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舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち 閉幕。7振りの刀剣男士がしっかりと体現して魅了した、シリーズの骨太さ

舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち 閉幕。7振りの刀剣男士がしっかりと体現して魅了した、シリーズの骨太さ

舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たちが、1月18日(土)福岡サンパレス ホテル&ホールにて大千秋楽を迎えた。
2019年11月22日(金)TOKYO DOME CITY HALLで幕を開け、AiiA 2.5 Theater Kobeでの兵庫公演、TBS赤坂ACTシアターの東京凱旋公演、そして福岡サンパレス ホテル&ホールの福岡公演と上演されてきた本作。
7振りの刀剣男士と、土佐藩を中心とした歴史上の人物たちが絡み合い、濃密な展開を見せた公演の模様をレポートする。ストーリーのラストに関わる部分はネタバレになるため、謎を残す形でのレビューとなることをご容赦願いたい。

取材・文 / 片桐ユウ


7振りの刀剣男士が使命を胸に、奔走する姿

刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMM GAMES/Nitroplus)を原案とした舞台シリーズ、通称“刀ステ”。末満健一が脚本・演出を担当し、2016年の初演より人気を博している。

新機能の実装や新たな刀剣男士の登場が発表されるたびに大きな話題となっている原案のゲームもサービス開始から5周年を迎え、メディアミックス展開のほうも、2020年8月11日(火)には東京ドームにてミュージカル『刀剣乱舞』と舞台『刀剣乱舞』を中心に合同で行う初の大型イベント「刀剣乱舞 大演練」が開催されることが発表となるなど、その勢いは留まらない。

刀剣男士たちの流麗な見た目や大きな展開に華々しさが先行している印象もあるが、今回の舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たちは、グッと“渋め”の雰囲気。

前作の舞台『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむは、過去最多となった19振りの刀剣男士が登場してほのぼのとした日常を綴っていたが、今作はそこから一転してシリーズ最少出演で、7振りの刀剣男士が使命を胸に、重く雲が立ち込めた歴史の横道を奔走する姿を描いた。

物語の舞台は、1863年の文久土佐藩。
肥前忠広(櫻井圭登)からの要請によって、陸奥守吉行(蒼木 陣)、和泉守兼定(田淵累生)、堀川国広(小西詠斗)、小烏丸(玉城裕規)、鶴丸国永(染谷俊之)の5振りが出陣。
すでに“歴史改変”が起こり、土佐勤王党が恐怖政治を敷く“放棄された世界”で、肥前忠広と南海太郎朝尊(三好大貴)と合流した刀剣男士たちは、この歴史改変を正すべく中心人物の捜索を開始する。

“放棄された世界”も、放っておけば正しい歴史の道を邪魔する存在となりかねないのだという。“歴史を守るため”という刀剣男士たちの大いなる使命には違いないが、その地で遭遇するのが、彼らの所有者、かつての主である歴史上の人物だったりするのだから、その心中は複雑だ。

明るい笑顔で皆を率いる陸奥守吉行は、坂本龍馬(岡田達也)の愛刀であった刀剣男士。坂本と遭遇した際に口にする「会いたあなかった」という言葉からも、様々な感情がうかがえる。
それぞれに想うところを抱えながら土佐藩を巡るなかで、彼らは意外な真相にたどり着く……。

陸奥守吉行 役の蒼木 陣は前作から2度目の参戦。肥前忠広 役の櫻井圭登と南海太郎朝尊 役の三好大貴は、原案にも最近登場した刀剣男士とあって初登場。和泉守兼定 役の田淵累生、堀川国広 役の小西詠斗も“刀ステ”シリーズには初参戦である。
小烏丸 役の玉城裕規は2018年に上演された「悲伝 結いの目の不如帰」以来、鶴丸国永 役の染谷俊之も2016年初演「虚伝 燃ゆる本能寺」以来の参戦だ。

それでも積み上げられてきたシリーズの骨太さと、張り巡らされた伏線に負けない演技で、一気に“ものがたり”へと引き込んでみせる役者陣の力に圧倒された。

ボリュームのある立ち回りのひとつひとつをしっかりと見せ場にし、作品を重ねるごとに世界観そのものへの謎を提示するこのシリーズへの理解度を表してみせる。

蒼木 陣は、立ち回りで持ち前の身体能力を大いに発揮。ハツラツとした笑顔と温かみのある演技で舞台の中心を担う。櫻井圭登は切れ味鋭い殺陣で舞台を駆け巡り、三好大貴は飄々としたキャラクターを好演。
この三者が演じる刀剣男士は元の持ち主である歴史上の人物たちと遭遇するのだが、そのときのリアクションのなかに、それぞれの性格や来歴がうかがえるやりとりを発生させており、微笑ましさと切なさを滲ませた。

田淵累生は凛々しい男気、小西詠斗は愛らしい利発さ。演じる刀剣男士の魅力を随所に光らせながら、物語を進めてくれる。
玉城裕規と染谷俊之は、貫禄すら感じさせる落ち着きと遊び心で舞台に緩急を生む。前々作の顛末を彷彿とさせる台詞には、まだまだ謎に満ちた“刀ステ”シリーズの深淵が匂った。

今作は、可動式のセットが“蠢く”ようにステージ上を動き回っており、彼らが到着した地が、いかに不確かなものの上に成り立っているのかを示すような不安定さを醸し出していたのだが、そのなかだからこそ、折れない使命感と仲間を大切に想う刀剣男士たちのまっすぐさが際立って感じられた。

それぞれの関係性と経験値が絡み合い、この編成でしか見られない面白さが大きな見応えとなった舞台だ。

さらに坂本龍馬 役の岡田達也、武市半平太 役の神農直隆、岡田以蔵 役の一色洋平、吉田東洋 役の唐橋 充といった実力派の俳優たちが、経験値を惜しげもなく発揮。
芝居部分でも立ち回りでも、生ぐさいほどの人間味を出して歴史上の人物たちを形づくっており、その存在感が示されるほど、“放棄された世界”の真相が明らかになるにつれて皮肉に転じていくところに慄いた。

今回の歴史改変は、幕末の志士たちの成就できなかった想いの積み重なりが招いたとも言え、巡る想いの強さが何かを生じさせるのだという結論にも意図を感じた。

本作をひとつの言葉で表するならば、“蓄積”だ。

内容で言えば、幕末の志士たちや刀剣男士たちの想いだが、“刀ステ”自体に枠組みを広げても“蓄積”という言葉が強く感じとれる。

これまでのすべてを踏まえていくシリーズの厚み。
作品そのものへの自信。
刀剣男士たちを見守る観客への信頼感。

それらを背負って立つ刀剣男士を演じるキャストたちからも、積み上げてきた自身の努力と、こうして続いてきたカンパニーへの誇りが感じられた。

「悲伝 結いの目の不如帰」で、“刀ステ”シリーズは一度集大成を迎えたが、舞台『刀剣乱舞』の歴史は絶えず流れている。
“戦い続ける座組み”と断言している“刀ステ”のカンパニーが続くことによって、また新たなものが積み重なっていることには違いなく、それが明らかになる瞬間を待ちわびずにはいられない。

舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち

東京公演:2019年11月22日(金)〜12月1日(日)TOKYO DOME CITY HALL ※公演終了
兵庫公演:2019年12月6日(金)〜12月15日(日)AiiA 2.5 Theater Kobe ※公演終了
東京凱旋公演:2019年12月20日(金)〜2020年1月12日(日)TBS 赤坂ACTシアター ※公演終了
福岡公演:2020年1月17日(金)〜1月18日(土)福岡サンパレス ホテル&ホール ※公演終了

原案:「刀剣乱舞-ONLINE-」より(DMM GAMES/Nitroplus)
脚本・演出:末満健一

出演:
陸奥守吉行 役:蒼木 陣
肥前忠広 役:櫻井圭登
南海太郎朝尊 役:三好大貴
和泉守兼定 役:田淵累生
堀川国広 役:小西詠斗

小烏丸 役:玉城裕規
鶴丸国永 役:染谷俊之

坂本龍馬 役:岡田達也
武市半平太 役:神農直隆
岡田以蔵 役:一色洋平
吉田東洋 役:唐橋 充

ほか

主催:ニトロプラス/マーベラス/東宝/DMM GAMES

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@stage_touken)

©舞台『刀剣乱舞』製作委員会 ©2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus

舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たちBlu-ray&DVD発売

発売日:2020年4月15日(水)
価格:Blu-ray ¥9,800円(税別) DVD¥8,800(税別)
発売元:株式会社マーベラス
販売元:東宝株式会社

舞台『刀剣乱舞』蔵出し映像集-慈伝 日日の葉よ散るらむ 篇- Blu-ray&DVD発売

発売日:2020年6月17日(水)
価格:Blu-ray ¥5,800円(税別) DVD ¥4,800円(税別)
発売元:株式会社マーベラス
販売元:東宝株式会社