LIVE SHUTTLE  vol. 392

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ONE OK ROCK 新たなフェイズへ突入したアルバムの世界観にフロアが揺れ熱気が渦巻いた一夜をレポートする。

ONE OK ROCK 新たなフェイズへ突入したアルバムの世界観にフロアが揺れ熱気が渦巻いた一夜をレポートする。

ONE OK ROCK 2019 – 2020 “Eye of the Storm” JAPAN TOUR
2020年1月30日 国立代々木競技場第一体育館

アルバム『Eye of the Storm』のリリースからおよそ1年。2~3月の北米ツアーを経て、9月からスタートした「“Eye of the Storm”JAPAN TOUR」がファイナルの地に到達した。1月30日、東京・国立代々木競技場第一体育館。過去を振り切り、新たなフェイズへ突入したアルバムの世界観を、4人はどんな風に表現してくれるのか。満員のオーディエンスの人いきれで床が湿るほど、熱気したたるフロア。時刻は18時半、嵐を呼ぶライブが始まる。

オープニングは「Eye of the Storm」。ステージは暗いまま、紗幕に映し出された3D CG化されたメンバーの顔が、生き物のようにうねる。「今日はおまえらに、オレらの集大成を見せてやるぜ!」――Takaの叫びと共に「Take me to the top」へ、まばゆい光がはじけてバンドが一気に加速する。容赦なく鼓膜を揺さぶる爆音。だが、Tomoyaの強力なキックの音より手拍子が、Takaの絶叫よりもオーディエンスの歌が、2階のてっぺんにいると大きく聴こえる。「We are」の大合唱が、大空間いっぱいに響き渡る。待ちに待ったツアー・ファイナル、オーディエンスの気迫も半端ない。

「楽しい日にしましょう。奇跡の日にしましょう。手加減しねえぞ、そのつもりでいろよ!」

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Tomoyaのパワー・ドラムがリードする、ぐっとヘヴィなミドル・チューン「Taking Off」。花道を駆け抜け、センターステージで歌うTakaをすさまじい大歓声が取り囲む。Toruのパンキッシュなリフから始まるスピード・チューン「Re:make」では、RyotaとToruがステージ左右へと走り出しオーディエンスを煽る。「まだ全然昨日を超えれてないぞ!」と挑発するTaka。淡々としたループの中に解放感を潜ませた「Can’t Wait」は、英語のサビもみんなが歌う。『Eye of the Storm』を誰もがよく聴き込んでいる。

Ryota 「めっちゃ気合入りすぎて、しゃべること飛んだわ。オレらの気合に負けずにみんなも楽しみましょう」

Tomoya 「長かったツアー、みんなのおかげでここまで来ました。今日はツアーで積み重ねたものを全部受け取ってほしいと思います」

Toru 「最後なんで、言うことはそんなにないです。出せるもの全部出して返します」

Taka 「今日はできることを全部やる。死んでもいいつもりで来ました」

四者四様、飾りのないMCに個性がにじむ。ここからドラマチックなミドル・チューン三連発でまたも会場全体の大合唱になった「Clock Strikes」、Takaの歌とToruのギターで始まり、バンドが加わり壮大なサウンドに発展する「Head High」、そしてTakaが渾身のシャウトを振り絞る「Grow Old Die Young」。アメリカン・スタイルのスタジアム・ロックに傾倒する、近年のONE OK ROCKにとって最も得意とする巨大スケールのサウンド。すごい迫力だ。

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ここでちょっと一息。オーディエンスの中から4人を選んでステージに上げ、メンバー自ら直撃インタビュー。日本のロック・シーンではまず見られない光景だが、エンタメ的には全然ありで、Takaの軽妙なトークに会場が沸きに沸く。小学生の少年がドラムをやっていると聞くと、Tomoyaのセットに座らせてビートを叩かせ、「10年後にはドラマー代わってるかもね」と笑うTaka。ONE OK ROCKのライブってこんな親密なんだと、初めて観る人は驚くだろう、ほほえましいシーン。

「Change」から「Worst in Me」へ、ライブ中盤にはじっくり聴かせるスロー/ミドル・チューンが並ぶ。そのピークが「Be the light」で、近年の世界で起きる様々な悲劇に触れ、「これ以上悲しいことが起きないように」と、祈るようなTakaのMCに続いて歌われた「Be the light」では、オーディエンスが掲げるスマホのバックライトが美しく会場を包み込む。Tomoyaがピアノを弾く「In the Stars」では、スモークとレーザーが息をのむほど美しい地平線を作り出す。この2曲はONE OK ROCKにとってのラブとピースのメッセージ。ビートルズの昔から、ラブ&ピースを歌い続けてきたロックンロール。そのメッセージは2020年の今も、ONE OK ROCKの中に確かに息づいている。

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Toru、Ryota、Tomoyaのプレイヤビリティの高さを見せつける、やりたい放題の楽器バトルを経て、ライブは後半戦へ。アリーナ後方に突如姿を現したTakaが、客席を猛スピードですり抜けてステージに駆け上がり「Push Back」を歌いだす。「ここから止まらねーぞ!」「ファイナル、そんなんでいいの?」とオーディエンスを煽りながら、さらにスピードを上げて「キミシダイ列車」「じぶんROCK」へ。Tomoyaの叩きだす強力なリズムに乗り、ToruとRyotaがセンターステージへ飛び出して颯爽と弾きまくる。『Eye of the Storm』の楽曲と、それ以前のものはかなり音色が異なるが、ライブという現場では違和感なく溶け合う。この4人が演奏すればONE OK ROCKだ。メンバーもファンもそう確信している。

ここでTakaが長いMCをした。2年前の「第二章」開幕、変わらぬ4人の絆、ロックが大好きなこと、そしてファンへの感謝と共闘――。しゃべりだしたら止まらない胸の内を、「当たり前と言われることを全部ぶっ壊して歌っていきます」と言って締めくくったTaka。ここまでストレートに熱い思いをぶちまけるMCは、ひょっとして時代錯誤かもしれない。が、これがONE OK ROCKだ。Takaとオーディエンスの声が一体化した「Giants」のリフレイン、“We Can Be Giants”という熱い叫びが、今も耳の奥でこだましている気がする。

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剛速球のエイトビート・チューン「The Beginning」、そしてヘヴィメタリックなラウド・チューン「Mighty Long Fall」。ブロックで仕切られたエリアごとにサークル・モッシュが起きる、フロアの熱狂がクライマックスに達すると同時に、今日のライブもいよいよクライマックス。「無駄な夜など一つもない」――ミドル・テンポの壮大なスタジアム・ロック・チューン「Wasted Nights」に込めたメッセージは、この特別な夜を締めくくるのに最もふさわしい。最後の最後、Takaがアカペラで最高にかっこいいフェイクを決めた。ここまで2時間半歌い続けて、息一つ切らさない。なんというスーパー・ボーカリストだろう。

「最高のツアーでした。また会いましょう!」

アンコール1曲目は、トラックと生演奏を融合させたダンス・ロック・チューン「Stand Out Fit In」。スクリーンに大写しになるTakaの表情が、もう少しで感動が目から零れ落ちるのをこらえているように見える。「これからも、何が起きてもONE OK ROCKはあきらめません」――決意を込めた言葉と共に歌われた、この日の本当のラスト・チューンは、10年前にリリースされた大ヒット・チューン「完全感覚Dreamer」だった。もう飽きてるけど、なぜやるのか、それはみんなが楽しんでくれるから――。素直じゃないTakaの言い回しの中に、これまでの長く曲がりくねった道のりの重みがにじむ。まるで10代のパンクバンドのような1曲入魂の全力プレーに、これから始まる未来への衝動が潜む。

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このあと3月31日、4月1日に愛知での追加・振替公演を残しているが、名目上のファイナルとなったこの日のライブで4人が示したもの。それは、トラックメイキングの手法を駆使して精密に構築された、アルバム『Eye of the Storm』から始まったONE OK ROCK第二章を、ライブという場で肉体化しながら突き進んでゆく揺るぎない決意。最後に「今年また会おうや!」とToruは言った。信じた道を突き進む妥協なきチャレンジャー、ONE OK ROCKからまた新しいニュースが届くのを、楽しみに待っていよう。

文 / 宮本英夫
撮影 / Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)

ONE OK ROCK 2019 – 2020 “Eye of the Storm” JAPAN TOUR
2020年1月30日 国立代々木競技場第一体育館

セットリスト

01. Eye of the Storm
02. Take me to the top
03. We are
04. Taking Off
05. Re:make
06. Can’t Wait
07. Clock Strikes
08. Head High
09. Grow Old Die Young
10. Change
11. Worst in Me
12. Be the light
13. In the Stars
14. instrumental
15. Push Back
16. キミシダイ列車
17. じぶんROCK
18. Giants
19. The Beginning
20. Mighty Long Fall
21. Wasted Nights
<アンコール>
En1. Stand Out Fit In
En2. 完全感覚Dreamer

ONE OK ROCK

2005年にバンド結成。エモ、ロックを軸にしたサウンドとアグレッシブなライブパフォーマンスが若い世代に支持されてきた。
2007年にデビューして以来、全国ライブハウスツアーや各地夏フェスを中心に積極的にライブを行う。これまでに、武道館、野外スタジアム公演、大規模な全国アリーナツアーなどを成功させる。2016年には11万人規模を動員する野外ライブを、2018年は東京ドーム2日間を含む全国ドームツアを開催。
日本のみならず海外レーベルとの契約をし、アルバム発売を経てアメリカ、ヨーロッパ、アジアでのワールドツアーを 成功させるなど世界基準のバンドになってきている。2019年2月にはニューアルバム『Eye of the Storm』を全世界で同時リリースが決定。

オフィシャルサイト
http://www.oneokrock.com/jp/

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