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糠信泰州や山﨑晶吾らが想いを乗せて力を尽くして走り切る。舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~開幕レポート

糠信泰州や山﨑晶吾らが想いを乗せて力を尽くして走り切る。舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~開幕レポート

2年目のインターハイがついに決着! 舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~が、2月21日(金)天王洲 銀河劇場にて開幕した。
大人気自転車ロードレース漫画「弱虫ペダル」(渡辺航/秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)を原作として、演出家・西田シャトナーが独自の演出技法により舞台化。2012年の初演以来、大きな話題を集めて不動の人気作となった“ペダステ”シリーズの14作目。今作は2017年2月公演から始まった「新インターハイ篇」のファイナルとなる。
前作から主人公・小野田坂道を演じている糠信泰州をはじめ、今泉俊輔 役・山﨑晶吾、鳴子章吉 役・百瀬 朔、泉田塔一郎 役・河原田巧也、御堂筋翔 役・林野健志、浦久保優策 役・栗原大河が登壇したオフィシャル会見の模様と、ゲネプロの熱演をレポートにてお届けする。

取材・文・撮影 / 片桐ユウ


彼らは躊躇なくペダルを回す。力を使い切って望みをつないでいく

画期的な演出技法で演劇界を驚かせながらも、演劇の原点を強く感じさせた“ペダステ”シリーズが大きな節目を迎えた。

初演から8年。「新インターハイ篇」が開始してから3年。
いよいよ、インターハイの勝敗が決する公演である。

主人公・小野田坂道(糠信泰州)の属する総北高校自転車競技部は、前年度の優勝者としてインターハイに臨むが、坂道にとって2度目のインターハイも波乱の連続となった。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

1日目のゴールは王者・箱根学園が奪還、2日目のゴールは、坂道のチームメイトである今泉俊輔(山﨑晶吾)や鳴子章吉(百瀬 朔)にとっても因縁の相手である、京都伏見高校の御堂筋翔(林野健志)がもぎ取る。
それでもチーム総北はプレッシャーや不調を乗り越え、思いの強さを武器にして誰ひとりリタイアすることなく最終日を迎える。

舞台は、これまでのレース展開の見せ場を振り返る場面と名台詞の数々を披露したあと、最終日である3日目インターハイのスタートとなる。

ヘルメットを装着するガチャリという音とポーズだけで、レース開始前の緊迫感が一気に漂う。
スロープを順に駆け下りてスタートする選手たちが風を切っていく様や、その後ろ姿を見守るメンバーの眼差しから、この3日目にかける意気込みがヒシヒシと伝わってきた。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

レース展開だけでなく、こうしたスタート直前のやりとり、ロードバイクに乗る仕草までたっぷり見せることで、初見の観客にもそれぞれの関係性とキャラクターが感じ取れるようになっている。特に御堂筋が自転車に跨る瞬間、グッとまっすぐに伸びた足は、それだけでも強烈なインパクトを残す。

選手たちが飛び出していくたびにタイヤの擦れる音と鋭い風の音が響き、ロードバイクが真横を横切っていくような体感に、観客はあっという間にコースの中へと引き込まれていく。

舞台上でロードレースを見せる独自の技法“ペダリング”や、役者たちの全力疾走、白熱のレース展開はこれまでと同様に熱く、すさまじい。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

だが、最終日には1日目・2日目と決定的に違うところがある。

ロードレースは、いかにチーム6人が揃った状態で先頭を走っていけるかが勝負。そのため1日目、2日目は“誰ひとり欠けることなく”“チームを揃える”という目標があった。

しかし最終日はどのチームも総合優勝を狙っている。ゴールをトップで通過する、そのゼッケンのチームが勝者だ。
チームの誰かひとりが最初にゴールへ届けばいい。言ってみれば、誰かひとりでも先にゴールへと送り出せたチームこそが、優勝を手にすることができるのだ。

そのため、彼らは躊躇なくペダルを回す。チームの誰かが先頭でゴールを切ってくれることを信じて、力を使い切って望みをつないでいく。

死闘を繰り広げる選手たち。レースの見どころは数え切れない。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

開始早々、チーム総北のキャプテン・手嶋純太(鯨井康介)は集団へ飲み込まれてしまい、青八木一(八島 諒)と共に呉南工業高校の浦久保優策(栗原大河)とデッドヒートを展開する。

歯車が“入った”際の鏑木一差(原嶋元久)の輝きと、箱根学園の一員として走る喜びに満ちた銅橋正清(岸本卓也)の強さがぶつかり合い、葦木場拓斗(富永勇也)は手嶋と山岳賞を賭けた極限の走りを望み、新開悠人(飯山裕太)と岸神小鞠(天羽尚吾)も自身のすべてをかけて対決することになる。

真波山岳(杉山真宏)の軽やかさと、真波を引く黒田雪成(伊藤澄也)のたくましさも必見だ。御堂筋が見せる死にものぐるいの走り、御堂筋からオーダーを受けた山口紀之(一瀬 悠)の叫びにも揺さぶられる。東堂尽八(秋葉友佑)が好敵手・巻島裕介に呼び掛ける台詞など、グッとくる場面も多数。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

クライマックスを託されたチーム総北の同学年トリオ、小野田坂道・今泉俊輔・鳴子章吉の結びつきと振り絞るような走りには胸が熱くなること必至である。

泉田塔一郎(河原田巧也)が愛する筋肉たちは、“ペダステ”ならではの擬人化がパワーアップ。水田信行(阿部大地)の茶目っ気、古賀公貴 役の本川翔太が“モブキャラクター”として弾ける「肥後もっこす」の掛け声など、コミカル部分も抜かりない。

すべての選手に見せ場と達成感が用意されている。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

そして最後のゴール前、坂道と真波による“走り”。スロープを動かし、支えるのはインターハイを共に駆けてきたチームメイトのキャストたちだ。
“ペダステ”特有の絆が全篇に貫かれているところもぜひ、見逃さずにいて欲しい。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

熱い部分はもちろんだが、今作で受け取った感動の中で、彼らの本気の汗と涙の、もうひとつ先にあったものも挙げておきたい。

みんな、このうえなく楽しそうである。

全力を尽くして倒れ込む選手=役者たちの姿に、アスリートへ向ける畏敬の念と似た感情も沸き起こる。だが、それ以上に“やり切った”と微笑むその表情に、たまらない気持ちになった。

バトンを託されること、バトンを受け渡すこと。
“誰かのために”と思える相手がいること、それ自体の幸福感。

死力を尽くす自分の姿を誰かが見てくれていること、応援してもらうことの大きさ。
そのエネルギーを受け取った彼らが、限界を超えた力を発揮できたときの迸るような喜び。

そして、“届けた”という充実感。
それらすべてが余すところなく伝わってきた。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

ロードレースを舞台で表現するということを深く掘り下げつつ、高く積み上げてきた経験値を代々のキャストが引き継いできた“ペダステ”シリーズ。
チームのために全力で走り、ゴールに向かって仲間の背中を押す選手の姿と、シリーズをつないできたキャストたちの姿が重なるような気がした。

もちろんシリーズを見守ってきた人のみならず、その瞬間の感動は劇場にいる人全員が受け取れるもの。ぜひ多くの人に、“ペダステ”を感じて欲しい。

僕らにとっての“ペダステ”はロードレースそのもの

続いて、ゲネプロ前に行われたオフィシャル会見のコメントをレポートする。
会見に登壇したのは、小野田坂道 役・糠信泰州、今泉俊輔 役・山﨑晶吾、鳴子章吉 役・百瀬 朔、泉田塔一郎 役・河原田巧也、御堂筋翔 役・林野健志、浦久保優策 役・栗原大河の6名。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ WHAT's IN? tokyoレポート

自己紹介とともに、自身の演じる役の見どころを聞かれた糠信は「小野田の見どころは、やはり最後にゴールを競うシーンです。みんなの気持ちを受け継いで走っているので、熱いシーンになっていると思います!」と断言。
加えて、今作でシリーズが14作目となることについて「本当にたくさんの方に支えられて、多くの方に応援されて今まで続いてきました。この“新インターハイ篇ファイナル”を僕らみんなで届けられることを本当に幸せに思います。早く皆様にこの熱い舞台をお見せしたい、今から公演が楽しみで仕方ないです」と、本作への自信とともに感謝を述べる。

山﨑は自身が演じる今泉の見どころを「みんなから受け継いだ想いを込めて小野田の背中を押すところが、今泉としての見どころではないかと思います」とコメント。今泉にも勝負をかけるシーンはあるが、あえて“背中を押す”場面を上げたことには“ペダステ”シリーズ独特のチームワークに影響されたことが大きい模様。
「チームのみんなが一枚のジャージをゴールに届けるために、必死で走ってつないでいく姿と同様に、舞台袖でもすごいチームワークがあって、皆で支え合いながら走っています。僕は“ペダステ”初参加になりますが、誰かのために走るとか、誰かのために何かをする、人のために頑張ることってすごく素敵なことだなと、この稽古が始まってから思っていました」とカンパニーが持つ結束力の強さを明かし、「お客様の背中を押せるような意味のある舞台にできたらと思っています」と意気込んだ。

百瀬は2年目のインターハイが始まった舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~スタートライン~(2017年)から鳴子を演じており、「このファイナルまで3年かかったことで僕もちょっと年をとってきたと思っているのですが(笑)、作品の中では3日間ですので! そこに想いを乗せていきたいなと思います」と、ユーモアたっぷりにコメントして会見をなごませ、笑いを取る。
「インターハイ3日目、全員がラストのレースということで、それぞれに見せ場がたくさんあります!」と前置きしたうえで「鳴子は赤髪で派手なキャラクターなので、音楽や照明もすごく熱くつくってくださっています」と自身の見せ場を明かした。
それと同時にキャストたちが“モブ”という他のキャラクターを演じることにも触れ、「“モブキャラクター”も自分のチームや役と関わりの深い役割だったり、その役の中でチームの選手の背中を押したりということもあるので、そういうところにもぜひ注目していただけたら。自分の見せ場以外のシーンも、みんなでつくっている作品だということを見ていただきたいです」とアピール。さらに「観に来てくださる方には楽しんでいただくことはもちろん、僕らはワンチーム6人で走っているので、7人目の選手として一緒に走っているような気持ちになっていただけたらうれしいかぎりです」と呼び掛けた。

河原田は8年前から始まった“ペダステ”シリーズ14作品の内、12作品に出演している唯一のキャスト。周囲から言われる“歴史ある作品”という言葉に対して「僕自身はそういうふうには思っていなくて……」としつつも、「新世代篇の初期に入ってきたメンバーたちがものすごく成長していたことで“ここまですごくなっているんだ!”と、あらためて感動しました。新しいメンバーたちもものすごく気合いが入っていて、そのエネルギーを全員でぶつけ合っているような作品です。僕は稽古場で見ているときに何度も泣きそうになるほどでした。初日の幕が開いてお客様が入ったときに、どのように完成していくのかなと非常に楽しみです」と、それぞれの成長と熱量に感慨深げな表情を浮かべる。
また、「新インターハイ篇」に入ってから1日のレース展開を2作品に分けて上演してきたスタイルが、今作では前年度のインターハイと同じく1作品で1日を描き切ることに触れ、「前年度のインターハイを彷彿とさせるようでもあり、僕自身もそのときのことを思い出すような、そんな作品となっています。昔から“ペダステ”が大好きだった方々にも納得していただける形になったと思いますので、楽しみにしてください」と胸を張った。

林野は「インターハイ3日目として一番過酷なレースになっていると思います。役者も本当に身を削って走っておりますし、レースで脱落していく人間がたくさんいるなか、ゴールを獲れる人間はただひとりというところが見どころです。原作を知っている方も、劇場に来たら“誰がレースを獲るんだろう?”と、ハラハラドキドキできる舞台になっていると思います」とレース展開への期待を煽る。
そして自身がシリーズに参加する前から「“ペダステ”はすごいんだよ」という噂を耳にしていたことを振り返って「見ている人も過呼吸になるのではないかというくらい(笑)、走っている人間の限界を超えていく様、“マンパワー”がこの舞台の魅力だとあらためて思っています」と語り、「舞台上で役者が丸裸同然になって走る、こんなにも演劇にまみれた作品の“新インターハイ篇ファイナル”。“新インターハイ篇”がスタートしてからの3年間で、僕らがつくってきた『弱虫ペダル』を最後に残していきたいなと思います。『弱虫ペダル』を大好きな皆さんの気持ちを背負って、この作品を愛している方々の想いを舞台の上で伝えますので、一緒にゴールを目指しましょう!」と、決意を見せた。

今作で初登場するキャラクター・浦久保優策を演じる栗原は「インターハイ3日目をかき乱していく様を楽しんでいただければなと思います。今作にはたくさんのレースがあって、全力の熱い戦いが繰り広げられるのですが、その最初が浦久保のレースなので、この作品に勢いがつくように僕も必死に走って走って、皆でどんどんバトンをつないでいけるように最後まで全力をかけていきます!」とコメント。
「僕自身もイチファンだったこの熱い作品に関われることを本当にうれしく思いますし、誇りを持って『弱虫ペダル』という作品を全力で走り、つなげてきた想いを全部受け継いで頑張りたいと思っています」と、作品のファンだったことを明かして真摯な姿勢を覗かせた。

最後は、主演の糠信が「劇場入りして、たくさんの想いが詰め込まれたジャージに袖を通して舞台に立ったとき、ドキドキしました。すごく心臓が高鳴って、僕らにとっての“ペダステ”はロードレースそのものなんだとあらためて強く思いました。ロードレースの面白さ、自転車の楽しさ、そして“ペダステ”の感動を皆さんにちゃんと届けて楽しんでもらえたらなと思います。大千秋楽までみんなで怪我なく走り抜けていきたいと思いますので、応援のほどよろしくお願いします」とメッセージを送り、それと合わせて「ケイデンスも高めて、どんどん走っていきます!」と爽やかな笑顔を見せた。

質疑応答中、林野が「言葉にすると時間が足りないくらいいっぱいある(笑)」と話していたとおり、見どころの多さと思い入れの強さが存分に伝わってくる会見となった。

東京公演は2月23日(日)に終了し、大阪公演が2月27日(木)~29日(土)メルパルクホール大阪にて上演される。

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~

東京公演:2020年2月21日(金)〜2月23日(日)天王洲 銀河劇場 ※公演終了
大阪公演:2020年2月27日(木)〜2月29日(土)大阪メルパルクホール

原作:渡辺航「弱虫ペダル」(秋田書店『週刊少年チャンピオン』連載)
演出・脚本:西田シャトナー
音楽:manzo

出演:
【総北高校】
小野田坂道 役:糠信泰州
今泉俊輔 役:山﨑晶吾
鳴子章吉 役:百瀬 朔
手嶋純太 役:鯨井康介
青八木一 役:八島 諒
鏑木一差 役:原嶋元久
古賀公貴 役:本川翔太
【箱根学園】
泉田塔一郎 役:河原田巧也
葦木場拓斗 役:富永勇也
黒田雪成 役:伊藤澄也
真波山岳 役:杉山真宏
銅橋正清 役:岸本卓也
新開悠人 役:飯山裕太
【京都伏見高校】
御堂筋翔 役:林野健志
水田信行 役:阿部大地
岸神小鞠 役:天羽尚吾
山口紀之 役:一瀬 悠
【呉南】
浦久保優策 役:栗原大河
【卒業生】
東堂尽八 役:秋葉友佑
【パズルライダー】
河野智平 伊藤玄紀 村上 渉

主催:マーベラス、東宝

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@y_pedalstage)

©渡辺航(秋田書店)2008
©渡辺航(秋田書店)2008/ 舞台『弱虫ペダル』製作委員会

舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇FINAL~POWER OF BIKE~ 大千秋楽を Rakuten TVでLIVE+見逃し配信決定!

<LIVE配信+見逃し配信>
販売価格(税込):¥3,000
ライブ配信:2月29日(土)17:00
販売期間:2020年2月23日(日)21:00~2月29日(土)
見逃し配信視聴期間:2020年3月14日(土)~3月20日(金)
※LIVE配信終了後に購入された方は、3月14日(土)の見逃し配信からご視聴いただけます

<見逃し配信>
販売価格(税込):¥3,000
販売期間:2020年3月1日(日)~3月27日(金)
配信(視聴)開始日時:2020年3月14日(土)~
視聴期間:購入後7日間(※予約購入の場合、視聴開始から7日間)

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発売日:2020年6月17日(水)
価格:Blu-ray ¥9,800(税別) / DVD ¥8,800(税別)
発売元:株式会社マーベラス
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配信期間:2020年3月1日(日)〜5月31日(日)
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