Interview

千葉雄大は俳優として今、何を思うのか。結婚観にも変化?「そんなありがたい機会があったら…」

千葉雄大は俳優として今、何を思うのか。結婚観にも変化?「そんなありがたい機会があったら…」

北川景子&田中 圭の共演で、スマホ&SNSの普及と利便性を逆手に、その裏にはらむ怖さを描いた『スマホを落としただけなのに』。大ヒットを受けてつくられた続編『〜囚われの殺人鬼』は、前作で主人公たちの危機を救ったサイバー犯罪専門の刑事・加賀谷学をメインキャラクターに! しかも、彼の恋人・松田美乃里(白石麻衣)が新たに狙われたことで、前作で凶行の数々を繰り広げた殺人鬼・浦野善治(成田 凌)と不本意ながら手を組むことになる…という、驚きの展開を見せていく。

前作では垣間見えた程度だった加賀谷のバックグラウンドもしっかりと描かれ、浦野との“表裏一体”な関係性にも焦点が当たる。引き続き、加賀谷を演じた千葉雄大は作品に身を投じた中で何を思い、考えたのか? 30代に入ってからの心境や感性の変化の有無などもふくめて、俳優としての“今”に迫った。

取材・文 / 平田真人
撮影 / ヨシダヤスシ

役のことしか見えなくなっていた僕に成田くんが言ってくれた一言にイラッとしつつも(笑)、安心しました。

今作では、千葉さん扮する加賀谷刑事が主人公として描かれますね。

前作から引き継いでいる部分もありますし、新しい要素として加賀谷のバックグラウンドだったり、浦野との関係性の変化も面白いところかなと思います。あと、白石麻衣さん演じる松田美乃里というヒロインとの恋愛が描かれていたり、盛りだくさんで(笑)、エンタテインメントとして楽しんでいただける作品になっているように、僕としては感じています。

再び加賀谷という人物を演じられて、新たに生まれた感情や気づきなどはあったのでしょうか?

今作の加賀谷は、いろいろな人物と対面して渡り歩いていきます。捜査のすべてに対して積極的というわけではないんですけど、相手によって顔つきだったり、気持ちに違いがあったのが面白かったですね。成田くんとのシーンでは、積極的に関わり合いたくはないんですけど、事件を解決する上で上司から命じられて仕方なく接近するという感じで、社会の縮図を見るようなところがありました。そのせいで、美乃里とのプライベートにも暗雲が立ちこめたりもして。でも、だからこそ加賀谷自身が成長していくストーリーにもなっていたので、演じていて楽しかったです。ちなみに、女性陣から感想をいただくと、総じて「加賀谷は(美乃里との将来のことを)ハッキリさせた方がいい」と言われることが多かったです(笑)。おそらく、お客さまも同じように思われるのではないかと。恋愛面でのお芝居のサジ加減という部分で、考えることが多かったですし、そこも含めて、周りの方々に助けていただいたなと感じました。

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 千葉雄大 WHAT's IN? tokyoインタビュー

加賀谷のバックグラウンドが、より掘り下げられたことについては、何か思うことがありますか?

まず、前作を撮っている時は、まさか恋人がいると思わなかったので、そこに一番驚きました。あと、前作をご覧になった方から、「途中まで加賀谷が黒幕だと思っていました」という感想をいただくこともあったんですけど、僕としては特にミスリードするようなつもりでお芝居をしていたわけではなかったんです。ただ、バックグラウンドがハッキリしていなかったというか、ちょっと含みのある部分も多かったので、自然と深読みを誘うようなところもあったのかなと思うのですが、今回は背景がクリアになっていますし、さまざまな描写において中田(秀夫)監督らしさが感じられたりもしたので、より演じがいがありました。

成田さん演じる浦野は前作よりも不気味さが増した感もありますが、加賀谷とは表裏一体な部分もあるのかなと思ったりもします。

浦野とのシーンの撮影の時は、自分の中でも黒いものが溜まっているような感覚があって。浦野と向き合うとともに、まさに表裏一体というところで加賀谷は自分自身とも向き合わなければならないんですよね。だからこそ、浦野から言われる言葉の一つひとつに動かされてしまったり、加賀谷としても浦野に100%じゃないにしろ同情してしまうシーンもあったなと。それが浦野として計算したものだったのか、芝居の中で成田くんの中から自然と出てきたものだったのかはわからないですけど、彼のお芝居は素敵でしたし、この作品は成田くんがいなかったら成り立たない映画だったなと思います。

僕は、わりと役しか見えなくなってしまうところがあるのですが、彼がふだんどおり飄々としながら、「何、バーチー緊張してるの?」って言ってくると、イラッとしつつも安心感があったというか(笑)。そういう意味ではありがたかったですし、役者として自分とは違うものをたくさん持っている人なので、一緒に芝居をしていてたくさん刺激を受けました。

加賀谷としては少なからず、浦野にシンパシーを感じている部分があったようにも見えましたが、その辺りについては…?

どこかしらに、あったとは思います。中田監督をはじめ、いろいろな方から加賀谷と浦野で“バディ感”を出すように求められたんですけど、僕と成田くんはピンと来てなくて、現場ではお互いに微妙な距離感だった気がします。浦野が収監されているガラス張りの「特別留置所」で、ガラス越しに話すシーンがありますけど、まさにあの距離感。間にブ厚い板が一枚挟まれているんですけど、お互いの姿が透けて見えるっていう。あのセットはいろいろなものを表していたように思いました。

例えが正しいかわからないですけど、『48時間』(82)でエディ・マーフィーとニック・ノルティが演じた、服役囚と刑事のような関係性を思い出したりもしました。

あ、確かに。そういった感じで、いろいろな映画のエッセンスが入っているかもしれませんね。でも、そこは中田監督に一任して、僕と成田くんは加賀谷と浦野としての距離感で演じようとしていました。

中田秀夫監督との再タッグは、いかがでしたか?

僕は二度目だったので、アットホームに感じましたし、チーム感がある現場で、監督はもちろん助監督さんやスタッフのみなさんの態勢が整っていたなと。僕が素敵だなと思ったのは、監督だけではなくて、助監督さんやスタッフの意見も吸い上げて、それを元にして監督も演出を考えることもあったので、「みんなでつくっているんだな」という温かさというか、ぬくもりを改めて感じました。「これはどうなのかな」と違和感を抱きながら進んでいくのと、いろいろな意見を持ち寄って進んでいくのとでは方向性が全然違ってくると思うので、そういった意味では風通しのいい現場だったなと思います。

前作の大ヒットを受けての続編で主演を務めることに対して、中田監督から何か一声あったりも…?

撮影へ入る前に一緒にご飯へ行かせていただいたんですけど、その時も純粋に作品の内容のことをお話するだけで、ヒット作の続編だとか主演についてといったことは、まったく触れなかったです。

当初イメージしていたのとは、いい意味で予想外だったシーンがあれば、お話をお聞かせください。

ミステリーだからといって、恋愛面をおろそかにせずに、胸キュン映画としてご覧いただけるようにしたい──と考えてはいたんですけど、白石さんとのシーンは、想像以上に照れてしまいまして(笑)。そこですかねぇ。ただ、僕も恋愛モノはわりと経験があるので、いくつかご提案というか、アイデアを出してみたりもしましたけど、そこは白石さんと実際にお芝居をしてみて着地させる、という感じでした。個人的には終盤の美乃里と加賀谷のシーンが好きなので、みなさんがどう思ってくださるか、楽しみでもありますね。

では、美乃里役の白石麻衣さんと共演されてみて、どのようなことを思われたのでしょうか?

美乃里に危険が迫るシーンはたいがい、加賀谷が不在だったりするものですから(笑)、お話を聞いたところですと、監督から要求されたことに対してまっすぐ向き合って、「わかりました」と臨まれていらっしゃったそうなんです。その潔さは女優さんとしてかっこいいなと思いました。恋人同士の役なので、「白石さんが美乃里だとしたら、加賀谷のどういうところを好きになったと思いますか?」とか「どうして2人は付き合うようになったんだろう?」といった部分での擦り合わせは、お互いに考えたりもして。2人が出会うきっかけになったシーンというのが映画にも出てくるんですけど、そこからクランクインしたので、「加賀谷さんの一生懸命さだったり、笑顔を魅力的に私は感じました」と言っていただきました。

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 千葉雄大 WHAT's IN? tokyoインタビュー

一方、加賀谷は美乃里はどこに惹かれたと思われますか?

スタッフの方から言われたのは、「加賀谷って、『今日の夜ご飯、何がいい?』と訊かれた時に『何でもいい』と答えるタイプで、相手が食べたいものを自分も食べたいという優しさが、逆にじれったかったりもする」って。そういう部分では実はバランスがとれていて、美乃里は自分の意志をはっきり持っている女性なので、だからこそ惹かれたのかなと思いました。

ちなみに千葉さんご自身は、どのようなタイプなんでしょうか?

自分ではハッキリしている方だと思いますけど…恋愛面ではわからないですね(笑)。もしかしたら気づかないところでハッキリしていないところがあったりするかもしれませんし。とは言え、将来のことをどうするかって訊かれたら、ちゃんとけじめをつけるんじゃないかなと思います。そもそも、すでに「自分自身がしっかりしてから…」みたいな感覚がなくなっちゃったので、そんなありがたい機会があったら「はい、ぜひ」って言うんじゃないかなと。ただ、周りの人に訊くと、美乃里と加賀谷のようなパターンが多いみたいですね。女性から将来のことを質されて、ようやく男性側がちゃんと考えるみたいな。たいがい、男性が具体的に考えていないから、詰めていかないと──という話は、何組かから聞きました。僕が言うのも何ですけど、男性のみなさんはハッキリした方がいいと思います。そう言うと、デートで観に来るのが気まずくなっちゃうかな(笑)。

以前にご一緒した役者さんや監督さんと再会する現場が、もっと増えていったらいいな。

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 千葉雄大 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ここからは、最近の千葉さんご自身のことを掘り下げようと思います。先だって、成田さんがゲスト出演したテレビ番組で、千葉さんのことをお話になっていて…。

あ〜、「苦手な先輩俳優C」ですね(笑)。

そんなふうに言えるのはお互いに信頼関係があるからこそだと思いますが、反対に「後輩俳優N」ならぬ、成田さんに対しては、率直にどのような思いがありますか?

まず「後輩」という感覚が、彼に対してはないんですよね。お互いに性格も違いますし、現場で芝居について「こうしよう、ああしよう」と話すこともないんですけど、「実際に芝居してみないとわからないよね」と、お互いに持ち寄って本番に臨むという感じで進んでいくのが、“僕たちらしさ”みたいなところなのかなと。しかも、成田くんの本番での爆発力というのは本当にすさまじくて、あらためて素敵な俳優さんだなと思いました。

千葉さんの感じていらっしゃる「成田凌らしさ」を言語化すると、どういったものになるのでしょうか?

人の懐にスッと入っていけるところですかね。僕にはそれができないんですよ、まったくと言っていいくらい。だから、そういう部分では羨ましいです。

相手との距離感を考えてしまったりするんでしょうか?

いえ、そんな難しい話ではなくて、単純にできないんですよね。でも、成田くんはナチュラルに人の懐に入っていけるから、羨ましいなぁって(笑)。

なるほど。ちなみに昨年末に吉沢亮さんが「3~4年前くらいに千葉(雄大)くんと飲んでいて、「俺はとにかく監督に言われたことをやろうとしている」と言っていたのを聞いて、『そういう考え方もあるんだな』と思った」(※下記記事参照)とおっしゃっていたんです。そのころのお芝居のスタンスや考え方と、現在とでは変化があったりするのでしょうか?

何となく覚えています。でも、吉沢くんにそんなことを言っておきながら、最近は監督の考え方に自分なりの表現を足すというスタンスにシフトしちゃっています(笑)。ただ、「監督から言われたことに対して、どう向き合うか」というのは、自分がこうしたいからというわけではなくて、相手ありきで変化するものだと思っていて。たとえば、お芝居の中で台本や段取りとは違うアプローチをされてきたら、自分も臨機応変してリアクションしますし、その場で起こったことがすべて、というところがあるんですよね。わりと計算して表現したものって、見透かされてしまうというか。なので、何を大事にして芝居をするかというのは、難しいところでもあるんですけど、起こったことに対して自然に身体が反応するには、台本を読み込んだりして、作品のことを噛み砕く時間が必要だなと、以前よりもいっそう感じるようになりました。台本に書かれていることだけではなく、自分の想像で補完する部分だったり、自分のセリフ以外にも、「なんで、この人はこういう言動をしたんだろう?」と思いを馳せたりしていて。実際に演じるのは僕じゃないんですけど、作品への理解度をより深めたいというところで、いろいろとイメージをふくらませています。

吉沢 亮、“半沢直樹イヤー”でともした新たな灯を2021年の大河に繋ぐ

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2020.01.02

そして、今度は田中 圭さんの千葉さん評を引用してしまうんですが、『おっさんずラブ -in the sky-』の撮影中に「雄大は今、“迷子”になっていると思う。本人も、成瀬としても。だから、どういう着地のさせ方をするのか、すごい楽しみなんだ」と、おっしゃっていて。

それ、僕も圭さんから言われました。「上からだなぁ」と思いながら聞いていましたけど、実際迷子だったと思います(笑)。でも、田中さんが僕のことを見てくれているということも嬉しかったですし、それこそ、その場で起きたことを楽しむ上では、自分の考えにおいて刺激をもらった方でもあるので、ただただ、ありがたいですね。

おっしゃるように、いろいろな方が千葉雄大という俳優に熱い視線を送っているんだなと感じていたので、それをどう受け止めているのか聞いてみたかった、というのが真意でした。最後に千葉さんご自身にうかがいますが、30代を迎えられての心境の変化というところを、あらためてお話いただければ幸いです。

僕は20歳でお芝居を始めたんですけど、たとえば吉沢くんのように、僕よりも若い時から役者のお仕事をされている方たちと同世代の役を演じることが、これまでは多かったんですよね。そういう世代的にはちょっと下の役者さんたちとお芝居の話をする時に総じて思うんですけど、すごい人たちばかりなのに、常に何かを掴もうと熱い心を持っているな、と。プラス、自信を持ってお芝居している人も多くて、そこは自分に足りない部分だったりもするんですけど、人と比べるというよりは、自分自身としっかり向き合う方が大事なのかなと考えているんです。何を望むかというと、自分がどうなりたいというわけではなくて、以前にご一緒した役者さんや監督さんと「久しぶり〜」って再会する現場が、これからはもっと増えていったらいいなということなんです。年齢を重ねるって、そういうことなのかなと、最近になって感じるようになりました。

千葉雄大

1989年、宮城県生まれ。2010年『天装戦隊ゴセイジャー』で俳優デビュー。近年の出演作品に、ドラマ「家売るオンナ」シリーズ(16~/NTV)、連続テレビ小説『わろてんか』(17/NHK)、映画『帝一の國』(17)、『亜人』(17)『スマホを落としただけなのに』(18)『人間失格 太宰治と3人の女たち』(19)など多くの話題作に出演。2020年は本作のほか、映画『子供はわかってあげない』(6月公開予定)に出演。4月からはドラマ『いいね!光源氏くん』(TX)で主演を務める。

オフィシャルサイト
http://www.japanmusic.jp/2010/08/post-74.html

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https://lineblog.me/chibayudai/

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@yudaichibaofficial

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映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』

2月21日(金)公開

【STORY】
長い黒髪の女性ばかりを狙った、連続殺人事件。事件を追っていた刑事の加賀谷(千葉雄大)が、連続殺人鬼の浦野(成田凌)を捕まえて事件は幕を閉じた。 と、誰もが思っていた――。
犯人を捕まえたにも関わらず、同じ殺人現場から次々と発見される、若い女性の遺体。捜査が混迷を極める中、加賀谷は最後の手段として、囚われの殺人鬼・浦野への面会を申し込む。 「お前が、殺したのか……?」
刑務所で自由を奪われた浦野は、かつて自分にネット犯罪の全てを教えた、謎の人物「M」の存在を明かし、自分ならMに近づくことができると加賀谷にささやく。仕方なく浦野と手を組むことにした加賀谷だったが、恋人の美乃里(白石麻衣)が謎の男に狙われていることに気が付く。なぜ犯人は美乃里を狙うのか。これは模倣犯の仕業? それとも浦野の犯行?やがて事件は誰もが予想しない急展開を見せ、加賀谷は自分が愛する者の命だけでなく、自分が抱えるヒミツまでもが危険に晒されてしまう。 ただ、スマホを落としただけなのに……。

出演:千葉雄大 白石麻衣 鈴木拡樹/音尾琢真 江口のりこ 奈緒 飯尾和樹(ずん) 高橋ユウ ko-dai(Sonar Pocket)平子祐希(アルコ&ピース)谷川りさこ アキラ100%・今田美桜(友情出演)/田中哲司 北川景子(特別出演) 田中 圭(特別出演) 成田 凌/井浦 新
原作:志駕晃「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」(宝島社文庫)
企画プロデュース:平野 隆
監督:中田秀夫
脚本:大石哲也
制作プロダクション:ツインズジャパン
配給:東宝
©2020映画「スマホを落としただけなのに2」製作委員会

オフィシャルサイト
http://sumaho-otoshita.jp/

オフィシャルTwitter
@sumaho_otoshita