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極限状態での都市育成ゲーム『Frostpunk』凍てついた世界でどう生き抜くのか

極限状態での都市育成ゲーム『Frostpunk』凍てついた世界でどう生き抜くのか

2018年にPCでリリースされ、大きな話題を呼んだ『Frostpunk(フロストパンク)』が日本語化されてPlayStation®4とPCで登場した。本作はざっくり言うと極寒の世界を舞台とした都市育成シミュレーター。海外版がリリースされたときから本作が気になっていた筆者だが、いずれ遊ぼうという予定のためにあまり情報を仕入れず、「きっと暖房が重要になる、『Cities: Skylines』の雪国DLC『Snowfall』みたいな感じなんだろうなあ」と勝手に予想していた。だが実際はホンワカした要素はまったくなく、絶望のなかでひとかけらの希望を追い求めるような都市育成サバイバルシムだった。どんな絶望が待ち受けているのか、さっそく紹介していこう。

文 / 板東篤

『Frostpunk』体験会レポートの模様はこちら
北海道・稚内で極寒の屋外試遊イベント実施!『Frostpunk』体験会レポート

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2020.01.27


氷点下の世界で生き抜くためにすべきこと

本作の舞台は、近代のイギリス。世界中を大寒波が襲い、地上は雪に飲み込まれてしまった。わずかに生き残った人々は希望を求めてロンドンから北へ向かい、ジェネレーターがある場所で最後の都市を築くことになった。プレイヤーは指導者であるキャプテンとなり、生きるために都市を発展させつつ、生存者たちを捜索することが目的となる。なおプレイヤーはキャラクターとしては登場せず、個人として住民と関わることもない。いわゆる“神の視点”でゲームの世界に関わっていくワケだ。

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▲本作の舞台は大寒波によって雪に覆われた世界。イギリスで生き残った人々は、希望を求めてジェネレーターのある最果ての北を目指す

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▲シナリオは全4種類が用意されているが、最初の“新しい家”で20日間生き延びないとほかのシナリオはプレイできない。また、どこまで生き延びられるかを競う“エンドレスモード”も用意されている

本作は都市育成型ゲームでありながらシナリオ主導の作りだ。ゲーム中に提示される目標を達成することをくり返し、エンディングを目指す。好きなようにのんびりと建物を建てていくタイプではない。
さて最初の目標は、石炭を備蓄し、ジェネレーターをオンにすること。このジェネレーターとは町の中心にある巨大な機械で、簡単にいうと大きな石炭ストーブだ。ざっと画面を見回すと、現在の気温と思わしき“-20”という数値が眼に入る。氷点下20度なら、そりゃまずは暖を取らないと始まらないだろう。それ以外にも資源と思わしき数値、“不満”と“希望”というメーターがある。不満が最高まで高まったり、逆に希望がなくなってしまうとゲームオーバーになるので、市民たちが快適かつ希望を抱けるような都市を作りつつ、お題をこなしていくゲームといえる。

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▲ゲーム画面上部には所有している資源と現在の気温、下部には不満と希望メーターが表示されている

マップを見渡すと石炭鉱床と石炭パイルという資源を発見。選択してみると、どうやら石炭鉱床は施設を建設しないと入手できない資源のようで、現状ここでは石炭を入手できない。もうひとつの石炭パイルは手作業でも集められる資源らしく、ここに労働者を配置して石炭を集めさせることにする。しばらく待っていると石炭が集まり、いよいよジェネレーターをオンにするときが来た。

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▲石炭パイルという資源で働く労働者を指定すると、人々が手作業で資源を集め始める。効率や資源の残量は右下に記載されている

暖を取って人心地がついたら、次は“食糧の確保”という目標が提示された。指示どおり、生食材を確保するハンター小屋と、生食材を調理して食事を提供する調理場を建設し、食糧問題も解決。「楽勝楽勝~」と思っていたら、町の人に何かマークが表示されているのを見つけた。選択してみると、“今は皆が外で寝ているので、家が欲しい”的な要求を伝えられた。本作ではこのように、メイン目標に加えてランダムなイベントも発生するようだ。これらの問題は解決策が何通りか提示されることもあり、今回は“何らかのシェルターを用意する”、“全員にシェルターを用意する”、“今はこの問題に対処しない”という3つの選択肢が提示された。筆者はさすがに全員は厳しいだろう、というもくろみの元、“何らかのシェルターを用意する”(住民半分に家を提供する)を選んでみた。この選択の結果、“2日以内に40人ぶんの住居を提供する”という目標が新たに設定された。

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▲PlayStation®4版の場合、タッチパッドを押すと町の建物の快適さが表示される。ジェネレーターをオンにすると、その周囲は過ごしやすい気温になる

都市育成ゲームにおける住居は基本中の基本ともいえる建物なので、簡単に建てられるだろうと思っていたが、これが甘かった。最初から建てられるのは10人用シェルターのテントのみだが、必要な材料は木材が10という数値。そして手持ちの木材はたったの3。あと2日以内に37の木材を用意し、テントを4つ建設しなくてはいけないのだ。
さて、「木材木材……」とブツブツ言いながらマップを見てみると、“木材クレート”という資源を確認。どうやら石炭と同じように、ここから人力で木材を調達できるようだ。さっそく労働者を割り振って木材が集まるのを待ったのだが、在庫が一向に増えない。「なんでじゃ!」と思ってまた画面をよく見てみると、小さく“自由時間”と書かれた文字に気がつく。じつは本作は時間の概念もあり、人々はスケジュールに沿って行動する。就業時間が終われば自由時間、そのあとは就寝というように夜は働かなくなるのだ。仕方がないので木材が貯まるのを待ち、貯まったら即テントを建設。こうして無事に人々の要求を叶えることができ、人々の希望が増加した。きっと失敗していたら、不満が増えたことだろう。

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▲建物はバームクーヘンを切ったような形をしている。マップ上の好きな場所に建設できるが、稼働するには道路とつながっている必要がある。またジェネレーターに近いほうが暖かいため、ジェネレーターから放射状に建てていくことになる

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▲人々が問題を提起することもある。上手に対処できれば希望が増えるが、失敗したり無視すると不満が増えていき、ゲームオーバーにつながる

町の外にもさまざまなオタカラを発見!

次のお題は、ビーコンの建設。これは周囲の探索に必要な建物だが、初期状態ではまだアンロックされていない。まずは“ワークショップ”を建設し、ここで研究を行う必要がある。ワークショップは研究によって新たな建物をアンロックしたり、建物の効率を上げることができるのだ。研究できるテクノロジーがレベルごとに分類されており、最初はレベル0のものしか研究できない。上位の物はまずレベル自体をアンロックしてから、目的のテクノロジーを研究することになる。こうした研究によって新たな建物や能力が解禁されるのは、都市育成型ゲームにおいて個人的に好きな要素のひとつ。より効率的な建物を建設し、入手できる資源を増やすのは成長を感じられて大変楽しい。

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▲ワークショップではさまざまなテクノロジーを研究でき、新たな建物を解禁したり、建物の能力を向上させられる。ワクワクする要素のひとつ

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▲人々は“労働者”、“エンジニア”、“子供”の3タイプが存在。資源の採取など肉体労働は労働者、エンジニアのどちらも行えるが、ワークショップなど技術が必要となる建物ではエンジニアしか働けない

ひとまずお目当てのビーコンは最初から選択できるため、サクッと研究して建設。ビーコンでは労働者をスカウトという探索隊に設定でき、街の外を調べることができる。街の外は別マップになっており、用意された目的地に探索隊を派遣する仕組みだ。探索を行うと生存者や資源、新たな目的地を発見できる。今回は“遭難した遠征隊”がいる場所に行くよう指示を出すと、数時間後に発見。彼らは無事だったようだ。このままスカウトと帰ってくるよう指示し、数時間後に到着。こうして、我が町に新たな住人が増えた。
この“町の外の探索”はかなり重要な要素となる。町の人口は勝手に増えないため、こうして遭難している人を見つけるのが唯一人口を増やす手段となる。また見つかるのは人だけでなく、木材などの資源も発見できる。なかでも“蒸気核”は上位の建物の建設に必要となる重要な素材だが、町では作ることができず、スカウトに発見してもらうしか入手手段がない。スカウトを遊ばせないよう、こまめに動向をチェックする。テクノロジーを研究して、スカウト隊の数を増やすのも一考の価値があるだろう。

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▲町の外のマップ。何かがあると思しき“?”の地点にスカウトを派遣して調査させることができる

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▲スカウトが指定ポイントを調査すると、生存者や資源を発見できる。生存者はスカウトが同行して安全に連れ帰るか、危険だが自力で町を目指させるかを選択する

そうしてまた探索を続けていると、今度はオートマトンというロボットを発見。これは労働者に代わって働いてくれる巨大ロボットで、燃料を消費するが24時間の稼働が可能。

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▲オートマトンは巨大な自動稼働ロボット。労働者の代わりに文句を言わず、24時間働いてくれる頼もしい存在

ここでもうひとつ、“法律”という要素に触れておきたい。新たに法律を制定することができ、たとえば“緊急シフト”という法律を施行すると、以降は労働者を24時間働かせることが可能となる。ブラック企業どころの話ではないのだが、生きるか死ぬかの瀬戸際では致しかたないところであろう。こうした法律はウェブ形式で配置されており、中心から順に制定していく必要がある。なかにはふたつのうちどれかを選択して施行する法律も存在する。たとえば重篤な患者はあらゆる手段を用いて治す“荒療治”と、重病人の根本的な治療は諦めるが延命し続ける“生命の維持”は、どちらか片方しか施行できない。どちらがいいというわけではなく、“荒療治”は一定の割合で患者が手や脚を失ってしまい、“生命の維持”は患者が寝たきりになる(労働力が減り病院のベッドも占有する)といったようにそれぞれシビアで、どちらを選択するのかプレイヤーの好みに委ねられている。強力な効果を持つ法律も多いため、自分のモラルと相談して納得できる内容のものを活用していきたいところ。なお住民に負担を強いるような内容の法律は施行することで、希望が減少したり不満が増加する。逆に死者のために墓地を作成する“墓地”など住民にメリットがある法律を施行すると、希望が増加したり不満が減少する。法律は好き勝手に施行できるわけではなく、施行後は一定の時間を空ける必要がある。

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▲法律はクモの巣状に配置され、中央から順に施行していく。“児童労働”を施行すると、子供を労働者として働かせることが可能になる

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▲法律のツリーはひとつではなく、物語が進むと新たなツリーが登場することもある

失われた希望、そしてプレイヤーの未来は……?

順調に思えた極寒の生活だが、極寒という大自然の牙は徐々に人々を蝕んでいった。なかでもやっかいなのは、定期的に訪れる寒波。気温がガクッと下がって、なんと氷点下40度にもなる。現在のジェネレーターの性能では十分な暖を取れず、寒すぎて人々が次々と体調を崩していくのだ。ジェネレーターを強化したり何か別の暖房を作れば解決するが、あいにくそんなテクノロジーは未研究。現段階で唯一行える対策は、ジェネレーターを“オーバードライブ”で稼働させることだ。これは石炭消費が2倍になる代わりに温度レベルを1上げる動作モード。温度レベルとは住人が感じる快適さで、“快適~凍えている”の6段階存在し、寒いほど病気になる確率が上昇する。外気温が下がると建物ごとの温度レベルが低下し、たとえば“快適”から“過ごしやすい”に温度レベルが下がるとほんの少しだが病気になる確率が上昇する。ただし永久に使えるわけではなく、オンにするとオーバードライブゲージが徐々に増えていき、満タンになるとジェネレーターが爆発してゲームオーバーになってしまう。ゲージがいっぱいになるまえに寒波が去ってくれればいいが、なかなか都合良くはいかない。結果的に寒さで病気になる人がどんどん増えていった。

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▲ジェネレーターを“オーバードライブ”で稼働させ続けると、やがて爆発してゲームオーバーに……

病人を治療する救護所もなかったので大急ぎで建てるが、病人の数に対して全然足りない。そうして病人は症状が悪化して凍傷となり、体の一部を切断することになった。だがこれならまだいいほうで、病状を悪化させて死んでしまう人もどんどん増えていった。結果として労働力が不足していくことになる。
建物を建てる資源も不足気味だ。テクノロジーの研究を後回しにしていたため、より効率的に木材や鉄を採取できる建物のアンロックが遅れたことが原因。遭難者を招き入れたことで人口は増えたが、そのぶんの食料を生産する施設も作っておらず、食糧不足も招いた。結果的に病人が増える原因となり、労働力不足に拍車がかかる。それでも死者のために墓地を作ったり、新たな住民のために家を増築するなど対策を行ってきたが、また寒波が発生。希望は下がり、不満は上昇。さらには近くにあると思われていたもうひとつの都市“ウィンターホーム”を見つけたはいいがすでに廃墟となっており、人々の希望がガクンと下がってしまった。プレイヤーの選択だけでなく、シナリオの進行によっても希望や不満は上下するのである。

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▲病人は放っておくとポンポン死んでしまう。治療のための救護所も大切だが、何より病気にならないよう暖かい温度を保つのが大切

こうした状況で、“ロンドンへ帰りたい”と言い出す“ロンドン主義者”も現れた。彼らの扇動はより多くの人をロンドンへ向かわせようとし、このままでは大半の人が町を離れてしまうだろう。それを防ぐために監視塔など秩序を守る建物を建設するが希望は下がり続け、ついには人々が絶望してしまった。なかには反旗を翻すことを話す人もいる。数日以内に希望を回復させれば彼らを説得できたようだが、この極限状態ではそれも叶わない。結果的に筆者は死罪は免れたが、町から追放されてしまうエンドになった。

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▲ロンドンに帰りたがるロンドン主義者たちも登場。こうした意見の対立にも立ち向かう必要がある。問題は山積みだ

というわけで、筆者の初プレイはさんざんな結果で幕を閉じた。ここまでのプレイ時間は、多くの時間をゲームスピード最速で遊んでいたため3時間ほど。プレイを振り返ってみると、序盤の資源が少なく、さらに気温という要素が予想よりも重要であった。しっかり対処できなければ人々が次々と病気になり、都市運営がどんどん厳しくなっていく。結果的に難度を高く感じた。一度プレイすればある程度のセオリーはつかめるため、次回以降のプレイで活かせるだろう。ゲームをプレイしながら改善していくタイプではなく、失敗経験を次のプレイで活かしてくり返し遊ぶタイプのゲームと言える。基本的には対応が後手に回ったプレイだったが、早めにオートマトンを発見でき、労働に投入できたのは高揚感あふれる瞬間だった。次回以降のプレイでも素速く発見したい要素だ。
初回プレイはバッドエンドになってしまったが、数々の問題にどう対処していくのか、どういった解決策があるのかを探しながらのプレイは大変に楽しかった。次回の記事では再び最初からプレイしなおし、どこまで生き抜けるかチャレンジした記録をお届けする。

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Frostpunk ロゴ

■タイトル:Frostpunk
■発売元:DMM GAMES
■対応ハード:PlayStation®4、PC
■ジャンル:シミュレーション
■対象年齢:15歳以上
■発売日:発売中(2020年2月27日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各3,980円+税


『Frostpunk』オフィシャルサイト

Published in Japan by DMM GAMES. 2020
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