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今年の格ゲーは決まった!『グランブルーファンタジー ヴァーサス』をいますぐ遊ぶ理由

今年の格ゲーは決まった!『グランブルーファンタジー ヴァーサス』をいますぐ遊ぶ理由

休日と祝日が近いタイミングで『グランブルーファンタジー ヴァーサス』が発売され、学生時代のように夢中で遊んでいる。トレーニングモードに籠って連続技を練習し、オンラインモードで対戦を楽しんで、つらく感じた技にはあとで対策を調べる。そこで得た情報をゲーム仲間と共有して、ああでもないこうでもないという日々が始まった。やっぱり格闘ゲームって面白い。
しかもその大好きな格闘ゲームの原作が、ちょっとまえにハマった『グランブルーファンタジー』なのだから嬉しいものだ。最近のスマートフォンゲームに明るい人に説明は不要だろうが、『グラブル』と略されるこのゲームは魅力的なキャラクターと遊ぶ人をぐっと惹きつけるストーリーを持ち、スマートフォンなどのさまざまな環境で遊べる作品ながら、かつてのPCオンラインゲームのようなとてつもないやり込み要素を備えている。筆者もコツコツと遊んでいるが、6周年を迎える今年もその人気は衰えることがない。
このIPが格闘ゲームになったらどうなるのだろうという妄想は、格闘ゲームファンなら一度はしたことがあるのではないだろうか。本作が発表されたときは心底驚いたが、その発表まえにも「格ゲーならこのキャラ強そう」などと友人と話し合っていたことを思い出す。ついにプレイできた本作は想像していた以上に遊びやすく、格闘ゲームファンならすぐに熱中できる備えだった。本稿では本作の魅力について、格闘ゲームファンの視点から語る。

文 / 浅葉たいが


遊びやすく奥深い、間口の広い2D対戦格闘ゲーム

本作は2D対戦格闘ゲーム初心者にも目を向け、ファーストタッチを簡単にしたゲームとなっている。例えば2D対戦格闘ゲームの”ハードル”としてよく挙げられる必殺技(本作ではアビリティ)コマンドについては、本作でも『ストリートファイター』シリーズを発祥とする波動拳、昇龍拳コマンドといったものが採用されているが、それらで発生するすべてのアビリティを方向キー1方向+ボタンで繰り出すこともできるのだ。このシステムがあることで初心者は簡易入力でアビリティを繰り出し、慣れてきたらテクニカル入力(いわゆるコマンド入力)を使ってアビリティを繰り出すというステップアップが期待できる。連続技なども基本的なものは、ボタン連打から簡易入力でアビリティを繋げるというシンプルな構成で成立するものが多く、遊び始めたばかりでもキャラクターの動きを楽しめるようになっている。
また、ガードについても方向キーによるガードのほか、”ボタン押しっぱなしによるガード”も搭載しているため、既存の多くの2D対戦格闘ゲームよりはガードに意識が行きやすい。ちょっとマニアックな話をすると、格闘ゲームのガードを揺さぶる手段である”めくり(ジャンプ攻撃を頭上や背中を狙って繰り出し、ガード方向を反転させるテクニックを表すスラング)”なども、このボタンガードを使えば難なくガードができてしまう。

グランブルーファンタジー ヴァーサス WHAT's IN? tokyoゲームレビュー

▲性能のわかりやすい技が多く、格闘ゲーム経験者はもちろん初心者もすぐにバトルを楽しめるはず

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▲アビリティを簡易入力で繰り出した場合とテクニカル入力で繰り出した場合では、再使用に必要なクールタイムは後者のほうが短くなるほか、若干の性能変化を見られる技が存在する

こう書くと初心者に配慮しすぎたあまり、格闘ゲームとしての奥深さに欠けたゲームなのではと判断する方がいるかもしれないが、その点は心配無用だ。対人戦で勝ちを積み上げるためには、簡単な操作を使うものの閃きや素早い状況判断を求められるキャラクター対策を練り込むことが不可欠だし、連続技についても伸びしろは豊富に用意されている。実は筆者も最初は、あまりに簡単な操作性から”それほど練習することのないゲーム”と思っていたが、対戦をしているといくつも調べたいことが湧き上がってくる。連続技も状況別の最適解と言えるような、ダメージとその後の攻めを意識したものを求めると難度も上がってきて、まだまだ対戦でとっさに成功させることができない。

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▲格闘ゲーム経験者の達成感を満たすような連続技も用意されている

さらにマニアックな視点になるが、テクニカル入力と簡易入力が同居していることで生まれるユニークな戦術も、今までの2D対戦格闘ゲームにはない可能性を感じる。例えば”相手の突進攻撃を見てからの無敵技”という戦術。相手の挙動を見てからコマンドを入力するというのはなかなか難しいが、方向キー1方向+無敵技という形であれば案外できてしまったりする。またボタンガードを使うことで、表裏がわかりづらい空中からの攻撃を防ぐことも可能で、さらにマニアックなテクニックである”仕込み”なども通常の格闘ゲームとは違った入力でこなすことができる。こうした初心者向けに用意された要素が上級者にとっては密かに楽しいポイントになるという作りは、独特のプレイフィールを生み出している。

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▲簡易入力を活かせば、「突進技を見てから無敵技で余裕でした!」といった漫画のような戦術も実際に狙える

本作から2D対戦格闘ゲームを始めるのもアリ!

対戦のかけひきについてもわかりやすいものが多い。接近戦では、打撃と投げを使い分けた攻めがシンプルかつ強力で、遠距離戦ではとれる行動が多いため、わけもわからず封殺されるというケースは少ない。本作の開発を手掛けているのは『ギルティギア』や『ブレイブルー』などで知られるアークシステムワークスだが、筆者個人の感想としてはこれらの作品は立ち回りや連続技の面でかなり独特のものになっていて、そこが俗にいう“アークゲーらしさ”(アークシステムワークス製の格闘ゲームを表すスラング)になっていたのだが、正直これが難しいという人もいただろう。
本作は新しいアプローチで『グランブルーファンタジー』ファンにも目を向けた“やさしい”作品となっている。つまり、コアな駆け引きの部分を非常にシンプルにまとめ、その外側の部分をキャラクターごとの動きの幅で包んだ作品となっているのだ。自身のキャラクターの好みは別にしていちはやく対戦を楽しみたいという人は、強さの質がわかりやすいグラン、カタリナ、シャルロッテなどを選ぶといいだろう。また“アークゲーらしさ”を愛する人たちもがっかりする必要はない。プレイヤーの腕前が上がっていくにつれて深い駆け引きも見えてくるうえに、ランスロット、メーテラ、フェリなどはかなり“アークゲーらしい”苛烈な攻めを持つキャラクターたちとなっている。

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▲シャルロッテは、操作も戦術も基礎的なものなら簡単なキャラクターのひとり。初心者にもおすすめだ

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▲メーテラは、弓による攻撃を使った遠距離戦と“ゼファー”という移動技を使った攻めを得意とする

ちなみに本作のクローズドβテストが行われた際には、一部のメディアレビューなどで『ストリートファイター』に近いプレイフィールという声もあったが、これは今のように戦術の幅が広くなかったからであろう。がっつりと対戦してみるとちゃんと尖った戦術が見つかり、それに伴う独特な爽快感も湧いてくる。本作は長い距離を走り抜けられるランで、近年の『ストリートファイター』は距離制限のあるステップ(一部例外あり)をベースにした地上戦なので、戦術の構築は別物である。2D対戦格闘ゲームというジャンルが『ストリートファイター』をベースにしている部分が多いため似ている部分があるのは否めないが、個人的には新しい試みとバランスのなかに過去作で培った“アークゲーらしさ”を盛り込んだものというのが、筆者の本作に対する感想だ。かなり遊びやすい作品なので、格闘ゲームファンはスタートダッシュできるこの時期に是非プレイしてみてほしい。

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▲ローアインはなんと、“解放奥義”という大技で“ユグドラシル”を召喚。ユグドラシル召喚中はローアインが画面内からいなくなり、ユグドラシルを操作してボタンに対応した攻撃を繰り出すことができる。大型怪獣を操っているような操作感があり、実に楽しい。やられている側はたまったものではないが(笑)

2020年の新作格闘ゲームはこれで決まり!

オンライン対戦は実に快適。なかでも本作のランクマッチは近年の格闘ゲームに多い、連続技などの練習ができる“トレーニングモード”をプレイしつつ対戦待ち受けが可能な仕組みになっている。このテンポが実に軽快で驚いた。対戦のなかで疑問に思ったこと、できていなかったことを復習しながらプレイできるのはもちろんのこと、練習に夢中で対戦したくないというときは対戦受付をオフにするほか断ることもできる。
本作は公式発表によると、初週で15万本以上の売り上げが出ているようだ。これは日本国内における2D対戦格闘ゲームの売れ行きとしてはかなり好調なほうである。オンライン対戦を遊んでみると、実に多くのプレイヤーたちで盛り上がっていることがわかる。遊んでいる人の多い格闘ゲームというのはとても楽しいもので、筆者はどんなに面白くても対戦相手のいない格闘ゲームは寂しいと感じてしまう。練習しても上手くなってもそれを発揮できる場が少なく、大会のような挑戦できる機会も減っていくからだ。

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▲”プレイヤー人口が多い”ということが、熱気ある対戦シーンへとつながっていく。うまくなりたいというモチベーションがあれば、ゲームが応えてくれるポテンシャルを秘めた作品なのも嬉しいところだ

本作については心配がない。購入者は多く、プレイしている割合も多い。そのうえ今後大型大会も予定されている。優勝賞金300万円のRAGE、夏にアメリカで行われる対戦格闘ゲームの祭典ともいっていいEVO 2020のメインタイトル決定など、eスポーツ的なシーンでも盛り上がりを見せている。ハイレベルな参加者が集うため上位入賞を目指すのは大変だが、本作をプレイしていることでそれらの大会の参加に挑戦し、ときには観戦も楽しめるというのは嬉しいものだ。本作から格闘ゲームを始めるという人でいつか大きな大会で結果を出したいと願う人がいるのなら、今から挑戦を始めるのも面白いかもしれない。

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▲大会など強豪プレイヤーの集う場所で勝敗を分けるのは、ユニークな技や戦術への“対策”だろう。インターネット上にも日々、対戦で役立つ攻略情報がさまざまなプレイヤーからアップされている

格闘ゲームというと同ジャンルで培った経験や戦術が活きやすいゲームのため、今から始めてすぐに勝てるようになるというのは正直難しいだろう。しかし、本作は『グランブルーファンタジー』と言う素晴らしいIPがあることで幅広い層のプレイヤーが遊んでおり、オンライン上では腕前の近いプレイヤーと戦う機会も多いはず。そしてオンライン上で勝ったり負けたりしているうちに“上達したい”、“勝ちたい”と思い始めたなら、格闘ゲームの楽しさにどっぷりと浸かっているはず。現在は文字だけでなく、動画などでも上級者の試合や戦術が紹介されているので、これらを研究してトレーニングモードで習得するだけでも大いに上達が見込めるはずだ。そして、ゲームのなかにも初心者をサポートするシステム的な気遣いが充実している。例えばアビリティコマンドを書いたコマンドリストには動画付きで使いどころや性能が書かれており、タクティクスモードでは基本的な連続技のほか本作のなかで使用頻度の高い技への対策を練習させてくれるコーナーもある。筆者はいろいろな格闘ゲームを遊んできたので、この手の課題を与えられるモードは比較的楽にクリアできるかと思っていたが、対策コーナーにはかなり発想力が求められるものも用意されていて驚いた。格闘ゲームに自信があるという方は、対策コーナーを自分のキャラクターで全てクリアしてみてほしい。

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▲コマンドリストには動画付きで技性能が紹介されている

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▲タクティクスモードのキャラクター対策コーナーは、一筋縄でいかないものが多い。同じ課題でもバザラガなどの重量級はかなり難しくなる

ここまで格闘ゲームとしてのプレイフィールを語ってきたが、本作の原作にあたる『グランブルーファンタジー』の育成要素と格闘ゲームの動きを使ったアクションゲームが楽しめるRPGモードについては、やや不満が残った。横スクロールアクション風の画面で敵が次々と出現し、それを通常技やアビリティでなぎ倒していくパートに加えて、RPGモードならではの大型ボスとの戦いも待ち受けている作りには概ね満足なのだが、このモードには原作同様やり込み要素として”周回プレイ”が用意されている。周回プレイに対して、このモードのテンポがそれほど良くない。横スクロール風のステージが連続するパートではやや長めのロードが複数回挟まれ、とても快適とは言えない状態で進めることになった。ウリのひとつであるマルチプレイモードも、それ自体はハチャメチャな戦いが楽しめていいのだが、数時間遊んだなかで幾つかのバグに遭遇することもあった。これらの要素が修正されていけば、RPGと格闘ゲームの良さが同居するモードとして楽しめるのではないかと思っている。

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▲RPGモードでは大型のボスと戦うことも。仲間と共闘できるバトルは、格闘ゲームの良さを持つ横スクロールアクション的なプレイフィールだ

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▲RPGモードで得た武器チケットを使って、ランダムで武器をゲットするときのワクワク感は『グランブルーファンタジー』本編さながら

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▲RPGモードで一部の武器を獲得すると、“武器スキン”として対戦モードなどでもキャラクターに装備することが可能。能力は変わらないが見た目が変化する。人気武器である“グラーシーザー”はゼタ用の武器として登場する

と、RPGモードについては正直に不満点を書いたが、これらはアップデートで改善される可能性もある。そしてそんなマイナスを吹き飛ばしてくれるほどに、『グランブルーファンタジー』のキャラクターたちで戦える格闘ゲームが遊べるのは幸せだ。参戦キャラクターのなかに好きなキャラクターがいるという人は、もうそれだけで素晴らしいファンアイテムにもなるはずだ。格闘ゲームは実に動きのバリエーションが多いジャンルで、原作であるRPGでは見られない動きもたくさん存在するのだ。しかもそれを手掛けているのが美麗な演出に定評のあるアークシステムワークスだというのだから、これほど心強いことはない。筆者の場合は、自分なりの出てほしいキャラクター(ヴァンピィちゃん)はまだ本作に参戦していないのだが、本作を遊んでいるうちに原作ではそれほど注目していなかったゼタのことがとても好きになってしまった。
本作は、今後のDLCでキャラクターが追加されることも発表されている。ジータやナルメア、ベリアルなどの人気どころが追加されるということもあって、今後もますます勢いづいていくだろう。よく“〇〇が出たら買う”ということが言われたりするが、格闘ゲームは最初から遊んでいるほうが絶対に面白い。〇〇が出たときのために今から遊んでおくことを強くおすすめしておく。

フォトギャラリー

■タイトル:グランブルーファンタジー ヴァーサス
■発売元:Cygames
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:対戦アクションRPG
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2020年2月6日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各6,980円+税


『グランブルーファンタジー ヴァーサス』オフィシャルサイト

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