モリコメンド 一本釣り  vol. 156

Column

Reol “日本発の新たなポップアイコン”として世界的なブレイク必至。その魅力とは?

Reol “日本発の新たなポップアイコン”として世界的なブレイク必至。その魅力とは?

2019年12月30日公開されたReolの「HYPE MODE」のティザームービーは、大きな反響を呼んだ。80年代のファンクを現代的なダンスミュージックに昇華させたトラック、気持ちよく飛び跳ねるようなメロディ、独創的な言葉遊びを交えたリリック、キャッチーにしてキュートなボーカルが共存する楽曲のクオリティ、そして、フォトグラファーの磯部昭子、映像クリエイターのお菊とともに制作されたビビッドな映像。アップル社「App Store」のCMに起用されたこの曲は、Reolの創造性の高さ、グローバルな魅力を改めて示した。

2012年にインターネット・シーンを中心に活動をスタートさせ、2015年に“れをる”名義でアルバム『極彩色』を発表。その後、3人組ユニット“REOL”として活動した後、2018年から再びソロアーティスト“Reol”としてリスタートし、CONNECTONEレーベルからフルアルバム『事実上』をリリースした彼女。様々なスタイルを経験しながら彼女は、自らの音楽性を確実に築き上げてきた。

Reolのルーツはじつに多彩だ。幼少期からピアノを習い、小・中学校では金管バンド、吹奏楽部を経験。クラシックを聴き、演奏することで音楽の素養を学んだ彼女は、YUKIの「JOY」をきっかけにポップスの世界に興味を持ったという。ご存知の通りYUKIは、音楽性、ビジュアル、映像、ステージングを含め、セルフプロデュースによる総合的なエンターテインメントを体現し続けているアーティスト。Reolが楽曲、アートワーク、グッズ制作、ライブ演出などをトータルで手がけているのはまちがなく、YUKIの影響だろう。

その後、ネットシーンに活動の場を求めたReolは、ボーカロイド系の楽曲、“歌ってみた”のシーンにも接近しながら、自らの知名度を高めていく。クラシックで音楽の基礎を獲得し、YUKIを入り口にしてJ-POPの可能性を実感し、ネットシーンに触れることで現代的なポップミュージックの在り方を吸収。その遍歴は彼女の音楽の多様性に結びついている。

実際、EDM、エレクトロ、R&B、ヒップホップなどの要素を織り交ぜた音楽性、アジア的なエキゾチズムを感じさせるビジュアルは、海外でも高い注目度を誇る。ストリーミングサービスでも数多くの海外リスナーを獲得、2018年末から2019年に韓国・ソウル、中国の広州、上海、北京でツアーを行った際も、現地のファンを熱狂させるなど、活動の規模は既にアジア全域を捉えつつある。前述した「HYPE MODE」がアップル社「App Store」のCMに抜擢されたのも、彼女の音楽がワールドワイドな魅力を持っていることが理由だろう。

2020年の最初のアクションは、最新アルバム『金字塔』だ。このアルバムの嚆矢となったのは、2019年3月にリリースされた「文明EP」。食、性、睡眠といった根源的な営み、川のほとりに生まれた文明の始まり、そして、欲望と絶望、夢と諦念が混ざり合いながら、発展と進化(ときには退化や滅亡)を繰り返してきた人間の軌跡を描いた「文明EP」の完結編とも言えるのが、本作『金字塔』なのだ。

こう説明すると“大仰なコンセプトアルバム”という印象を持たれるかもしれなし、実際、このアルバムに描かれているものは相当に壮大だが、最新のダンスミュージックを軸にしたサウンドはきわめて快楽的だし、現代社会に向けられたメッセージは共感性も十分。そう、“ポップスとして楽しんでいるうちに、重層的なアルバムの世界に引き込まれる”という構造こそが、本作の魅力なのだと思う。

エキゾチックな雰囲気のエレクトロサウンドと“1.汝、胸の高鳴りだけを聞けよ、聞けよ”というフレーズが響く表題曲「金字塔」から幕を開ける本作。トライバルなビートとともに“同調圧力を脱し、自分自身を解き放て”というメッセージが突き刺さる「ゆーれいずみー」、ミディアムテンポのバラード風からはじまり、目まぐるしくビートを変化させながら、ハーメルンの音をモチーフにした歌詞を描き出す「ハーメルン」など、トラック、言葉、ボーカルが刺激的なバランスで混ざり合う楽曲が並ぶ。日本語の歌詞に鋭利なグルーヴを与えるReolのボーカルはもちろん、トラックメイカーのGiga、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)、Masayoshi limoriによる先鋭的で超キャッチーなサウンドメイクにもぜひ注目してほしい。

2020年2月から3月にかけて、本作を携えた全国ツアー「Reol Japan Tour 2020 ハーメルンの大号令」を開催。4月4日には神奈川・神奈川県民ホールで同ツアーの追加公演が行われるなど、ライブの規模もさらに拡大している。今年Reolは“日本発の新たなポップアイコン”として世界的なブレイク果たすことになるはず。ここから始まる彼女の新たなストーリーをぜひ、多くの音楽ファンと一緒に共有したい。

文 / 森朋之

その他のReolの作品はこちらへ。

オフィシャルサイト
https://www.reol.jp

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