Interview

坂口健太郎×永野芽郁『仮面病棟』で名コンビぶりが冴えわたる!「次はラブストーリーで共演したい」

坂口健太郎×永野芽郁『仮面病棟』で名コンビぶりが冴えわたる!「次はラブストーリーで共演したい」

3年連続で本屋大賞にノミネートされ、“ポスト東野圭吾”とも称される注目度ナンバーワン作家・知念実希人。その小説がこのほど、初の映画化を果たした。病院を舞台に、「密室×病院×心理戦」を描いてシリーズの発行部数が累計110万部を突破した『仮面病棟』だ。原作者の知念氏も脚本に参加し、『屍人荘の殺人』(19)でも知られる鬼才・木村ひさし監督が“笑い”を封印して緻密なストーリー展開をボトムアップさせた一篇は、劇場公開前から早くも話題を呼んでいる。
この注目作でメインを務めるのが、坂口健太郎と永野芽郁のペア。『俺物語!!』(15)以来、5年ぶり2回目の共演となる2人が、スリリングにして予測不可能なミステリーの世界へと見る者をいざなう。インタビュー中も兄と妹のごとく息の合ったコンビネーションを見せた2人のトーク、心ゆくまでお楽しみあれ!

取材・文 / 平田真人 撮影 / 増永彩子


芽郁ちゃんがいてくれたからノビノビとお芝居ができたし、“支える系”俳優でいられたと思っている。(坂口)

仮面病棟 坂口健太郎 永野芽郁 WHAT's IN? tokyoインタビュー

個人的な話で恐縮なんですが、実は『俺物語!!』のクランクインの数日前に、坂口さんにインタビューをしたことがあるんです。

坂口 あっ、そうだったんですね! その節は…。

永野 当時の坂口さんと今とでは、どこが変わりました?

いい意味で容姿が変わらないと言いますか、ずっと若々しいですよね。

永野 確かに。でも、映像とか写真を見ると、やっぱりちょっと見た目も変わってる感じがするんです。

坂口 そうなんですよ、『俺物語!!』のころの映像や写真を見ると、「若いなぁ」と思うんです。ヒゲも生えてきましたし。あのころは全然伸びてこなかったんですけど、意外と僕もダンディーになってきたかなぁ、なんて(笑)。

永野 でも、そのヒゲが生えてくるようになったというのを、私が『仮面病棟』の現場で言うまで、坂口さんは気づいていなかったんですよ(笑)。

坂口 『俺物語!!』の時、僕は22歳だったんですけど、あのころは全然ヒゲが生えなくて。

永野 ツルンっていう感じでした(笑)。

仮面病棟 永野芽郁 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ちょっと待ってください、単純に5年前ということは、当時の永野さんは15歳だったということですか!?

永野 まだ15歳でした。高校入学したばかりの時に『俺物語!!』の撮影に入ったので、「どうしよう、高校で友達ができない」って現場で坂口さんと(鈴木)亮平さんに悩みを聞いてもらっていました。

坂口 そう考えると、大人になったね。

永野 ふっふっふ。大人になっちゃいました(笑)。

こういったカタチで再共演するということで、感慨深いものもあったのではと想像しますが、いかがでしょう?

坂口 そうですね。その間、共演はしていないんですけど、ご飯を食べたり、撮っている作品のスタジオが隣同士だったりということはあったんです。その時に「最近の現場はどうなの?」と話したりはしていたんですけど、こうして同じ現場にいるというのは、本当にしばらくぶりで。あ、一度CM(2019年に野村證券のCMで共演している)で一緒でしたけど…僕もう28歳ですからね。

永野 あと2年で30歳ですね。

坂口 今年、29歳だもん。え、(永野に)今年21歳になるでしょ?

永野 あれ? あ、そうだ! まだ20歳になったばっかりっていう感覚なのに。20歳のままがいいです、ずっと。

坂口 僕は30代を飛び越えて早く40代になりたい。40歳ぐらいの男の人って、カッコよくない? その時、芽郁ちゃんは32歳だよ。

永野 私も20歳からビューンって飛んで30歳になりたいんです。

坂口 そうなの? 20代も面白いよ。

永野 30歳になって、「いい女だね」って言われたいんです(笑)。

坂口 あはは(笑)。『俺物語!!』から『仮面病棟』までの5年、意外と忙しくしてたなって、あらためて思いますね。今の方がいろいろなことが楽しくなった気もします。

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それは、大人になって経験を積んだから、ということでしょうか?

坂口 そうですね。それこそ昨年ぐらいからですね、何事も楽しくなってきたのは。それまでは自分の考えを表に出すタイプではなかったですし、現場に入っている時はバランスを取りがちだったというか、潤滑油のような存在になることが多かったんです。今の方が演じていて、役のことが大事だからこそ、ちゃんと自分の考えや思ったことを発信していけるようになりました。そういうところから、楽しく思えるようになったのかもしれないですね。

『仮面病棟』の現場には、どのようなスタンスで臨まれていらっしゃったんですか?

坂口 張りつめたシーンが多くなるのかなと思っていたので、カメラが回っていない時は緊張を解きたいな、ニコニコしていようと心がけてはいたんですが、なかなか大変で。病院のセットが用意された上で、台本に状況が細かく書かれたわけではなかったので、シーンを状況的に成立させなきゃいけないということも求められて。そこが今回は難しかったですね。そういう意味では、芽郁ちゃんがいてくれたことでノビノビとできたところも大きかったなと思います。(永野に)お芝居の合間に、よくしゃべっていたよね?

永野 うん、確かにしゃべってました。

坂口 黙々と芝居をしている時間もあれば、「これって、どういうことだろうね?」っていう会話をする時もあって。だから、いったん役から離れて本当にリラックスできたのは、昼と夜の食事休憩の時間ぐらいだったのかもしれないって、今になって思ったりもします。

そんな坂口さんを、永野さんはどんなふうに見ていらっしゃったんでしょうか? ネットニュースでは「坂口さんに支えられた」という見出しも躍っていましたが…。

坂口 “支える系”俳優です(笑)。

永野 “支える系”(笑)。でも、本当にそうだったんですよね。主演の方が現場の雰囲気をつくるという部分は、基本的にどの作品でも同じだとは思うんですけど、坂口さんは一番フラットな感じで誰とでも楽しく接してくださったので、ピリつくはずの場面が穏やかに進んでいったのは、まさに人柄とならではのパワーの賜物だと感じていて。私自身、そこに何度も救われました。瞳という役はどんどん気持ち的にも落ちていく設定だったので、そういう状況で坂口さんが主演として場の雰囲気を和ませてくださったのは、とてもありがたいなと思いました。

“支える系”俳優の坂口さんの本領発揮、といったところでしょうか?

坂口 “支える系”でもあり、“助ける系”でもありますね。それとも“和ます系”かな(笑)?

永野 うん、何にしてもありがたかったです(笑)!

坂口 ただ、僕が“支える系”でいられる環境を芽郁ちゃんがつくってくれたからこそ、できたと思っていて。なので、もし今回の『仮面病棟』で初めて共演するという状況だったとしたら、またちょっと違う臨み方になっていたのかもしれないですね。幸い、今回は5年前に一度がっつりと現場をともにしたという経験があったので、お互いの性格を知っていた上でお芝居ができたことが、すごくいいふうに作用したんじゃないかなと思います。

あとは、僕が演じた速水という主人公って考えるタイプじゃなかったのも関係していたような気もしていて。というのは、病院の中で起こる事象に対して反応していくキャラクターだったので。でも、瞳は表面上に映る部分だけではないところで掘り下げていく必要もあっただろうし、映画をご覧になる方々の目を引くための動きや反応を求められるというところで、第三者っぽい視点を据えなければならなかったりもしたので、単純に難しかっただろうなって。そういう役どころを芽郁ちゃんが演じてくれたことが、自分にとってはすごく大きな助けになっていました。

永野さん、その辺りはいかがでしょうか?

永野 めちゃくちゃ難しかったです。場面によっては感情と行動が合っていなかったりもしましたし、自分で演じていても、わからなくなったところもあって。坂口さんに相談をすることもありましたし、(木村ひさし)監督に「わからないですっ」と訊くこともありましたし、その場その場でどの自分でいることが正解なんだろうって、日々考えていました。

3度目の共演はやっぱり5年後。広い道路を挟んで大声で叫び合うシーンを演じてみたい。(永野)

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詳しくは伏せますが、観終わった時に「なるほど、そうだったのか!」と、すべての点と点がつながるという構図に唸ったクチです。

坂口 それはうれしいですね。台本を読んでストーリーを知っている僕たちも、初号試写を見させてもらって、どういう展開になるかわかっているのに、面白く見ることができたんですよね。撮影がハードだったぶん、完成した映画を面白く見ることができて報われた気がしましたし、木村監督も伏線になるシーンと回収していくシーンの調節で苦労なさったんじゃないかなと思いつつ、現場ではいつもニコニコとされていて、それこそ“和ませる系”の雰囲気を醸し出してくださっていました。

何に驚いたかって、エンドロールの最後に「監督 木村ひさし」とクレジットが出たことでした(笑)。木村監督らしくないというか、笑いの要素が全然投影されていなかったので…。

坂口 それは監督ご自身もおっしゃっていました。中打ち上げで一緒にご飯を食べた時、「今回は今まで自分が撮ったことのないぐらいシリアスなシーンばかりだから、僕も緊張してる」って。

『屍人荘の殺人』でお話をうかがった時、役者さんに瞬発力を求める演出をなさる監督さんという印象を受けたんですけど、『仮面病棟』の現場ではどんな感じでしたか?

坂口 僕はご一緒するのが初めてだったので、今回に限った話かもしれないですけど、細かいディテールの部分だったり中身をどうするかは、あんまりお話されないんです。言ってみれば、1と10の“外枠”があることだけ伝えてくださって、2から9までをどう埋めるかは役者に任せてくださるというか。「今回の方法論だと、わりと抽象的な指示になっちゃうから、役者さんたちは考えることが多くて大変かもしれないんだけど…」と、おっしゃっていて。でも、僕からすると“2から9の空白”を自分で埋めていくからこそ面白かったりもして。(永野に)どうだった?

永野 私もそんなにたくさんのことを要求されているとは感じていなかったですね。「わかんないなぁ、どうすればいいのかなぁ」っていう時には、監督も一緒になってみんなでお芝居を考えるというイメージがありました。

坂口 そういう意味で言うと、これまで木村監督がご自身の現場で演出されてきたようなアプローチとは違っていたのかもしれないね。いわゆる“木村ひさし節”というテイストに関しては、ふだんの20分の1くらいまで薄めていたのかな、と。そういえば1回、段取り中につまづいてコケそうになった僕を見て、「あ、それめっちゃいいなぁ」って目を輝かせていたんですけど、「いや、でも今回はできない…」と、おっしゃっているのを見て、葛藤されているんだなぁとは思いました(笑)。

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きっとギャグに昇華させたかったんでしょうね(笑)。

坂口 そうだと思います(笑)。あと、病院内に「幸せなら手をたたこう」を流すシーンがあるじゃないですか。台本を渡された段階では、まだ何の曲になるか決まっていなかったんですよ。で、本番では「幸せなら手をたたこう」にあわせて患者さんたちも手を「パン、パン!」と叩く流れになったんですけど、ちょっと不気味というか異様な画になっていて。あれは監督のアイデアなんですよね。それとピエロの仮面も、長髪ストレートのレインボーヘアで片方だけ口角が上がっていて、角度によって表情が変わるというのも、監督の発案なんです。そんなふうに、実際に動いてみることで具体的になってくるというシーンが多かったという意味では、木村監督ならではの現場だったのかなって。

永野 大枠だけ決まっていて「具体的な芝居はお任せします」という感じでした。自分なりに考えて演じてみるんですけど、「これでいいのかな?」って自信が持てなかったこともあって、監督に「どう思いますか? これだと成立しない気がしていて…」みたいなお話をすることもあったんですけど、「う〜ん…何とかなるでしょ! ちょっとやってみてくれる?」って(笑)。任せてくれつつ寄り添ってくださったので、難しいなと思いながらも楽しく演じられました。

もしかすると、木村監督も模索していた現場だったのかもしれないですね。では、最後に…次回、何年後になるかわからないですけど、どういう役柄で共演したいですか?

坂口 意外と…と言うと何ですけど、芽郁ちゃんと僕のペアの印象って結構強く残っているみたいで、5年ぶり2回目の共演だって言うと、驚かれることが多くて。1年に2〜3回共演する方もいる中でも、芽郁ちゃんと並んでいる画の印象の方が強いらしいです。

永野 なんででしょうね?『俺物語!!』でも実は2人だけで撮影したっていう覚えがないんです。

坂口 芽郁ちゃんと2人のシーンって、確かなかったよね。

永野 亮平さんと3人か、それぞれのシーンでした。なんでだろう(笑)。

坂口 でもそれってすごく僕たちにとってはいいことなんじゃないかなと思う。でも、不思議だよね(笑)。

永野 不思議。で、5年後にどんな役で3回目の共演をします?

坂口 この前もそんな話しなかったっけ?

永野 今度は純粋なラブストーリーをやりたいね、って。

坂口 あ〜、そうだった!

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永野 そういう関係性でお芝居をしたことがないし、いざやってみたら絶対におかしくて笑っちゃうよねって(笑)。

坂口 もしくは、きょうだいの関係で。俺、弟やるから(笑)。

永野 おとうと!? 私、お姉ちゃん?

坂口 ちょっとそれだと奇妙かな? でも、「姉ちゃんさぁ〜」って呼んだら面白いかなって(笑)。

永野 じゃあ、「アンタもさぁ〜」って返す(笑)。

坂口 家族ものも面白そうだよね。でも、ラブストーリーかな、やっぱり。

永野 もう、すっごく純粋なラブストーリーで、すれ違ってばっかりの2人をやってみたくて。道路をはさんで叫び合いたい(笑)。あるじゃないですか、すっごく広い道路の向こう側に向かって「なんで帰るの〜っ!」みたいなシーン。ああいうのをやってみたい(笑)。

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坂口 道路をはさんでケンカしたいね。言い合うヤツ。

永野 夜の道路越しでね!

坂口 で、ちょっと寒くてさ。

永野 わかる。寒いの、いい〜!

坂口 2人の息が白くてさ。

永野 街灯が何個か点いていて、息の白さが際立つ、みたいな(笑)。

坂口 で、芽郁ちゃんは家からサンダルで走ってきたっていう設定にしよう。

永野 部屋で穿くモコモコの靴下にサンダル。

坂口 あ、それはダメ。裸足なのがいいんだって!

永野 でも、ついさっきまで部屋にいてモコモコの靴下を穿いてて、急いで出てきたからサンダル履きになっちゃったっていう方が良くないですか? ダサいんだけどせつないっていう(笑)。

坂口 確かにいいかも。で、髪もちょっとボサッとしてて(笑)。

永野 いいですねぇ!

坂口 そのワンシーンだけで共演しよう、前後(のシーン)ナシで(笑)。

永野 なぜか唐突に出てくる2人で(笑)。

坂口 じゃ、5年後にまた。

永野 ですね(笑)。

坂口健太郎

1991年、東京都生まれ。2014年に俳優デビュー。近年の主な出演作に、映画『ナラタージュ』(17)『今夜、ロマンス劇場で』(18)『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』(19)『そして、生きる』(19)、ドラマ『東京タラレバ娘』(17/NTV)『シグナル 長期未解決事件捜査班』(18/KTV)『イノセンス 冤罪弁護士』(19/NTV)などがある。

オフィシャルサイト
http://www.tristone.co.jp/actors/sakaguchi/

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@kentaro_s_711

オフィシャルInstgram
@sakaguchikentaro

永野芽郁

1999年生まれ、東京都出身。2009年に女優デビュー。近年の主な出演作に、映画『帝一の國』(17)『ミックス。』(17)『君は月夜に光り輝く』(19)、ドラマ『僕たちがやりました』(17/KTV)NHK連続テレビ小説『半分、青い。』(18)『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(19/NTV)などがある。

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@mei_nagano0924

オフィシャルInstagram
@mei_nagano0924official

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映画『仮面病棟』

全国公開中

出演:坂口健太郎 永野芽郁 内田理央 江口のりこ 大谷亮平 / 高嶋政伸
原作:知念実希人『仮面病棟』(実業之日本社文庫)
監督:木村ひさし(『屍人荘の殺人』)
脚本:知念実希人 木村ひさし
脚本協力:小山正太 江良 至
音楽:やまだ 豊
製作:映画「仮面病棟」製作委員会
制作プロダクション:ファインエンターテイメント
配給:ワーナー・ブラザース映画

【STORY】
その日、平穏だった「田所病院」はピエロの仮面をつけた凶悪犯に占拠された。そこには、一夜限りの当直医の速水と、凶悪犯に撃たれた女子大生の瞳。危険な密室と化した病院から脱出を試みる2人は、次々と不可解な謎に遭遇する―。
入院記録のない患者たち。隠された病室、あるはずのない最新の手術室。警察への通報を拒否する院長とスタッフ。意図の見えない凶悪犯の犯行目的…。

オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/kamen-byoto.jp/

©知念実希人/実業之日本社
©2020 映画「仮面病棟」製作委員会

原作本『仮面病棟』