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新たな祭りの誕生。新刀剣男士も顕現した、ミュージカル『刀剣乱舞』 歌合 乱舞狂乱 2019 東京公演レポート

新たな祭りの誕生。新刀剣男士も顕現した、ミュージカル『刀剣乱舞』 歌合 乱舞狂乱 2019 東京公演レポート

ミュージカル『刀剣乱舞』 歌合 乱舞狂乱 2019が、1月23日(木)武蔵野の森総合スポーツプラザにて大千秋楽を迎えた。
「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMM GAMES/Nitroplus)を原案にした人気ミュージカルシリーズ、通称“刀ミュ”。これまで毎冬上演してきた大型ライブ「真剣乱舞祭」に代わる本作は、歌い、踊り、芝居を演じる“ミュージカル”を芯として、新たな形式で織り成すエンターテインメント・ステージ。“刀ミュ”史上最大規模ともなり、2019年に長野、宮城、北海道、福岡、広島、明けて2020年に埼玉・愛知・大阪・東京と全国9都市を巡り、各地で審神者(=刀剣男士たちの主を指す)を驚かせた。
大千穐楽の前日、1月22日(水)同会場で行われた公演の模様をレポートする。

取材・文 / 片桐ユウ
※写真は、長野・福岡・東京公演のものです。


歌合の結果は勝敗ではなく、顕現による大団円

強烈な意欲作である。

これまでのシリーズを手がけている演出・茅野イサムと脚本・御笠ノ忠次の統括のもと、脚本家が6名。音楽担当は4名。振付・ステージングも3名。
いずれも舞台界隈で話題のクリエイターばかり。

注目のスタッフ陣が様々にタッグを組み、“歌合(うたあわせ)”という古来の遊びをテーマに、和歌を題材として物語を綴る。

和歌を詠み上げ、それにちなんだ芝居を織り成すのは、これまでミュージカルシリーズに登場してきた刀剣男士たち。歴史を守る使命を帯びて向かう戦場ではなく、彼らが日常を過ごす「本丸」を舞台に、ほがらかに、あるいは物悲しい小話を披露する。

これまで大きなテーマや全体を通したストーリーはありつつも、ライブシーンをメインとしてきた「真剣乱舞祭」から趣向を変えての「歌合 乱舞狂乱」。
成功例を繰り返すのではなく、つねに挑戦する姿勢を崩さない“刀ミュ”らしいとも言えるタイトル変更だ。

歌合は、『万葉集』『古今和歌集』に収められている和歌の中から講師(こうじ)となる刀剣男士が披講していく。

最初は本丸における日常風景。
『刀剣乱舞』には「内番」と呼ばれる内勤任務があり、その中のひとつである畑仕事や、休息の合間に囲碁を打つ刀剣男士の姿が、石切丸(崎山つばさ)による歌唱の中で描かれる。穏やかな空気が漂うエピソードは脚本・浅井さやか。

続く物語は畑 雅文脚本による、コミカルな夢の話。
愉快な夢に翻弄される蜻蛉切(spi)や、彼を取り囲む長曽祢虎徹(伊万里 有)、巴形薙刀(丘山晴己)らが見せる意外な一面が見どころだ。

「mistake」など人気曲を披露するライブパートを挟み、再びの歌合。
「夏虫の~」から始まる、火の中に飛び込む夏虫へ恋に焦がれる己の情念を乗じた和歌が披講されると、客席後方のサブステージに現れた、にっかり青江(荒木宏文)が、赤澤ムックによる物語を講談仕立てで披露する。約束を果たすべく命を擲った、とある男の想いが会場内に漂った。

続く明石国行(仲田博喜)による噺は、川尻恵太による脚本。シュールな展開に客席内からもクスクス笑いが漏れる。

次のライブパートには、合間に徳川家康(鷲尾 昇)、松平信康(大野瑞生)、結城秀康(二葉 要)、永見貞愛(二葉 勇)が登場。にぎやかで微笑ましいやりとりが行われ、ここも笑いが絶えない場面だ。

その手前、畑の中で楽しげに掛け合う刀剣男士たちのシーンにも注目したい。大倶利伽羅(牧島 輝)が畑当番を熱心に行っていたことが明かされる台詞は、これまでのシリーズを見届けたものにはグッと込み上げるものがあるだろう。

風呂上がりに髪を乾かす刀剣男士たちの姿を切り取った場面にも、“これはあの戦いが行われている時間軸なのでは?”と予測できる会話があり、嬉しい仕掛けが随所に施されている。
この場面の脚本は三浦 香。和泉守兼定(有澤樟太郎)、蜂須賀虎徹(高橋健介)、にっかり青江の「軽装」姿が眩しく、彼らの歌唱シーンでさり気なく現れてギター演奏をする堀川国広(阪本奨悟)には、ほっこり。

1曲ライブパートを挟んで綴られるのは、白川ユキの脚本による小狐丸(北園 涼)を中心とした物語。夢か現か幻か、まさしく“狐につままれたような”心地を残す。

その後は、刀剣男士たちが客席を駆け回り、和太鼓演奏の中で上着を脱いで雄叫びを上げる「獣」など、怒涛のライブパートが展開。会場の盛り上がりは最高潮となった。

披講された和歌の短冊は、物語を終えるたびに焚き上げられてきた。
篝に火が灯るたび、何かが揃っていく気配があったが、冒頭から一貫して綴る儀式の真相が明かされるのはラスト。

クライマックスで繰り広げられる「顕現」シーンだ。

鶴丸国永(岡宮来夢)の朗々とした台詞と歌唱を合図として、白い浄衣姿の刀剣男士たちが舞い、歌い継いでいく。原始的な興奮を呼び起こすかのような力強いリズムと、神秘的な歌詞。初日前から動画にて公開され、前説でも練習されていた「誦文」の音色は、不思議なほどに沁み入る。

“歌合”を経て、再び中央に姿を見せた祭壇岩は時間遡行軍の攻撃にも耐え、刀剣男士たちと審神者の呼びかけを受け入れる。

一瞬の静寂の中から覚醒したものは、面と装束に身を包んだ謎の存在“マレビト”。
形を成し、声を得た“マレビト”は、「何故、我を生み出した?」と問いかける。

この本丸に在る刀剣男士たちは、その疑問に対して凛とした歌声で答えていく。これまでのシリーズで歴史の流れに身を投じ、己が果たす使命の意義を見出した彼らが発する言葉ひとつひとつに、確かな理由が感じ取れる。

呻いていた“マレビト”はやがて落ち着き、姿勢を正す。
ゆっくりと面をはずして現れたのは――松井江(笹森裕貴)。
新たな刀剣男士、顕現の瞬間である。
厳かな空気に包まれて息を詰めていた会場から、大きな歓声が上がった。

岩の合間から現れ、花びらが舞い散る様は日本古来より喜びの証。春を迎えたかのように明るく、暖かな場面に変わり、刀剣男士たちが祝福を歌い上げる。
会場の審神者たちも、その喜びを受けて祝儀のごとく手を振り、笑顔を贈る。

歌合の結果は勝敗ではなく、顕現による大団円となった。

新たな刀剣男士が生まれいずる「顕現」。
本丸の日常にある「内番」。
刀剣男士が浴衣姿となる「軽装」。

原案「刀剣乱舞-ONLINE-」が備えている数々の機能を、気鋭のスタッフ陣と成長を続けるキャスト陣がミュージカルとして見せていく。
シリーズの世界が一層広がったと感じられる、充実したステージだった。

そして3月より始まる新作公演に出陣する刀剣男士の6振り目が、大千秋楽にて解禁。
新たな戦場へ赴く刀剣男士たちが、何を感じ、何を得て、どのような物語を生み出していくのか。目にする日が待ち遠しい。

ミュージカル『刀剣乱舞』 歌合 乱舞狂乱 2019

長野公演:2019年11月24日(日)長野ビッグハット ※公演終了
宮城公演:2019年11月28日(木)・11月29日(金)セキスイハイムスーパーアリーナ ※公演終了
北海道公演:2019年12月6日(金)・12月7日(土)北海きたえーる ※公演終了
福岡公演:2019年12月12日(木)・12月13日(金)福岡国際センター ※公演終了
広島公演:2019年12月21日(土)・12月22日(日)広島グリーンアリーナ ※公演終了
埼玉公演:2020年1月4日(土)・1月5日(日)さいたまスーパーアリーナ ※公演終了
愛知公演:2020年1月11日(土)・1月12日(日)Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)ホ―ルA ※公演終了
大阪公演:2020年1月15日(水)・1月16日(木)大阪城ホール ※公演終了
東京公演:2020年1月22日(水)・1月23日(木)武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ ※公演終了

原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より (DMM GAMES/Nitroplus)
演出:茅野イサム
脚本・脚本統括:御笠ノ忠次
振付・ステージング:本山新之助 DAZZLE 桜木涼介
脚本:赤澤ムック 浅井さやか 川尻恵太 白川ユキ 畑 雅文 三浦 香 (五十音順)
音楽:オレノグラフィティ 坂部 剛 YOSHIZUMI 和田俊輔 (五十音順)

出演:
小狐丸 役:北園 涼
石切丸 役:崎山つばさ
今剣 役:大平峻也
大和守安定 役:鳥越裕貴
和泉守兼定 役:有澤樟太郎
堀川国広 役:阪本奨悟
蜂須賀虎徹 役:高橋健介
長曽祢虎徹 役:伊万里 有
にっかり青江 役:荒木宏文
蜻蛉切 役:spi
物吉貞宗 役:横田龍儀
大俱利伽羅 役:牧島 輝
陸奥守吉行 役:田村 心
巴形薙刀 役:丘山晴己
明石国行 役:仲田博喜
鶴丸国永 役:岡宮来夢
御手杵 役:田中涼星
篭手切江 役:田村升吾

徳川家康 役:鷲尾 昇
松平信康 役:大野瑞生
結城秀康 役:二葉 要
永見貞愛 役:二葉 勇

桑名江 役:福井巴也
松井江 役:笹森裕貴
ほか

主催:ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
(ネルケプランニング ニトロプラス DMM GAMES ユークリッド・エージェンシー)

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@musical_touken)

©ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会