Interview

成田 凌、映画『カツベン!』主演抜擢はまさかの理由。周防正行監督「タイプだった!」

成田 凌、映画『カツベン!』主演抜擢はまさかの理由。周防正行監督「タイプだった!」

映画『舞妓はレディ』以来、実に5年ぶりとなる周防正行監督の最新作『カツベン!』。本作の舞台は、今からおよそ100年前の日本。“映画”がまだ“活動写真”と呼ばれていた時代に、楽士による生演奏付きのモノクロのサイレント映画を“語り”や“説明”で彩った“活動弁士”の活躍を描いた、夢あり、恋あり、笑いありのエンタテインメント大作となっている。これまでに修行僧や学生相撲、社交ダンスや刑事裁判、終末医療や京舞妓などをテーマにしてきた周防監督はなぜ、“活動弁士”という存在に着目したのか。そして、主人公である活動弁士を夢見る若き青年に成田 凌を起用した理由は!? この半年で47都道府県、300以上の媒体の取材を受けきた周防監督と、周防組初参加にして、本作が初主演となる成田の二人に話を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ
撮影 / ヨシダヤスシ


映画『カツベン!』の現場で学んだこと。「一番は楽しむこと」(成田)

カツベン! 成田 凌 エンタメステーションインタビュー

すでに300本以上の取材を受けてきたとお伺いしているので、何度も同じ質問をされているかと思い心苦しくもあるのですが、やはり、なぜ“活動弁士”をテーマにしようと思ったのかという出発点からお伺いしてもよろしいでしょうか。

周防 まず5〜6年前に、映画『それでもボクはやってない』以降、僕の映画の助監督をしてくれている片島章三さんから、「こんなシナリオを書いてみたんですけど、読んでみてくれませんか?」と渡されたのが、『カツベン!』の元になるシナリオだったんです。それを読んでみたら、活動写真——いわゆる無声映画をサイレントのまま観ていた人はいなかったんだよなっていうことに改めて気付かされて。僕自身、映画青年だったので、活動弁士の語りや楽士の演奏がつかないサイレント映画を観ていたんです。サイレント映画はサイレントで見るのが正しい見方だと思っていたので。だけどシナリオを読んで最初に思ったのは、「世界中でサイレント映画は上映されていたけど、本当に無音で観ていた人はいなかったんだ」ってこと。特に日本の場合は、音楽にプラスして、活動弁士のしゃべりが入っていた。映画史の最初の30年間のサイレント映画時代、日本では活動弁士の存在が映画を支えていたんですね。
だから、反省しました。僕は映画監督なのに、そんな大事なことを無視して、映画と付き合ってきたんだって。そして、何よりも、片島さんのシナリオが面白かった。単に活動弁士の活躍を描くんじゃなくて、活動弁士の物語をまるで活動写真のように撮りたいっていう狙いだったんですよね。それが、このシナリオの一番面白いところだと思って。活動弁士の素晴らしさを見せながら、この映画自体が、活動写真の面白さに溢れたものにしたい。そういう意欲を掻き立ててくれるシナリオだったっていうのが大きいですね。

カツベン! 周防正行 エンタメステーションインタビュー

まさに、この映画をいつか活動弁士の説明で聞いてみたいって思うような作品になってました。成田さんはどんな思いでオーディションに参加しましたか?

成田 僕、前作『舞妓はレディ』を撮られた5〜6年前はまだ、この仕事を始めてないんですよね。

周防 そうか! それもすごいな(笑)。

成田 そうなんです。だから、今まで周防さんの作品は観るものとして捉えていたんですけど、そんな監督が新作を撮るって聞いて。たまたま、知り合いに活動弁士が好きな人がいたので、いろいろ聞いたり、僕も調べて。オーディションの時に「勉強してきました! 澤登 翠さんとか、坂本頼光さんとか」って、薄〜い知識を披露した記憶があります(笑)。

周防 あはははは。

実際にオーディションで監督とお会いしてどんな印象を受けましたか?

成田 仏のようだなって。

周防 死んでるのか、俺は(笑)。

成田 あははは。そういう意味じゃなくて、本当に穏やかで柔らかくて。

周防 そういう人こそ怖い。

成田 そうかもしれないって思いました。でも、今の今までそのままの印象で優しい方でした。怒ってるところを見たことないですね。

周防監督が成田さんを主演に決めたのは?

周防 もうね、いろんな答え方をしてきたんですよ。「初々しさが俊太郎らしくてよかったから」とかね。でも、最近は「タイプです」って言ってます。さんまさんを演じたドラマ『さんまが泣いた日』を見てて思ったんだよ。「俺、成田 凌がタイプだったんだな」って。

成田 嬉しいです。

周防 面接って難しいんですよ。一応、セリフを喋ってもらったり、動いてもらったりするけど、数時間会って、話して分かることって、例えば、滑舌悪いな、芝居できないな、なんてマイナス要素くらい。僕が重視するのは、この役をこの人が演じたら、僕自身が好きになれそうかどうかだけだから、やっぱり、タイプだっていうことだと思います。

成田 嬉しいを飛び越えてびっくりしてます。初めての感情になりました。

カツベン! エンタメステーションインタビュー

(笑)。成田さんは初主演のプレッシャーはありました?

成田 クランクイン前は漠然とした不安と緊張を抱えていたんですけど、インしてからは大丈夫でした。

周防 僕も自分の立場を客観的に考えたら、緊張するはずですよね。こんな大作で、こんなに有名な人がいっぱい出てて、つまんない映画を作っちゃったらどうしようって。でも、作り始めるとそんなことは忘れちゃう。だってもう、目の前のことに夢中になるから、余計なことは考えなくなる。

成田 ほんとにそうなんですよね。不思議だけど。撮ってるときは、特に役作りせずとも、ほんとにその場の気分でいられました。

周防 確かに最初だけは緊張は伝わってきた。

成田 最初のシーンは緊張しました。

周防 でも、ほんと、芝居を重ねるごとにどんどんリラックスしていくのがわかった。撮影前のまだどんな現場かわからない時が一番緊張するよね。入っちゃえばもう。

成田 そうなんですよね。何かを持っていったところで、共演者のみなさんが何をされるかわからないし、監督には見透かされますので、無というか、「なんでもします」という気持ちで、裸のまんま飛び込みました。

カツベン! 成田 凌 エンタメステーションインタビュー

東京国際映画祭の舞台挨拶ではオーディションに「人生が変わるかもしれないという気持ちで挑んだ」とおっしゃられてましたが、撮影が終わって実際に変化を感じてますか?

成田 本当に簡単にいうと、すごく楽しかったんですよ。監督も出演者さんも、皆さん、楽しかったと思うんですね。ほんとにその場を楽しむ、お芝居を楽しむ、物づくりを楽しむっていう心を存分に浴びていました。監督は「誰もが意見を言える現場にしたい」とおっしゃっていたんですが、それこそ、周防さんの作品にいつも出られている竹中直人さんや渡辺えりさんが現場の雰囲気を作ってくださって。竹中さんは常に何をしてくるかわからないし、皆さんを見てて、僕もそんな人になりたいと思ったんですよね。ちょっと前までは「憧れてる方はいません!」って言いたかったんですけど、そんなプライドもいらないなと思ったし、一番は楽しむことなんだなっていうことを、学ばせてもらいました。

監督も「今までの現場の中でいちばん楽しかった」とおっしゃられてました。

周防 2番目かもしれない(笑)。まぁ、今、言ってくれたように、とにかく誰もがどんなことでも言える現場にしておきたいんです。僕、小津安二郎が大好きですけど、現場の雰囲気は真逆だと思うんですよね。

成田 怖いだろうな〜。

周防 ふふ。ほんとにね、今日、この映画に初めて助手でつきましたっていう人でも、「こんな風にしたら面白い」とか、「ここよくわからないです」とか、言える現場にしたいんですよね。ただ、『それでもボクはやってない』は法律の知識がないと言いにくかったりするんですけど、今回は楽しい映画で、しかも、映画についての映画なので、みんな、映画が好きで現場に来ているから、言いにくいということは一切ないだろうし、さらに言いやすい作品にしないと楽しくならないと思って。だから、そこに一番気を遣ってました。役者さんも今回、伸び伸びやってもらうことを大事にしたので、本当に楽しかったですね。

成田 凌の活弁に太鼓判!「何も言う事ない。本当に素晴らしかった」(周防監督)

カツベン! 周防正行 エンタメステーションインタビュー

徐々に活動弁士が衰退に向かっていく時期を描いたのはどうしてですか?

周防 いや、大正14年はほぼ絶頂期です。昭和2年くらいの活動弁士の数が7000人を超えてたっていう。多分、そこがピークで、昭和初期にトーキーが来て、徐々に廃れていくっていう。逆にいうと、今まで活動弁士が出てくるドラマって、だいたい職が奪われるところでしょ。朝ドラ『わろてんか』も。

成田 そうですね。

周防 だから、あえて絶頂期にした。活動写真が最も活気にあふれていた時代。

成田 確かに。映画『活弁物語』(1957)も解雇されるところまでやってますもんね。

日本映画の始まりの風景ですよね。令和になった現代は映画の世界がどんどん変わりいってますが、日本映画の未来はどう考えてますか?

周防 どうなるかわからないですね。映画は技術革新の歴史でもあって。まさか活動弁士の皆さんも、自分の仕事がなくなると思っていた人はいないと思うんですね。徳川夢声さんのように予感してた人はいるけども。僕もこないだ、シネコンに行って、スクリーンをはみ出して、壁にも映し出す上映システムを見て、「そこまで、俺、責任持てないぜ」って思ったんですね(笑)。そういう意味では、監督の作品っていうイメージはどんどん薄れるのかもしれない。もちろん、そういうものも残り続けるけど、コンテンツっていう嫌な言葉に代表されるように、商品として流通していく。映画でもいろんなタイプが存在していくのかなって思う。単純に“映画”って言って、みんなが納得するようなものが掴めなくなっていく。しばらくそういう時代が続くんじゃないですか。映画から発展して脇道に逸れるように枝分かれして、別の形の映像表現が増えていく。YouTubeとかも、すでに別の形の映像表現だと思うので、多様化していくだろう――映画が1つの区切りをすでに迎えていて、僕らはもう飛び越えているんじゃないかっていう気がしてます。

カツベン! 成田 凌 エンタメステーションインタビュー

成田 この後に、僕がしゃべるんですか(苦笑)。大きいテーマですね……。

周防 役者としての未来でいいんじゃない。

成田 これからまた素晴らしい人たちと出会っていくんだなと思うと、今後、どうなっていくかはわからないですよね。でも、いろいろやりたいです。「なんでもやるな、お前!」って言われるくらい、なんでもやってみたいなと思いますね。あとは、今回『カツベン!』で、いろんなものをもらったので、何かを与えられる人になりたいです。もらってばっかりなので、一緒にお芝居してる時になんでもいいので、誰かに何かを与えれる人になりないって、思ってます。

成田さんは今、役者に加えて、アフレコやナレーターの経験もありますが、活動弁士をやってみてどう感じました?

成田 全然違いますよね。活動弁士は無声映画に対して、自分で物語も作ってるので、全体を見ていないといけないし、やっぱり“生もの”なので伝える難しさもあって。活動弁士を知らないエキストラの皆さんを前に、伝えなきゃ、楽しんでもらわなきゃっていう気持ちで演じていました。練習の最初の方はしんどかったけど、やってるときは気持ちよかったです。

ライブみたいな感覚ですか?

成田 そうですね。だから、1個1個、何ヶ月も練習してきたものが終わっていくのは寂しかったです。

周防監督から見て、成田くんの弁士姿はどうでした?

周防 クランクイン前に活弁を聞いたときは、まぁ、合格かな〜くらいだったんですよ。でも、クランクインしてから1ヶ月後の最初の活弁シーンの撮影で、急に上手くなっていてびっくりしました。1ヶ月の間に俊太郎という役を演じてきたこと、あとは、さっき成田くんが言ったようにお客さんの前で喋るということ、それに、福島にある旧広瀬座っていう場の空気がプラスになっているのかなと思いました。本番のテストで聞いた時に、何も言う事ないやって思ったんですね。指導してくださった活動弁士の方が細かくチェックして、NGがあればやり直す。僕は、その前後の動きや活弁以外の部分を見ていればいいなって。本当にびっくりしました。

成田 土地のパワー、人のパワーはすごいですよね。

周防 でも積み上げてきたからこそ、本番で力が出せたんだと思いますよ。いくら場の空気っていっても何もなきゃできないからね。本当に素晴らしかったです。

劇場に足を運ぶ皆さんにはどう見て欲しいですか。

周防 今ある映画と、映画が始まった時のなんとなくの違いに思いがいってくれると、映画監督としては嬉しいなっていうのがあります。やっぱり初期日本映画で、みんなが試行錯誤しながら積み上げたものっていうのがあって、それが今の映画につながっている。こんな1歩目があって、今の映画があるんだってちょっと考えてもらえると嬉しいですけど、とにかく楽しんでもらおうって作った映画だから、笑って、楽しんでもらうのが一番ですね。

カツベン! 成田 凌 エンタメステーションインタビュー

歌舞伎の流れがあるから、初期の活動写真には女性が出てないとか、フィルムで動きのない固定のカメラだけどとか、日本映画の歴史も掘りたくなる作品になってると思います。成田さんは?

成田 日本映画の素晴らしさ、面白さがギュッと詰まってます。絶対に後悔はさせないっていう自信があるので、まず、観て欲しいです。この役者さんが好きだからとか、理由はなんでもいいので!

試写室でも爆笑が起きてましたよ。高良くんとの箪笥の押し引きとか。

成田 あれ、二度とやりたくないです(笑)。絶対に出てくるってわかってるのに、ボケッとのぞいてる時がほんとに怖い。今でも思い出しますね。……あと、ふと思い出したんですけど、僕、出てる作品、ほとんど女の子にビンタされてます。

周防 ほんと。あはははははは。いいね。

成田 今、気付きました。今回は黒島さんに。「いたっ」っていうセリフだったんですけど、痛すぎて「いっ」までしか出なかったんです。

周防 あはははは。すごいね。俺も毎回、撮ってるシーンがあって。トイレが必ず映るっていう。

成田 そうだ!『Shall we ダンス?』のトイレのシーン、大好きです。

周防 今回はトイレから活動写真小屋に忍び込むところから始まります。

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映画『カツベン!』

12月13日(金)全国ロードショー

【STORY】
一流の活動弁士を夢見る青年・俊太郎は、小さな町の映画館「靑木館」に流れつく。隣町のライバル映画館に客も、人材も取られて閑古鳥の鳴く靑木館に残ったのは、「人使いの荒い館主夫婦」、「傲慢で自信過剰な弁士」、「酔っぱらってばかりの弁士」、「気難しい職人気質な映写技師」と曲者揃い。雑用ばかり任される俊太郎の前に突如現る大金を狙う泥棒、泥棒とニセ活動弁士を追う警察、そして幼なじみの初恋相手!俊太郎の夢、恋、青春の行方は……! 俊太郎の活弁がうなるとき、世紀のエンターテイナーの物語がはじまる。

監督:周防正行
出演:成田 凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹中直人、渡辺えり、小日向文世、竹野内 豊、池松壮亮、成河、酒井美紀、山本耕史

©2019 「カツベン!」製作委員会

オフィシャルサイト
http://www.katsuben.jp/