LIVE SHUTTLE  vol. 390

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カーリングシトーンズ ライブ中にモグモグタイム! その全貌を現わした全国ツアー。“誰がセンターでもなく、誰もがセンター”なステージを振り返る。

カーリングシトーンズ ライブ中にモグモグタイム! その全貌を現わした全国ツアー。“誰がセンターでもなく、誰もがセンター”なステージを振り返る。

カーリングシトーンズ TOUR 2019-2020「やったぁ!明日はシトーンズだ!」
2019年12月23日 東京国際フォーラムホールA

2018年の音楽シーンをおおいに騒がせてくれたスーパーバンド“カーリングシトーンズ”が、2019年、ついにその全貌を現わした。デビュー・フルアルバム『氷上のならず者』を発表し、全国ツアーに乗り出したのである。

もともとこのバンドの6人メンバーは、寺岡(呼人)シトーンのソロ・デビュー25周年を記念して集まった。寺岡シトーン、奥田(民生)シトーン、斉藤(和義)シトーン、浜崎(貴司)シトーン、(ヨー)キングシトーン、トータス(松本)シトーンは、全員が50代の人気アーティストで、全員が“バンド・ミュージック”を愛し、全員がリードボーカルを取れ、詞曲を作れ、さまざまな楽器の演奏ができる。80年代に端を発したバンドブームの最良の遺産とでも言えばいいのか。遺産と言っても全員現役で大活躍中のミュージシャンなので、カーリングシトーンズは日本に定着した“バンド・カルチャー”を体現するグループなのだ。

リーダーは寺岡シトーンが担当しているものの、役割分担は平等だ。メンバー一人一人がほぼ同数の曲を作り、平等にリードボーカルを担当し、ギターソロを取り、コーラスをし、MCをし、ダンスする。誰がセンターでもなく、誰もがセンターで、みんながイーブンに活躍するという“バンドの醍醐味”が随所に見られ、バンドならでは独特のユーモアを振りまく。待望の全国ツアー“カーリングシトーンズ TOUR 2019-2020「やったぁ!明日はシトーンズだ!」”の初日、東京国際フォーラムホールAでもその魅力が炸裂して、会場をおおいに沸かせたのだった。

カーリングシトーンズ WHAT's IN? tokyoレポート

Zepp TOKYOでデビュー・ライブが行なわれたのは2018年9月23日だったから、1年ぶり以上のライブになる。今回はZepp TOKYOの2倍の人数を収容する会場なので、初めてカーリングシトーンズのライブを観るオーディエンスが大半を占める。期待のざわめきが高まる中、黒に赤のサイドラインの入ったお揃いのパンツルックで6人が登場すると、国際フォーラムは騒然となった。60年代末のグループサウンズを彷彿とさせるユニフォームが、このシャレの効いたバンドによく似合う。いきなりのハイテンションでライブが始まった。

寺岡シトーン、奥田シトーン、浜崎シトーン、キングシトーン、トータスシトーンの5人がフロントにズラリと並ぶ。その後ろに、ドラムの斉藤シトーンがどっかりと座る壮観なステージだ。「スベり知らずシラズ」ではその斉藤シトーンのドラムが冴えわたる。ローリングストーンズのチャーリー・ワッツが得意とする、2拍目と4拍目のハイハットを抜いた8ビートが最高のグルーヴを叩き出す。かと思うと、ギターソロを取るトータスシトーンの手元を見れば、ピンクのペイズリー模様のド派手なテレキャスターを弾いているではないか。

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奥田シトーン 浜崎シトーン、その格好、似合うね。

浜崎シトーン いや、奥田シトーンも似合うよ。

キングシトーン いやいや、なんてったってトータスシトーンの昭和感が凄い。それ、私服でしょ?(笑)。

早速、GS風ユニフォームをネタにした面白MC合戦が始まる。掛け合い漫才のようなやり取りに、会場は爆笑の連続だ。ちょっと油断していると、あっちからもこっちからも突っ込みが入る。前半からこんなにしゃべってていいのかと思うくらい、6人はステージ上での会話を楽しむ。

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それが一段落すると、寺岡シトーンが一応リーダーらしく「次の曲は斉藤シトーンが紹介します」と、その曲を作った本人に曲紹介を振る。すると斉藤シトーンが「こんな大勢の前でやるような曲じゃないんですけど」と照れながら曲名をコールする。まるで新人バンドのような振る舞いに、オーディエンスは一喜一憂するのだった。

前の曲が終わって、次の曲のスタンバイが完了すると、ゴツっという音とともに、奥田シトーンがひと言、ボヤく。

奥田シトーン 前に歌った人、背が高いんだから、マイクを直してって欲しいんだよね。

キングシトーン 奥田シトーンのサングラスにマイクが当たってる(笑)。

寺岡シトーン そういうキングシトーンは、また手ぶらだね。あんまり楽器を弾かない。

キングシトーン いやいやいや。

奥田シトーン ん??? 離れてると何言ってんだか分からない。

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こんな調子でライブが進んでいく。しかし演奏がデビューライブより数段上手くなっていて、笑いだけではなく、音楽的な聴きどころも満載だ。たとえば浜崎シトーンの作った「俺たちのトラベリン」では、6人全員がコーラスをして、見事なハーモニーを聴かせてくれたのだった。その見事さに、オーディエンスは歓声ではなく、感動の拍手で応える。

また「わかってさえいれば」では、作者のトータスシトーンが入魂のブルースギターを聴かせる。こうしたシンプルな曲は、メンバー間の音楽的盛り上がりもあって、ある意味、アルバムに収録されているバージョンより胸にジンと来るものがあったりする。メンバーそれぞれの歌い回しもニュアンスが濃くなっていて、曲の魅力をアップさせていた。

トータスシトーン オレ、今日、スベってない?

奥田シトーン いいのよ、スベり知らずシラズだから。

キングシトーン そんなこと言って、トータスシトーンはわざとスベってるんでしょ?(笑)

トータスシトーン いや、ないないない(笑)。

奥田シトーン いちいちしゃべりが長いね。これじゃ終わるまで8時間はかかる。

本当に8時間かかりそうな進行ではあるが、それでもデビューライブで大好評だった“モグモグタイム”もしっかり取ってある。ステージ上に設置されたソファに全員腰掛けて、テーブルの上に置かれたもろもろの食べ物をパクつく。

キングシトーン 本番中に嗅いだことない匂いがする。

トータスシトーン カレーの匂い! でもオレが頼んだのが来てない。

奥田シトーン しゃべってないで、ええから食えや!

寺岡シトーン お客さんも、ここぞとばかりに座ってますね(笑)。

キングシトーン あ、オレが頼んだのも来てない!

浜崎シトーン こんな感じで国際フォーラム、やっていいんだろうか?

奥田シトーン これはどういうコーナーなん?

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順調なのか難航しているのかわからないが、とにかくカーリングシトーンズのペースでライブは進む。オーディエンスもこのペースに慣れてきて、国際フォーラムという都内屈指の大きさを誇る会場が、ファミリアーでリラックスした雰囲気になっているのが、カーリングシトーンズの凄いところだ。

『氷上のならず者』には収録されていないが、デビューライブで披露された「カリフォルニア」や「AB/CD」などの“準新曲”はもちろん、まっさらな新曲も次々に登場。「ドゥー・ザ・イエローモンキー」、「ウッドストック」、「オイ!」など、タイトルだけで妄想が膨らむ新曲群に、会場はノリノリ。どうやらカーリングシトーンズは、早くも次のアルバムに向けて動き出しているようだ。ただのオフザケ企画ではなく、アルバム制作とツアーというバンドの2大要素に関して、カーリングシトーンズは真剣に取り組んでいる。

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ほのぼのとした曲、ブルージーな曲、ラテンな曲など、幅広いナンバーを持つカーリングシトーンズだが、この日のいちばんは「出会いたい」だった。この曲は、斉藤シトーンがメンバーに“好みのタイプ”を取材して、それを本人が歌うのではなく、わざと他の人に歌わせるという凝ったアイデアで出来ている。♪料理が素朴で 肌がスベスベで♪や、♪インスタで自撮りとかしなくて タイトなスカートが似合う♪や、♪肩幅も意外とあって 安全靴も似合いそうで♪など、50代男の妄想が切れ目なしに歌われる。そこにトータスシトーンの爆発的なドラムが加わると、斉藤シトーンが火付け役になって、浜崎シトーンもキングシトーンも、♪出会いたい 出会いたい♪と絶叫するようにシャウトする。それぞれが自分の声の持ち味を活かして思いをぶつけるから、聴いていて切ないこと、切ないこと。

「出会いたい」とは対照的に、「涙はふかない」では統一された振り付けをビシッと決めて、ハンサムな側面も見せつける。

奥田シトーンがライブ中に「オレたち、去年、ルー大柴さんの授業(注:講談社・刊『壮年マガジン』P24「オトナを楽しむための3ヵ条」参照)を受けたけど、それをまったく活かしてないね。もっとライブをやらないと、togetherしないでしょ」と初日の感想を漏らした。客席から見ていると、初日とは思えない完成度のライブに思えたが、メンバーはもっともっとtogetherしてバンド感を高めたいと望んでいるようだ。ちなみに、このライブ当日に7月の追加公演が発表された。このゆるい演出なら、1本1本違うライブになるはずなので、今から楽しみでならない。

バンドはライブで成長していく。つくづくカーリングシトーンズは、本気だ。何しろ追加公演の中には、カーリングの聖地・北見の市民会館も入っている。彼らは大胆不敵にも、聖地でモグモグタイムをやるつもりだ。

このバンドの本気、今後も見届けさせてもらいます!

文 / 平山雄一
撮影 / 平野タカシ

ライブ情報

カーリングシトーンズTOUR 2020追加公演「やったぁ!夏もシトーンズだ!」

7月13日(月) 仙台サンプラザホール
7月15日(水) 札幌文化芸術劇場 hitaru
7月17日(金) 北見市民会館(大ホール)

カーリングシトーンズTOUR 2020追加公演「えー!?明日もまたシトーンズなの?」

7月22日(水) 東京ガーデンシアター

<TOUR SITE>
https://www.red-hot.ne.jp/sp/curlingsitones/

カーリングシトーンズ

寺岡シトーン(Vo.G.B.KEY.)、奥田シトーン(Vo.G.B.Dr.)、斉藤シトーン(Vo.G.B.Dr.) 、浜崎シトーン(Vo.G.KEY.)、キングシトーン(Vo.G.Harp)、トータスシトーン(Vo.G.Dr.Harp)。

2019年11月27日に1stアルバム『氷上のならず者』を発表。

オフィシャルサイト
http://curlingsitones.com

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