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「おっさんでも最前線で戦える!」ᎶᏤ (GV) とし選手が語る『モンスト』の出会いと競技シーンの奥深さ【モンスト選手インタビュー(2)】

「おっさんでも最前線で戦える!」ᎶᏤ (GV) とし選手が語る『モンスト』の出会いと競技シーンの奥深さ【モンスト選手インタビュー(2)】

2019年でサービス開始から6周年を迎えたスマートフォン向けアプリ『モンスターストライク』(モンスト)。”ひっぱりハンティング”というキャッチフレーズを携え、世界累計利用者数5,300万人のユーザー数を誇るスマホゲームは今、”競技シーンがとにかくアツい”。2019年11月より開催中の「モンスト プロツアー 2019-2020」では、プロライセンスを所有する全12チームが日本各地を巡り、ステージ攻略時間を競いながら激しくぶつかり合う。賞金総額1億円という大規模な大会を通じて、『モンスト』に命をかけるプロゲーマーの勇姿が大勢の観客を湧き立てているのだ。

そこで今回、『モンスト』プロゲーマーの2選手に競技シーンについてアレコレ語っていただく企画を実施。2人目は現在「ᎶᏤ(GV)」のリーダー ・とし選手をクローズアップ。『モンスト』との馴れ初めから競技シーンへ入ったキッカケ、試合における心構えや普段のライフスタイルなど、パーソナルな部分から今後の展望まで幅広くお話を伺った。

取材・文 / 龍田優貴
取材・構成 / 松井ムネタツ


▲『モンスターストライク』

▲『モンスターストライク スタジアム』

ゲーム全般に興味を示した幼少時代

本日はよろしくお願いいたします。最初にとし選手のパーソナルな部分からお伺いしたいのですが、初めてプレイされたゲームタイトルは覚えていますか?

とし ゲームはファミコンの『ドラゴンクエストII』ですね。確か俺が3~4歳のころでした。『ドラクエII』が発売されて1~2年内に(1988年前後)に遊んでいたと思います。

どうして『ドラクエII』を?

とし キャラクターの絵も含めて、RPGが好きだったのかな。小さい頃からゲーム好きでした。『鉄拳』やったり『ぷよぷよ』やったり、もうゲーム全般好きですね。

小さい頃から普通にゲームを触っていたんですね。

とし そうです。夢中になるとそればっかりやるのは変わらないですけど。ゲームボーイの『テトリス』は、15時間ぐらいぶっ通しで遊んでました。大人になっても普通にゲームを楽しんでいるだけの、いちユーザーでしたね。

友達に誘われて『モンスト』を始めた

では『モンスト』を始めたキッカケは?

とし 最初は地元の友達に誘われて始めました。たしか2017年……ちょうど『モンスト』配信から2周年目に入ったぐらいのときかな。そこから友達以上に自分がハマった感じです。最初の1~2週間はよく分からずやっていたんですが、本格的に熱中し出したのは1ヶ月後くらいですかね。

ハマってからは、周りの友達とモチベーションの差を感じ始めました。自分はもっと難しいクエストをやりたかったんですが、リアルの友達はそこまでの熱量がなくて。なのでそこからは、インターネットの掲示板等で『モンスト』LINEグループを探して入ってましたね。

そのころ知り合った方は今でも付き合いはありますか?

とし 何人もいます。いまのメンバーの☆星☆さんもこのとき知り合いました。

上手なプレイヤーと一緒に切磋琢磨していったのですね。では『モンスト』に出会った後、そのまま競技シーンへ移行したのでしょうか?

とし 競技シーンに参戦したのは、いま同じチームにいるメンバーに何度か誘われたからなんですよ。自分から積極的に参戦したわけではないんです。最初はゲーマーに対して少なからず偏見がありました。なので自分が競技シーンに出ることは抵抗もあって。YouTubeに映るのもイヤでしたし(笑)。だから当初はプロゲーマーになりたいとはまったく思っていませんでしたね。

そこからどのように心境が変化したのですか?

とし たまたま『モンスト』を通じて知り合った方で『モンスト』がめちゃくちゃうまい人がいたんですよ。まあ、それが☆星☆さんだったんですが、その☆星☆さんに何度も誘ってもらったんです。一緒に大会に出よう!と。

そうして何度か誘っていただいているとき、☆星☆さんが僕に対して「どうせ大会に出るなら、うまい人と一緒に出たい」と言ってくれたんです。「この人、『モンスト』うまいな」と尊敬していた人からそんな言葉をかけられて……。とてもありがたかったし嬉しかったので、参加を決めました。

でもこの話、いま☆星☆さんにすると「覚えてない」と言うんです(笑)。

緊張感で帰りたくなった初舞台

▲「モンスト プロツアー 2019-2020」試合風景

そして参加した最初の大会、「モンストグランプリ2018 チャンピオンシップ 中部予選大会」はどのような心境でした?

とし もうね、すぐ帰りたかったです(苦笑)。めちゃくちゃ緊張するし。なので決勝前に「もう帰りたい……」って☆星☆さんに話したんですよ。そうしたら、「優勝したら賞金が出るよ」と教えてくれました。優勝したらプロライセンスや賞金がもらえるというのをまったく知らなくて。「本当ですか!? ……賞金は欲しい!」と言って出ることにしたんです。

そしてこの中部予選では優勝しました。事前にどのくらい練習をしていたのでしょうか?

とし 多少はしていましたが……どのチームよりも練習量は少なかったと思います。チーム練習も週1回ぐらいでしたし、他のチームからしたらビックリするかもしれません。メンバーはみんな仕事が忙しくて集まれなかったので、運良く勝った感じですかね。いまは毎日決まった時間にオンラインで集まって練習しています。

ゲーム内の戦いだけでなく、トーナメント戦に向け戦略をしっかり立てていると伺いました。

とし はい、運を味方につけるための位置取りや、ステージピックはめっちゃ考えますね。プロツアーはタイムアタックRoundので良い成績を収めると、上位チームはバトルRoundで好きなステージを選べるんです。「ウチがAステージをピックすれば、向こうはBステージを選ぶだろう」みたいに予想することもできます。

なので、ポイントを取られても良いチーム、ポイントを持っていかれると危ないチームは事前にチェックしておきますね。バトルRoundのほうがタイムアタックRoundより獲得ポイント量が多いので、総合ポイントで上位にいるチームにバトルRoundで高順位を取らせるわけにはいきません。少しでも自分たちに有利な状況を考えに考えます。

▲いまは毎日練習をしているという「とし」選手

実際の試合が始まる前から準備して、戦う段階で「もう勝てる!」という状況を作るのでしょうか?

とし いろいろなチームの作戦を想像して、それを読んで、読めない部分の対策もします。結局何をされるか分からないので、めちゃくちゃ考えますね。プロツアーはステージが多いからテンパりますけど(笑)。

現在のライフスタイルについてお伺いします。プロライセンスを獲得する前と後で変わったことはありますか?

とし いろんな場所へ出かけるようになったのと、人との繋がりも増えました。他のチーム選手との絡みもそうですし、会場で僕らを知ってくれる人がいてくれたり……。

中学1年生の息子と2人で暮らしているシングルファーザーなのですが、大会で勝つと喜んでくれますね。「かっこよかったね!」みたいな(笑)。ゲームのおかげで尊敬してくれているようです。会社の人も熱心に応援してくれています。

家族も職場も理解ありますね。

とし チケットを買って、会場まで応援に駆けつけてくれた同僚もいました。めちゃくちゃ嬉しいですね。

お子さんと『モンスト』はプレイされますか?

とし やりますよ。僕よりも(ショットを)撃つのが早いですね(笑)。運極作るときは手伝ったり、難しいクエストを協力プレイで攻略します。息子は競技シーン自体にそこまで興味は無いかもしれませんが、会場まで応援に来たときは「ドキドキし過ぎて熱が出た」と言ってましたね。

▲息子さんと一緒に『モンスト』をプレイすることも

自分以上に緊張するのでしょうね(笑)。朝起きるのはだいたい何時ごろですか?

とし 朝6時半から遅くても7時には起きます。朝ごはんを作るスイッチが入ると6時前に目覚めますけど、普通に味噌汁と目玉焼き作ってますよ。子供を送ってそのまま仕事で一日働いて……17時~18時ごろには会社を出て帰宅しますね。

晩ごはんを支度して洗濯を済ませて風呂に入る……と、これだけで3時間近くはかかります。ホント、家事って大変ですよね(汗)。その後は21時から24時までの3時間ほど、チームメンバーでオンラインで集まって『モンストスタジアム』を練習します。空いた時間にひとりでちょこちょこ練習していますが、一番大変なのは家事との両立ですね。

▲ご飯の支度や洗濯など、家事全般がとにかく「面倒!」とインタビュー中は何度もぼやいでいた

1日3時間の練習内容は毎回決まっているのでしょうか?

とし 立ち回りは個々人で考えて、あとはチーム全員で合わせます。ステージごとの得意・不得意を見てから得意なステージに取り組む。他のチームは不得意なステージもやるかもしれませんが、うちは苦手なところはやりません!(笑)

まあ最低限は確認しますけど、気分が乗らないときはやらないです。「なんとかなるやろ」みたいな。プロツアーはトーナメントなので、プレイしたくないステージを避けられるんですよ。だから苦手なステージに練習時間を費やすぐらいなら潔くバッサリ捨てます。

その代わり、タイムアタックRoundで上位にランクインして、嫌なステージを避けるようにします。今までもそうやって苦手なステージは捨ててきました。

直近で大会がある日は練習メニューを変えたりしますか?

とし 本当に直前なら相手チームの傾向を見たり、ピックの考えを固める感じです。そうやってあれこれ考えていても、当日にピックが変わることもあります。「なんでこのキャラに気付かなかったんだ?」なんて事態も起こるんですよ。

”おっさん”でも戦える『モンスト』の競技シーン

ご自身が考える『モンストスタジアム』に必要な技術とは何でしょう?

とし メンタルじゃないですか? テクニックに目を向けるなら反復練習が大事だと思います。『モンストスタジアム』の競技シーンってみんなに可能性があると思うので。現段階で別に10代や20代が圧倒的に強いわけでもないですから。おっさんには夢があるのかもしれませんね。

確かに年齢には左右されませんね。

とし とはいえ難しいゲームなんですよ、引っ張るだけなのに。簡単じゃないですし、すごく奥が深いんです。プロの全国チャンピオンと一般ユーザーで決定的な差ってそこまで無くて、プロがアマチュア相手に勝率8割あれば凄いんじゃないですか。それだけ極めるのも難しい。飛び抜けるなら尚更でしょう。

僕は「アマチュアの子と試合して絶対に勝てるか」と言われたら「そんなことない」と思っているので。自分たちで強いと思ったことはないんですよ。「下手くそだな」って言いながら練習しています(笑)。

▲「モンスト プロツアー 2019-2020」試合風景

試合が始まる前、自分自身やメンバー間で決まったルーティーンはありますか?

とし メンバー全員で掛け声を出したり。あとは相手チームの出場メンバーの顔を見ます。目が泳いでいる子や焦っている子を観察してますね。自分が緊張するので、自分より緊張しているやつを探すんです。「コイツに比べたら俺は死ぬことないわみたいな」みたいな(笑)。

やはり勝敗が決した瞬間は盛り上がりますか?

とし 勝ったときはめちゃくちゃ嬉しいんですよ。でもそういう感情表現は試合を重ねるに連れて変わりましたね。一番最初のキッカケはIeSF主催の「第10回 eスポーツ ワールドチャンピオンシップ」です 。台湾での試合だったんですが。観客と言葉が通じないから感情をむき出しにするしかないなと思って、勝ったときガッツポーズしたりしたんです。以降は勝ったときも負けたも感情を表現するようにしています。

過去の試合で最も嬉しかった瞬間はありましたか? 逆に大変だった場面は……。

とし 大変だと感じたことは無いですね。ほかのeスポーツ大会をしっかり見たことは無いですが、『モンストスタジアム』の運営陣って手際が良いので。選手側としては何の不満はありません。過去の試合で嬉しかったのは、「モンストグランプリ2018 チャンピオンシップ 中部予選」で優勝したときです。息子を初めて会場へ連れてきたので嬉しかったですね。

今後の競技シーンにかける想い

現役選手として活躍するのはもちろん、今後も『モンスト』の競技シーンに関わりたいと考えていますか?

とし 若い世代に凄い選手が出てきたり、インパクトの強いチームが現れたら引退します。パフォーマンスとプレイスキルを両立させるのって難しいじゃないですか。もし喋りが達者で盛り上げ上手、なおかつ戦績も残せる選手が出てきたらすんなり辞めます。辞めてその選手たちを応援する。試合を現地で見るのって楽しいんですよね。

▲「モンスト プロツアー 2019-2020」試合風景

いま一番成し遂げたい目標はなんでしょうか?

とし これはもうモンストグランプリで優勝ですね。こっちの勝率は3%、たくさん頑張っても5%ぐらいだと思います。でも数百チーム中で5%なら良いほうじゃないですか。たとえプロチームじゃ無くなっていたとしても、モンストグランプリがある限り出続けます。それでプロの看板を持っている子たちを煽りたいんです。「アマチュアに負けたんですか?」って(笑)。

予想外の展開で盛り上がるかもしれませんね(笑)。では最後に伺いますが、あなたの人生において『モンスト』とは?

とし ”出会い”ですね。個人的に人と人をつなぐツールだと思っています。だって、おっさんになってから夢中になることって少ないじゃないですか。

部活動っぽく、仲間であり友人であるチームメイトと練習する。同じモチベーションで大会に参加し、負けたら悔しいし、勝ったら嬉しい。これは他のチームを見ていても思い入れがあるんですよね。だから『モンスト』は出会いであり、繋がりです!

【第7戦 名古屋】モンスト プロツアー 2019-2020

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