Interview

有村架純、女優デビュー10年で感じた焦り。ドラマ『有村架純の撮休』で出会った是枝裕和監督の言葉を胸にこれからの“変化”を気楽に待つ

有村架純、女優デビュー10年で感じた焦り。ドラマ『有村架純の撮休』で出会った是枝裕和監督の言葉を胸にこれからの“変化”を気楽に待つ

2010年のデビューから10年。ドラマに映画にと走り続ける女優・有村架純。超がつくほど多忙な人気女優は、「突然撮影が休みになったら、いったいどんな1日を過ごす?」という妄想の世界を、『万引き家族』の是枝裕和や、『愛がなんだ』の今泉力哉など、気鋭の監督・脚本家たちが描く異色のドラマ『有村架純の撮休』が、3月20日(金・祝)よりWOWOWで放送される。

1話完結、全8話。この挑戦的な作品作りで注目を集める本作で、有村は気鋭のクリエイターたちが求める「有村架純」を演じているのだが、有村自身も、「役者としてちょうど悩んでいた時期だった」と明かすタイミングでの挑戦となったようだ。

取材・文 / 望月ふみ 撮影 / ヨシダヤスシ


実際の休みになったら「映画観たり、アート巡りなど計画的に過ごしたい」

有村架純の撮休 有村架純 WHAT's IN? tokyoインタビュー

タイトルを最初に見たときはいかがでしたか?

自分の名前が作品のタイトルになる日が来るなんて思ってもいませんでした。人生、最初で最後かもしれないですよね。でもこういうまさかと思うような出来事があると、これから先もまだまだいっぱいそうした出来事が待っているのかもしれないなと思えて楽しいです。

企画を受けたときはどんな気持ちでしたか?

このお話をいただいたとき、ちょうど今後、どうやっていけば面白いことや楽しいことができるだろうと考えていたときだったんです。役としても等身大の役を演じることが多くて、そういった役を演じ続けることがいいのかどうか悩んでいました。そうしたタイミングでこういった新しい挑戦ができる機会をいただいたので、飛び込んでみようと思いました。

ご本人役ということに関しては?

私であって私でない、だけど、私にも見える。というところを目指せればいいなと思いました。8人の脚本家の方々がそれぞれの私を想像して書いてくださったので、それに応える形で8通りの私を探してやらせていただきました。

確かに有村さんでありながら有村さんではないわけで、毎話、いろんな有村さんが登場します。ご本人的に、こう見られてるんだ、もしくはこうした私を見たいんだと特に驚いた話はありましたか?

『好きだから不安』とか、『バッティングセンターで待ちわびるのは』『女ともだち』も新鮮でした。

有村架純の撮休 有村架純 WHAT's IN? tokyoインタビュー

『女ともだち』は伊藤沙莉さん演じる友達とのやりとりが楽しい作品ですが、ここに登場する有村さんの部屋はぐちゃぐちゃです(笑)。

そうですね(笑)。それぞれの話によって部屋も違うし、飾りつけも違う。衣装も違うものを用意していただいて、全部雰囲気が違います。でも、全部観ていただくと、小物なんかで、あそこに登場していたものが、ここにもあるといった遊びがあるんです。

通してみるとそうした点も楽しめますね。今泉監督の『好きだから不安』では、やきもち焼きというか、彼氏との距離感が独特な女の子になっています。

彼氏の元恋人に会いたいとか言ってますからね。私はあまりそういうことは言わないです(笑)。でもドラマを見ている方には、それぞれの話で、有村架純はこういう人なのかなと思ってもらえたらいいなと思います。

これまでに実際に「明日、休みになりました」という経験はありますか?

天気が悪くてと休みになることはありました。そうしたお休みも割と忙しく、スケジュールを詰め込んでしまうのですが、明日もし休みになったら、箱根に日帰り温泉に行きたいですね。

長期での休みが出来たら?

最近あまり映画を観られていないので、1日中映画館で過ごして、次の日には個展を観にいったり、アート巡りをしたりして過ごしたいです。あとは習い事をしたり。どこかに家でのんびりする時間も作って。計画的に過ごしたいです。

有村架純の撮休 有村架純 WHAT's IN? tokyoインタビュー

長期で旅行に行ったりは?

海外旅行もいいですよね。去年はシンガポールに行きました。でも1週間以上の海外旅行はしたことはないです。だいたい5日間くらいで帰ってきちゃいます。

今回のお話で提案されたお休みのなかで、これが良かったなと感じたのは?

実家に帰省する、第1話の『ただいまの後に』がすごく良かったです。一番自分に近いような気がしました。母と娘のやりとりが、「あぁ、こんな感じだったな」と。関西弁でもありますし。すごく心地がよかったです。お母さん役の風吹ジュンさんも本当にステキな方で、母でもありひとりの女性でもあってくれたので、とても過ごしやすかったです。

第1話は是枝監督が演出ですね。

是枝監督とは、朗読の収録でお世話になったことがありますが、そのときは短い時間でした。今回、お仕事させていただいて、特に大きく演出をされる方ではないのですが、助け舟を出してくださる監督だと思いました。何回かテイクを重ねるようなときに、「もう少しこういう風にやってみて」といった具合に色んなことを試してくださるんです。私は芝居に集中すると、表情だけで芝居をしてしまうクセがあるのですが、それも是枝監督は気づいていらして、手を動かしたり身体を動かしたりといったヒントをところどころでつけてくださるんです。改めて自分のクセや足りない部分を勉強できました。

是枝監督は第3話の『人間ドック』も演出しています。こちらはちょっとドキドキしました。「おへそ」をじっくり撮る撮影もあったと。

はい(笑)。自分のお腹でないと撮影できないので、その日は朝とお昼を抜いて撮影に臨みました。「おへそ」って普段見せない場所なので、ちょっと恥ずかしかったです(笑)。作品のテイストとしては、ここに出てくる有村架純はすごく疲れているので、そうした閉塞感が出せればいいなと思いながら演じました。ちょっとした拠り所を求めてある人に会いに行くのですが、距離感が難しかったです。

改めて是枝演出を受けてみて感じたことはありますか?

どの監督さんにもウソとごまかしが利かないというか、見透かされている感じがあるんですが、なかでも是枝監督はよく見られている人だと思いました。是枝監督は役者さんの声を重視されているようで、声からにじみ出るものをキャッチするそうなんです。なので芝居をしていて、声に感情が滲んでいるか滲んでいないかという判断が、とても鋭いと思いました。

自分が守りたいもの、大切にしたかったものをずっと大切にやってこれた10年だった。

有村架純の撮休 有村架純 WHAT's IN? tokyoインタビュー

近年、一気に恋愛映画の名手として人気監督となった今泉監督の演出回も『女ともだち』と『好きだから不安』と2話あります。

今回、全部で8本あったので、1本の撮影が終わって1日2日後には別の話をという感じで、セリフ覚えが結構大変でした。『好きだから不安』の撮影は5本目だったのですが、渡辺大知さんと部屋で2人での会話シーンがあって、今泉監督がワンカットで撮影されたんです。10分間くらい、ふたりでやりとりするシーンなのですが、舞台のようで演じていてすごく痺れましたが、やっぱり大変で。少しセリフがごにょごにょとなると、10分間くらいのシーンをまた頭からやるので6テイクくらい繰り返しました。

『女ともだち』では、有村さんが世間から「女の子らしい」イメージを持たれているという描写が登場します。

外見のタイプも含めて、こういうものが求められやすいんだなということを感じることはあります。色でいうと、ピンクとか白とかが周りの方の印象なのかなと。

自分で自分のイメージを色にするなら?

ブルーかな。薄い感じの。ちょっとくすんだ感じのブルー(笑)。

山岸監督の『死ぬほど寝てやろう』と『バッティングセンターで待ちわびるのは』は個性的な作品ですね。

とても楽しい回で、キャラクターがぶれない程度に、ちょっと悪ふざけをしたりしてました。『死ぬほど寝てやろう』は、なんだか『世にも奇妙な物語』のような、ちょっとホラーっぽい感じもある作品なので、いつもの自分より少しテンションをあげてやりました。『バッティングセンターで待ちわびるのは』で共演した前野健太さんはアーティストの方なんですが、本当にお芝居が面白くて、前野さんにしか出せないオリジナルの魅力がすごくありました。アーティストの方は感性が豊かな方が多い印象があります。とても繊細で。引っ張っていただいて、楽しかったです。

『ふた』と『母になる(仮)』にもひと言ずついただけますか?

『ふた』は、ただひたすらに蓋を開けようとしていろんな人と会っていく話なんですけど、監督から「蓋を開けることは本当はどうでもよくて、旅人のように演じてほしい」と言われて、感覚が難しかったです。やっていくうちに、蓋と一緒に外を散歩しているような感覚になりました。3日間の撮影でしたが、ずっと持っていたら、妙に瓶に愛着が湧いて(笑)。不思議な3日間でした。『母になる(仮)』では、母親の役作りで悩んでいる私のところに、見知らぬ女の子がやってくるのですが、順撮りをしていくなかで、1日中一緒にいて、役作りではない感情がちゃんと生まれたのを感じました。

8通りの自分を演じきって何か変化はありましたか?

22日間という短い期間で8本すべてをやりきれたというのは、自分のなかでまた楽しいことができたなと感じています。きつかったといったことよりも、これだけの方々とこの短期間で一緒にお仕事ができて宝物のような時間でした。この出会いがまた次のお仕事に繋がっていけばと思いますし、久々に自分自身が、気持ちを解放して色んなことができた気がします。空気の入れ替えじゃないですけど、そうしたリフレッシュができたかなと。

有村架純の撮休 有村架純 WHAT's IN? tokyoインタビュー

女優デビューから10年が経ちましたが、女優としてどう過ごしていきたいですか?

この10年間、デビュー当時から色々な方々、監督さんたちとの出会いのなかで、かけてきていただいた言葉を信じて、それを頼りにお芝居を続けて頑張ってきました。そうした自分が守りたいもの、大切にしたかったものをずっと大切にやってこれた10年だったので、まずは自分にお疲れ様と言ってあげようかなと思います。ただ、ずっと同じ場所に居続けたり、大切にし続けるのもいいけれど、これからは新しい出会いも大切にしていきたいと思っています。たとえばこのタイミングで今回の作品に参加させていただいて、5人の監督やいろんなキャストの方とも出会えて、また新たな言葉をいただきました。そういう出会いを増やして、新たな言葉を見つけながら進んでいけたらと思います。

今の時点で軸にしている言葉はありますか?

今回、是枝さんとお仕事させていただいたときに、「私はこのままだとずっと同じ気がするんです」とお話したんです。「そろそろ新しいものを見つけないと」と。そしたら監督が「焦る必要はない。そのままでいいんじゃないですか」とおっしゃってくださったんです。そのうえで「監督との出会いや作品との出会いで、自然に変わっていくものだから」と。確かに焦っていた部分があったんです。でもそう言われたことで、長い人生で考えたら、あくまでも気軽に、変化のときを待ったり、探したりしていったほうが、自分を縛らなくていいなと思えるようになっています。


WHAT’s IN? tokyo オフィシャルInstagramでは、Instagram限定公開の撮り下ろし写真を掲載しています! そちらも是非チェックしてみてください!

有村架純

1993年、兵庫県生まれ。2010年に女優デビュー。近年の主な出演作に映画『ナラタージュ』(17)『コーヒーが冷めないうちに』(18)『フォルトゥナの瞳』(19)、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16/CX)『中学聖日記』(18/TBS)『連続ドラマW そして、生きる』(19/WOWOW)などがある。

オフィシャルサイト
http://www.flamme.co.jp/actress/profile.php?talentid=11

オフィシャルInstagram
@kasumi_arimura.official

フォトギャラリー

WOWOWオリジナルドラマ『有村架純の撮休』

3月20日(金・祝)よりWOWOWプライムにて放送予定
毎週金曜深夜0時~(全8話)
※第1話無料放送
※WOWOWメンバーズオンデマンドでは、各話終了後 見逃し配信
※TSUTAYAプレミアムでは、各話終了後 配信スタート

第1話『ただいまの後に』(監督:是枝裕和/脚本:比嘉さくら)
第2話『女ともだち』(監督:今泉力哉/脚本:ペヤンヌマキ)
第3話『人間ドック』(監督:是枝裕和/脚本:砂田麻美)
第4話『死ぬほど寝てやろう』(監督:山岸聖太/脚本:篠原 誠)
第5話『ふた』(監督:横浜聡子/脚本:ふじきみつ彦)
第6話『好きだから不安』(監督・脚本:今泉力哉)
第7話『母になる(仮)』(監督・脚本:津野 愛)
第8話『バッティングセンターで待ちわびるのは』(監督:山岸聖太/脚本:三浦直之)

出演:有村架純 ほか
制作協力:ホリプロ
製作:「有村架純の撮休」製作委員会

特設サイト
http://www.wowow.co.jp/drama/satsukyu/

©「有村架純の撮休」製作委員会