Interview

松下優也が役者として新たに飛躍する。“最高のものにしたい”と誓うミュージカル『サンセット大通り』

松下優也が役者として新たに飛躍する。“最高のものにしたい”と誓うミュージカル『サンセット大通り』

『キャッツ』や『オペラ座の怪人』など、数々の大ヒットミュージカルを生み出してきたアンドリュー・ロイド=ウェバーが手がけた傑作ミュージカル『サンセット大通り』の再々演が決定した。
かつて一生を風靡した大女優ノーマ役は、初演から3度目の主演となる安蘭けいと再演から2度目となる濱田めぐみがWキャストで演じる。一方、売れない脚本家のジョーを演じるのは、前作に続く登板の平方元基に加え、新たに松下優也がキャスティングされた。
「僕は違うフィールドの人間」と語る松下優也は、この超大作ミュージカルにどんな思いで臨むのだろうか。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 増田慶


2019年はフラットになれた年でもあった

2019年の活動を振り返ると、かなり濃密だったんじゃないかと思いますが……。

そうですね。舞台『黒白珠』と音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」があって、ソロでも春に4thアルバム『BLACK NEVERLAND』を出して。ソロツアー、舞台、X4のラストツアー、舞台といろいろやりましたね。自分の中で2019年はひと区切りの年になるかなと思っていたので、特に春過ぎくらいからは自分のモチベーションを保って、崩れないようにちゃんと最後までやり切ろうっていう気持ちでやっていましたね。

ご自身としては“やり切れた”という実感がありますか。

やれることはやり切ったかなと思います。去年はグループ(X4)の解散も発表しましたし、自分の中で一周回って、フラットになれた年でもあったかなと思っています。この10年間でいろんなことを経験して……いいこともあれば、悪いこともあった。この仕事をやっている以上、浮き沈みがあるのは仕方ないことですけど、気持ちとしては去年で一回、フラットに戻った気がします。

サンセット大通り 松下優也 WHAT's IN? tokyoインタビュー

昨年の11月でデビュー丸11周年を迎えました。ひと区切りと位置付けた10周年イヤーを経て、その次はどう考えていましたか?

ありがたいことに、たくさんのことをやらせてもらってきた10年間だったと思うんです。音楽もそうですし、俳優としてもいろんな舞台や映像のお芝居もやらせてもらった。自分の興味があるとかないとか、やりたいとかやりたくないにかかわらず、本当にいろんなことを経験させてもらって。だから、ここから先の10年というものは、ちゃんと自分がどういうふうにやっていくべきか、僕のことを応援してくれている人たちに対してどう返していくべきかをより考えていこうと思っています。

ジョーという役をいただいたことは純粋に嬉しかった

そして、新しいスタートの第一歩が超大作ミュージカルです。

これまでにストレートプレイもミュージカルもやってきましたし、2.5次元といわれる作品もやってきましたけど、今、このタイミングでジョーという役をいただけたことは、純粋に嬉しかったです。当たり前ですけど、僕のことを知っていてオファーをしてくださっているわけなので、その期待にはちゃんと応えたいなと思っています。プレッシャーもありますけど、それ以上に、できるだけ頑張って最高のものにしたいっていう気持ちのほうが強いですね。

長年応援している身としては、生粋のミュージカルファンに“松下優也”を見せつけて欲しいという思いがあります。

あはは(笑)。見せつけたいですね。秘めたものは僕にもありますよ。僕はずっとミュージカルだけでやってきたわけじゃないから、受け入れてもらえるのかなっていう不安もあるけど、だからこそ、できる表現もあると思っているので。もちろん、無理に新しいものを表現しようとは思っていないですけど、結果的に今までとは絶対に違うものになると思うんですよ。僕はカテゴライズしすぎちゃうのはあまり好きじゃないし、いろんなところを渡り歩いてやりたいとも思っていて。そういう意味では、ミュージカルファンの方にも見せつけたいですし、ちゃんとリスペクトを持ったうえで、新しいものが自然に表現できたらいいなと思っています。

サンセット大通り 松下優也 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ミュージカル『サンセット大通り』は観ていました?

タイトルは知っていましたけど、観たことはなかったんです。今回、出演させていただくにあたって、前回の2015年版の映像や2017年にイギリスでやっていたものを少しだけ観ました。あと、昔の映画も観ましたね。印象的だったのは、やっぱり楽曲。曲が素敵だし、自分が歌ったらどうなるんだろうって、この曲たちを歌えることが楽しみになりました。今、歌稽古中なんですけど……ムズすぎますね、難解です。

その難しさというのは?

リズムかな。“そこで歌が入るんかい?”みたいな感じなんですよ。自分が今までやってきた、馴染んだリズムじゃないから、歌稽古をやっていても“あれ? リズム感ないのかな?”って思ってしまう。でもね、周りがめちゃくちゃフォローしてくれるんです、「いや、そういうもんだから」って(笑)。

僕が培ってきたリズム感では通用しない

あはは。そもそも松下さんのルーツがブラックミュージックだっていうのが関係しているのかな?

僕が培ってきたリズム感では通用しないんですよね。だから、身体に入れるまでは非常に難しい。でも、そのリズム感が身体に入って歌えるようになったら、めっちゃ気持ちいいんですよ。その気持ちよさは、大きな声を出すとか、うまく歌い上げるという気持ちよさとは違って、歌っている人にしかわからない気持ちよさがあるので、早く自分の身体に染み込ませたいなって思っています。時間は少しかかりそうですけど、楽しいですね、今。

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ジョーという役柄はどう捉えていますか。

50年代のアメリカで売れない脚本家なんですけど、演出の(鈴木)裕美さんには「脚本家っていう設定が非常に大事だ」と言われて。たとえば会話をしていても、脚本家ならではの表現の仕方や物事の見方があって。ジョーがいろんなことに巻き込まれてきた原因のひとつには、脚本家というところがあるんじゃないかって思うんです。しかも、ただの脚本家ではなく、自信を失っている脚本家でもある。みんなが夢を追っているきらびやかなハリウッドにいて、自分は売れずに借金取りに追われている。自分には才能がないんじゃないかって思いながらノーマやベティーと出会う。非常に人間らしくはあるなと思いますが、僕にない部分なんですよね。

逆にご自身にある部分というのは?

まず、男っていうのは共通していますよね(笑)。時代は違うし、ハリウッドの話だから人種も違いますが、そこは現代に置き換えたら近づけることはできると思うし、自分が自信を失ったときはどういう状態になるかも理解できる。ただ、脚本家らしいモノの見方や考え方は持っていないから、そこは入れないといけない。純粋に自分の反応とは違う表現の仕方をしないといけないなとは思っています。

ジョーは人間に興味がある

でも、松下さんはご自身で作詞はしますよね。それは共通点にはならない?

やっぱり歌詞と物語は違うと思います。脚本家はいろんな登場人物を愛を持って描くじゃないですか。脚本家にとって、どうでもいい役っていないと思うんですよね。全部が自分が生み出した愛すべきキャラクターで、きっと現実世界の他人に対してもそういう視点でいるんじゃないかなと思って。脚本家じゃなくても人間観察が好きな人はいると思うけど、本を書く人の場合は特に、ちょっと変わった人がいたら、ずっとその人を見ていたくなるだろうし、この人はどういう生活をしているのかっていう興味が湧いてくるんじゃないかと。だから、ジョーは孤独なんですけど、人間に興味があるというか、興味がないと、そもそもノーマと一緒にいないと思うので。そういう興味本位みたいなところからハマっていったんじゃないかと思っています。

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年の離れた女性との恋にハマっていく気持ちは理解できます?

根本に尊敬があるんじゃないかと思います。ノーマは、かたわらから見たらめちゃくちゃな部分がありますけど、過去に一生を風靡した女優さんだっていうのは事実としてあって。そこに対する尊敬の念は絶対にあると思いますね。しかも、自分が自信を失っているときに自信家のノーマに出会う。ベティーも違う意味でめちゃくちゃ自信を持っている。ふたりともプライドも高くて、すごい自信家。そういうところにジョーは惹かれているのかなと思いますし、男と女というのを超えたところでつながっている部分もあるのかなと思います。

ノーマ役の安蘭さんにはどんな印象を持っていますか。

役柄もそうですけど、実際の安蘭さんもパワフルだなと思います。あと、めちゃくちゃ関西弁なんで、親近感もありますね(笑)。

(笑)。安蘭さんは3回目のノーマですが、松下さんは初めてのジョーになります。

どれだけ初演や再演に寄せようとしても、演じる人が変わっているので、今までとは絶対に変わると思うんです。僕が大事にしたいなと思っているのは、ノーマの発言や行動で、これまでのジョーが拾い切れなかった部分を全部拾いたいなっていうこと。初めて演じさせてもらう人間としては、先入観なく、拾い切りたい。だから、以前の映像もあえて全部は観ていないんです。観ると、どうしても影響を受けてしまうから。

拾うというのはどういうことですか。

言い方が正しくないかもしれないですけど、ある種、ボケとツッコミみたいな関係じゃないですか。ノーマの発言や行動を受けてツッコむのがジョー。なぜツッコミかというと、観客と共有するのは、ストーリーテラーでもあるジョーの役目だから。ノーマが一方的にやったことを受けて、“お客さん、どう思います、この人?”みたいなことをお客さんに伝える部分を頑張りたいなと。

あはは。悲劇も喜劇になりそうですね。

ストーリー全体を見るとシリアスですけど、ちょっとした会話のやりとりはコメディーの要素が満載なんですよ。どこまでコメディー要素が入れるかはわからないですけど、そういうことも楽しいと思うので、丁寧に拾いたいですね。僕しか気づいていないんじゃないかってところを見つけたいし、細かいところまで気づきたい。だから、自分のことだけを考えずにアンテナを張っていたいと思います。

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ジョーとしてよりノーマを見つめていくことにもなりますもんね。Wキャストに関してはどう考えていますか。もうひとりのジョーは、再演に続き二度目となる平方元基さんです。

この間、歌稽古が終わったあとにふたりで飲みに行ったんですけど、僕がめっちゃ好きなタイプの人です。なので、仲良くできそうで嬉しいです。

それはどんなタイプ?

なんて言うんだろうな……性格はまったく似てないんですけど、稽古場で感じることは似ているところもあって。彼は5年前にやっているから作品のことも歌も知っているのに、歌稽古では初めての僕に付き合ってくれたりして頼りがいのある先輩なんですけど、ご飯に行ったりするときには、普通に楽しく会話をしてくれる。だから、(平方)元基くんで良かったなと思います。変にライバル視することなく、一緒に面白いものをつくれるんじゃないかなって思いますね。

もうひとりのノーマを演じるのは新感線☆RS『メタルマクベス』disc1で共演した濱田めぐみさんです。

メグさん(濱田めぐみ)とは歌稽古で会ったときに、いきなり「正月に王子見たよ!」って言われて。最初は“なんのことか!?”と思ったんですけど、お正月に『メタルマクベス』がWOWOWで放送されていて、「僕も観ました!」と答えたら、「LINEしようかと思ったけど、さすがに元旦にするのはと思って」って言ってました(笑)。今回の舞台で僕は一緒になることはないんですけど、安蘭さん、メグさん、おふたりの映像をどちらも観たら、流れは一緒なのにアプローチが全然違う。やる人によってこうも変わるんだっていうのが面白いなと思いました。だから、安心しました、違っていいんだって。どちらもめちゃくちゃ素敵だし、同じレベルで、異常なんですよ。

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これから立ち稽古に入りますね。

歌稽古に裕美さんも入っているので、芝居のほうも同時に始めてはいて。机に座って楽譜を見ながらですけど、すでに想像が膨らんでいるので、早く立ち稽古をやりたいですね。あとは、精神的に追い込まれないことだけを願っています! 追い込まれると顔に出ちゃうから(苦笑)。

新しいアプローチのジョーになる

(笑)最後にあらためて、本作の見どころをお願いします。

歌ですね! とにかく音楽が素敵です。ジョーの主観で進んでいく物語なので、出ずっぱりで、きっと20曲くらい歌います。ただ、ハケるヒマがないので、途中ノドが乾いたらどうしようっていう不安もありますけど(笑)。5年ぶりの『サンセット大通り』で、きっと楽しみに待っていた方も多いと思うんです。今回、僕がジョーを安蘭さんとやらせていただきますけど、新しいアプローチのジョーになるのではないかと思っていますし、したいと思います。これまでの作品が大好きだという方も、これから初めてご覧になるという方にも楽しんでもらえるように、精一杯頑張りますので、ぜひ劇場に足をお運びください。

スタイリスト / 鹿野巧真
ヘアメイク / Coomie(B★side)
衣装協力 /「JUHA」、「Y.O.N.」、「08 sircus」


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ミュージカル『サンセット大通り』

2020年3月14日(土)~2020年3月29日(日)東京国際フォーラム ホールC

STORY
ハリウッドのサンセット大通りに面するある邸宅のプールに、若い男の死体が浮かんだ。“彼”は自分の死の真相について語り始める──
売れない脚本家のジョー・ギリス(松下優也 / 平方元基)はある日借金取りに追われ、荒れ果てた不気味な豪邸に逃げ込む。そこにはかつて一世を風靡した大女優ノーマ・デスモンド(安蘭けい / 濱田めぐみ)が、怪しげな執事マックス(山路和弘)と共に、過去の夢に生きていた。ジョーが脚本家だと知ったノーマは、彼女の主演映画のシナリオを住み込みで書くよう命じる。「私は今でも大女優、小さくなったのは映画よ!」
寝食にありつけると依頼に飛びついたジョーだったが、志を同じくする脚本家ベティー・シェーファー(平野 綾)と心を通じていく一方、仕事はおろか私生活まで束縛するノーマに次第に嫌気がさし始める。
大晦日の晩、屋敷を抜け出して仲間との新年パーティーに出席していたジョーに「ノーマが手首を切った」とマックスから電話が入り……
大女優の悲哀と孤独、ハリウッドの光と闇を描いた内幕物の決定版!
気が狂うほど 私は 私が 愛おしい──

作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー
脚本・作詞:ドン・ブラック、クリストファー・ハンプトン
演出:鈴木裕美
修辞・訳詞:中島淳彦

出演:
安蘭けい/松下優也
濱田めぐみ/平方元基

山路和弘/平野 綾
太田基裕/戸井勝海/浜畑賢吉

小原和彦
坂元宏旬
杉浦奎介
橋本好弘
ひのあらた
藤浦功一
藤田遼平
若泉 亮
彩橋みゆ
家塚敦子
石井 咲
小此木まり
加藤梨里香
須藤香菜
福麻むつ美
(五十音順)

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@SunsetBlvdJpn)

松下優也(まつした・ゆうや)

1990年5月24日生まれ、兵庫県出身。2008年11月にシングル「foolish foolish」でソロアーティストとしてCDデビュー。2015年に結成した“X4”での活動も並行して行っていたが、グループ活動は今年の春に終了する。2009年公開映画『悲しいボーイフレンド』での俳優デビュー以降、数多くの人気作に出演。近年の主な出演作品には【舞台】音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」、舞台『黒白珠』、新感線☆RS『メタルマクベス』disc1、ミュージカル 『Romale(ロマーレ)〜ロマを生き抜いた女 カルメン〜』、舞台『僕だってヒーローになりたかった』、舞台『暁のヨナ』、ミュージカル『花より男子』、【映画】『明烏』、『ヒカリ、その先へ』【テレビドラマ】『そろばん侍 風の市兵衛SP〜天空の鷹〜』、『インハンド』、『アシガール』、連続テレビ小説『べっぴんさん』などがある。

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