Interview

『まどか☆マギカ』のようなサプライズはあるのか――アニメ『マギアレコード』プロデューサーに気になるポイントを徹底インタビュー

『まどか☆マギカ』のようなサプライズはあるのか――アニメ『マギアレコード』プロデューサーに気になるポイントを徹底インタビュー

伝説的名作アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)の外伝作品として、高い人気を誇るスマートフォンゲーム『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』。そのTVアニメが、去る2020年1月4日に放送開始した。新しいキャラクター、新しい舞台で描かれる、新しい魔法少女の物語。その見どころと、多くのファンが抱える疑問・不安について、『魔法少女まどか☆マギカ』からその制作を担当してきた、シャフトの久保田光俊プロデューサー(以下、久保田P)に、“ギリギリまで”語ってもらった。

取材・文 / 山下達也(ジアスワークス)


ゲーム版クライマックスのムービー制作で手応えを感じた

まずは、スマートフォンゲーム『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(以下、マギアレコード)』がアニメ化されることになった経緯をお話ください。そもそも本作はアニメ化前提のプロジェクトだったのでしょうか?

久保田P 『マギアレコード』は、『魔法少女まどか☆マギカ』から発生したゲームタイトルとして新しいものを作ろうというところから始まっており、アニメ化ありきの企画ではありませんでした。

シャフトはゲーム制作にどれくらい関わっているのですか?

久保田P 『マギアレコード』を運営しているアニプレックスさんには、企画立案当初からお声がけいただいており、シャフトとしてなにかゲームの価値を高める協力ができればということで参加しています。結果、作品の華の一つでもある魔法少女たちの変身シーンをアニメにしてみてはどうかということになり、ガチャでキャラを引き当てた時に再生される変身アニメをシャフトで制作することになりました。また、OPと第Ⅰ部メインストーリー第10章(2019年3月配信開始)でプレイ中に再生されるムービーの制作も行っています。

どこまでゲームのネタバレをしていいのか悩むところですが、第10章に挿入されたシャフト制作のアニメムービーは、まるで『まどか☆マギカ』の新作を見ているようでした。やはり、そのあたりからアニメ化しようという話が盛り上がっていったんでしょうか?

久保田P アニメ化が発表されたのはゲーム開始1周年(2018年9月)に行われたイベント「Magia Day 2018」でしたが、アニメ化が決定したのはそれよりも前、ゲームがリリースされてからすぐだったと思います。

では、ゲームスタート当初の大きな盛り上がりを受けてアニメ化が決定したのですね。ちなみに久保田Pが『マギアレコード』のアニメ化について、プロデューサーとして「イケる!」と確信を持ったのはいつ頃ですか?

久保田P 先ほどお話したように、当初からアニメ化したら面白いだろうなとは思っていましたが、はっきりとした手応えを感じたのは第10章のムービーを作っている時ですね。これまでの変身とは違いストーリーの中でキャラクターを動かしてみたことで、アニメとして見せ(魅せ)られる要素が『マギアレコード』というゲームの中に詰まっていることが確認できたのが大きかったと思います。ゲームのアニメパートとしては全部で10分以上と長く、制作は大変だったのですが、TVアニメ化に向けたパイロットフィルムとしても制作されています。新しいアニメを作るためのトライアルのつもりだったのですが、スタッフは久しぶりの「まどか」シリーズの制作ということで力が入りすぎてしまったくらいです。

ゲーム版『マギアレコード』プレイヤーがニヤリとする仕掛けも多数

続いて、ゲームを原作にしたTVアニメ『マギアレコード』が、どのような作品になるのかを聞かせてください。

久保田P 『マギアレコード』のゲーム本編には、メインストーリーに加え、キャラ固有のイベントや季節イベントなど、膨大な量のシナリオが用意されています。それによって各キャラクターの魅力が深く掘り下げられ、拡がっていくところがゲームの良いところですので、そのエッセンスはアニメにも取り込みたいと思っています。もちろん、基本的には主人公・環 いろはを中心としたメインストーリーを追っていくかたちになりますし、全ての魔法少女をフィーチャーするのは難しいのですが、ゲームをプレイしてきた方はより楽しめるものになっていると思います。

ストーリーと同じくらい、キャラクターにもフォーカスするということですね。

久保田P アニメでは最初は頼りない女の子だったいろはが、仲間を作っていく中で友情を育み、成長していく様子をしっかり描きたいですね。少女たちの笑ったり、泣いたり、ケンカしたりと、様々な角度からキャラクターを描いています。

『魔法少女まどか☆マギカ』ではストーリー、キャラクターのほか、独特の世界観も話題になりました。この辺りは『マギアレコード』ではどのように描かれるのでしょうか?

久保田P ゲーム『マギアレコード』には、『魔法少女まどか☆マギカ』で異空間設計を担当した劇団イヌカレー(泥犬)さんが参加しており、魔女の原案や、さまざまなビジュアル開発にご協力いただいています。アニメでもビジュアル面でのイメージは泥犬さんの担う部分が大きいので、『魔法少女まどか☆マギカ』やゲーム『マギアレコード』に見られるような「らしい」世界観になっています。バトルシーンもデフォルメキャラクターで描かれていたものが、通常頭身で描かれるようになるので、そのあたりもだいぶ違った見え方になると思います。

バトルシーンと言えば、ゲーム『マギアレコード』にはAccele、Blast、Chargeという3種類のディスクを駆使して敵を攻撃します。こうした本作特有のゲーム性、プレイ感はアニメに反映されていますか?

久保田P キャラクターごとの技や攻撃方法はゲームを参考にしていますし、ゲームで特徴的だった「コネクト」や「ドッペル」のシステムもアニメなりに取り入れています。

花澤香菜演じる新キャラ「黒江」の活躍にも期待せよ!

TVアニメ『マギアレコード』には、ゲーム版になかった新要素はありますか?

久保田P すでに発表済みですが、TVアニメではゲーム版にいなかった「黒江」というキャラクターが登場します。声優は花澤香菜さんが担当されています。

黒江はアニメの中でどのような役割を果たしていくのでしょうか?

久保田P すでに第1話をご覧になっていただいた方はご存じだと思いますが、黒江は、いろはが神浜市にやってくる前に住んでいた宝崎市の魔法少女です。TVアニメの導入部をどのようにしていくかを話し合う中で、宝崎市時代のいろはにも仲間がいたんじゃないかという話になり、そこから黒江が生まれました。

第1話で、あの世界にはいろいろな街に魔法少女がいて、皆で力を合わせながら魔女と戦っているということを分かりやすく示す「特別な存在ではない」キャラクターとして描いています。今後、そんな彼女がどのように活躍していくかは……ぜひ最後まで見て頂ければ。

黒江を演じる花澤香菜さんと言えば、これまで数多くのシャフト作品を支えてきた名優ですが、なぜかこのシリーズには未登場でした。

久保田P そうですね。花澤さんにはこれまで魔法少女を演じて頂く機会がなかったので、お願いすることができて良かったです。花澤さんは『化物語』の千石撫子や、『3月のライオン』の川本ひなたなど、少女のゆれうごく感情を表現するのが上手で。今回も第1話からしっかりキャラクターを掴んでいただき、見事な演技を見せてくださいました。

劇団イヌカレー(泥犬)の総監督抜擢は極めて合理的な判断だった

キャストの次はスタッフについても聞かせてください。今回、アニメの総監督・シリーズ構成に劇団イヌカレー(泥犬)さんが起用されました。泥犬さんはゲームの季節限定イベントでシナリオを書き下ろすなどしていますが、アニメ監督は未経験ですよね。この大抜擢にはどのような経緯があったのでしょうか?

久保田P 泥犬さんは『魔法少女まどか☆マギカ』の異空間設計のほか、ゲーム『マギアレコード』にも企画当初から深く関わってくださっています。最も『マギアレコード』のことをよく知っている一人と言っても過言ではありません。ゲームで書かれていたシナリオも非常に面白く、アニメ化にあたり作品への理解度とシナリオやビジュアル面での世界観の統一を考えた時に、泥犬さんしかいないと総監督をお願いすることになりました。その上で『魔法少女まどか☆マギカ』でシリーズディレクターを務めた宮本幸裕さんを副監督に据え、テクニカル部分のサポートをしてもらっています。

万全の布陣というわけですね。ちなみに泥犬さん以外のスタッフで、今回、注目すべき起用がありましたら教えてください。

久保田P 各話の監督に、『3月のライオン』でシリーズディレクターを務めた岡田堅二朗さん、〈物語〉シリーズで演出をされている吉澤 翠さん達に、章ごとをディレクションして頂く形を取っているので、監督ごとの演出の違いなども注目して頂ければと思っています。

なお、第1話の監督は宮本さんが担当されているので、オリジナルの『魔法少女まどか☆マギカ』に近い空気を感じるかもしれません。また、音楽は尾澤拓実さんが担当されており、梶浦由記さんが手掛けた曲に加えるかたちで、音楽面でも『マギアレコード』の世界観を拡げてくださっています。

「まどか☆マギカ」ならではの“サプライズ”はあるのか?

いよいよ放送開始された『マギアレコード』ですが、現在の制作状況はいかがですか?

久保田P 今のところは順調に進んでいますが、先に進むほど話が重くなっていくのでこれからが踏ん張りどころですね。

TVアニメ『マギアレコード』には、あの『魔法少女まどか☆マギカ』第3話でアニメファンを驚かせたような“サプライズ”や、既存ファン向けの“サービス”はありますか?

久保田P 今回はすでに完結しているゲームのシナリオをベースにしていますので、第3話のようなサプライズや原作と大きく印象が変わることは、多分ないのかなと……。ただ、ゲームをプレイ済みの方にも、“サプライズ”とまでは言いませんが、アニメオリジナル要素や、アニメなりのアプローチを楽しんでいただけるとは思っています。“サービス”については、アニメではメインキャラクターの変身シーンを作り直しているので、喜んでいただけると良いですね。

それはうれしいですね! では、最後に『マギアレコード』を楽しみにしている読者へのメッセージをお願いします。

久保田P TVアニメ『マギアレコード』は、『魔法少女まどか☆マギカ』の続編ではなく、新しいTVアニメシリーズです。ゲームをプレイしていない方はもちろん、『魔法少女まどか☆マギカ』を見たことがないという人にも楽しめる内容になっておりますので、まずは1話をご覧ください。スタッフのモチベーションも高く、皆さんに良い作品をお届けできるよう日々取り組んでいます。ぜひ、最後までお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

TVアニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』

放送中

【放送情報】
MBS 2020年1月4日より毎週土曜26:08~
TOKYO MX 2020年1月4日より毎週土曜24:00~
群馬テレビ 2020年1月4日より毎週土曜24:00~
とちぎテレビ 2020年1月4日より毎週土曜24:00~
BS11 2020年1月4日より毎週土曜24:00~
※放送日時は編成の都合等により変更となる場合あり。

【STAFF】
原作:Magica Quartet
総監督/シリーズ構成:劇団イヌカレー(泥犬)
メインキャラクター原案:蒼樹うめ
副監督:宮本幸裕
キャラクターデザイン/総作画監督:谷口淳一郎
総作画監督:杉山延寛・山村洋貴
アクションディレクター:橋本敬史
メインアニメーター:伊藤良明・高野晃久・宮井加奈
美術監督:内藤 健
色彩設計:日比野 仁
編集:松原理恵
CG監督:島 久登
撮影監督:土屋康次
脚本協力:エルスウェア
音楽:尾澤拓実
音響監督:鶴岡陽太
アニメーションスーパーバイザー:新房昭之
アニメーション制作:シャフト

【CAST】
環 いろは:麻倉もも
七海やちよ:雨宮 天
由比鶴乃:夏川椎菜
深月フェリシア:佐倉綾音
二葉さな:小倉 唯
十咎ももこ:小松未可子
秋野かえで:大橋彩香
水波レナ:石原夏織
黒江:花澤香菜

【主題歌】
OPテーマ:TrySail「ごまかし」
EDテーマ:ClariS 「アリシア」

©Magica Quartet/Aniplex・Magia Record Anime Partners

アニメ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』オフィシャルサイト
https://anime.magireco.com/

『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』オフィシャルTwitter
@magireco