Interview

ただの“JK部活もの”じゃない…超異端作『映像研には手を出すな!』まさかのTVアニメ化によせて。原作:大童澄瞳が語った“勝利への確信”

ただの“JK部活もの”じゃない…超異端作『映像研には手を出すな!』まさかのTVアニメ化によせて。原作:大童澄瞳が語った“勝利への確信”

「世間にありがちな構造や記号を、なるべく遠ざけていこう」というところから始まった

ここまで『映像研には手を出すな!』の主に映像面のお話をお伺いしてきましたが、お話作りについてはどのようなこだわりを持っているのか、どのようにして作品を作り出しているのかについても聞かせていただけますか?

大童 また少し時間を巻き戻しますが、高校生の頃に、メチャクチャ本の好きな奴が周りにちらほらおりまして、映画部で彼らが書いた脚本を読んだのが、話作りの第1歩目だったように思います。与えられた物語をただ単純に楽しむのではなく、作るというプロセスにフォーカスして、書き手の意志を汲み取るということを、そのころから始めました。

そうするとだんだん、伏線を回収しておけばなんとなくデキのいいものができるとか、そういうことを覚えはじめるんですね(笑)。物語の構造をすごく意識するようになって、まあ、今現在もわりと手探りではあるのですが、ここをこうすれば「物語」になるのかなという……。ただ、実は私、本が読めないタイプの人間で、マンガもアニメもそこまで大量には摂取していないので、正直、自分が、どういう風に考え、感じ、今に至ったのかはよく分かっていません。

そこから『映像研には手を出すな!』が生まれてきた背景、着想のきっかけなどについてはいかがでしょうか?

大童 『映像研には手を出すな!』が生まれた、最初の原動力は“怒り”でした。多くはないとは言え、さまざまな作品を観てきた中で、「お約束」の展開、「お約束」の設定みたいなものを感じていて、それらに対する反抗から多くのものが生まれています。

たとえば、メガネキャラって気合いが入った時にメガネを外すのが「お約束」になっていて、それが一部メガネクラスタから批判されたりしているのですが(笑)、金森の場合は気合いが入ったとき「だけ」メガネをかけるなどといったところですね。あとは、映像研の3人が全員活発なタイプだったり。

確かに今どきの「部員全員が女の子」というアニメから想像される感じにはなっていませんね(笑)。

大童 私の中にジェンダーロール的な発想があまりなくて、それゆえに、3人とも性別をあまり感じさせないキャラクターになっているのかもしれませんね。なので、極端なことを言えば、映像研が女性3人だったということにもさほど意味はありません。全員男の子でも良かったですし、男の子2人、女の子1人でもよかった。

なるほど。言われてみると、映像研の3人は性別を変えてもそのまま物語が成立するように感じますね。

大童 また、全体の流れでは、切磋琢磨して上昇していく話ではなく、変わらない人の話を描こうとしているところも「お約束」的なものに対する反抗です。映像研の子たちは、話が進むにつれ技術的には向上していくんですけど、その人間性は変わりません。関係性も「友達」でなく「仲間」、それも仕事仲間的な面を重視しています。

そういう世間にありがちな構造や記号を、なるべく遠ざけていこうというところから『映像研には手を出すな!』の物語的な部分はできているのではないかと思っています。

ちなみに、そうして生み出されたキャラクターには大童先生の内面は反映されているんですか?

大童 反映されまくってますよ(笑)。たとえば、金森の「お金を稼ぐのが好き」という性格なんかは私にもある面だと思っています。後は浅草の小心者なところとか、水崎のアニメーションがすごく好きなところとか……。

無意識的に自分の性格、キャラクターが入っていく?

大童 いや、意識的にやっていることも多いですよ。水崎には人前に立つのが得意という側面があって、対する私はちっとも得意ではないんですけど、こういうインタビューのようにべらべら喋るモードっていうのもある程度獲得したので、そういうやり方みたいなものを水崎に投影してみたり。金森のプロデューサー的なところは映画部時代の経験が生きています。やる気と責任感のない高校生を協力させるための立ち回りとか(笑)。

ポップカルチャーの最先端として、アニメのインパクトの強さに改めて気付ける作品に!

原作者自ら「やれるもんならやってみろ」という『映像研には手を出すな!』のアニメ化ですが、そんな原作者として、今、一番期待しているシーンはどこでしょう?

大童 映像研の作り上げたアニメーションが作中に出てくるのですが、これを実際にどのように作るのかに注目、期待しています。浅草たちが、その時点での能力で作った拙いものとして表現されるのもリアルだと思いますし、逆にインパクトを伝えるという意味で、ここにサイエンスSARUさんの総力を結集していただくのもアリですよね。実は、まだそこをどうするのかを聞いていないので、素直に楽しみにしています。

楽しみですね! では、最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

大童 アニメ『映像研には手を出すな!』は、ポップカルチャーの最先端であるアニメーションというもののインパクトの強さに改めて気付ける作品になるんじゃないかと思っています。湯浅監督とサイエンスSARUという、最先端中の最先端の才能が手掛ける作品ですから、アニメだけでなく、さまざまなカルチャーに強い影響を与えるうるものになるのではないでしょうか。さらに音楽も、オオルタイチさんというすごい方がやっていらっしゃいます。OP、EDもメチャクチャカッコいいものが上がってきていますので、お楽しみに! とにかく、まず観ていただきたいですね。

TVアニメ『映像研には手を出すな!』

2020年1月5日(日)24:10~NHK 総合テレビにて放送スタート
(関西地方は24:45~)
※放送予定は変更になる場合があります。

FOD 独占配信(毎週日曜日26:00~最新話配信)

【スタッフ】
原作:大童澄瞳(小学館「月刊!スピリッツ」連載中)
監督:湯浅政明
脚本:木戸雄一郎
音楽:オオルタイチ
キャラクターデザイン:浅野直之
美術監督:野村正信
色彩設計:中村絢郁
撮影監督:関谷能弘
編集:齋藤朱里
音響監督:木村絵理子
アニメーション制作:サイエンスSARU
OP テーマ:chelmico「Easy Breezy」
ED テーマ:神様、僕は気づいてしまった「名前のない青」

【キャスト】
浅草みどり:伊藤沙莉
金森さやか:田村睦心
水崎ツバメ:松岡美里
百目鬼:花守ゆみり
さかき・ソワンデ:小松未可子
藤本先生:井上和彦
ロボ研小野:小野友樹
ロボ研小林:小林裕介
ロボ研後藤:錦貫竜之介
ロボ研関:井澤詩織

オフィシャルサイト

©2020 大童澄瞳・小学館/「映像研」製作委員会

【原作情報】
『映像研には手を出すな!』
(小学館「月刊!スピリッツ」連載中)
コミックス第1~4 集 発売中
(最新 第5集 1月30日発売)

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