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ドラクエ好きの元極道!?『龍が如く7 光と闇の行方』まさかのRPGがもたらす楽しさの極致

ドラクエ好きの元極道!?『龍が如く7 光と闇の行方』まさかのRPGがもたらす楽しさの極致

『龍が如く』ファンが待ち望んだナンバリングタイトルの完全新作、『龍が如く7 光と闇の行方』。シリーズおなじみの伝説の極道・桐生一馬から主人公が変更になったというニュースは、多くのファンを驚かせたことと思います。ゲームの主な舞台も今までの神室町から横浜の“伊勢佐木異人町”という街になりました。今までに展開されてきたストーリーの流れが変わった印象の本作ですが、新たに登場した“龍”の物語は、いったいどう紡がれていくのでしょう。本稿では2回にわたり、この気になる作品の魅力を探っていきます。まずは本作のトレイラームービーをご覧ください。

文 / 内藤ハサミ


冒頭から特濃の物語が展開!

物語が始まるのは『龍が如く』シリーズでは定番となる、東京・神室町です。主人公の春日一番は、神室町のとある風俗店で生まれました。その店のソープ嬢であった母親は生まれたばかりの春日を残して失踪し、父親は誰かもわかりません。春日は店長とソープ嬢たちの手によって育てられます。肉親を知らず闇を内包する神室町の街で育った春日は、東城会の三次団体である荒川組の組長・荒川真澄に命を救われたことにより、ヤクザの道へと入っていくのです。東城会といえば、本シリーズをプレイしていれば説明不要ですが関東最大の極道組織です。今までのシリーズで主人公を務めた桐生一馬も4代目会長を務めていましたね。

龍が如く7 光と闇の行方 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲主人公の春日一番。末端のヤクザなので借金の取り立てなど細かいシノギに精を出すも、その一本気な性格から卑怯な手段でお金を巻き上げてくることができず、成果はまったくあげられません

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▲そんな性格だからか、仕事をキッチリするタイプの若頭・沢城(出演・堤 真一)からは毛嫌いされています

そんなある日、春日は誰よりも敬愛する組長・荒川真澄から若頭・沢城丈の犯した罪を被るよう頼まれ、18年もの長い刑務所生活を送ることになってしまいます。親っさんの役に立てるならと喜んで服役した春日ですが、長い刑期を終えてシャバに出てきたときには、彼を温かく出迎えるはずだった荒川真澄はどこにもいないどころか、どうやら関西の敵対勢力・近江連合に寝返ったらしいという噂が聞こえてきます。そして、やっと出会えた荒川真澄に春日は胸を撃たれ、伊勢佐木異人町のホームレス街へと捨てられてしまうのです。……ここまでで語られる春日の人生は、踏んだり蹴ったりです。全てを失い他人の罪を被って18年を塀のなかで過ごさざるを得なかったうえ、この世で最も深い信頼を寄せていた人物からもひどい裏切りを受けてしまった春日。これ以上はないというほど、身も心も打ちのめされてしまいます。

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▲非情にも春日の胸を打ち抜く荒川真澄(出演・中井貴一)。何がどうなってるの!?

導入部のストーリーをさらっと書いたつもりなのですが、思い入れのある場面なので長くなってしまいました。ここまでのプレイ時間はごく短いものでしたが手に汗を握り、切なさで胸が締め付けられ、感情を揺さぶる大きなパワーであっという間に本作の世界へと引き込まれるんですよね。酷い裏切りを受けたにも関わらず、「俺のなかで最高の男は親っさんだけ」と荒川真澄へ尊敬の念を持ち続ける春日はとてもけなげです。まさにどん底というほかはない境遇に落とされながらも、性格は明るく真っすぐで少しおっちょこちょい。クールな桐生一馬とは一見、正反対のタイプに見えます。

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▲おそらく誰もが好きになってしまうであろう元・看護師のホームレス、ナンバ(出演・安田 顕)。最初は排他的に見えた彼とも行動を共にするうちに打ち解けていきます

さて、横浜の伊勢佐木異人町にあるホームレスの集落で目を覚ました春日は、撃たれた傷の縫合をしてくれたホームレスのナンバ、元刑事の足立、伊勢佐木異人町にあるキャバクラの雇われママである紗栄子と次々に出会い、共に戦うこととなります。さまざまな理由から春日に手を貸す彼らの性格は実に個性豊かで、いわゆる“品行方正なイイ人”からは程遠いうえ、それぞれに皆が大きな悩みや秘密を抱えています。ですが彼らと触れ合うほどに共感し、好きになってしまう魅力がいっぱいなのです。

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▲とある人物の葬儀で紗栄子と出会うことに。初めはツンツンしている印象でしたが、じつは優しく情に厚い人間です。彼女もまた、ワケアリの事情と悩みを抱えています

仲間とともに伊勢佐木異人町で起こっている異変を探るうち、この街を支配している三つ巴の組織、極道“横浜星龍会(よこはませいりゅうかい)”、韓国マフィアの関わる謎の団体“コミジュル”、中国マフィア組織“横浜流氓(はんぴんりゅうまん)”の存在が浮かび上がってきます。彼らは、各組織が水面下でにらみ合っていることで外部組織を寄せ付けない肉の壁、通称“異人三”と呼ばれます。ある事件の真相を追ううちに春日と仲間たちは横浜裏社会の成り立ち、その裏に隠された驚くべき意図、さらに大きく恐ろしい存在が暗躍していることも知ります。細かい違和感やヒントのピースがカチリとはまっていき、徐々に巨大な陰謀が浮かび上がってくるという演出は非常に巧みです。一刻も早く物語の先を知りたいとプレイの中断すら惜しいほどでした。さまざまな歴史、力関係、思惑が複雑に絡み合った社会のなかで、はぐれ者たちが身を寄せ合い必死に生きている姿は表の社会からチラリと見ただけでは到底わからないもの。そこには魅力的な人間の生きざまがあるのです。

シリーズとRPGの要素が融合した新バトルシステム

リアルタイムのアクションが特徴だった『龍が如く』シリーズのバトルですが、今回はこのシステムが大きく変わり、コマンド選択式の王道ともいえるRPGバトルとなっています。戦闘では主人公の春日一番をはじめ、仲間たちと一緒に力を合わせて敵に立ち向かっていくことになるのです。仲間になるキャラクターは前述した3人のほかにも何人か存在します。

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▲オーソドックスなシステムのRPGをプレイしたことがあれば、特に説明を受けなくてもプレイに入っていけるでしょう

HP(ヘルスポイント)、MP(メンタルポイント)という体力と極技(キャラ・ジョブ固有技)を使用するためのポイントが設定され、敵のHPをゼロにして勝利し、レベルアップのための経験値を得るというスタンダードなコマンド選択型バトルが戦闘のベースです。それに加え、MPを使って発動する極技を使ったときにタイミングよくボタンを入力することで敵に与えるダメージがアップしたり、ダメージを受ける直前にタイミングよく×ボタンを押すとジャストガードになったりするなど、リアルタイムで積極的に戦闘の支援をすることが可能です。この点は泥臭い喧嘩をより盛り上げ、気の抜けない戦いを演出する面白さかと思います。また、敵味方ともキャラクターは常に周辺を移動しながら戦っており、近くにいる味方が追撃をしてくれたり、敵への進路に障害物があればそれを使って攻撃したりもしてくれます。路上、室内、広場と戦う場所によって戦闘の流れが少し変わってくるというのも面白い要素でしょう。その場の状況に合わせて臨機応変に戦うというのは、実に小気味よいですよね。

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▲タイミングを合わせたり連打してボタンを押すことで極技に追加ダメージを付与する、“ジャストアクション”。成功すると“+DMG”と表示されます

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▲うまく入力が決まり、大ダメージを与えることができました。後半は敵も硬くなってくるので、特にボス戦では重宝します。ところで……この戦いの状況は気になりますよね、やっぱり。この衝撃画像の真実については、次回の記事で詳しく紹介します

うまくいけばスムーズで有利な戦闘の流れを積極的に作っていける一方で、戦闘時の地形や戦況によっては攻撃をするための移動に時間がかかりすぎるなど、バトルのテンポがやや悪くなってしまう点が見られました。また、ストーリーの途中から選べるようになるオートバトルについてですが、極技禁止(通常攻撃のみ)の作戦にしていなければ温存しておきたい回復効果のあるアイテムなどを気軽に使ってしまうなど、不便に感じた点もあります。ただ、ときにはクール、ときにはコミカルに喋って動きながら戦う仲間たちの姿は実に楽しく戦闘を盛り上げるので、多少大味な点があっても戦闘自体に飽きがくることはありませんでした。

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▲何も考えずに「レベル上げしたいな~」というときは、街中にいつもブラついている格下の敵を相手に極技禁止でのオートバトルを設定して戦わせ、経験値稼ぎをするのが便利です

先ほど“王道RPGのような”と述べましたが、さらにそれらしいシステムがまだあります。本作のキャラクターには春日だったら“勇者”、ナンバだったら“ホームレス”などの“ジョブ”が設定されているのです。ジョブはキャラクター固有のものと共通で選べるものがあり、一定条件を満たせばハローワークで変更することができます。

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▲スクリーンショットを見てください! 本当にハロワで転職するんです!

例えば、“用心棒”であれば刃物で敵を出血の状態(攻撃のターンがくるたびにHP低下)にできたり、“アイドル”であればその魅力で味方に回復、敵にステータス異常を引き起こさせたりなど、ジョブによって使える極技が違います。男女それぞれ就ける職業は違うのですが、どれもブッ飛んだ戦いかたができるので、転職させてその戦いを見るだけでも面白いです。ジョブはとある条件を満たすことで徐々に解放されていきます。特に紗栄子はどんな職業になってもパンチが効いていて最高です。いつもは“アイドル”のジョブで戦わせていますが、アイドルらしくキャピキャピと可愛らしい極技発動の声と、敵の技を受け怒り状態になったときのドスが効いた恐ろしい声になるギャップがたまらなく素敵……!

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▲パワータイプの職業、“解体屋”。コスチュームも数種から選べるので、足立さんには真っ青のアニマル柄作業着を着てもらいました。目立つ~

春日の専用ジョブに“勇者”があるのはなぜか。それはゲーム中で何度も語られ、実は彼の行動原理のひとつにもなっていることなのですが、春日は生粋の『ドラゴンクエスト』ファンで勇者に憧れているという設定があるからなのです。とってつけたおふざけ要素なのかと思いきや、そうではありません。ストーリーを進めていけば、彼がなぜ勇者に憧れているのかということもわかるでしょう。そして同時に今作の戦闘システムについてもしっくりとくるはず。彼の生い立ちや性格を考えれば、勇者になりたいと願う純な心は見る人の心を打つはずです。

主人公交代、戦闘システムの変更など新世代シリーズの幕開けとなった『龍が如く7 光と闇の行方』。壮大なストーリーの盛り上がりと、それとは逆を行く戦闘時に変化するユニークな敵の外見やジョブシステムなどのおふざけ要素は実にミスマッチではありますが、それこそが本作独特の味となり楽しさの極致に導くことも確かです。シリアスにもおふざけにも全力投球している熱い魅力は、以前までのシリーズが好きなファンにも、まだ『龍が如く』シリーズを遊んだことがない方にもぜひおすすめしたいところ。次回記事では、この世界の複雑な輪郭を際立たせ深みを感じさせるサブストーリーや楽しさの演出など、さらに本作の魅力を追っていきます。

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龍が如く7 光と闇の行方 ロゴ

■タイトル:龍が如く7 光と闇の行方
■発売元:セガゲームス
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:ドラマティックRPG
■対象年齢:17歳以上
■発売日:発売中(2020年1月16日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各8,390円+税


『龍が如く7 光と闇の行方』オフィシャルサイト

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