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埋もれさせてはいけないゲームを発掘『コーヒートーク』で味わう人生の機微と癒し

埋もれさせてはいけないゲームを発掘『コーヒートーク』で味わう人生の機微と癒し

ピクセルアートで描かれた『コーヒートーク』というゲームタイトルを見た瞬間から、「このゲームはどんな作品なんだろう」と気になって熱い視線を注いでいました。というのも筆者はコーヒーが大好きで、買ってきた豆を自分で好みの細かさに挽き、仕事中、食後、おやつ、夜のくつろぎタイムとシーンに合わせて……というか、どんなときでも生活のお供にしています。丁寧に淹れられたコーヒーは、ただ喉を潤すものだけではない価値がある……と強い思い入れを持っているのです。それに、令和の今となってはすっかりノスタルジックなアートとなったドット絵も大好き。そんなわけで、『コーヒートーク』はストレートに筆者の興味を引いたタイトルでした。本作のジャンルは、“コーヒーをいれながら、心と心を通わせるノベルゲーム”とのことですが、簡単に言うとプレイヤーがカフェのマスターとなり、カフェ“コーヒートーク”に訪れる客との会話を楽しむアドベンチャーゲームということになります。コーヒーのことを全く知らなくても大丈夫ですよ。まずは任天堂のIndie Worldで公開されたムービーを見てみましょう。

文 / 内藤ハサミ


カフェに集う人々の人生を見つめ、飲み物を提供する

このゲームの舞台は、2020年のアメリカ・シアトル。しかし、私たちが知っているシアトルとは少し様子が違います。エルフ、サキュバス、人狼など人間以外にたくさんのファンタジー作品に出てくる種族が社会に溶け込んで暮らしているのです。私たちが暮らす人間の世界と同じく、彼らはいろいろな人生の悩みを抱えています。

コーヒートーク WHAT's IN? tokyoゲームレビュー

▲好きなだけでは、一緒に生活できない……。エルフとサキュバスのカップル

たとえば、エルフのベイリースとサキュバスのルアは、互いの家族に交際を反対されています。エルフ以外を見下している自分の家族と縁を切ろうとしているベイリース。家族が何より大事であるルアはその考えを受け入れられません。それに自分のせいで家族を捨てたとして、彼がもし心変わりしてしまったら、自分がその原因として責められてしまうのでは……? そんな考えも浮かんでしまい、お互いの考えはぶつかって気まずいままふたりは別々に店を出てしまいます。種族の特徴や性質が悩みの種になってはいますが、基本的には私たち人間の世界にもありそうな悩みです。違った考えやバックボーンを持つ人たちが触れ合い、寄り添うことの難しさが描かれていますね。

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▲数日後、彼らは再びこの店で出会います。席ひとつぶんの距離が気まずさを感じさせますが、これからふたりの関係は修復されるのしょうか?

さて、こんな彼らの話をしっかりたっぷりとカウンターのなかで聞いているプレイヤーは、この店のマスターでありバリスタです。バリスタが行うことはただひとつ、彼らの注文に従って飲み物を作ること。店にある材料を3つ組み合わせて作成ボタンを押すだけで、温かい飲み物の出来上がり! そのほかに気をつかう要素は一切ありません。ちなみに、この店は温かいドリンクしか出しません。その理由ははっきりと語られませんが、プレイをしていればこの癒し空間にぴったりなのだと何となく気づかされるのです。

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▲客によって注文のしかたはさまざま。詳細に作りかたを教えてくれる人もいれば、“あまーいココア”などという、あいまいな注文もあります

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▲こんな注文も。“テータリック”って? ピンとこなかったので実際にインターネット検索をしました。これは紅茶とコンデンスミルクで作る、甘いマレーシア風のミルクティーだそうです。さて、今ある材料をどう組み合わせれば作れるでしょうか

レシピは、いつでも見ることができるゲーム内のスマートフォンに保存されていますが、ゲーム開始直後は数種類しか登録されていません。新しいレシピを登録するには、実際に作ってみて自分で編み出さないといけないのです。コーヒーは好きでも飲み物の種類に詳しいわけではない筆者、オーダーどおりのものをなかなか作れませんでした。「オーダーと違う」と言いつつもみんな失敗作を飲んでくれるのが優しい……。

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▲レシピを忘れてしまっても、一度作ったことのあるものであればスマホを見て確認できます

お客さんに出した飲み物が希望どおりのものかどうかによってストーリーが多少変化し、条件次第ではエンディングも変化します。ですが、客が望む飲み物を提供できなくても即座にゲームオーバーとなるわけではないですし、未発見のレシピを完璧に発見しないままでエンディングを迎えることもでき、正解を選ばないと先に進めないというわけでもありません。というわけで、最初は気負わずフィーリングでプレイしてみてもいいのではないでしょうか。そう、“最初”は……。本作はぜひぜひ、2周目のプレイも楽しんでほしいのです。来店する客やオーダー、大枠の展開は同じなのですが、会話が少しだけ変化していたり、1周目ではわかりえなかった事実が明らかになったりします。2周目になると初回プレイのときよりは編み出したレシピも増えているはずですから、より客の注文に忠実なドリンクを提供できるかもしれませんね。

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▲望みどおりの“STMJ”を作れなかったけれど、「だいたいは合っとる」とフォローしてくれる客。彼が求めるSTMJとはどんな飲み物なのでしょうか

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▲マサラチャイを作ろうとしたけれど失敗して、シナモンとミルクと紅茶を混ぜた名前のない飲み物になってしまいました。何かが余計で何かが足りない……

それでも、30種類ほど存在するすべてのレシピを編み出すのは難しいです。特定のドリンクを作るには、材料の組み合わせは合っていても選択する順番が違うとうまく作れません。そもそも正確なレシピのヒントは少なく、総当たりでレシピを発見するチャンスは本編中にないのです。そんなときは、タイトルメニュー画面から選べる“エンドレス”で練習するといいですね。ここではふたつのモードを選択できます。時間制限内で客のオーダーに応え続ける“チャレンジ”もミニゲームとして楽しめますが、何の制限もなく自由にドリンクを作ることができる“フリーサーブ”モードがレシピ発見には適しているでしょう。ロシアンティーやカプチーノなど、作中に登場する飲み物はほとんどが実際に私たちの世界にあるものだとはいえ、レシピをなんのヒントもなく編み出すのに筆者はかなり苦労しました。わずかですが、本作のオリジナルレシピもありますし……。闇雲に材料を組み合わせるとまではいかないものの、それに近いことをしなければなりません。レシピの欄にちょっとしたヒントが書いてあれば、レシピの傾向を推理したりなどの面白さが生まれ、発見のし甲斐があったかなと思います。しかし、このドリンクを作るだけの作業ともいえる時間が、不思議と癒されるんですよね。こうやってのんびりしながら集中することって、そういえば最近はあまりなかったかもしれません。

美しい癒しのラテアートだったはずが……

こんなふうに、バリスタとしてせっせとドリンクを発見して作るうち、顔なじみの客も増えてきます。客同士はカフェのカウンターで盛んに交流し、ときにはそれが現状を打開するヒントを得ることにもなるのです。例えば前章で紹介したエルフのベイリースとサキュバスのルアも、彼らのどちらとも全く違った種族と触れ合い別の考えかたを知ることで、先に進むことができるようになるのです。プレイヤーは、ドリンクを作ることで彼らを応援します……と言っても、何か主体性を持って支援ができるわけではなく、ひたすらに彼らの暮らしを見つめ続けて物語は進みます。

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▲カフェいちの常連であり、本作の語り部となる女性・フレイヤ。裏表のない明るい性格で、実に魅力的です

泡立てたミルクが入っている“ラテ”系のメニューには、ラテアートを描くことができます。イケてるラテアートで彼らを支援したい! そう思った筆者は、ラテアート職人を目指すことにしました。本編中でラテアートを求められたことは一度だけありましたが、基本的にはバリスタの心赴くまま気分で有無を選べます。それに出来の良さなども全く求められないので、どんなものを描こうとクオリティがどうであろうと自由です。自己満足の世界ですがラテアートに以前から興味があったので、チャレンジしてみますよ!

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▲ミルクを注ぎ、エッチングで表面を掻いて図案を作ります。あれ? なんだこれは……。竹と夜空に浮かぶ月を抹茶ラテに描きたかったのですが……

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▲可愛い星を作りたかったんです……なんだかイマイチですね

PlayStation®4版はコントローラーを使ってラテアートを描くことになります。これが、はっきり言って難しい! 癒しのラテアートを作ったはずですが、注ぐ方向に流れが発生するミルクの制御すら上手くできません。カップを回転させたり、エッチングしやすい図案を考えたりと工夫しましたが混沌しか生み出せず、癒しとはほど遠くなってしまいました。おそらく、タッチ操作で直接描くことができるNintendo Switch™版のほうがラテアートは作りやすいでしょう。それでも難しくはあっても作ることは楽しいので、ひどい図案を生み出しては大爆笑して楽しむことができました。きっと常連の間では、「ドリンク作りの腕はいいけれど、ラテアートの腕は壊滅的だな」などと言われているかもしれません。まあそれはそれで、個性あるバリスタってことでしっかりキャラ立ちしているんではないでしょうか。泣いてません!

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▲あえて表に出すことはない、人々が抱えている悩み。心許せるカフェの空間だからこそ、語ってくれることがあるのです

さて、常連たちと触れ合い、話を聞いた先には何があるのでしょう。先に述べてしまえば、世界を揺るがすようなドラマは特に何も起こりません。彼らはずっと自分の人生を懸命に生き、恋愛、仕事、自分の生まれなどに悩みます。そして他人と触れ合ってその考えかたに影響を及ぼし合い、そしてまた自分の生活を続けていきます。バリスタは彼らにドリンクを提供し、ときには雑談や控えめなアドバイスをしながら、それを見つめていきます。これもまた人生のかたちです。

1周クリアするまでは5時間かかりませんでした。もっといろいろなエピソードを楽しみたかった気持ちもあります。その物足りなさも魅力的なシナリオがあったからこそ。ただ本作は2周目のプレイが想定されているので、好きな小説を何度も読み返すようにすればいいのでしょう。おいしい飲み物を淹れて香りを楽しみながら、のんびりゆったりと世界に浸るのがベストな楽しみかただと筆者は思います。
さて、冒頭で結婚観に悩んでいたエルフとサキュバスのカップルですが、彼らは自分たちの価値観をすり合わせ、今すぐにすべて解決とはいかなくともふたりで決めた道を一歩ずつ歩んでいこうと決意します。そして、さっそくサキュバスであるルアの実家へ挨拶をしに行くということになりました。固く未来を誓い合った彼と彼女にちょっとした勇気の魔法をかけた飲み物は、ささくれだった心に効くといわれるココアベースの“ビターハート”と、生姜風味が豊かで体の芯から温まる“ジンジャーブレッド・コーヒー”でした。

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【募集終了】抽選で2名様に『コーヒートーク』Nintendo Switch™版プロダクトコードをプレゼント!

※プレゼント賞品はプロダクトコードとなります。

応募期間

※募集期間は終了致しました。

2月25日(火)~3月3日(火)23:59


【応募に関する注意事項】
・厳正なる抽選の結果当選された方には、WHAT’s IN? tokyo Twitter公式アカウントのダイレクトメールにて賞品「コーヒートーク プロダクトコード」をお送りいたします。WHAT’s IN? tokyo Twitter公式アカウント(@whatsin_tokyo)のフォローをお願いします。このダイレクトメッセージの送信をもって当選の発表とさせていただきます。
・プレゼントキャンペーンは予告なく変更・中止することがあります。あらかじめご了承ください。
・応募期間中にフォローを取り消された場合は、応募が無効となります。
・複数のアカウントで応募された場合は、1アカウントのみ有効となります。
・Twitterアカウントを非公開にしている場合は、応募対象外となります。
・落選者へのご連絡はございませんのでご了承ください。
・応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
・賞品および当選の権利は当選者本人のものとし、第三者へ譲渡・転売することは一切禁止させていただきます。譲渡・転売が発覚した場合、当選を取り消し賞品をお返しいただく場合があります。

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■タイトル:コーヒートーク
■発売元:コーラス・ワールドワイド
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™、Xbox One、PC
■ジャンル:コーヒーをいれながら、心と心をかよわせるノベルゲーム
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2020年1月30日)
■価格:ダウンロード版 各1,600円(税込)、パッケージ版 各3,980円+税


『コーヒートーク』オフィシャルサイト

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