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【JAEPO 2020リポート】出展アーケードゲームはゲーセンの未来を変えるのか?

【JAEPO 2020リポート】出展アーケードゲームはゲーセンの未来を変えるのか?

日本アミューズメント産業協会が主催する、ゲームセンターやアミューズメント施設用の新作アーケードゲーム展示会“ジャパン アミューズメント エキスポ2020(以下、JAEPO 2020)”が、2月7日(金)と8日(土)の2日間にわたって千葉県・幕張メッセで開催された。大きな変更点として、例年まではビジネスデーと一般公開日で3日間が設けられていたが、今回はそれぞれ1日ずつというスケジュールに縮小。また2017年から2019年までは、ゲーム実況者やeスポーツ関連の大会・イベントなどで盛り上がるドワンゴ主催の“闘会議”と併催されていたが、今回は4年ぶりの単独開催となった。

同じく幕張メッセで毎年開催されている“東京ゲームショウ”と比較すると、JAEPOに出展するメーカーと新作タイトル、そしてアミューズメント業界に関する企業や一般の来場者数は年々縮小傾向にある。年に一度のアミューズメントマシンの祭典なのにこうした先細りにやや悲観的な思いを抱いてしまうが、今回のJAEPO 2020ではいったいどんなゲームが披露され、業界関係者と一般ユーザーの関心を引いたのだろうか。いまの主流は家庭用ゲーム機やスマホアプリとなり、それらを中心に楽しんでいるライトユーザーをゲームセンターという場所に再び呼び込むことが課題となる。各種アイディアや話題性が込められた新作マシンの数々を実際に確認し、ゲームセンターの可能性をリポートで紹介したい。

文 / クドータクヤ


親子やカップルが気軽に楽しめるカジュアル性重視のマシン

現在のアミューズメント業界は、ゲームメーカーの直営店舗、駅至近や郊外のボウリングやカラオケなどを併設した複合エンターテインメント型の大手チェーン店、大型ショッピングセンター内のゲームコーナー(SC店)などが主なものとなっている。不良がたむろしているようなイメージや、薄暗い照明とタバコ臭さ、コアなゲーマーたちがひたむきに対戦格闘ゲームやシューティングゲームを遊んでいるゲームセンター像は2000年代初頭にほとんど取り払われた。結果、いまではファミリーやカップルを対象とした“明るく、来やすい”雰囲気を重視しているが、こういった画一化により店舗ごとの色や空気がどこも一緒になってしまった寂しさも感じられる。メーカー直営や大型店舗で稼ぎ頭となっているのがメダルゲーム機だ。今回のJAEPO 2020でも大手メーカーは新作メダルゲーム機を出展しており、その数は去年よりも多いような印象を受けた。なかでもひときわ注目度が高かったのは、タイトーブースで出展されていた『星のドラゴンクエスト キングスプラッシュ』だ。スマートフォン用アプリ『星のドラゴンクエスト』内で遊べる“コインプッシャーキングスプラッシュ”を再現したもので、メダルを次々とタイミングよく投入し、フィールド内に積み重ねられた大量のメダルを落とすという老若男女問わずに楽しめるシンプルなシステムだ。国民的RPG『ドラゴンクエスト』の世界設定やイメージが余すことなく織り込まれており、ブース内は常に人だかりの山と化していた。カジュアルに楽しんでいる層をゲームセンターへ誘致するため、『星のドラゴンクエスト』との連動企画も用意されているとのことで、どれほどの効果をもたらすのかが楽しみだ。

▲どこから見ても『ドラクエ』とわかるほど、いたるところにスライムとキングスライムのオブジェクトが配置されており、その存在感は抜群だ

同じくメダルプッシャー機で注目を集めていたのは、バンダイナムコアミューズメントの『海物語 ラッキーマリンツアーズ』。パチンコメーカー・三洋物産の人気作『海物語』のリーチアクションを流用したもので、シリーズとしては本機で第5弾となるほどアミューズメント施設のメダルコーナーでは定番のマシンとなっている。従来のマシンに比べて省スペースとなっているのが特徴的で、広大な敷地面積を持たない店舗でも設置しやすいことをアピールしていたため、今後の導入傾向にも注目したい。

▲涼し気なブルーの装飾は、『海物語』のマスコットキャラクター・マリンちゃんのパネルと併せ、ゲーセンの店内でも一段と目立ちそうだ

未就学児童~小学生を対象としたゲームのなかから、セガブースでは『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック™ アーケードゲーム』を出展。Nintendo Switch™でも同名タイトルが発売されているが、アーケード版ではフットパネルが採用されており、ゲーム中の競技を文字どおり走って飛んで楽しむことができる。今年はオリンピックイヤーということで、いたるところで見かけることができるかもしれない。

▲日本が生んだゲームヒーロー、マリオとソニックが夢の共演! 子供のみならず、外国人の観光客も喜ぶだろう

親子で楽しめるという意味でおすすめしたいのは、タイトーの『スペースインベーダー カウンターアタック』。ガン型のコントローラーからはピンポン玉サイズのボールが射出され、筐体奥に配置された液晶パネルに映し出されたインベーダーや飛来するUFOを撃破していくのだが、特筆すべきは筐体下部に配置された実物のインベーダー(カニ)がこちらに押し寄せてくるモードがある点だ。オブジェクトにボールを直接当てるというギミックは童心に返ってしまうほど面白く、大人でも夢中になれる魅力に満ちていた。

▲ボールはマシンガンのように射出されるため、ビリビリとした振動を手に感じながら“撃ってる”感を堪能できるのもメカマシンならではの楽しませかただ

▲陣地のトーチカがすべて壊されてしまうとビデオモードからメカモードに変化し、おなじみのカニ型インベーダーが襲来。ポコポコとボールを当ててるのが心地いい

『ドラゴンクエスト』や『スペースインベーダー』など、ゲームの内容を詳しく知らずともアイコンとなるIPゆえに、その間口の広さからゲームセンターで稼働した際に「これ知ってる!」というとっつきの良さは抜群と言えるだろう。駅至近店やSC店など日々の来客層が流動的な店舗での設置には適しているが、“一回遊べば満足”という飽きられやすい面も否めない。継続して遊ばせるための奥深さや積極的に足を運ばせる魅力などが、今後の課題として重くのしかかっているような印象を受けた。

一歩だけ先に進んだ音楽ゲームとビデオゲーム

メダルゲーム機だけではなく、100円で楽しめるアーケードゲームの新作出展も盛り上がっていた。会場内でもっとも集客度が高かったのはKONAMIの『武装神姫 アーマードプリンセス バトルコンダクター』で、ビジネスデーと一般日ともに開場ほどなくで試遊受付が終了してしまうほどの盛況ぶりを見せていた。『武装神姫』といえばKONAMIが2006年から展開しているオリジナルロボットのアクションフィギュアシリーズであり、種類豊富なフィギュア・プラモデルの販売を中心に漫画・アニメ化を果たすなど、メディアミックスも積極的に展開。PlayStation®Portableや携帯電話向けにゲーム化も行われていたが、アーケードゲームへの展開は今回が初となる。ゲーム内容は気に入った神姫をどんどん集め、好みに合わせてカスタムし、バトルを重ねて成長させる育成型アクションゲームとなっている。バトルのルールは他プレイヤーとの4人対戦形式で、敵プレイヤーが操る神姫のHPを削り、その周りに散らばったジェムを最も多く集めたプレイヤーが勝者になるというもの。残念ながら試遊できなかったためプレイインプレッションはお伝えできないが、本稼働まえのロケテストの実施がアナウンスされた際はいち早く遊んでみたい一作だ。

▲初披露となった筐体と並んで写っている“カードコネクト”は、ゲーム内で入手した“デジタル神姫”を実際のカードとして印刷できるもので、コレクション性も高そうなゲームになる予感

▲セットした神姫が左側の小さなサブモニターに投影される仕組みとなっており、実際にそこにいるかのような臨場感を楽しむことができる

KONAMIブースでは音楽ゲームの『NEW pop’n music Welcome to Wonderland!』も披露されていた。『pop’n music』といえば指先ではなく手のひらを使ってバシバシとボタンを押していくゲームだが、この『NEW pop’n music Welcome to Wonderland!』ではボタンサイズを大幅に縮小したことに加え、左右へのスライダー操作を新たに採用するなど、これまでのシリーズから大きな変化を遂げた。この様変わりには賛否両論が起こりそうだが、第一作目の登場から20年という長期シリーズゆえに新規層を取り入れるための風穴となってほしい。

▲奥側にボタン、手前側にスライダーという形で一新された操作パネル。ボタンサイズが小さくなったことで押し間違いが多くなりそうだが、試遊した筆者の知り合いに訪ねたところ、「何回かやれば慣れそう」との返答

▲キューブ状のコンパクトな筐体が印象的だった『jubeat』が、カラフルな装いになって新登場。ディスプレイが大きくなり、遊びやすくなったことをアピール

タイトーブースでも新作音楽ゲーム『テトテ×コネクト』をプレイアブルで出展。筐体デザインは同社の『グルーヴコースターAC』と同じく縦型のモニターを採用しているが、操作はタッチパネル式となっている。プレイヤーは、用意されている8人のキャラクターからパートナーを選択。音楽に合わせてダンスするパートナーの動きに沿ってタッチやスライドといった操作をすることで、画面内のパートナーと同じダンスを踊ることができるというのが本作の魅力だ。収録楽曲も近年のアニメソングや”東方アレンジ“といったものが採用されているほか、人気ボーカロイド・初音ミクとのコラボレーションも発表されたため、稼働後の反響もかなり大きくなりそうだ。

▲本来は2019年の冬に稼働を予定していた『テトテ×コネクト』。クオリティアップと仕様変更の理由によって延期となっただけに、待ちきれなかったプレイヤーも多かった様子だ

▲手と心を合わせて画面内のパートナーと“コネクト”し、一緒に踊れる疑似体験は“ミライな音ゲー”というコンセプトをまさに体現している

『武装神姫 アーマードプリンセス バトルコンダクター』や『テトテ×コネクト』にはユーザーとロケーション関係者が大いに注目し、今年度のゲームセンターにおける人気作となる可能性を十分に窺い知ることができた。しかし反面、『ポップンミュージック』、『jubeat』の新筐体が発表されたことについて、ロケーション関係者からは“現行機種の老朽化による入れ替えにすぎない”との意見があり、この温度差をメーカーと店舗がどのように埋めていくのかが気になったポイントだ。

最後にビデオゲームから。複数のタイトルから自分の好きなゲームを選んで遊べるセガの切り替え式筐体『ALL.Net P-ras MULTI バージョン3』に収録されるタイトルが、大幅に増加されることがアナウンスされた。プレイアブルでは人気対戦格闘ゲームのシリーズ最新作『ギルティギア ストライヴ』、同時8人対戦が楽しめるアクションゲームの『ペンゴ!オンライン』、PCとNintendo Switch™で発売中の横スクロールシューティングゲーム『ローリングガンナー』など計7タイトルから、業界関係者や一般参加者は思い思いのゲームを選んで楽しむ光景が見られた。今後の追加タイトルは、ふにゃふにゃとしたキャラクターが戦い合うパーティ格闘ゲームの『グーニャファイター』、移植に定評のあるエムツーが手掛けるオリジナル縦スクロールシューティングゲーム『戦刃(仮称)』、そしてセガ往年の名作シューティングゲーム『ファンタジーゾーン』など、新旧タイトルがラインアップ。

かつてはゲームセンターの花形ジャンルであったビデオゲームだが、音楽ゲームやメダルゲームの隆盛に追いやられた。また、ゲームセンターの在りかたもプライズ機やプリントシール機をメインに据えるようになってしまった。もちろん、新旧ビデオゲームを現在でもメインに稼働させている中小ゲームセンターはあるものの業界全体から見ればごくわずかであり、身近なものではなくなってしまっているのが現状だ。そういったなかで、「今どきのゲームセンターに行っても遊ぶものがない」、「昔はよくゲーセンに行ってたけど……」という中高年層をゲームセンターに再び呼び戻すことができるのか、老舗ならではのシステマチックなこの仕掛けには期待したい。

▲現在の6タイトルに加え、新たに11タイトルが追加される『ALL.Net P-ras MULTI バージョン3』。「ゲーセンにはビデオゲームがあるべき!」という筆者のような思いを持つ人にとっては朗報だ

ここ数年のJAEPOには“ゲーセンの未来を体感しよう“というキャッチコピーが付けられているが、実際のところは数ヶ月ほど待っていればゲームセンターで遊ぶことができてしまうものばかりだ。とはいえ、アミューズメンド業界にとっては年に一度のお祭りであり、稼働予定の新作ゲームを会場でいち早く目の当たりにすると気分は自ずと高揚してしまう。今回のJAEPO 2020で実感したのは、ゲームセンターに来たことがない人や離れていってしまった人をひとりでも多く招こうとしているメーカーの姿勢だ。高い知名度のIPの活用、メダルゲームならではのわかりやすさ、物と物をぶつけるアナログ感、固定ファンに媚びない姿勢、遊べるものがそこにある喜びなど、楽しむために来たお客さんをガッカリさせない“娯楽”の在りかたをいま一度改めて模索している印象を受けた。今回出展されていたゲームがこの業界にとって急激な追い風になることはないにしても、“遊びに来た”という明確な目的でゲームセンターに足を運ぶ人が増えれば幸いだろう。個人的な考えを述べると、やはりゲームセンターにはビデオゲームがあってほしいとついつい思ってしまう。そしてゲームセンターは“ゲームが好きな者同士が集まるコミュニケーションの場”だと考えており、他の客たちと言葉を交わさずとも、その素性がわからずとも、“ゲームを遊びに来た”という目的が合致している点では同じ仲間であると認識している。カジュアル層の招致も大事だが、ゲームセンターという場所にこだわりを持つプレイヤーたちの行き場がなくならぬよう、来年も期待に胸を弾ませることができそうな新作が出展されることを願ってやまない。

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