esゲーム記事執筆陣が令和元年にハマったゲーム3選  vol. 6

Review

ゲームイベントで蒔かれた種が実ったゲーム3選

ゲームイベントで蒔かれた種が実ったゲーム3選

各々が新作や続編を待ち焦がれ、そしてPlayStation®5やXbox Series Xといった新ハードの発表が行われた2019年。本稿ではE3やJAEPOといった新作ゲームの出展・見本市で発表されていたPlayStation®4とアーケードの作品から、アクションとシューティングの3タイトルをピックアップ。話題の新作、期待の続編、待望の再来など「骨太でやりがいのあるタイトルが遊びたい!」という硬派なゲーマーたちに強くおすすめしたい。

文 / クドータクヤ


遊ぶ映画と言っても過言ではない『DEATH STRANDING』

ソニー・インタラクティブエンタテインメント / PlayStation®4 / アクション

オフィシャルサイト

小島秀夫監督率いるコジマプロダクションの船出となった本作。E3 2016でティザートレーラーが初披露されて以降ゲームに関するカンファレンスで続報トレーラーが徐々にアップされ、小島監督作品のファンのみならず多くのゲーマーたちからの注目を集めた。しかし、どんなゲームなのかは具体的に明かされず、発売の直近に開催された東京ゲームショウ2019の場においてようやく小島監督自らによるプレイ解説が行われたものの、「5~10分ほどの試遊では魅力が伝わらない」との理由で一般来場者に向けたプレイアブルでの出展は見送られていた。どんな物語を見せてくれるのか、どんな体験をさせてくれるのか……。E3 2016の第一報から待ちに待った発売日、期待に胸を膨らませながら本作をプレイした。
本作の舞台となるのは、“デス・ストランディング”と呼ばれる現象により都市間だけではなく人と人の繋がりさえも分断された世界。プレイヤーは伝説の配達人と呼ばれる主人公のサム・“ポーター”・ブリッジズを操作し、アメリカ再建を掲げる組織・ブリッジズから依頼された“配達”をこなしながら各地を通信インフラで繋いでいく。伝説の配達人と呼ばれるサムの道のりは決して平坦ものばかりではなく、岩山をガシガシと登ったり、体の半分を水に浸からせながら大きな川を渡ったりと道なき道を踏破せざるを得ない場面ばかり。ときには崖上に打ち込んだパイル(杭)とロープに捕まりながら山を下り、飛び越えられないような崖の谷間に梯子をかけて渡るなど、常に危険と隣り合わせだ。チュートリアルに沿ってサムをあちらこちらへ動かしながら与えられた依頼をこなしていくうちに、“5~10分ほどの試遊では魅力が伝わらない”という小島監督の真意をようやく汲み取ることができた。荷物を傷つけぬよう慎重に移動しながらサムが口にする愚痴・ぼやきにうんうんと同情し、数々の苦労を乗り越えた先に目的地が見えてきたときの達成感。肩に入っていた力がスーッと抜け、安堵のため息が漏れ出てしまう。
アクションゲームやRPGの場合、広大なフィールドを自力で移動しながら目的地へ向かうのは、ゲームであるにも関わらず苦痛や退屈と感じてしまうことも少なくない。しかし本作においては目的地へのルートが一本道ではないことで、「身支度や装備をどのように整えようか」と考えられる楽しみがある。ロープや梯子をたくさん用意してゴリ押しするもよし、必要最低限の装備で動きやすいルートを探るもよし。どうしても効率を重視してしまいがちだが、その進めかたはプレイヤーの数だけ存在している。フィールドに設置した道具、建設した設備は実際のネットを介して他プレイヤーと共有されており、知らずのうちにお互いを助けているという間接的な繋がりも面白く、不便な箇所が開通されているとTwitterやFacebookのように“いいね”をたくさん送りたくなってしまう。文章ではなく“いいね”だけで感謝の気持ちを示すことができるからこそ、気負わずカジュアルに楽しめるのが大きなポイントだ。

DEATH STRANDING エンタメステーションレビュー

▲目的地が見えたときうっすらとBGMが流れてくる演出は秀逸で、その魅せかたに「やられた!」と思ってしまう

DEATH STRANDING エンタメステーションレビュー

▲川が深くて渡れそうにないときは梯子をかけて渡るなど、自分で道を切り開くことが必要になる。依頼を受ける際は装備品を整えておきたい

サムの配達を阻むのは荒々しい山や川といった自然だけではない。“配達依存症”の“ミュール”はこちらの荷物を執拗に奪いにかかり、ブリッジズと対立するテロリストは荷物だけではなく命をも狙ってくる過激派だ。サムをあの世へ連れて行こうとするBTの存在も非常に厄介で、その登場を予感させる“時雨”がフィールドに降り出すと、ついついサムの足取りも重くなる。いずれも対峙した際は「うわっ、こんなところにいるよ……」と目を背けたくなってしまうが、状況によっては応戦しなければならないケースも。こうしたピンチを切り抜けることもまた、上記で挙げた達成感に加味されているように思う。

DEATH STRANDING エンタメステーションレビュー

▲思わず「うわっ……」と声に出してしまうBTとの遭遇。戦える武器を手にするまでは逃げることしかできないもどかしさが焦りを誘う

DEATH STRANDING エンタメステーションレビュー

▲序盤で出会い、サムの良きパートナーとなるBB(ブリッジベイビー)。装備扱いとはいえ泣き出せば「よしよし」とあやしたくなるし、「キャッキャ」という笑い声が聞けると嬉しくなってしまう。すっかりと情が移っているプレイヤーも多いはずだ

孤独な冒険を続けるサムの行く先々ではブリッジズの存在を拒む者、あることをきっかけに外の世界を遮断している者、そして他者との接触を拒む者など、依頼を通じて出会う人々とのドラマが繰り広げられる。ブリッジズの目的、デス・ストランディングの謎、BBが作られた理由、サム自身の過去がもたらすストーリーの結末を目の当たりにしたとき、クリアした喜びと同時に深い喪失感を覚えた。知りたいと思っていた事項が明らかになっていくのはパズルのピースが次々と埋まっていくようでありながら、そうした答え合わせのひとつひとつが寂しくもあり、「すべてを忘れてもう一度遊び直したい!」と思ったほどだ。自らが手がけた某ステルスゲームのブランドから離れた小島監督が、ゲームの世界で表現した映画的演出の数々をぜひ体験してみてほしい。

©2019 Sony Interactive Entertainment Inc. Created and developed by KOJIMA PRODUCTIONS.


余興を含めての世界設定を堪能した『シェンムーIII』

Deep Silver / Play Station®4、PC / アクションアドベンチャー

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『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』と同じく、E3という場で発表されたタイトルとして度肝を抜かれたのは、やはり『シェンムーIII』だ。18年ぶりに動き出した続編であり、E3 2015から待つこと4年……という云々は、全2回のレビューでも紹介させていただいたので割愛。クリアを済ませた筆者は、きっと発売されるであろうと信じている『シェンムーIV』に備え、のんびりとミニクエストやミニゲームに興じている。
大まかなストーリーは父親を殺めた藍帝と呼ばれる男に仇を討つべく、主人公の芭月涼は横須賀から中国へ渡り、その行方を追うというもの。しかし『シェンムー』シリーズの面白さはシナリオをサクサクと進めるだけではなく、綿密に作られた街や風景をゆっくりと見て回り、ガチャガチャやミニゲームといったストーリー外の“寄り道”を楽しんでこそようやくその世界にどっぷりと浸かることができる。ただ『シェンムーIII』はセガゲームス制作のゲームではないため、コレクターの性を刺激するガチャガチャや本編をおざなりにしてでも遊び尽くしたいミニゲームがあまりなく、プレイ当初はほんの一瞬だけ残念に思ってしまったのも事実。「セガのゲームだから『シェンムー』が好きだったのか?」と自問もしたが、それは違っていた。涼のクンフーを高める技書の入手にグルッパ(ガチャガチャ)をひたすら回し、釣りやスマートボールといった新たなミニゲームにすっかりと熱中し、一日また一日と時間を無駄に経過させてしまい、「これは間違いなく『シェンムー』だ」とようやく気づいた。

シェンムーIII エンタメステーションレビュー シェンムーIII エンタメステーションレビュー
シェンムーIII エンタメステーションレビュー

▲ゲーム中では常に手がかりを求める涼に同情してしまいがちだが、ゲーセンに入り浸ったり、グルッパを回し続けて楽しむといった余裕を持ってプレイしよう

レビュー記事の2回目では「ストーリーのボリューム不足を感じた」と記したが、クリアを済ませてからさまざまな余興をまったりと楽しんでいる現在では“『シェンムー』らしさ”を十分に感じているし、「ストーリーだけが『シェンムー』ではない」という鈴木裕氏の発言にも納得している。次回作ではどんな“寄り道”が涼とプレイヤーの旅を待ち受けているのだろうか? この興奮の熱が冷めぬうちに、なにかしらの続報が届くことに期待したい。

©Ys Net Original Game ©SEGA Published 2019 by Deep Silver, a Division of Koch Media GmbH, Austria.


ゲームセンターだからこその緊張感と興奮を再び!『アカとブルー タイプレボリューション』

タノシマス / アーケード / シューティングゲーム

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最後に紹介するのはアーケードゲームの新作見本市である“JAEPO”にて、2018~2019年の2年にわたって出展されていた新作シューティングゲーム『アカとブルー タイプレボリューション』だ。
現在ゲームセンターで稼働している対戦格闘ゲームや音楽ゲームは、新作の登場またはバージョンアップが行われているが、シューティングゲームはからっきし。『怒首領蜂最大往生』(2012年)や『クリムゾンクローバー NESiCA×Live』(2013年)が現状での最新作となっている。そんな状況を打破すべく、新興メーカー・Show Me Holdingsが開発したアーケード用システム基板“exA-Arcadia”の第一弾タイトルとして、2017年に配信されたiOS・Android用アプリ『アカとブルー』をベースにした『アカとブルー タイプレボリューション』が抜擢されている。ただ単に”アーケードへの逆移植”をしたものではなく、画面の高解像度化や背景グラフィックのリファイン、自機やボスのメカデザインの一新、敵機の攻撃パターン追加など、手の込んだ作り込みはまさに“新作”といえるだろう。

アカとブルー タイプレボリューション エンタメステーションレビュー

▲主人公キャラクターは「ぶっちぎるぜ!」が口癖のアカ・シンクと、生真面目で慎重派なブルー・サーニのふたり。ゲーム中では、無線でやりとりする様をフルボイスで楽しむことが可能。50歳のアカと16歳のブルーによる掛け合いは、つっけんどんな口調から徐々に互いを信頼していく演出にも耳を傾けてほしい

アカとブルー タイプレボリューション エンタメステーションレビュー

▲プレイヤーは広範囲なショットを放つファイアバードと、前方一点集中型のブルーアウルのどちらかを選択し、全5ステージを飛翔していく。オーソドックスなファイアバードに対してブルーアウルはテクニカルな性能だが、強力な追加攻撃のミサイルが搭載されている

本作の特徴は”BOMB”だ。一般的にシューティングゲームのボムといえば撃てる回数が決まっているストック制で、ゲームによっては投下してから一定時間後に爆発して大ダメージを与えるものや、ボタンを押した瞬間に画面内の敵機や敵弾を一掃する緊急回避などの役割を担っている。しかし『アカとブルー タイプレボリューション』はストック制ではなく、敵機を破壊することでBOMB発射ゲージを溜めていくというシステムになっている。また、ゲージは最大レベル5まで設けられており、レベル2以上になるとチャージ弾と呼ばれる大きな波動砲を自機前方に発射することができる。このチャージ弾は敵機と敵弾を一掃するだけではなく消したぶんだけBOMBゲージを溜められるので、撃ちどころを考えながらプレイを繰り返すと破壊の爽快感をたっぷり味わえるのが醍醐味だ。他のタイトルでは、ボムを使わずにステージをクリアすることでボーナススコアが付与されたり、誰が言ったわけでもないが“ボムを使うことは恥”という勘違いが蔓延っている。本作の“BOMB”がカタカナで表記されていないのはそうした閉鎖的な状況を打破するためのきっかけとして、“ショットとボム”という攻撃を分けて考えることを撤廃し、BOMBを撃って進路を切り開くという攻めのプレイスタイルを提示しているのではないだろうか。

アカとブルー タイプレボリューション エンタメステーションレビュー

▲敵弾をバリバリと消していく気持ちよさは、プレイヤーが有利になるための道を自ら切り開いていくような爽快感あふれる仕上がりだ

アカとブルー タイプレボリューション エンタメステーションレビュー

▲プレイヤーキャラクターだけではなく、一癖も二癖もある敵キャラクターたちも魅力的。攻撃の激しさと合わさって、「いつか倒してやる」という意欲が増幅していく

BOMBの有効活用がわかったとしても、いわゆるガチ避けを要求される場面も少なくはない。こうしたゲームバランスには初心者お断りという声も聞こえてきそうだが、繰り返しのプレイによってボスへの対処が自ずとわかり、自分自身で上達を実感できるのはまさしくアーケードゲームらしい作り込みになっているといえるだろう。筆者はまだクリアできていないが、稼働からはほぼ毎日のようにゲームセンターに通い、「今日はここまでいけた」という自信をモチベーションに繋げている。また、ステージ道中の敵配置についてはスマホ版『アカとブルー』と大きく変わっていないため、こちらで予習・復習できるのもありがたい。
全国各地のゲームセンターに導入されているわけではないという現状が非常に惜しいが、稼動店舗で盛り上げているプレイヤーたちの熱量や意気込みが他店にも伝わることで、導入へのチャンスに転じていくのではないかと思っている。ひとりでも多くのシューティングゲームファンに触れてみてほしい一作だけに、筆者のモチベーションも下げずにこのゲームへ挑み続けたい。

2017,2019©TANOSHIMASU CO.,LTD.


平日は寝る間を惜しみ、休日は体を休めることを返上して遊び倒した3タイトルを紹介させていただいた。『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』は演出のひとつひとつに感動し、『シェンムーIII』は世界設定を余すことなく見渡し、『アカとブルー タイプレボリューション』では興奮と悔しさの感情をいかんなく揺さぶられまくっている。はたして2020年はどんなゲームの数々が喜怒哀楽を刺激してくれるのだろうか? まだまだ注目を続けていきたい。

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