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24年を経て再び始まったやり込みの日々『ロマンシング サガ3』傑作RPGの“強さ”とは

24年を経て再び始まったやり込みの日々『ロマンシング サガ3』傑作RPGの“強さ”とは

1995年、スクウェアから登場したスーパーファミコンの名作RPG『ロマンシング サガ3』(以下、『ロマサガ3』)。本作がオリジナル版の発売から24年を迎えた2019年11月11日、“HDリマスター版”となってPlayStation®4、Nintendo Switch™ほかマルチプラットフォーム対応(全8種)で新たに発売されました。
スーパーファミコン版で130万本を売り上げた大ヒット作ながら、意外にもこれまで移植やリメイクの機会がなかった一本とあって、まさしくファンにとっては待ちに待った再会。装いも新たに復活した『ロマサガ3』を、発売日から遊び倒しているプレイヤーが熱量高めにレビューします!

文 / 柳 雄大


大筋は共通でも遊び続けると浮き彫りになるフリーシナリオの真の魅力

個人的な話で恐縮ですが、『ロマサガ3』はこれまで発売されたあらゆるゲームのなかでももっとも長時間(&長期間)プレイし続けている作品でした。自宅では本作のオリジナル版をプレイするためにスーパーファミコンがいまだ現役で、今回のHDリマスター版『ロマサガ3』について”発売される”という初報を聞いてから現在まで2年以上待つ間にもたびたび遊んでいたぐらいです。そこで今回は、「なぜ『ロマサガ3』はここまで何度も何度も遊びたくなるのか?」という魅力の再検証を軸に作品を紹介していきたいと思います。
まず『ロマサガ3』の大きな特徴といえば、8人の主人公から1人を選んでプレイできる”フリーシナリオ”。あらかじめ決められた主人公で一本道のストーリーが進行していく普通のRPGとは異なる自由度を実現したシステムです。

ロマンシング サガ3 エンタメステーションレビュー

▲主人公は男性4人・女性4人の計8人。外見・年齢・設定を見ながらチョイスします

とはいえ、いずれの主人公を選んだ場合も”世界各地にあるアビスゲートを封印して同じラスボスのもとにたどり着く”というゲームの主目的はざっくり共通していて、ストーリーの大局までは変わらないようになっています。その一方でこの主人公セレクトには、”実は終盤まで伏せられているが、この8人のなかに世界存亡の鍵を握る最重要人物がいる”というミステリー的な構造があり、個人的にはそれこそが最大の魅力だと感じるところ。その人物、“宿命の子”が誰なのかは本稿でも内緒にしておきますが、もしそのキャラクターを主人公に選んでいた場合、なんと最終局面にパーティーメンバーから離脱してしまうという衝撃展開が……! こういった要因から、主人公選びはストーリーの変化というよりもゲームの難易度の変化を楽しむものという意味合いが強いと思います。

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▲HDリマスター版の初プレイには、商才に長けた青年で、24年まえの初プレイ時の思い出があるトーマスを再び主人公に選んでみました(ちなみに”ソリティア”は筆者の愛猫にちなんで名付けてみました)

そんな主人公選びは『ロマサガ3』のハイライト的部分ですが、自由度という点では、冒険の道中で出会ったキャラクターたちを自由に仲間にしてパーティー編成を考えられるところがより重要です。パーティー編成を自由に決められるのはシリーズ第1作から貫かれてきた特徴ですが、『ロマサガ3』は3作目ということもあって、仲間になるのはクセの強いキャラぞろい。年老いた術士から謎の放浪少女まで老若男女が選べるほか、ふつうの人間以外では吸血鬼、妖精、ぞう、ロブスター(エビ)、ゆきだるまなど、「なぜそのチョイスにした!?」と首を傾げたくなる絶妙な充実ぶりです。名前や見た目のユニークさはもちろん、キャラによって”武器を持たせてもてんで役に立たない”、”LP(生命力)が飛びぬけて高い”など、能力値が極端に違ってくるあたりも仲間の選びがいがあるポイントです。

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▲病弱で寝たきりの生活をしていた美女・ミューズ。しかし、あるイベント後から意外にも戦闘メンバーとして連れていけるようになります

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▲雪の街に住むゆきだるま。このキャラがまさか仲間にできるとは……

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▲多くの主人公がゲーム序盤に出会うものの、仲間にできるのはかなり後半になる吸血鬼のレオニード。HPは初期値666固定、LPは0と超特殊ながら初級者にもおすすめできる強キャラです

ちなみに、本作でラストバトルに参加する5人のメンバーは最終戦まえにひと言ずつ決意を語るという演出が用意されているので、どのキャラも一度はラストバトルまで連れていきたくなります。このことからも本作は、“最終メンバーをどう組み立てるか”が醍醐味になっていて、プレイヤーの数だけ正解があります。これが、何度もプレイしたいと思わせてくれる大きな要因のひとつであることは間違いないでしょう。

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▲筆者が世界各地から選抜した最終メンバーはこちら。主人公以外は“名前で呼んでもらえない”人たちを集めてみました。クセが強い!

“ひらめき”の電球だけじゃない、あらゆる演出の小気味よさ

『ロマサガ3』を語るにあたって避けて通れないのが、技と”ひらめき”の気持ちよさ。ここが何度でも遊びたくなる、ゲームの快楽として最大のポイントになっています。歴代作品でバトルシステムに画期的な試みを採り入れてきたことで知られる「サガ」シリーズ。『ロマサガ3』は比較的オーソドックスなコマンド選択式・ターン制バトルとなっていますが、プレイヤーキャラにレベルの概念がなく、バトルを繰り返しながら能力値がある程度ランダムに成長していくのが特徴です。

特に戦闘中の武器攻撃から新たに技を習得する”ひらめき”システムは秀逸で、キャラクターの頭上に“ピロリンッ!”と電球が出現した瞬間はたまらないうれしさがあります。武器の種類とともに技も数多く用意されており、難度が高い技は覚えるまでに膨大な時間を必要とするものも。

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▲技をひらめいた瞬間、キャラクターの頭上に現れる電球。この音とエフェクトのタイミングが病みつきになります!

電球が出現して技を覚える”ひらめき”システムは前作『ロマンシング サガ2』(以下、『ロマサガ2』)で初登場し、前作時点でその仕組みはほぼ完成しています。『ロマサガ2』もすばらしかった、という前提のうえで……筆者にとって『ロマサガ3』がなぜ格別なのか? その理由は大変細かいことかもしれないですが、グラフィックとSEとそのタイミング、つまり演出が洗練され「とにかく気持ちいい」からだと考えます。
“ひらめき”の電球しかり、強力な技を決める瞬間しかり、術が発動する瞬間しかり……さらに突き詰めていくと、”メニュー画面で何かを選んで決定する”だけでも、決定したときの音(SE)すら微妙に気持ちよかったり。今回、レビューのためにHDリマスター版『ロマサガ3』をプレイしながらじっくりと観察していましたが、このゲームは細かい演出の“小気味よさ”にかなりこだわって作られていると再確認しました。
それゆえにHDリマスター版となった『ロマサガ3』が、オリジナル版の“小気味よさ”を失っていないかどうかは特に注目したポイントでした。フタを開けてみると、”ひらめき”の電球をはじめ大部分はタイミングも含め”ほぼそのまま”の再現に成功。そのうえで、バトルでの技や術などは威力の高さに応じてほどよく見た目のアレンジが施されています。

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▲オリジナル版のイメージから派手めにアレンジされた攻撃エフェクトが気持ちいい。こちらは最強の剣技”黄龍剣”!

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▲属性によって色と紋様が異なる術の発動エフェクトがいい感じ。条件を満たすと複数キャラによって発動する合成術、陣形技も楽しい!

四魔貴族の強さと音楽は間違いなく『ロマサガ3』の魅力の核

バトルシステムが魅力的な本作ですが、実は”ボス戦らしいボス戦”が少なめな作品でもあります。というのも、世界各地に(固定の)強敵は存在するものの、特にセリフなどの演出なしで戦闘に突入するといったものが多い。しかし、”ここぞ!”というポイントに用意されたボス戦は作中のメリハリに一役買っています。本作の最重要ボスキャラとして明確化されている”四魔貴族”はその代表格。
ゲームの重要な目的地である世界4ヶ所のアビスゲートで待つ4体のボスキャラ、四魔貴族。それぞれ程度の差はあれども非常に強く、バトルのコツをつかみきれていない初プレイ時には苦戦間違いなしという存在感です。コイツらを倒すためにいかに鍛えるか、というのはゲーム進行の目安にもなっていました。

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▲四魔貴族・フォルネウスの登場シーン。印象的なセリフとともに画面奥から手前に向かってグワーッと迫ってくるグラフィックは大迫力!

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▲四魔貴族・ビューネイとの空中戦は『ロマサガ3』屈指の名シーンです

そのうえで、この四魔貴族バトルには専用のド派手な音楽が用意されています。本作の音楽を手がける伊藤賢治さんはカッコよくて耳に残るバトル音楽で特に有名ですが、この楽曲と四魔貴族が画面に初めて登場したときのインパクト、そして圧倒的な強さのすべてが相まって「なんなの、この異常なまでにカッコいいバトルは!」と感動したことを今でも覚えています。
その楽曲、『四魔貴族バトル1』のイントロ部分の強烈さは、もはや本作のひとつの“顔”といってもいいでしょう。HDリマスター版『ロマサガ3』のテレビCMにこの曲が起用されたことも、それを証明する事実でした(深夜にテレビをつけていて、あのCMが流れるたびに何度ハッとさせられたことか……)。

ワードセンスだけじゃない『サガ』っぽさ。HDリマスター版ならではのフォローも

「サガ」シリーズといえば、「ちょっと説明不足すぎでは!?」と思うような展開、独特すぎるワードセンスなども共通の魅力。『ロマサガ3』でもそういった要素は満載で、ファンの間でネタとして愛され続けるものも少なくありません。

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▲”小さな村”で村民に話しかけると「小さな村でしょう?」、「普通の村ですよ。」、「平和な村ですよ。」とそれぞれ価値観の違いをひと言ずつ口にするのがシュールです

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▲パーティーメンバーに加えるかどうかの会話で、断る場合の選択肢が軒並みヒドイのがじわじわきます

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▲大騒動を巻き起こしたあとの会話なのに、無感情っぽく「私が町長です。」としか言わなくなるこの人は特に有名。メーカー公式にもネタ化(!?)されているほどで、HDリマスター版ではこの会話にまさかの追加要素も加えられています

こうした言葉選びなどに見られる“ぶっきらぼう”なノリ、ある種の“割り切り”感はゲームそのものにも表れている部分があり、本作でゲームデザインからシナリオまでを手がける「サガ」シリーズの“神”こと河津秋敏さんのセンスが感じられます。
それは例えば、”バトルが終了するたびにパーティー全員のHPや状態異常が回復している(チマチマ回復しなくてよい)”とか、”街のなかに無造作にお宝は置いてない(民家の戸棚とかをひとつずつ調べる必要がない)”とか、”街からはボタンひとつでワールドマップに抜けられる(ちょっとした移動の手間はカット)”とか……。ちょっとしたことの積み重ねですが、ゲームの魅力の根本を奪わない範囲で細かいストレスを省いた作りです。こういうところもまた、『ロマサガ3』が何度もプレイしたくなる作品になった要因のひとつではないでしょうか。
ただ、”あまり説明をしない”という作風そのものは、特に初見プレイヤー泣かせでもあります。脱出方法を知らないと永久にループしてしまう、夢のなかのダンジョン”ピドナ王宮”、出現条件を満たしたうえで画面を数分間放置しないと出現しない”オーロラの道”、ひとたび進入すると準備不足でも引き返せない最終ダンジョン”アビス”などなど、1995年当時は攻略本のヒントなしにクリアを目指すのが相当難しかったと思います。

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▲夢のなかの世界”ピドナ王宮”。同じ構造の部屋を一定の法則で行き来することでアイテムが手に入り、先に進めるようになります

今回のHDリマスター版ではオリジナル版で説明不足ぎみだった部分、特にメインシナリオの進行に関しては一部で補足が加えられており、プレイヤーがギブアップしにくいようになりました。とはいえ、本作のちょっぴり不親切なところはある意味でファンに愛されるチャームポイントでもあり、それを全面的に易しくするということはしていません。HDリマスター版はオリジナルのリメイクという位置づけではない以上、ここが妥当な落としどころだったのだろう……なんて想像・共感しながらプレイしています。

ロマンシング サガ3 エンタメステーションレビュー

▲HDリマスター版には、4つのアビスゲートを閉じたあとに目的地を明示するシーンが新たに追加されています

ここまで、ゲームシステム、シナリオ、バトルなどの話題を中心に『ロマサガ3』の魅力を再検証してきましたが、作品の魅力として重要なグラフィックに関してはまだあまり紹介できていません。HDリマスター版では、細かく可愛く動き回るおなじみのドット絵キャラクターが、高解像度&ワイド画面で美しく生まれ変わった背景グラフィックに融合しています……! ということで、次回の記事ではこうしたビジュアル面の進化のほか、追加ダンジョン・イベント、新システムなど、HDリマスター版ならではの部分をさらに深掘りしていきたいと思います。

フォトギャラリー
ロマンシング サガ3 ロゴ

■タイトル:ロマンシング サガ3
■発売元:スクウェア・エニックス
■対応ハード:PlayStation®4/PlayStation®Vita/Nintendo Switch™/Xbox One/Windows® 10/Steam®/iOS/Android
■ジャンル:RPG
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2019年11月11日)
■価格:ダウンロード版 3,500円(税込)
iOS/Android版は3,420円(税込)


『ロマンシング サガ3』オフィシャルサイト

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ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI