Interview

“デジタル声優アイドルのアニメ化”─ 『22/7』 この複雑すぎる構造を、彼女たちはどう受け止め、楽しんでいるのか?

“デジタル声優アイドルのアニメ化”─ 『22/7』 この複雑すぎる構造を、彼女たちはどう受け止め、楽しんでいるのか?

秋元康とアニプレックス、ソニー・ミュージックレコーズが送り出したデジタル声優アイドルグループ、22/7(ナナブンノニジュウニ)。11人のメンバーで構成される通称・ナナニジは、リアルメンバーで行われる定期公演「ナナニジライブ」やSHOWROOM番組「ナナニジROOM」、モーションキャプチャーを使いキャラクターが出演するバラエティ番組『22/7 計算中』などで着実に成長を続け、活動の間口を広げてきた。

そして2020年1月からはいよいよTVアニメ『22/7』の放送が開始。グループ結成の秘話、そこに至るまでの経緯が赤裸々に描かれるという本作では、メンバー自身がそれぞれのキャラクターを演じるほか、オープニング/エンディング主題歌も担当している。

今回は、アニメのOPテーマ「ムズイ」とEDテーマ「空のエメラルド」がパッケージされた5thシングルのリリースにあたり、 “これまで”の自分たちについて、アニメについて、シングルについて……帆風千春(ほかぜちはる/佐藤麗華役)、宮瀬玲奈(みやせれいな/立川絢香役)、海乃るり(うみのるり/戸田ジュン役)の3人に話を聞いた。

取材・文 / 逆井マリ 撮影 / 山本哲也


アニメを通して、より22/7のキャラクターの気持ちに寄りそえるようになりました(帆風)

アニメがきっかけで22/7を知ったという方もいると思うので、あらためて皆さんのこととキャラクターの関係性などを教えてください。

帆風千春 はい! 22/7でリーダーを務めている佐藤麗華役の帆風千春です。私自身の趣味はゲームをすることです。私が演じる麗華ちゃんは清く正しい優等生。時々「ポンコツ」と言われていますが(笑)。でも私自身は三人兄弟の末っ子でどちらかといえば消極的で、あまり目立たないように生きてきた人間なんです。このグループに入って麗華に出会って、麗華に見合う人になりたいなと思うようになって、少しずつですが性格が変わっていきました。麗華ちゃんのように芯の通った女性になれるように日々精進しています。

海乃るり 戸田ジュン役の海乃るりです。趣味はフルートを吹くこと、剣舞、キャラソンを聴くこと……と、色々あるんですが、特技はいま模索中です(笑)。戸田ジュンは子どもっぽくて、何事も楽しむキャラクターです。揚げ物とチョコレートが好きなところが共通点ですね(笑)。

宮瀬玲奈 セクシーなクールビューティー・立川絢香役の宮瀬玲奈です。私自身はセクシーでもなければ、クールビューティーでもなくて、身長もメンバーのなかでいちばん低いんです。私はクールビューティになれる性質の人間ではないのですが(笑)、絢香ちゃんは自分と違うからこそ、成長させてくれる存在だなと思っています。実は私はこれまでツインテールだったんですが、今回の「ムズイ」からばっさり切ってショートカットにしました。心機一転、ここから頑張りたいなと思っています。なんでも挑戦したいと思っているので、お仕事がんばりますっ。

デジタル声優アイドルという特殊なコンセプトのもと、それぞれのキャラクターとグループの歴史を歩んできた皆さんにとって“キャラクターを演じる”ってどういう感覚なのでしょうか。

海乃 3年も一緒にいるので“もうひとりの自分”のような存在なんですよね。『22/7 計算中』は、ほとんど素に近くて、それをちょっとずつキャラにしていったような感じでした。

22/7 帆風千春 WHAT's IN? tokyoインタビュー

帆風千春

帆風 『22/7 計算中』ではある程度キャラクターの設定があったものの、バラエティ番組という特性上、自分の素のリアクションが出てしまうんです。最初は「キャラクターを崩さないようにしなきゃ」と思っていたんですが、自分自身が楽しむことがキャラクターの新しい魅力になっていることに気付いて。それも佐藤麗華の一部で良いんだと思えるようになって、それからは自由に演じさせてもらってました。

一方TVアニメ『22/7』はガッツリとストーリーが決まっていて。 “アイドルになる前の彼女たち”の物語なので、私たちも台本をいただいてから初めて知る事実が多いんです。アニメを通してよりキャラクターの気持ちに寄りそえるようになりましたし、様々な感情を吸収・勉強させていただく場でもあるなと。その場によって“演じる”感覚が少しずつ違いますね。

22/7 宮瀬玲奈 WHAT's IN? tokyoインタビュー

宮瀬玲奈

宮瀬 私はキャラクターと違うからこそ、悩みすぎて何もしゃべれないという状況になってしまっていたんです。それまでは「絢香でいなきゃ」と思っていたけど、『22/7 計算中』で宮瀬(自身)が出ちゃった瞬間があって。でも周りがそれを面白がってくれたんです。言葉の表現がちょっと難しいんですが、「絢香の気持ちになって喋ったら宮瀬も絢香になるんだ」と思って、素が出ることは悪いことではないんだなと。そこからは楽しみつつ、絢香としての立ち回りを少しずつ理解しはじめて今に至ります。

アニメが始まってほしいという気持ちと、「ここで私たちがしくじったら止まってしまう」という気持ちと(海乃)

©ANIME 22/7

アニメが放映されることについては2017年7月に発表されていましたが、アニメ化が具体的に決まっていったときのお気持ちはいかがでしたか?

帆風 発表から2年後の2019年7月に「1月からアニメ放送になります!」とアナウンスされたんです。デジタル声優アイドルグループなのでアニメ化はみんなのなかで目標にしていたことでした。でもアニメ化を実現するためには私たちがもっとキャラのことを理解しなきゃいけないし、基本的な演技をもっともっと頑張らなきゃいけない。上達した状態で世に出ていかないと、観てくださったとき22/7を認めていただけないだろうなとシビアに捉えていました。

だから具体的な時期が決まるまでも、アニメ化が決まってアフレコが始まるまでも、毎週演技レッスンを積み重ねていきました。練習のなかでそれぞれ壁にぶつかることもあったんですが、それぞれの頑張りと、周りの方のご協力やファンの方の応援があって、アニメ化になって。本当にありがたいなという気持ちでした。

海乃 アニメが始まってしまったら、そこで評価が決まってしまうんですよね。ここで私たちがしくじってしまったら止まってしまうので……アニメが始まってほしい気持ちはあったんですが、「大丈夫かな」という不安もありました。でも始まってしまったらあっという間で。現場に出てみないと分からないこともありますし、キャラクターのことをいちばん知ることができたのはアニメなので、始まって良かったなと。

22/7 海乃るり WHAT's IN? tokyoインタビュー

海乃るり

アフレコ現場の雰囲気はどんな感じですか?

帆風 最初は緊張していて、休憩時間すら話さなくて。ずっと台本に向き合っている状態でした。回を重ねるごとに自分たちなりに台本の読み解き方やキャラクターとの向き合い方が分かるようになって、余裕が出てきてからは「このお菓子食べる?」なんて話すように(笑)。まだ台本は手放せませんが、最近やっと和気あいあいになりましたね。

海乃 和気あいあいも大事だなとあらためて思いますね(笑)。

宮瀬 うんうん。

回を重ねるごとに……とおっしゃっていましたが、肩の力が抜けたキッカケがあったんですか?

帆風 アフレコでは私たちだけの時間があるんです。朝からはじまって(22/7のメンバー以外の)ほかのキャストさんとは夕方からご一緒させていただくのですが、私たちが言い回しに戸惑ってるときなどに、「大丈夫だよ、落ち着いて」「もっと楽しんでいいんだよ」ってその都度優しい言葉をかけてくれるんです。緊張ばかりしてたけど、もっと楽しんでいいんだなって。その気持ちが回数を重ねるたびに広がっていった感じでした。

いいお話です。メンバー内でお互いの演技について話し合われたりするんですか?

帆風 ほかのメンバーの演技は、感情の出し方がまた違うので勉強になります。でもあまりに良いお芝居をしていると「めっちゃいいなぁ、悔しい」って。まだ素直に「めっちゃ良かったね」って言えない、という葛藤があります(笑)。

海乃 私の場合は、自分の演技について「これってどうしたらいいかな?」と聞くこともあります。自分だけの発想や感情は限度があるので、つまずいたときは周りに聞いて知見を広めています。

宮瀬 私も他のメンバーに「ここはどういうトーンで言うところだと思う?」って聞くことがありますね。それを聞いてそういう客観的な意見もあるんだと思って、それを取り入れさせてもらっています。

切磋琢磨されているんですね。

海乃 はい、すっごい学んでます。

1 2 >