Interview

ドラマ『ホームルーム』で女生徒を偏愛する教師を怪演。 “新時代の怪優”山田裕貴の芝居論に迫る!

ドラマ『ホームルーム』で女生徒を偏愛する教師を怪演。 “新時代の怪優”山田裕貴の芝居論に迫る!

本領発揮、と言わずして何と言おう。先ごろ、『情熱大陸』でもクローズアップされた29歳の熱き怪優・山田裕貴が、異色の学園ドラマ『ホームルーム』で、ほとばしるような芝居熱を余すことなく解き放っている。

生徒たちに理解を示し、ラブリンの愛称で慕われる表の顔とは別に、可憐で清楚な女生徒・桜井幸子(秋田汐梨)に偏愛を寄せる美術教師・愛田凛太郎役は、まさしく狂気スレスレのキャラクター。変態のひと言では片付けられない、表とウラの顔を持つ人物を徹底的に掘り下げて演じたことで表現の幅をさらに広げた山田の、芝居に対する思いを深掘りした。

取材・文 / 平田真人 撮影 / ヨシダヤスシ


新たな一面というよりも元々僕が持っているものを出している、という感覚。

ホームルーム 山田裕貴 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ヒロイン・桜井幸子役の秋田汐梨さんは、『惡の華』(19)という映画でもものすごく印象的な役柄を演じていらっしゃって。山田さんも出演された『デメキン』(17)でご一緒した伊藤健太郎さんの主演映画なんですが、秋田さんの話を健太郎さんから聞いていた、ということは…?

最近、健太郎とは全然会えていないんですよ。なので、汐梨ちゃんがどんな女優さんかというのは、『ホームルーム』の現場で初めて体感したんですが、実際に共演してみたら、お芝居を始めた頃の僕の力量を軽々と飛び越えていて。何年か経ったら朝ドラのヒロインを演じているんじゃないかな、と僕は思っています。すごく自然なお芝居をするんですよね。それを目の当たりにして、「どうなってるんだ、この子のポテンシャルは!」と圧倒されました。と同時に、台本を素直に受け入れて演じられる…小手先ではなく、しかも解釈を間違えるわけでもなく、ただただシンプルに台本に書いてあるとおりに表現できる、簡単なことだからこそ難しいことができる最高の女優さんだなという思いを、撮影が進むごとに強めていった覚えがあります。

まだ16歳と若く人生経験も年相応なのに、鬼気迫る芝居には息を呑みました。

逆に経験が少ないからこそ、まっさらでピュアなんだと思います。何も知らないからこその強さっていうのを、汐梨ちゃんからは感じていたりもするんですよね。

第3話より

山田さんとは13歳の年齢差がありますが、そこについて何か感じていたりもするのでしょうか?

単純に29年分の人生なりの深みはあるんじゃないのかな、と思います。俳優を始めてから丸9年、養成所に通っていた時から数えると11年くらい経っているんですけど、正直、何をもって深いとするのか、もしくは浅いと言うのかは今ひとつわからないんですけどね(笑)。

では、同時期に『SEDAI WARS』や映画『嘘八百 京町ロワイヤル』で、さまざまな役どころを演じていらっしゃいますが、このタイミングで『ホームルーム』の愛田先生=ラブリン役のようなエキセントリックなキャラクターを演じることに、どんな思いがあるのでしょうか?

僕ら俳優って、ある作品の役で知れ渡ると幸か不幸か、そのイメージで固定されかねないんですよね。だからこそ変身し続けたいという思いがあって。「役はあくまで役で、山田裕貴自身は違いますよ」と改めて言うのも変なんですけど、役によって顔つきとか雰囲気が変わって当たり前で、もちろん、お芝居をしている時はいっさい嘘がないようにと心がけていますけど…何だろうな、縄で縛られていてもスルッとすり抜けられるようにカタチを変えていけるというか、「あれ、山田裕貴はまた違う顔になってるよ!」と思われるような俳優になりたくて。そういう意味では、ラブリンみたいに今までとは違う方向に振り切ったキャラクターをいただけたのは、すごくうれしかったです。

ただ、確かにこういう役を演じるのは初めてなんですけど、僕の中には確実に『SEDAI WARS』の柏木 悟も、それから愛田にも近い感覚が息づいているんです。なので、みなさんの目には新鮮に映るのかもしれないですけど、新たな一面というよりも元々僕が持っているものを出している、という感覚です。

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それこそ、敬愛しているゲイリー・オールドマンの境地に少しずつ近づいていると実感されますか?

そうですね、と言うのもおこがましいですけど、本当に少しずつですけど、近づけているのかなと思えるようになってきたところもあります。もうすぐ出演作が100作目くらいに届くんですよ、僕の記憶が間違っていなければ。できることなら「怪人100面相」になりたいなと思っていたんですけど、ありがたいことに100作を超えるのは確実なので、次は「怪人300面相」を目標にしようと思います(笑)。

以前、ある俳優さんが話していたんですけど、役ごとに顔を取り替えられたらどれだけ楽だろう、と。山田さんもそんなふうに思うことがありますか?

そんなことができたら、どれだけ楽かなって。毎回、新しい役に入るたびに「消えろ、俺!」と思いますから(笑)。考えてみたら、俳優って自分のことより役のことを常に考えていて、人の気持ちがわからない人には務まらないのかな、と。僕は生涯俳優でいたいから、出会う人すべてに対して「どんなことを思って生きてきたんだろう?」と知りたくなりますし、人の気持ちがわかるようになれば、自然と演技がうまくなるんじゃないかなって。

なるほど。では、そこを踏まえてお訊きします。山田さんにとって「うまい芝居」と「良い芝居」の違いは、何でしょう?

僕がそれを語るにはまだ早いんでしょうけど…「うまい芝居」は“間”とかテンポ、声色をうまく使って演じ分けていく、テクニカルな印象があります。「この音圧でこういうふうにセリフを言えば、こう聞こえるだろう」っていう計算ができるというか。でも、それに勝るものは気持ちとか魂だと思うんです。たっぷりと間をとって、深〜く「ありがとうっ」という芝居に気持ちが込もっていれば、計算したのとは違って聞こえるんじゃないかなって。ただ、気持ちが入ってなくても、いかにも“らしく”演じることも可能じゃないですか。いわゆる“ガワ(外側)”だけ見せることは、ある程度の経験を積めばできるようにはなるんですけど、やっぱり見る人の心には響かない。だから、僕は役には入り込んでいたいんです。本当に心から「俺はその人なんだ」と思い込んだら、役に入り込めたという実感をしたことが何度もありますし、もちろん、役と芝居に取り組んでいるすべての時間が「山田裕貴じゃない時間」だったかというと、そういうわけではないんですけど、瞬間ごとに「え、何? 今、自分の意識とは全然違う次元でしゃべってた!」って、“ゾーン”に入った状態になったと実感できたことが、結構あるんです。台本にも書いていないことを自然とやっていたり、「こんなふうになればいいな」と想像していた顔とは、全然違う表情をしていたり、声を出していたっていうことが多々あって。

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ご自身でイメージしていたことをも超えていくんですね。

はい。大竹しのぶさんが「9割は入り込んで生まれた表現、1割は自分」と、おっしゃっていたんですけど、そういう感覚が何となくわかりかけてきた気がしていて。「え、何? この自分じゃないみたいな感覚!」と思いながら、ベラベラベラとしゃべっていたりすることが、芝居中に増えてきたんです。

身体を役に貸しているような状態、でしょうか?

まさに身体を貸しているだけっていう感覚です。ただ、そういう状態の時でも、いい芝居じゃなかったら台本を読み違えているわけですけど…自分では読み違えることはないだろうと思っていて。なぜなら、何回も何回も身体に染みこませるくらい読み込んでいるからです。自分で言うのも何ですけど、そういう状態で自然と生まれてきた芝居って…まあ、悪くはないと思うんですよ(笑)。もちろん、100点満点なのに500点をたたき出せるかと言うと、わからないですけど、そういう瞬間が多かった作品ほど実際、評価されていて。たとえば、『あゝ、荒野』(17)だったり。『ホームルーム』も、そういう瞬間がすごく多かった作品なんですよね。最終話の教室のシーンは、本当に勝手に動いているっていう感じで、生徒たちも段取りから泣いていて…ひと言で言ってしまうのが惜しいくらい、すごい経験をしたなと思っていて。だから、僕の中のラブリンに本気で「このクズども」と思わせてくれた生徒たちにも本当、心から感謝していますし、そういう意味では、今回の現場では全体──キャスト然り、スタッフさんも然り、エキストラさんをも巻き込んでこそ、その空気を“生きた状態”にすることができるんだなっていうことが改めてわかった気がします。1人で芝居している時じゃなくて、より多くの人と関わって、巻き込んでいった時に生まれる、ものすごいうねりみたいなものを感じられたのは、僕にとって本当に素敵な体験でした。

芝居を通じて、正であれ負であれ、人の心を動かしたいんだと思う。

ホームルーム 山田裕貴 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ここまでの山田さんのお話を聞いてきて、お芝居ってどことなくチームスポーツに通ずるところもあるのかな、と思ったりもしました。監督が采配をふるい、プレイヤーが試合/芝居をつくっていくという意味でも。

あ〜、確かにそうですねぇ!

小林勇貴監督の采配、すなわち演出はいかがでしたか?

大事なシーンほど、ちょっとテストをやってすぐに本番を撮ってくださったので、臨場感を大切にしてくださるスタンスは本当にありがたかったです。

鮮度が落ちないうちに、小林監督も回してくれたということですね。

はい。「芝居で嘘をつきたくない」という意識で演じているぶん、段取りから100%の力を出してしまうので、そこは小林監督が鮮度を損なわないように気をつかってくださったと思います。本当は自分で芝居の鮮度を落とさないようにしないとダメなんですけど…たぶん、俳優を続けていく限り、これは永遠に悩むんだろうな…。ただ、客観的に見たら、最初のテイクよりも何回目かのテイクの方が余計な力が抜けていて良かったりするかもしれなくて。さっきの「うまい芝居と良い芝居の違い」じゃないですけど、芝居の良し悪しは人が決めることなので、僕の主観は二の次でいいかなっていうスタンスだったりします。

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なるほど。ちょっと話は逸れますが、少し前に吉沢 亮さんが「役にとことん没入できる役者さんが羨ましい。自分はカットがかかった瞬間、自分自身に戻れてしまうから」とお話されていて。山田さんは吉沢さんと何度も共演されていますけど、タイプとしては真逆になるのかなという印象を受けました。

でも、『キングダム』(19)の嬴政(エイセイ=のちの始皇帝)は乗り移っているように僕には見えました。僕からすると逆に、亮みたいにパッと切り替えられる方がすごいなって思うんです。本人は意識していないかもしれないですけど、自動的にスイッチを切り替えているっていうことですから、むしろ僕からすると亮のようなタイプの方が羨ましいですね。

そういう見方もできますね。ちなみに、丸山のぶ代役の富田望生さんとも『なつぞら』(19)に続いての共演になりますが、今作ではどんな感じでしょうか?

彼女もハートで役を演じる人ですよね。しかも、フィジカル面でも役に寄せていく人でもあるので、タイプ的には僕と似ているのかもしれないなと。実際、お芝居の話をしていてフィーリングが合うんです。「このシーン楽しい!」って望生ちゃんが言っているところは、たいがい僕も楽しい(笑)。女優さんとしても、お芝居がしっかりしているので頼もしい人です。彼女と一緒のシーンは、すごく安心感がありました。

第3話より

小林監督とは同い年なんですよね。

小林監督とは世代的にというよりも、もっと深いところでつながっているような感覚がありました。変わっている人だなと思っていましたが、話が合うたびに「ということは、俺も変わった人なんだな」と自覚したり(笑)。あとは、僕と小林監督のシンクロ率はものすごく高かったです。「次のシーン、ラブリン土下座で…」「あ、僕も土下座しようと思っていました」「あ、じゃあ大丈夫でーす」みたいなやりとりが多々あって。考えていることがほぼ一緒でしたね。そういう意味でも、小林監督と過ごした時間は面白かったです。

今度は、映画の現場で小林監督とご一緒してみたい、という気持ちもありますか?

はい、やりたいです! ラブリンよりも、もっとサイコパスなキャラクターを演じてみたいですね。変態的な役は今までも何回か演じたことがあるんですけど、地上波ではさすがにコンプライアンス的に難しいので(笑)、やっぱり映画ですかねぇ。

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ちなみに、今後演じてみたい具体的なキャラクターというのはありますか?

そうですね…『あずみ』の最上美女丸(女装の剣客。凄腕で、相手をネチネチといたぶるドSキャラ)か、原作に限りなく寄せたシャーロック・ホームズ(変人、奇人的なエキセントリックな人物として描かれている)を演じてみたいですね。セリフが少なくてもいいんですよ、仕草とか表情で何となく事件の推理をしているんだなっていうのが匂う、ニュアンスで演じるような芝居を一度やってみたくて。あとは、それこそ雑誌の企画で扮装だけはしましたけど、『ジョーカー』(19)みたいな役とかもいいですね。たぶん、芝居を通じて人の心を動かしたいんだと思うんですよ、僕は。それが正であっても負であっても、何か心に引っかかるものを残したいんだろうなって。最近、そんなことをよく考えているんです。


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山田裕貴

1990年、愛知県生まれ。テレビドラマ『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11)で俳優デビュー。近年の主な出演作品に、映画『あゝ、荒野』(17)、ドラマ『ホリデイラブ』(18)、ドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(18)、映画『あの頃、君を追いかけた』(18)、「HiGH&LOW」シリーズ、「特捜9」シリーズ、NHK連続テレビ小説『なつぞら』(19)などがある。舞台『終わりのない』(19)では「第74回文化庁芸術祭賞」演劇部門新人賞を受賞。現在、主演ドラマ『SEDAI WARS』(MBS)が放送中のほか、出演映画『嘘八百 京町ロワイヤル』が公開中。待機作に『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』(4月24日公開)、『燃えよ剣』(5月22日公開)、『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』(6月19日公開)がある。

オフィシャルTwitter
@00_yuki_Y

オフィシャルInstagram
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フォトギャラリー

ドラマ特区『ホームルーム』

MBS:毎週木曜24時59分~
テレビ神奈川:毎週木曜23時~
チバテレ:毎週金曜24時~
テレ玉:毎週水曜24時~

出演:山田裕貴/秋田汐梨 富田望生 横田真悠 大幡しえり 若林拓也 綱 啓永 豊原江理佳 渡辺碧斗 ウメモトジンギ 青山 隼 前野朋哉 山下リオ

原作:千代『ホームルーム』(講談社「コミックDAYS」連載中)
監督:小林勇貴
脚本:継田淳
制作:ロボット
製作:「ホームルーム」製作委員会・MBS

【STORY】
爽やかイケメン教師・愛田凛太郎が担任するクラスでは、女子生徒の桜井幸子に対して毎日不快なイジメが続いていた。犯人は不明。しかし、幸子はそんな日々もあまり苦ではない。なぜならいつだって憧れの愛田先生が助けてくれるから…! 皆の人気者で、正義感の強い先生は、イジメられっ子の幸子にとって特別なヒーロー。でも実は、そんな愛田先生がイタズラを仕掛けた張本人で…。

オフィシャルサイト
https://www.mbs.jp/homeroom_drama/

©「ホームルーム」製作委員会・MBS ©千代/講談社

『ホームルーム』原作コミック