es執筆陣が独断で選ぶ2019年 BEST MUSIC  vol. 5

Column

2019年に“鮮烈な印象を与えた”アルバム3枚

2019年に“鮮烈な印象を与えた”アルバム3枚

振り返れば、2019年も豊作でいい作品に多く出会えた年だった。個人的にはバンド結成20年選手たちの中で、メンバー脱退というニュースも多く飛び込んで来た1年という印象も強く、驚きと戸惑いを隠せなかったのも事実。だからこそ、「いつか」、「また今度」と後回しにせずに、大好きなアーティストのライヴは絶対に観に行くべき。後悔しても遅いのだ。今回は2019年に発表された作品の中でこれは!と思うものを紹介したい。

文 / 荒金良介


『METAL GALAXY』/BABYMETAL

2019年10月にSU-METAL、MOAMETALによる初の2人体制で3rdアルバム『METAL GALAXY』を発表したBABYMETAL。前作『METAL RESISTANCE』はグルーヴ・メタル、ヴァイキング・メタル、プログレ・メタルなど、メタルのサブジャンルを横断した決定打的な一枚であった。あのクオリティを果たして超えられるのだろうかと思ったけれど、それは杞憂に過ぎなかった。「メタルの銀河を旅する」というテーマを掲げた本作は文字通り、時空を超えたスケール感で聴き手の予想をいい意味で裏切ってくれた。世界各地をツアーで駆け巡る彼女たちの経験値が、本作で一気にネクスト・レベルに到達したことを知らせてくれる。本当に驚愕の内容だった。というのも、メタル以外の音楽要素を大胆に取り込み、それを自家薬籠中のものにしたアプローチが際立っている。ユーロビート、ラテン音楽、シティポップなど、いままで手を付けなかったジャンルに手を伸ばし、BABYMETALの楽曲として見事に着地させている。もはや何をやってもBABYMETALサウンドになることを証明した傑作だった。従来のファンの間でも賛否が起きたけれど、それも彼女たちは想定内で攻め続けている。ライヴにおいても圧倒的なアンセム感を誇る「DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)」、タオル回しの光景が広がるパーティー曲「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」、メロスピ宇宙を体現した名曲「Arkadia」と、どれも過去曲に一歩も引けを取らない凄みを放っていた。ライヴを観た後に本作を聴くと、また接し方が変わるほどのインパクトを放つ楽曲が揃っている。

『永遠の花』/ハルカミライ

八王子発の4人組、ハルカミライ。このバンド名を見る機会が今年は増えたのではないだろうか。フェスにも数多く出演し、またバンドマンからも熱いラブコールを受け、対バンの誘いを受けることも多く、呼んだ側が「ハルカミライの後にやりたくない」と思わず零してしまうほど。同業者も素直に認めざるを得ない、強烈なライヴ・パフォーマンスで多くの観客を魅了し続けている。

12月に幕張メッセ国際展示場1ホールでワンマン公演を行い、それもソールド・アウト! 360度ステージでやりたい放題に暴れる奔放なライヴを展開し、多くの人を大合唱に巻き込んだ。そう、彼らのライヴはいつも特大のシンガロングが出来上がる。声を出して歌いたくなる楽曲がとても多い。パンキッシュなものからスローに聴かせる曲調まで、いずれの楽曲においても一緒に歌い上げたくなるナンバーばかり。2019年1月にメジャー・デビューを飾った、この1stアルバム『永遠の花』はそんな彼らの魅力を詰め込んだ作品だ。特に裏声を巧みに織り込む橋本学(Vo)の優しくも力強いヴォーカルは群を抜く素晴らしさ。その歌唱力の高さも相まり、聴き手のツボを突くグッド・メロディにより、聴き手はシンガロングを誘発されるのだろう。音源を聴いたら、まっしぐらにライヴハウスへと直行してほしいバンドだ。

『SWEET 17 MONSTERS』/東京初期衝動

2018年4月に結成された4人組ガールズロックバンド、東京初期衝動。椎名ちゃん(Vo,G)は銀杏BOYZの峯田和伸の大ファンを公言しており、音楽的にも大きな影響を受けているようだ。2019年11月に出たばかりの1stアルバム『SWEET 17 MONSTERS』はなんとも癖になる魅惑作と言っていい。「高円寺ブス集合」のような身も蓋もない曲名もあるけれど、荒々しいハードコア/パンク・サウンドの中にキラキラと輝くメロディが宿り、何よりピュアな感情をどストレートに伝える表現力には技術どうこうではとても手に入れられない天然素材のかっこ良さを漲っている。もちろんそれだけではない。「流星」、「Baby  Don’t Cry」、「中央線」など純粋にいい楽曲が多数収録されているのだ。最初に聴いたときはそのトゲトゲしい表現に好き嫌いは分かれるかもしれないが、二度三度と聴くうちに歌やメロディの底流に流れる透明かつ繊細な心のざわめき(あるいは暴れっぷり)に惹き付けられることだろう。持ち前のギャル・テイストさえも音楽に昇華し、他とは一線を画したリアルさも彼女たちの大きな武器となっている。

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