やロードの長さなどが目立ってしまい、快適に対戦できない期間もあった。その時期のイメージのまま本作に触れないでいる人がいたら、騙されたと思ってこの機会に本作を遊んでみてほしい。『ストリートファイターⅤ』をお持ちであれば、アップグレードDLCを購入することでチャンピオンエディション版を手に入れることが可能だ。

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▲40体のキャラクターは、操作していて楽しい

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▲『ストリートファイターⅣ』シリーズのボスであるセス(左)と、『ストリートファイターⅢ』シリーズのボスであるギル(右)も参戦している

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▲ストーリーが語られるゼネラルストーリーモードにも注目してもらいたい

オンライン対戦も遊びやすくなり、練習に欠かせないトレーニングモードも充実している(最新のアップデート以降、環境によってはやや遅延を感じるという話も聞くが、こちらは筆者の環境では問題ない。なお3月6日時点で、このアップデートによる影響の調査が鋭意行われているとの報告もある)。筆者はいろいろな格闘ゲームを遊ぶが、現在の『ストリートファイターⅤ』のトレーニングモードはなかなかお目にかかれないレベルの完成度だと思っている。そしてもうひとつ推しておきたいのが、本作のゼネラルストーリーモードだ。CGでしっかりと描かれた『ストリートファイターⅤ』の物語を体験するこのモードは発売後に実装されたものだが、シリーズファンにとっては心揺さぶられる話が続く。砕けた今風の言葉で言うのなら“エモい”話が多いのだ。殺意の波動という制御困難な力に向き合うリュウ、死んだと思っていた親友ナッシュと再び出会うガイル、衝動のままに生きているようでそのなかに芯のようなものをしっかりと見せてくれるジュリ、悪として存分に暴威を奮うベガ。最高である。キャラクターもコスチュームもステージも“ほぼ全部入り”でリーズナブルな本作、ぜひともこの熱が迸る格闘ゲームを手に取ってもらいたい。

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【募集終了】抽選で1名様に『ストリートファイターⅤ チャンピオンエディション』PlayStation®4版パッケージソフトウェアをプレゼント!

応募期間

※募集期間は終了致しました。

3月9日(月)~3月16日(月)23:59


【応募に関する注意事項】
・厳正なる抽選の結果当選された方には、WHAT’s IN? tokyo Twitter公式アカウントのダイレクトメールにて後日ご連絡をさせていただきます。WHAT’s IN? tokyo Twitter公式アカウント(@whatsin_tokyo)のフォローをお願いします。
・プレゼントキャンペーンは予告なく変更・中止することがあります。あらかじめご了承ください。
・応募期間中にフォローを取り消された場合は、応募が無効となります。
・複数のアカウントで応募された場合は、1アカウントのみ有効となります。
・Twitterアカウントを非公開にしている場合は、応募対象外となります。
・落選者へのご連絡はございませんのでご了承ください。
・応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
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■タイトル:ストリートファイターⅤチャンピオンエディション
■発売元:カプコン
■対応ハード:PlayStation®4、PC
■ジャンル:対戦格闘
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2020年2月14日)
■価格:パッケージ版 3,990円+税、ダウンロード版 3,627円+税
※PlayStation®4版アップグレードキット:ダウンロード版 2,727円+税


『ストリートファイターⅤ チャンピオンエディション』オフィシャルサイト

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