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DMM GAMES 海外ゲームの野望! 『キングダムカム・デリバランス』に続くタイトルは? キーマン二人に2020年の展望を聞いた

DMM GAMES 海外ゲームの野望! 『キングダムカム・デリバランス』に続くタイトルは? キーマン二人に2020年の展望を聞いた

リアルな中世の風景を再現し、話題となった超大作RPG『キングダムカム・デリバランス』。チェコのWarhorse Studios社により開発されたこのゲームをローカライズし、日本国内で展開したのがDMM GAMESだ。じつはここ数年、DMM GAMESは積極的に海外ゲームを日本向けにリリースしている。それはPCゲームはもちろん、家庭用ゲームも積極的にローカライズを行っている。DMM GAMESというとPCブラウザゲームのイメージが強いのだが、なぜこうした事業展開を始めたのか。キーマンとなるDMM GAMESの稲垣順太氏と早稲田 誠氏のお二人に話を聞いた。

取材・文 / 松井ムネタツ
文 / 早川清一朗

DMM GAMES 稲垣順太 早稲田 誠 WHAT'S IN? tokyoインタビュー

▲DMM GAMESビジネスアライアンス本部 第3アライアンス部 部長 稲垣順太氏(写真右)と、ビジネスアライアンス本部 第3アライアンス部 第1グループ グループリーダーの早稲田 誠氏


なぜ海外のゲームに注目したのか

まず、お二人の仕事内容について聞かせてください。

稲垣 私は基本的には海外のゲームをローカライズして、それを日本のユーザーに届ける仕事をしています。具体的にはマネジメントと営業、獲得するタイトルの最終的なジャッジもやっています。

過去は『エルダー・スクロールズ・オンライン』や『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下『PUBG』)、『War Thunder』を担当していたんですが、地味なことをやりながら今に至るという感じです。ゲーム業界に10年ちょっといるんですけど、昔は韓国のゲームを同じように担当していました。なんだかんだ現場が好きで、しょっちゅう口を出しちゃうタイプの人間ですね(笑)。

早稲田 私は稲垣のもとでPlayStation 4やNintendo Switch向けの海外タイトルを担当しています。今のチームだと大体3本くらいのローカライズが走っていて、自分はそれらのマネジメントが中心ですね。

入社は2015年の3月で、そこから『エルダー・スクロールズ・オンライン』をやっていて、そこから2018年から『キングダムカム・デリバランス』を追加で担当しました。そのあと「今度こういうチームを作るから」と誘われてチームリーダーで入って、引き続き海外タイトルのリリースを担当しています。

▲『エルダー・スクロールズ・オンライン』

エルダー・スクロールズ・オンライン』がDMM GAMESさんから出たのは驚きました。

稲垣 僕自身はJRPGと韓国のMMO育ちなので、いわゆる洋ゲーはあまりやらないんですが、『エルダー・スクロールズ・オンライン』のサービスに関わったとき、ユーザーが持つ熱量に驚いたんです。こんなにファンがいるんだと。それなら僕も実際に触れれば何かが起きるんじゃないかと考えたのが始まりですね。

早稲田は海外のゲームをよく知っているのでいろいろ話を聞いたんですが、そんなに儲けられる話ではないというのはすぐにわかりました。でもそれは別にいいかなと。本来は部署のリーダーとして売り上げも考える立場なんですけど、コアなファンのためだけにリリースすると、喜んで買ってくれる。ある程度売り上げも付いてくる。そういうのがいいなと思って、始めてみたのが2015年からです。

最初、海外では「DMM? 誰?」という反応でした

2019年に発売した『キングダムカム・デリバランス』はなぜローカライズしようと考えたのでしょうか?

早稲田 もともとは一昨年の頭くらいにSteamで体験版が出ていたんですが、これをウチのチームのスタッフがずっとやっていたんです。中でも『キングダムカム・デリバランス』のプロデューサーを務めた松本卓也はとくにやり込んでまして、「これは面白い!」と熱弁を振るっていたのでやってみようということになりました。

エルダー・スクロールズ・オンライン』で大量の翻訳は経験済みなので、『キングダムカム・デリバランス』もできるだろうと、勢いでやってしまった部分もありました。発売が決まって予約を始めたら、いい数字が出てきたので安心したのですが、リリースまでは本当に不安でしたね。

稲垣 あの経験で、ファンに対してアピールしていくことの大切さを理解しました。

▲『キングダムカム・デリバランス』

リリース候補のゲームはSteamで選んでいるのですか?

稲垣 基本的にはSteamですね。僕のチームには3名ほどすごいPCゲーマーがいて、ほぼ専属でゲームをしているんです。その3人が「面白いよ」と持ってきたものがコチラに回ってきて、それを改めてみんなでプレイしてみて、これ面白いね!となったら開発元・発売元にアプローチしていく感じです。

ただ、正直な話をすると、海外ゲームの扱いを始めたころは『エルダー・スクロールズ・オンライン』のベセスダソフトワークスさんとお付き合いが始まるまでは、海外のゲーム会社とあまりお付き合いが無かったので、アプローチする先が全然なかったんです。ベセスダさんとお付き合いしたことによって、僕らが海外ゲーム会社と話をするときに「これを日本向けにローカライズしたDMM GAMESです」と自己紹介できるようになったんです。それまでは「DMM? ダレ?」というのが基本だったんですよ。

なので最初は、僕らはこういうことができるんですよという説明をして名前を売り、少しずつ存在を知ってもらう感じでした。1年くらいそれを続けて、次の年のE3のときに「ああ、キミたち、またきたね」と言ってもらえて、ようやくお話がスタートできるようになるんです。変な話、お金を積めば獲得できるとかそういう話ではないんですよ。

そんな地道な営業の中で、ようやく獲得できたのが『War Thunder』というロシアのタイトルでした。ちょうどGaijin Entertainmentさんが日本に対して何かやりたいとずっと思っていて、そのときに僕らはこういうことができますとお話をしたら、「じゃあお願いしてみようか」とお話をいただけたという形です。まだ彼らはDMM GAMESのことはよく知らなかったと思います。

早稲田 開発会社さんと話をしていてよくわかったのが、向こうの人は本当にゲームが好きで、自分のゲームをちゃんと理解してくれている人じゃないと全然話を聞いてくれないんですよ。

「俺たちが作ったゲーム、ちゃんと遊んでるのか?」という感じでしょうか。

稲垣 そういう部分は絶対ありますね。交渉する部門とクリエイターがほぼ同じメンバーの規模の会社だと、「ローカライズしたいとのことだけど、このゲームのどこが面白かったの?」と聞かれるんです。もちろん遊んでみて面白かったので移植したいと思ったので、そこはしっかりアピールしました。

『PUBG』がリリースされたとき、最初は韓国のゲームだと全然気づかなかったんですよ。連絡しようとしたときにも「どうせ連絡できないよ」と言っていたんです。でも韓国のBlueholeだとわかってからはとんとん拍子で進みました。まだ100万本売れていない時期で、「一番連絡が早かったよ」と言ってもらえましたね。

▲『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』

連絡をして、返事が来たのは半年後ということも

これからアタックしようとしているタイトルはどのくらいあるのでしょう?

稲垣 具体的な数は言えませんが、けっこうあります。自分たちには絶対に新作じゃなきゃいけないという縛りはないので、海外では100万~200万本と売れたけど、まだローカライズされてないタイトルを狙っています。

テキスト量が多いタイトルだと、ローカライズしてもらわないと遊びにくいですからね。

稲垣 英語堪能な方なら問題ないでしょうけど……ふつうは日本語がない時点でプレイを諦めてしまいますよね。うちのチームには面白いなと思ったタイトルを書いていくDiscordのグループがあるんですが、今はそこに上がったものをとりあえず打診していく形になっていますね。

海外開発会社へのアタックはうまくいくものなんでしょうか?

早稲田 打診しても連絡をくれないことも多いです。

稲垣 リリース前から注目して打診しても、相手が忙しくて連絡が取れないなんてことはよくあります。もし返事があったらさらに深くプレイしておきます。まあでも返事来ないですね。

早稲田 来ないですね(笑)。

稲垣 TwitterだったりFacebookだったり、知人を介して紹介してもらったり、地に足を付けて地道に連絡を取っているんですが……。

早稲田 本当に地道な作業です。連絡が取れても途中で途切れることもありますし、かと思えば半年くらいして返事がくることもあります。

DMM GAMES 稲垣順太 早稲田 誠 WHAT'S IN? tokyoインタビュー

今は東欧と北欧が元気

実際の契約時は現地に行くのでしょうか?

稲垣 時期と場所にもよりますが、なるべくお会いするようにはしています。可能なら開発会社の中まで見せてもらうようにはしていますね。これからお付き合いする会社なので。

今はヨーロッパ圏が多いのでしょうか?

稲垣 やっぱり『キングダムカム・デリバランス』の影響が大きいです。あれのローカライズが成功したので、ヨーロッパのディベロッパーやパブリッシャーに「DMM GAMES」を認知してもらえた感じですね。

あと東欧と北欧は元気な気がします。トリプルAとは行かずともダブルAクラスのタイトルで頑張っている会社が多いので、そのあたりをリリースしていきたいと思っています。もっと大きなタイトルを見つけたいと思う時期もありましたが、今は国内で数万くらいの販売本数を地道に続けていくことが先決かな、と。自分がプレイしていて楽しい、面白いと思うソフトでなければと思いますし。

最近ではE3のような大きなものではなく、もう少し小さい規模の海外ゲームショウにも行くようにしています。パリでもどこでもいろいろなところでやっていますね。この間はインドとイギリスの開発会社にクリケットのゲームを紹介されてました。

ヨーロッパだとクリケットのゲームは多いですよね。

稲垣 普通にクリケットをやるゲームではなくて、球が飛んできて打ち上げたらこの角度で上がっていくという感じのゲームでした。日本ではクリケットという競技の認知度の問題からちょっと厳しいですけど……。

早稲田 実際には行けなかったんですが、ポーランドのゲームショウに行くことも検討していました。

ポーランドですか!

早稲田 2019年12月に発売した『アンセスターズレガシー』はポーランドのゲームなんです。ポーランド自体がゲーム輸出に関しては世界上位の国なんですよ。

▲『アンセスターズレガシー』

今後、DMM GAMESがリリースする海外ゲームタイトルは?

2020年に発売をしている海外ゲームについて教えてください。

稲垣 2月20日に『デイメア: 1998』というホラーアクションを出します。これは『アンセスターズレガシー』の会社がパブリッシャーなんですが、『デイメア: 1998』もぜひ出してほしいと言っていただけたので、やらせてもらうことになりました。

2月27日にリリースする『Frostpunk』は、11 bit studiosというポーランドにある会社のタイトルです。これは前からスタッフと話していたんですが、6月のE3の時にプレイさせてもらったのがきっかけになります。

また、PC版(DMM GAMES PCゲームフロア)は1月21日にリリースさせていただきましたが、『Moon of Madness』というクトゥルフを題材にしたコズミックホラーアドベンチャーもPlayStation 4向けに準備しています。

その他、今年家庭用ゲーム機で予定しているのは5本の予定です。

早稲田 ……もっと増えるかもしれません。

稲垣 キックオフしているのは他にもありますからね。プラス5本から10本くらいはありますね。

早稲田 いや、さすがに10本は無理なのでは(笑)。

順調にいけばかなりの本数が出ますね。

稲垣 去年『キングダムカム・デリバランス』が撒いてくれた種を、今年は収穫していくつもりです。今はきっちりとした戦略を立てるより、とにかくどんどんやっていくようにしています。小さいものだろうが大きいものだろうがちゃんと実績を残して、海外のほうから話が来るようになると嬉しいですね。今は後追いで、発売されたソフトやアーリーアクセスが始まったものに対してアクションを起こしてますけど、ゆくゆくは発表される前に見せてくれるような関係値までいって、初めて成功かなと思います。まだ先は長いですけどね。

早稲田 地道にやってます!

▲『デイメア: 1998』

▲『Frostpunk』

▲『Moon of Madness』

『キングダムカム・デリバランス』発売の際には、ゲームメディアをチェコに招待して開発会社の取材を実施しました。今後も同じような取り組みをされるのでしょうか?

稲垣 アイディアはありますので、いろいろな形でやっていきたいと思っています。2019年10月にドイツで開催されたParadox InteractiveのPDXCON2019のメディアツアーを、2020年1月 には『Frostpunk』で北海道・稚内で試遊イベントを行いました。今後もメディアさんやユーザーさんを驚かせるようなことをやっていきたいと思います。

早稲田 変わったチラシを作ったりメディアツアーを計画するのは、単純に広告を出すよりも効果的ですし、DMM GAMESっていつも変なことしてるよね!というところを見せていきたいですね。

▲Paradox Interactiveのイベント「PDXCON 2019」はDMM GAMESの招待で日本向けメディアツアーを敢行

▲『アンセスターズレガシー』のメディア向けイベントは、西荻窪にある中世パブ「オールドアロウ」にて開催

▲『Frostpunk』では北海道・稚内市で屋外の試遊イベントを実施

今後、DMM GAMESがローカライズする海外ゲームに注目してほしい点は?

早稲田 今年は日本のユーザーに多様性があるゲームを出していきたいと思っています。あと完全に僕の趣味ですが、海外のいろんなRTS(リアルタイムストラテジー)を紹介していきたいなと思っています。個人的にRTSが大好きなので、うまく流行らせたいなあ、と。規模が小さいのでチャレンジにはなりますが。

稲垣 僕らとしてはなるべく自分たちが面白いと思ったゲームだけを提供していきたいと考えています。お客様に面白いゲームを提供するのがDMM GAMESの基本なので、いろんなジャンルのゲームを出していこうと思っています。

僕が世代的にスマホゲームじゃなくて家庭用ゲーム機育ちなので、考え方が古いかもしれませんが……ゲームで考えることの楽しさを知ってほしいなと。僕らは攻略本が無くてもずっと楽しみ続けたし、RTSも自分でアレコレ考えて進めて楽しめるというのもやってほしいなと思うので、色々なゲームを紹介していきますので楽しみにしていただければと思います。


海外パブリッシャーが日本に支社を作っては撤退……という歴史を繰り返し、現在はユービーアイソフトやエピックゲームズなど「日本支社」の存在感を示しているところは少ない。それでいて、テレビゲーム王国である日本でリリースしたいという気持ちは、どの海外ゲーム会社も持っている。

日本ではいくつかのゲーム会社が海外ゲームのローカライズを積極的に行っているが、DMM GAMESもその会社の1つとして少しずつ大きくなっている。今後、「DMM GAMESと言えば」の次にくる単語が「海外ゲームのローカライズ」となるほどファンから支持されていくかどうか。『キングダムカム・デリバランス』のような丁寧なローカライズを続けていけば、「あの海外ゲームのローカライズはDMM GAMESにやってほしいよねえ」という声も大きくなっていくだろう。早ければ来年……いや、年内にはそうした声があがってくる機運もありそうなので、引き続きDMM GAMESの海外タイトルローカライズには注目していきたい。

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