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ガールズアクションで復活!『熱血硬派くにおくん外伝』着目すべきゲーム純度

ガールズアクションで復活!『熱血硬派くにおくん外伝』着目すべきゲーム純度
『熱血硬派くにおくん』といえば、アーケードで一斉を風靡したアクションゲームであり、テクノスジャパンの顔となっている代表作だ。その後はプラットフォームをファミリーコンピュータに移し、ドッジボール、アイスホッケー、サッカー、さらには運動会といったスポーツゲームにも展開。誕生から33年を迎えた現在でも“くにおくん”の愛称で親しまれている。その概要は過去記事で確認いただきたいが、この秋に発売された新作『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』は、主人公が“くにお”でもなければ、良きライバルの“りき”でもない。もっと言えば、熱血硬派な不良少年でもない。タイトルに示されているとおり、シリーズ初となる女の子……それも、くにおとりきのガールフレンドである“きょうこ”と“みさこ”を主人公に据えた意欲的な一作で、画面のなかから「女の子だからって、なめんなよ!」と啖呵を切ってきそうな気迫だ。本作を開発したのは『シャンティ』シリーズで知られるアメリカのゲームメーカー・WayForward Technologiesなのだが、“ジャパニーズ・kawaii”のテイストを『くにおくん』の世界へ見事に落とし込んでいる。そんな魅力に詰まった本作を紹介しよう。

文 / クドータクヤ


誘拐された彼氏を救出するガールフレンドの冒険活劇

1994年にスーパーファミコンで発売された『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』のプレイヤーキャラクターとして、くにおやりきと並んで登場していたきょうことみさこ。そんな彼女たちを主役として抜擢した本作は、くにおとりきが何者かに誘拐されたシーンで幕を開ける。これまでの『くにおくん』シリーズを知っていると「そんなバカな」と思わざるを得ない設定だが、きょうことみさこにとってはとにかく一大事! 授業中の教室を飛び出し、愛する彼氏の行方を追うため繁華街や港町、ときには工事現場やゴミ処理場と、リバーシティを縦横無尽に駆け巡る。しかし、その途中にはヤンキーやチアガール、警官やゾンビといったザコ敵が行く手を阻むのだが、「人の恋路を邪魔する奴は~」と言わんばかりにパンチやキックをお見舞いし、鉄パイプやベンチを武器にして片っ端から一掃! 旧作を継承したドットデザインでありながら、カラフルな色使いとガールズ向けカートゥーンのような滑らかなモーションにより、攻撃時の爽快感がグッと増したような印象だ。

熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls エンタメステーションゲームレビュー

▲ワゴン車に乗せられるくにおとりき。学ランの着こなしやとんがったリーゼントから一変! ふんわりオールバックやツーブロックなど、現代っぽいオシャレな風貌に。最強のふたりにいったい何が起きたのか……?

熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls エンタメステーションゲームレビュー
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▲こうしたデモシーンには、アメコミのコマ割りやアニメーションといった演出が用意されており、ゲーム本編に華を添える

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▲軽快なキックが得意なきょうこと、ヘヴィなパンチを繰り出すみさこのどちらかを選んでゲームスタート。2人同時プレイも可能なので、友だち同士で協力しながら遊んでみるのも面白いだろう

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▲拾えるものはすべて武器にできるのが『くにおくん』シリーズの醍醐味! ヨーヨーを勢いよく当てる様は、まるであのスケバンのよう

各エリアのボスにはスケバンの“みすず”、くにおの親友だった“やまだ”といったおなじみのキャラクターに加え、ファッションデザイナーやロックスターといった新キャラクター、さらには『くにおくん』シリーズと兄弟作と呼べる『ダブルドラゴン』に登場した敵キャラ・アボボが待ち構えている。一発の威力が大きい打撃をブンブンと振りかざしたり、魔法弾をシューティングゲームのように放ってきたり、ステージのギミックと連動してせわしない移動を求められたりと、ボスによって攻撃のバリエーションはさまざま。どれも一筋縄ではいかない難度の高さで、クセやパターンが掴めないうちはコンティニューを繰り返すハメに……。トライアンドエラー型の難易度であることもまた、『くにおくん』シリーズへのリスペクトを表しているように感じた。

熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls エンタメステーションゲームレビュー
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▲授業中の学園を抜け出そうとするきょうことみさこに立ちはだかるのは、学園の警備員を自称する女番長のみすず。ヒップアタックやタックルなど、一発のダメージが大きい攻撃を仕掛けてくる。反面、隙が生じやすいのでこちらも反撃に転じやすい

熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls エンタメステーションゲームレビュー
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▲地面に衝撃を与え、頭上から岩石を落としてくる4面ボスのアボボ。こちらの攻撃をガードし、そしてカウンターをかましてくるパターンが打破できずに何度苦しめられたことか……

熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls エンタメステーションゲームレビュー
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▲3面ボスとして登場するファッションスターのヒバリは、空中浮遊しながら左右に移動し、弾幕をばら撒いてくる強敵。タイマンではなく、雑魚キャラのゾンビを召喚してくるのがいやらしい!

綺麗なバラにはトゲがあると言うように、このポップでかわいらしい見た目に騙されてはいけない。初回プレイ時は「短時間でサクッとクリアできるだろう」とタカを括っていたのだが、強敵たちにあっさりと返り討ちにされてしまった……。「なめてかかってんじゃないわよ!」と、きょうことみさこに一喝されたような気持ちでコンティニューを繰り返し、やっと全面クリアできた喜びは、かつてファミコンのゲームで味わった達成感を久々に噛み締めた思いだ。「あともう少しで倒せたのに!」というボス戦でのギリギリの緊張感や、複数人に囲まれたときのピンチ感に歯がゆくなることも多々ある。とはいえ、終始イライラさせられるようなものではなく、レスポンスのよいキビキビした操作性と、難しいコマンドを一切必要としない手軽な攻撃コンボにより、ケンカアクション『くにおくん』シリーズならではの爽快感がグッと増したような印象だ。

レベルアップとショッピングで華麗にパワーアップ!

敵を倒したり、クラスメイトからのお願いごと(ミッション)をクリアすると経験値を獲得することができ、一定以上集めるとレベルアップ。レベルが上がっていくにつれ、体力や攻撃力の上昇、新技やコンボの習得といった恩恵が受けられる。いくら気丈に振る舞っていても、ステータスが低いままでは苦戦の連続になることは必至。面倒くさがらずにきょうこやみさこを強化させるのも大事な攻略へのアプローチであり、本作を長く楽しむためのアクセントとなっている。
倒した敵からはお金を得ることができ、リバーシティに点在するさまざまな店舗でショッピングが行えるようになる。アクセサリーショップで購入できるイヤリングやスマートウォッチといったアイテムは、身につけることで攻撃や防御といったステータス面を強化させられる。そのほか、アイスクリームショップやハンバーガーショップでは、体力が回復するさまざまな食べ物を購入することもできる。その場で食べきるだけではなくアイテムとして所持することも可能なので、新しいエリアに足を踏み入れるときやボス戦に備えて買い溜めしておきたいところだ。なお、コンティニューすると所持金が4分の1減った状態からリスタートとなるので、体力が少ない状態では無理せずに勇退しよう。先述したとおり、じっくり遊ぶ楽しさに気づくまでコンティニューを無作為に繰り返していたせいで、結果的に所持金がジリ貧になってしまい、買い物のチャンスを何度逃したことか……。

熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls エンタメステーションゲームレビュー
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▲飲食品にしてもアクセサリーにしても、実際に買ってみるまではどんなプラス効果をもたらすのか表示されない点は、金銭面のやりくりをするうえでやや博打っぽい面も否めない。とはいえ、ステータスがマイナスになるようなハズレアイテムがないのでひと安心

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▲リバーシティに唯一存在する道場では、講習代を支払うことで敵キャラのガードを崩す打撃や、プロレスの投げ技などを習得することができる。もしかしたら、くにおやりきよりも強くなっちゃうかも?

キャラクターの成長やお店での買い物といったRPGのシステムは、1991年にファミコンで発売された『ダウンタウンスペシャル くにおくんの時代劇だよ全員集合!』にインスパイアされているのだろう。また、『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』の一作だけに登場していたきょうことみさこに対し、『ダウンタウン熱血物語』、『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』でヒロインとして登場した“はせべ“と“まみ”のふたりは、「わたしたちのほうが出演回数多いのに」とメタ発言を含んだ物言いをつけたがっているような素振りで登場。こうしたファンサービスも先述したトライアンドエラー型の難易度と併せ、WayForward Technologiesによるリスペクトとしてふんだんに込められている。
全6エリアを疾走するきょうことみさこが最後に乗り込むのは、『熱血硬派くにおくん』と『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』のラストステージだった“あの事務所“だったり、くにおの宿敵に関係する新キャラがラスボスだったりと、旧作を知っていれば思わずニヤリとしてしまう演出が用意されている。その先にいるであろう、くにおとりきは無事なのだろうか? 救出に躍起となる乙女たちは恋にまっしぐらで、ときに周りが見えなくなってしまうものなのだ……。
移植でもなければリメイクでもなく、かつてのプレイ感覚を現代風にブラッシュアップした『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』。主人公を女の子にしたというだけではなく、かつての操作感を現代風にしたことや、アメコミやアニメーションでデモシーンを演出する手法に、「シリーズ作品の展開・進化にはこういう方法もあるのか」と驚き、この高い純度の仕上がりには非常に満足している。なお、クリア後の特典として、くにおとりきがプレイアブルキャラクターとして追加されるほか、さらに難度が上がった状態でスタートすることも可能だ。「やっぱり主人公はくにお(りき)じゃなきゃダメでしょ!」という”硬派“なプレイヤーも、見た目で毛嫌いせずに遊んでみてほしい。

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熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls

■タイトル:熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls
■メーカー:アークシステムワークス
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™、Xbox One、Steam®
■ジャンル:ベルトスクロールアクションゲーム
■対象年齢:12歳以上対象
■発売日:発売中(2019年9月5日)
■価格:ダウンロード専売 各2,900円+税


『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』オフィシャルサイト

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