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風男塾が新たな可能性を広げる。初のミュージカル『Believe~遙かなるプロキオン~』開幕!

風男塾が新たな可能性を広げる。初のミュージカル『Believe~遙かなるプロキオン~』開幕!

結成12周年を迎えた男装ユニット、風男塾(ふだんじゅく)がミュージカルに初挑戦した、『Believe~遙かなるプロキオン~』が銀座 博品館劇場にて好評上演中だ。
男装ユニットのパイオニア的存在である“風男塾”。「人を元気にする」という理念を持って活動を続けており、10~20代の女性を中心に人気を博している。
エネルギッシュなライブパフォーマンスでファンを惹き付ける彼らが挑む初ミュージカルは、人気楽曲を元にしたオリジナル作品。風男塾のメンバーである愛刃健水(あいば・けんすい)、紅竜真咲(くりゅう・まさき)、草歌部 宙(くさかべ・そら)、桜司爽太郎(おうじ・そうたろう)、香月大弥(かつき・だいや)の5人に加え、宝塚歌劇団出身の彩輝なおが特別ゲストとして出演。脚本・演出は、劇団「少年社中」の主宰で2.5次元ミュージカルや特撮のシナリオでも活躍中の毛利亘宏が手がけた。
2月29日(土)プレビュー公演の模様をレポートする。

取材・文 / 片桐ユウ


初ミュージカルに挑んできたメンバーの本気が漲る

Believe~遙かなるプロキオン~ WHAT's IN? tokyoレポート

舞台は近未来。
人類が生きる地球は隕石の飛来によって終焉の危機に晒されていた。

人類のすべてを管理するマザーコンピューターの計算によると、地球に残された時間は100年。滅亡を回避する方法は唯一、知的生命体の存在が確認された惑星“プロキオン”に助けを求めること。

地球より遥か遠くに存在する惑星“プロキオン”へ向かう宇宙船“ガリレオ”に乗れるのは、ひとりだけ。

物語は、その宇宙飛行士を決めるために選ばれた5人の青年たちの葛藤と成長を追いかけていく。

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冒頭、ステージのセンターに登場した教官(彩輝なお)が世界の実情を語り終わると、宇宙飛行士の候補生であるラブ(愛刃健水)、アストラ(草歌部 宙)、桜火(桜司爽太郎)、チャンドラ(香月大弥)がキビキビと現れ、整列する。

候補生たちはこれからの訓練と選抜試験に意気込むが、そこへ候補生のリュウスケ(紅竜真咲)が遅れて駆け込んでくる。来る途中でおばあさんの案内をしていて遅くなったと遅刻の理由を述べるリュウスケを教官は一喝し、あらためて任務の重大さを彼らに語る。

特別ゲストである彩輝なおが、その華と佇まいで一気にミュージカルの世界へと導く。凛々しく整列した風男塾の面々の顔つきも“役”そのものであり、客席の雰囲気も引き締まったのがわかった。
しかし続けて登場したリュウスケの明るい振る舞いによって強張った空気がホッと緩和され、観客の気持ちがほどよく整ったところで「夢幻のプロキオン」が流れ、オープニングがスタートした。

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「夢幻のプロキオン」は2012年1月にリリースされた風男塾の7thシングルの収録曲であり、ライブでも盛り上がりを見せる人気曲。
劇中の振付は、ミュージカルをはじめ多方面で活躍中の良知真次が手がけており、スタイリッシュな切れ味と情緒が溢れる繊細さが目を引く。

訓練に励む様子は、タオルやペンライトなど小物を使ってのダンスパフォーマンスとなっており、緊迫したSFの設定の中にもワクワク感があった。
音楽はtakが担当。ソロパートがふんだんに用意されており、各メンバーの見せ場が光る。

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白を基調にしたシンプルなセットは、5人のダンス、歌唱、そして芝居を余すところなく伝えてくれる。5人のメンバーという出演人数を“選抜された候補生”として、“宇宙ステーションの訓練所”という中に収めたシチュエーションも良い作用を果たした。

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限られた時間と空間だからこそ、彼らはお互いへの理解を深め、考え方の違いを越えて結びついていく。

リュウスケは成績最下位ながらも必死に食らいつき、その前向きさにアストラは惹かれる。熱血漢でひたむきなリュウスケと、情熱を秘めながらも穏やかなアストラ。曇りのない人物像は、見ているうちに自然と応援したくなるキャラクターだ。演じる紅竜真咲と草歌部 宙は同期ということもあり、ファンにとっても微笑ましい関係性だろう。

それは桜司爽太郎が演じる桜火と、香月大弥が演じるチャンドラも同様。桜火とチャンドラは、それぞれの祖国が争いを繰り広げているというシリアスな設定を持つが、ふたりが相手の良さを認め合い、励まし合う様子がしっくりくる。

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その中で孤高を見せるのが愛刃健水の演じるラブである。彼は自身の名前でもある“愛”を信じず、ただ「人類を救う」という任務を果たすために宇宙船のパイロットを目指す。
グループ活動時にもメンバーを引っ張る存在である愛刃健水の落ち着きと安定感が、抜きん出て優秀というラブの設定に説得力を与えていた。

それぞれが自身の色を持つ風男塾のメンバーと、個性豊かなキャラクターとにリンクを感じる部分もあり、彼らを応援しているファンは一層楽しめるに違いない。
もちろん風男塾を初めて目にするという観客にも魅力がしっかり伝わってくると同時に、ストーリーもドラマチックで集中力を途切れさせない。

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リュウスケの父親が人類で初めて惑星間航行に成功した宇宙の英雄であることが判明し、それを知った他の候補生たちは彼の実力を疑う。

しかし、リュウスケは幼少の頃に聞いた不思議な声に導かれてきたことを明かし、そのために世界中を旅して“愛”を知り、人類の役に立ちたいと思ったという強い志を見せる。
「やれることをやるしかない」と奮迅するリュウスケの姿に感化され、周囲も、やがてラブも彼を認めていく。

だが、チャンドラが中間成績を確認しようとこっそりサーバーに潜入した際、隠しファイルの中にあった決定事項を見つけてしまう。

それは、惑星“プロキオン”へ向かう宇宙船“ガリレオ”のパイロットはもう決まっていること。
再び彼らの関係が不穏となり、様々な混乱が訪れる……。

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リュウスケとラブが本音をぶつけ合う1幕のラスト、2幕の緊迫した展開には、必死に訓練を重ねてきた候補生たちの決意と、これまでの“風男塾”からまた一歩前進すべく初ミュージカルに挑んできたメンバーの本気が漲っている。

全編を通して投げかけられるピュアでまっすぐなメッセージは、風男塾が持つ「人を元気にする」という他者への姿勢と非常にマッチしており、風男塾だからこそ成し得るステージだと確信した。

Believe~遙かなるプロキオン~ WHAT's IN? tokyoレポート

幕間には、涙を拭う人も多数。しかし物語の終わりから引き続いて行われるミニライブのパフォーマンスとトークで、観客は再び笑顔に。 劇場をあとにする頃には胸に温かい感動と元気が残る、爽やかなミュージカルだ。

上演は3月8日(日)まで銀座 博品館劇場で行われる。

風男塾ミュージカル『Believe~遙かなるプロキオン~』

2020年2月29日(土) ~2020年3月8日(日)銀座 博品館劇場

脚本・演出:毛利亘宏
音楽:tak
振付:良知真次

出演:
愛刃健水
紅竜真咲
草歌部 宙
桜司爽太郎
香月大弥

彩輝なお(特別ゲスト)

オフィシャルサイト

©2020 風男塾ミュージカル製作委員会