Interview

Aqoursから“期待の新人”がまたひとり─小林愛香、「2020年デビュー」ならではの新たな価値観「NO LIFE CODE」を語る

Aqoursから“期待の新人”がまたひとり─小林愛香、「2020年デビュー」ならではの新たな価値観「NO LIFE CODE」を語る

固定概念を打ち破り、自らの意思や尊重が“原色のまま”認められるようになったら、どんなにカラフルな世界へと変わっていくのだろう。

スクールアイドルプロジェクト『ラブライブ! サンシャイン!!』津島善子役、および劇中ユニットAqours(アクア)で活躍してきた声優・歌手の小林愛香。艶やかでエネルギッシュな歌声、天性のリズム感が発揮されたキレのあるパフォーマンスでファンを魅了してきた“あいきゃん”が、ソロ再始動にしてメジャーデビューシングルとなる「NO LIFE CODE」で新たなステージへと突き進む。

国境、仕事、年齢、性別、ジャンル……境界のない世界を思い描きながら、<生き方のカタチ決めないで>自分らしく自由に夢を見ようという明るいメッセージを力強く届ける。そんな作品のリリースを間近に控えた心境、“これまで”のいきさつや音楽観についても教えてもらった。

取材・文 / 逆井マリ 構成 / 柳 雄大 撮影 / 増田 慶


「2020年代はどんな時代になっていくのか?」が活動と楽曲のテーマに

これまで既に作品についてたくさんお話をされていると思うんですが、言葉にすることで改めて気づくことはありますか?

小林愛香 そうですね。「“これまで”、“いま”、“これから”の可能性をいっぱい詰め込んだシングルです」というお話をさせていただいてきたのですが、お話をしながらしみじみそれを実感しています。また、「早く聴いてもらいたい」とずっと言ってきましたが、刻一刻とリリースが近づいていることを感じました。

より楽しみな気持ちになってきました?

小林 ハイ、すごく! こうやってお話することも楽しいんですが、みんなに聴いていただけることがいちばん楽しみなので……。今は本当に「待っててくれてありがとう」って気持ちなんです。

メジャーデビューについては、昨年10月29日に開催されたファンミーティング「2nd Fan Meeting『Birthday PARTY!!』」のなかでアナウンスされました。その時ファンの皆さんはどんな反応でした?

小林 叫んでる人、天を仰ぐ人、泣いている人がいたりと、さまざまな反応がありました。とにかくすごい笑顔を私にくれて。私がみんなに「ありがとう」を伝える場にしたかったのですが、逆にみんなが「ありがとう」を言ってくれたんです。最後にお水のお渡し会をしたんですが、みんな「おめでとう!」「ありがとう!」って声をかけてくれて……「みんな、こんなにも待っててくれたんだなぁ」と感じました。

小林さんのお人柄もあると思うんですが、すごく温かい空間ですね。それだけ皆さんが待っていたメジャーデビューは、小林さんにとっての夢のひとつでもありましたか。

小林 はい。もちろん歌手を目指したときからずっと目標にしてきたことでした。今まで頑張ってきて良かったし、夢を持ち続けていて本当に良かったなと感じました。新たなスタートだと思って頑張っていきたいなと思っています。今は不安はなく、楽しみな気持ちが前にあります。そんな楽しい世界にみんなで“一緒に”行こうという気持ちが強いです。皆さんのおかげですごく力強いスタートが切ることができました。

小林愛香 WHAT's IN? tokyoインタビュー

音楽プロデュースチーム・Q-MHzの田代智一氏のプロデュースが決まったときは、どんなお気持ちでしたか?

小林 「あのQ-MHzのおひとりが私のプロデュースを!?」と驚きました(笑)。田代さんのことは以前から存じ上げていましたし面識もあったので「やった!」「強すぎる味方をつけてしまったな」と。「NO LIFE CODE」のデモを聴いたとき、改めてそれを感じました。このときは生まれて初めて、曲だけで泣きました。

明るくパワフルなギターロックですよね。思わず泣いてしまった理由とはどんなところだったと思います?

小林 今までの私のウズウズ感、思うように伝えられなかった部分も、輝きも全部含まれていて、この曲と一緒に前に進めていけるのかなと思ったらすごく感動したんです。本当にステキな曲を作っていただけたなと。

小林愛香のアーティスト活動の軸に、「2020年代を代表するアーティストとして頑張っていきたい」という思いがあるんです。じゃあ2020年はどんな時代になっていくのかなとチームで考えたときに、きっとボーダーがなくなって、それが当たり前の世界になっていくんじゃないかと。そのボーダレスな世界がこの曲では舞台となっています。

パーティの招待状に書かれる「NO DRESS CODE」をヒントにしたタイトル、<生き方のカタチ決めないで>という歌詞はまさに多様性の象徴ですよね。

小林 本当に! ボーダーがなくなった世界を当たり前に歌っている感じも私は気にいっています。“これからのうた”になっていくんだろうなって。

ヨハネ(津島善子)も私の一部ではあるので、いろいろな目線で楽しんでもらえたら

アーティスト活動の原点となる思い、さらに「今までのウズウズ感や思うように伝えられなかった部分も含まれている」とのことですが、もう少し詳しくうかがっても?

小林 田代さんに「あいきゃんのイメージカラーはあるの?」って聞かれたんです。「赤にも染まりたいときも青になりたいときもあるけど、透明か白かなあ」なんてふわっとした言葉を返したら「グラデーションだね」って言われて、その言葉がすごくしっくりきたんです。

というのも、私は保育士の免許を持っていて。それは保育士になりたいと思ったから取ったし、歌手の活動も諦めたくないし、ダンスも踊りたい。その夢はバラバラに見えてもグラデーションで繋がっていたんだなって。そんなお話から、小林愛香の今後の音楽活動のテーマがグラデーションになりました。グラデーションなら何色でもなれる。可能性が広がる言葉だなと。「NO LIFE CODE」の歌詞には、そんな思いがたくさん込められているんです。

小林愛香 WHAT's IN? tokyoインタビュー

小林さんのソロ活動のキーワードは “グラデーション”、“ボーダーレスな世界”なんですね。

小林 はい。その2つと、その世界に“みんなと一緒に行く”がキーワードです。“一緒に”は特に大きくて。一緒に楽しいことをしたいし、一緒にいろいろな景色を見たいなと。レコーディングでも、ずっと「どういう風に盛り上がってくれるかな」ってライブのことを考えて歌っていましたし、全部の軸に(ファンの)皆さんがいる気がしています。

シングル2曲目の「ゆらゆらら」はガラリと変わって、グルーヴィーでスタイリッシュな曲ですね。

小林 手を横に振りたくなるような曲で。みんなでアットホームな空間が作れる曲になっているんじゃないかなと感じています。

これは偶然だとは思うんですが、<白も黒も決めないで>という歌詞で『ラブライブ!サンシャイン!』の津島善子を思い出しました。白と黒のイメージがあるので……。

小林 そこは偶然ですね(笑)。この歌詞は裏・表という意味で、真逆なもののなかでの揺らぎを歌っています。……でも、確かにヨハネ(善子)も揺らいでいるところがありますもんね(笑)。ヨハネも私の一部ではあるので、いろいろな目線で楽しんでいただけたらいいなと思っています。

小林愛香 WHAT's IN? tokyoインタビュー

3曲目の「Crazy Easy Mode」は80年代風のサウンドやガールズバンドっぽい雰囲気が特徴的です。どんなスタンスで挑まれたのでしょうか?

小林 ガールズバンドで、「フン」として背伸びして歌っているようなちょっと小生意気な女の子をイメージしながら歌いました。この歌は……田代さんに「最近あいきゃん好きなものないの?」って聞かれて「あ、パンダ好きですね」と答えたところから生まれた曲で。だからパンダの歌なんです。

パンダの歌!? あ、<Pretty AND Awesome>……PANDAってことですか! 言葉遊びが散らばってる。

小林 そうです(笑)! 実は歌詞カードを見ると「おおお!?」となる、そういう仕掛けもある歌になっています。そう思って聴くと<ガラスの向こう あくびしてる>のは、動物園のパンダという(笑)。いろいろな楽しみ方ができるのもこの曲の良いところだと思っています。「どういう意味なんだろう?」って歌詞カードを読んだときに「あれ?」って感じてもらえるのを狙っています。

ひとつのジャンルに捉われない多彩な3曲ですが、今の手ごたえというのはどうです?

小林 全部の曲に満足しすぎています。自画自賛ですけど(笑)。「早くみんなで聴いて欲しい」という自信がここまであるのは、クリエイターの皆さんがステキな曲を書いてくださったからだし、「NO LIFE CODE」をファンミーティングで歌ったときにみんながノリノリで聴いてくださったから。絶対に楽しんでもらえるし、好きだっていってもらえるだろうなと思っています。

Aqoursのメンバー間でもアーティストデビューについてお話されていたりするんですか。

小林 多分みんな楽しみにしてくれているとは思うのですが、お互い仲間でありライバルという関係性なんですよね。みんなのことももちろん応援してるけど、自分も頑張るぞ!という気持ちでいるので、あまり意見は求めていないですよ(笑)。でもみんなの音源はすごく楽しく聴かせてもらっています。一人ひとり個性が出ていて。だからこそ、私はわたしでいろいろなことにチャレンジしていけたらいいなと思っています。

小林愛香 WHAT's IN? tokyoインタビュー

「実は内弁慶」。快活だった幼少期と、親目線で喜んでくれたファンとの関係性

ところで先ほど保育士のお話をされていましたが、いつくらいから保育士になりたいと思われていたんですか?

小林 小さいころから思っていました。子どもたちと関わることはすごく好きで、その夢を持ち続けていまに至りますね。まだ保育士になってみたいという思いもあるんですが、今は歌って踊ることが本当に楽しいので……。“楽しい”の赴くままに動いています。

歌われることも、小さいころから好きでしたか。

小林 はい。物心ついたときから、歌って踊って、がすごく好きでした。さらに喋ることもすごく好きで、ずーっと喋っていました。今はちょっと落ち着いて、本当に良かったなと思います(苦笑)。昔の映像を見ると何十分もずーっと喋っているんですよ。その映像をファンミーティングのときに流していたので、みんなが親目線で私の報告を喜んでくれているのがすごく分かって(笑)。

どんな映像なんですか?

小林 本当に小さいときの歌って踊っているものや、手遊びしていたり、クリスマス会で踊っていたり、ダンスの発表会をしていたりする映像なんです。私は一人っ子なのですが……当時、一人遊びが上手ってよく言われていました。本当にお喋りで、小学校入学前に祖母がすごく心配して。「この子こんなに喋ってて大丈夫なのかな?」と。喋りすぎて午前中には声がつぶれるというような状態でした。

小林愛香 WHAT's IN? tokyoインタビュー

(笑)。「歌って踊って」の原点ってどんなところなんですか? 例えばテレビを見て歌うようになったとか……。

小林 う~ん。“これ”ってものはなくて自然となんですよね。「楽しいから」だけだったと思います。歌うと褒められて、それが嬉しい、になって。小学生になってモーニング娘。にハマって。小学校3年生からダンスを習いはじめて、そのあたりから安室奈美恵さんに憧れるようになりました。

そのころからエンタメの世界にいきたいという気持ちが芽生えていた?

小林 漠然とした夢はその時点で持っていました。歌と踊りが好きだから歌手になりたいとか、小さい子の面倒を見るのが好きだから保育士になりたいとか。

基本的に誰かと関わることが好きなんでしょうか。

小林 そうですね。人と関わることは根本的に好きです。

ではご自身の性格を一言で表すとしたら……。

小林 (即答で)内弁慶です。

意外です! 小さいころから表現の道に突き進まれているし、外にも開けているので、積極的な性格なのかなとばかり。

小林 ああ~……。たぶん、一回飛び込めば大丈夫なのと、ステージに立つと内弁慶っぽさはなくなるんです。皆さんが温かく迎えてくれるって安心感があるからだと思うんですが……歌って踊ることがすごく楽しい。音楽を楽しめている空間がすごく好きなので、ステージに立っているときはむしろいちばん私が楽しんでいるかも(笑)。でも性格的には内弁慶だと思っています。

普段、小林さんは「マルチな歌手を目指したい」とおっしゃっていますが、 “マルチな歌手”ってどんなイメージですか?

小林 私はファッションにも興味があるんです。その夢を持っていたら大好きなブランドである「didizizi」のデザイナー行場ユミさんと一緒にアパレルブランド『yipyip』(いっぷいっぷ)を立ち上げることができて。夢を描いていたら、どんどん叶えられていく。もちろん私だけの力ではないのですが……。

歌も踊りもファッションも声の演技も、これからもやりたいことはたくさんあって、いつかモデルのようなこともやってみたいという夢もあります。いろいろなものに興味を持って、広げていけたらなと。そういう意味で “マルチ”と言っています。

新しい世界に挑戦するって一筋縄ではいかないことだけど、すごく楽しいことですよね。その楽しさを知ってる小林さんだからこその“グラデーション”がソロでは描かれている。

小林 本当に! 楽しいから続けられるし、皆さんと一緒に楽しいことができると思うとこれからがすごく楽しみなんです。「NO LIFE CODE」も本当にはやく聴いてほしい! MVも早く見てほしいです。

MVはどんな雰囲気なんですか?

小林 本当にカワイイです! こんなにカワイイMVは見たことないってくらい自信があります。私の好きなもの、女の子の憧れ、可愛い絵がいっぱい詰まった内容で、曲の世界観にピッタリなものになっています。

アーティスト写真の衣装、ジャケットのアートワークもすごく可愛いですよね。

小林 そうなんですよ。CDのアートワークはイラストレーターのかとうれいさんが描いてくれたんです。ドレスは衣装さんにデザインしていただいて、布から作っていただいています。この衣装も「ドレスコードがない」ことを表現しました。袖のところがモコモコだったり、襟が反対側はなかったりと、曲にピッタリの自由な雰囲気の衣装になっています。

かとうれいさん、MVの監督の牧野さん、Q-MHzの皆さん……本当にステキな方たちにご協力いただいていて。いろいろな切り口からこの曲を知っていただけたら嬉しいなと思っています。この3曲でこれでいろいろな世界を見に行きたいなと思っているので、ジャケ写から、MVから……どこキッカケでもいいからこの曲を知っていただけたら嬉しいです。

フォトギャラリー

小林愛香

1993年10月23日生まれ、神奈川県出身、O型。特技はダンス(ヒップホップ、R&B、LAスタイルを得意とする)。サブカルチャーやファッションにも造形が深く、自身プロデュースのファッションブランド・yipyipを展開しヴィレッジヴァンガードで販売するなど、活動は多岐に渡っている。

メディアミックスも盛んなスクールアイドルプロジェクト『ラブライブ!サンシャイン!!』の津島善子役として頭角を現し、作品内ユニット・Aqoursのメンバーとしても活躍。Aqoursは2018年11月に東京ドーム2DAYSライブを行い、同年末に第69回NHK紅白歌合戦への出場を果たすなど、絶大なる人気を誇っている。

ライブ情報

小林愛香1st Live(タイトル未定)

2020年6月2日(火)大阪府 BIGCAT
OPEN 17:30 / START 18:00
2020年6月10日(水)神奈川県 KT Zepp Yokohama
OPEN 17:30 / START 18:30

オフィシャルサイト
レーベルサイト(トイズファクトリー)