Interview

栞菜智世が開いた、新しいドアの先にあるもの【インタビュー】

栞菜智世が開いた、新しいドアの先にあるもの【インタビュー】

2016年3月に発売したシングル「Hear ~信じあえた証~」が、映画『僕だけがいない街』主題歌に起用されメジャーデビューを果たした栞菜智世(かんなちせ)。デビューから早くも3枚目となるシングルが高視聴率ドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」の主題歌となり、話題になっている。その歌詞は、居場所を探してもがいている人々へ、前を向いて歩いて行こうと背中を押してくれるエールソング。
その話題の楽曲を歌っている栞菜に話を聞いた。今までの2枚のシングル楽曲とは違い、アップテンポな楽曲で前向きな歌詞に彼女自身のシンガーとしての幅も広がったようだ。ドラマタイアップが決まった時、喜びと同じくらい不安があったという栞菜自身が、楽曲と向き合い、一つ一つの言葉を大切に紡いでいったという。
“元気になる!”というようなポジティブなメッセージも多く寄せられていることから、彼女自身、迷いとかとまどいを取り払い、気持ちを奮い立たせて完成したという楽曲は多くの人に届いている。

取材・文 / もりひでゆき 写真 / 荻原大志


今年3月のデビューから順調に歩みを重ねてきた栞菜さん。その約8ヵ月はご自身にとってどんな時間になりましたか?

22年間生きてきた中で一番濃厚な、初めて尽くしの8ヵ月でした。レコーディングやミュージックビデオの撮影、フェスやファッションイベントへの出演、テレビの歌番組の収録など、ほんとにいろいろなことを経験させていただきましたね。私は新しいことにチャレンジするのが好きなので、すべての経験が楽しいものでした。

デビュー前には地道に歌のレッスンや路上ライブを重ねていたそうですが、それらの経験が今、生かされているという実感もありますか?

そうですね。レッスンや路上ライブをやっていたときにはツライ思いをすることもあったし、正直、心が折れそうになってしまうときもあったんですよ。でも、デビューしてからのライブでお客さんの顔を一人ひとり眺めながら歌っている自分を客観視してみると、あぁすべてはムダじゃなかったなって強く思えるようになってきて。デビュー前にいい経験を積ませてもらえたことは本当に良かったなってあらためて思いますね。

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デビュー前、心が折れそうになってしまったときに前へ進むための原動力になったのはどんなものでした?

まず大きかったのは周りのスタッフさんの支えですね。私は普段けっこうサバサバした性格なんですけど、ネガティブになると自分の殻に閉じこもってしまうクセがあって。そんなのときに「メソメソするなよ」とか「立ち止まってる時間はないよ」とか、私を奮い立たせてくれるストレートな言葉をいつもかけてくれていたんです。それにすごく助けられていたなって思います。

ご自身の中にある、歌うことに対する思いの強さがネガティブな思考を吹き飛ばす要因になっていたところは?

それもあったとは思います。私には音楽に助けられた、元気づけられたっていう経験がたくさんあったので、自分も1人のシンガー、アーティストとしてそういう役割を担いたいなっていう気持ちがやっぱり強くて。ただ、実際シンガーになってみると、自分の思いを音楽に込めて伝えること、届けることの難しさをすごく感じているので、そこはまだまだこれからの課題だなとは思います。

でも、デビューしてから栞菜さんの音楽が多くの人たちに届いていることを実感する瞬間もあるんじゃないですか?

「歌詞に共感できる」とか「歌詞と歌声がピッタリ合ってて、すごく素敵な曲だと思う」とか、そういう声をいただく機会は増えています。それはほんとに嬉しいですよね。

今回リリースされた3rdシングル「Heaven’s Door~陽のあたる場所~」は、現在放送中のドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」の主題歌になっていますから、そういった反響もさらに大きくなっていそうですよね。

そうですね。今まで以上にたくさんの意見をいただいています。今回、ドラマの主題歌をやらせていただくことを私は友人にもあまり言っていなかったんですよ。でも、最近はいろんな友人から「あの曲を聴くことで毎日、頑張って会社に行けているよ」とか、嬉しいメールをたくさんもらえるようになって。ドラマの力もあって、そうやって身近な人にも自分の歌を届けることができている状況はほんとにありがたいなって思います。

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ドラマ主題歌を手掛けることに対しても喜びは大きかったですか?

もちろん喜びはありました。ただ、自分の歌が毎週テレビから流れることで、それがどうみなさんに響くんだろうっていう不安もそれと同じくらいあったので、お話をいただいたときも「やったー、ドラマの主題歌だ!」みたいな感じにはなれなくて。性格的にも開放的に喜びを表現するみたいなことがなかなかできないタイプなので、デビューが決まったときもそういう感じだったんですよ。

不安を抱きながらじんわり喜びをかみしめる、みたいな(笑)。

はい(笑)。でも今回の「Heaven’s Door~陽のあたる場所~」に関しては、不安を抱いたままで歌うとそれが曲にも出てしまうと思ったので、前だけを向いて、やる気をみなぎらせてレコーディングには臨むようにはしました。ちょっと今までとは違った心情を持って曲に向き合うことはできたと思います。

ポジティブなメッセージが詰まった、開けた印象のあるアップテンポな楽曲ですもんね。後ろ向きな感情を持ったままでは説得力のある表現ができない、と。

そうなんです。これまでリリースしてきた2枚のシングルとは全然違う曲調だったので、新しい挑戦という意味ですごくワクワクもしたし、歌詞にはストレートなメッセージが込められていたので、迷いとかとまどいが一気に取っ払われて、気持ちが奮い立たせられたんです。

レコーディングではどんな表現を心がけましたか?

アップテンポだけどメッセージ性の強い曲なので、ひとつひとつの言葉の発音や感情を大事にしようと思いました。いつも以上にじっくり時間をかけて、大切に録っていきましたね。

具体的な歌い方のニュアンスはどんなことを意識したんでしょうか?

曲全体の印象として「私は前を向くんだ!」っていう強い気持ちを伝えたかったので、<うまくいかないたびに/心がクシャッて音する>みたいなちょっとネガティブな心情を描いた歌詞の部分に関しても、あえて笑顔で歌ってみたりしたんですよ。今までは、そういった歌詞が出てくるところはわりと感情をぐっと押し殺して歌うことが多かったんですけど、今回はそうじゃないなって。あとは声をこまめに変えてメリハリをつけてみたりとか、今までに使ったことのない歌い方をいろいろ試してみましたね。

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歌詞には<このドアをぶっこわして!>というフレーズがありますけど、栞菜さんもこの曲を通して新しいドアをぶっこわせたのかもしれないですね。

はい。これまでの栞菜智世にはなかった世界をしっかり見せることができる曲になったと思うので、ぶっこわせたかどうかはわからないですけど(笑)、新しいドアをちょっとは開けることができたんじゃないかなって思います。普段自分の曲をあまり聴かない私がこの曲は絶対1日に1回は聴いて、自分でも元気をもらえてますからね。そういう曲ができて本当に良かったなって思います。

カップリングには「Bye Bye」というミディアムナンバーも収録されています。タイトル曲とは違った、情感に満ちた柔らかい歌声がすごくいいですね。

嬉しいです。私も個人的にすごく好きな曲になりました。「Heaven’s Door~陽のあたる場所~」は夢に向かって頑張っている人を遠くから見守って、その背中を押したいっていう気持ちで歌ったんですけど、この曲は聴いてくれる人のすぐ傍で優しく、あたたかく歌いたいなと思ったんです。なので歌い方も感情をかなり大事にしましたね。

別れをテーマにした曲ですけど、そこに満ちている感情は悲しさではないですよね。

はい。あくまでも前向きな別れというか、お互いに別々の道を歩むけど、見守り合いながら頑張っていこうねっていう曲になっているので。悲しい歌にならないように、むしろ微笑みながらレコーディングしていましたね。

こういったミディアムテンポの曲も実は初めてですよね。

そうなんですよ! 私はミディアムテンポの曲をずっと歌いたかったので、これに関してはかなり「やったー!」って思いました(笑)。

そういう気持ちがあったからでしょうか、曲中に一ヵ所出てくる<yeah>のフェイクがものすごく気持ち良さそうで。自然と出ちゃったんじゃないかなって思ったんですけど。

あそこでフェイクを入れるのは決まっていたことではあったんです。でも、最初に楽曲をいただいたときに、「ここにフェイク入れたら良さそうだなぁ」って自分でも思っていたところだったんですよ。勘が当たったから嬉しかったです。まさに“yeah!”でした(笑)。

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デビューからのシングル3作で様々な表情を見せてくれた栞菜さんですが、12月7日には早くも1stフルアルバム「blue moon」がリリースされることが発表されましたね。

はい。実はレコーディングをずっとしてました。このアルバムはほんとに、ほんっとに絶対聴いていただきたい作品に仕上がったと思っていて。今までの栞菜智世の世界に直結する曲ももちろん入ってますし、それとは違う新たな表情を出した曲も入っています。特に、タイトル曲となる「blue moon」は、デビューからの時間で感じた私の思いが詰め込まれた、歌っているときに思わず泣きそうになってしまうくらい思い入れの強い1曲になっています。「どの曲も絶対いい!」って胸を……くらいまでは言える内容になっていると思うので楽しみにしていて欲しいですね(笑)。

胸を張って言える、と豪語しちゃっていいんじゃないですか(笑)。

いや、そこまで言うとハードルが上がりすぎちゃうんで(笑)。でも自分自身では納得のいく内容になりましたし、今の栞菜智世を知っていただける1枚になっていると思います。私に興味を持ってくださっている方、全員に聴いていだけたら嬉しいです!


シンガー栞菜智世が、同世代奮闘系女子の成長過程での「苦悩」「葛藤」を歌う1st アルバム、リリース決定!

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『blue moon』

■初回限定盤(CD+DVD)UPCH-29243  ¥3,500 + 税
■通常盤(CD) UPCH-20442  ¥2,800 + 税
発売日:2016年12月7日

映画『僕だけがいない街』主題歌「Hear ~信じあえた証~」、およびNTVドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』主題歌「Heaven’s Door ~陽のあたる場所~」を収録!

栞菜智世(かんな ちせ)

1994年1月14日生まれ。
福島県出身。
2016年3月16日にシングル「Hear ~信じあえた証~」(映画『僕だけがいない街』主題歌)にてメジャーデビュー。

「初めて知る痛みのような感触と、ずっと待ち焦がれていたような響きが混在する掛け値なく唯一無二と呼べる歌声」
玉井健二(音楽プロデューサー・agehasprings代表)

オフィシャルサイトhttp://kannachise.com/