Interview

太田将熙がファンに伝えたい役者としての覚悟と感謝。舞台『Get Back!!』まもなく開演!

太田将熙がファンに伝えたい役者としての覚悟と感謝。舞台『Get Back!!』まもなく開演!

『テニスの王子様』2ndシリーズに出演後、数多くの舞台で活躍している俳優の小笠原 健が初めて作・演出に挑戦する舞台『Get Back!!』が9月22日(日)より俳優座劇場にて上演される。
本作は父子家庭に育った薫という青年が、とあるきっかけで過去にタイムスリップしてしまい、仲違いしていた父親や見知らぬ母親とめぐり合うことで、お互いを許し認め合いながら成長していく、“ファンタジーヒューマンコメディ”だ。
そんな舞台で主演を務めるのが、本作が初めての単独主演となる太田将熙。アニメ『ドリフェス!R』では声優としても活躍し、体内活劇『はたらく細胞』へ出演し、舞台『ゴールデンレコード』では主演も務め、今注目を集めている。さらに、テレビ『獣電戦隊キョウリュウジャー』で不動の人気を得て、映像だけでなく舞台でも活躍している丸山敦史、舞台『刀剣乱舞』やハイパープロジェクション演劇『ハイキュー‼』といった人気作品に出演している横山真史など豪華キャストが揃っている。
そこで太田将熙に、本作への意気込みや初めて作・演出を務める小笠原 健のこと、今後の役者としての展望などを聞いた。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望


健さん(小笠原 健)の作品を絶対に成功させたい

俳優の小笠原 健さんが初めて作・演出を手がける本作は、公演情報が発表されるや各方面で話題になりましたね。

健さん(小笠原 健)の初めての作・演出の作品に、真ん中の役を演じさせていただくことはとても光栄です。稽古場でお会いすると、お芝居に対して熱くて、本当に舞台が好きなのが伝わってくるし、人間としても素晴らしい方だと思います。そんな健さんに影響を受けて、僕は思わず気合いが入ってしまって(笑)、稽古早々に、作品を立派なものにしてお客様に届けたい想いと、健さんの作品を絶対に成功させたい気持ちが強くなりました。

太田将熙 エンタメステーションインタビュー

役者の方が作・演出を手がけることで、普段の舞台での稽古とは違いますか。

健さんは役者たち個人の考え方を尊重してくれて、たとえば、健さんの演技プランと僕たちのプランに相違があったとしても、健さんは役者に寄り添って、僕たちの意見を汲み取ってくださるのを肌で感じます。稽古場では率先して健さんが実際に立って演じて、わかりやすくお芝居のイメージを伝えてくれるので、僕にとっては演じやすくてありがたいです。

初めての演出ですから、緊張もされていたでしょうね。

おっしゃるように、今までとは環境が違いますし、自分のつくった作品をどう仕上げるかプレッシャーもあるから、初めは緊張されていたかもしれませんが、今ではすっかり打ち解けてみんなでご飯に行ってコミュニケーションをとってくださいます。稽古場では、先輩の長戸勝彦さんや斉藤レイさんが率先して僕らをリラックスさせてくれるので、カンパニー全員で戦ってつくっているという印象で、とても良い座組みだと思います。

今作は現代から1999年にタイムスリップしてしまう“タイムスリップもの”

今作はどんな舞台だと思いますか。

薫という主人公の青年が現代から1999年にタイムスリップしてしまう“タイムスリップもの”なので、今の技術では起こすことができないことをあたかも実際に起きているように見せていきますが、そのぶん、過去の設定がリアルにつくり込まれているので、時代の特徴をきちんと捉えてお芝居をしなければいけないと思っています。そうしないと、お客様がご覧になったときに、主人公がタイムスリップしたことを信じていただけないので、お客様が納得できる演技を心がけたいです。ただ、稽古を進めるうちに、設定のリアルさを伝えようとするだけではなくて、役者のお芝居の熱さが伝わると人の心が動くと感じるようにもなって。言葉や行動に魂が宿っていたら、その人の話を聞いてみようという瞬間がありますよね。そういう魂の熱量がカンパニーに満ちていることが本作の魅力にも繋がると思います。僕たち役者の気持ちがぶつかりあったときに生まれる反応を大切にしたいです。

太田将熙 エンタメステーションインタビュー

キャラクターの印象はいかがですか。

今作に登場するどのキャラクターも必ず心に何かを抱えています。僕の演じる薫は父子家庭に育っているのですが、ほかのキャラクターも家庭の事情を抱えていて、それぞれが密接に結びつきあいながら温かい人間関係をつくっていくのも本作の特徴です。実際の1999年では僕は5歳でしたが、現代よりテクノロジーは進化していないけれど、家族に温かみがあったことを思い出しながら稽古をしています。

実際に演出を受けてみていかがですか。

健さんは本当にキャスト全員を見捨てないで、いつまでも向き合ってくれます。僕もついつい健さんの優しさに甘えて、なんでもないことでも質問に行ってしまうのですが、そういうときも見放さないで付き合ってくれる。演出家として信頼できますし、同時にプレイヤーとしてご一緒したい気持ちも生まれたので、いつか共演者として同じ舞台に出演してみたいですね。

先ほど、役者の意見を汲んでくれるという話もありましたが、役者・小笠原 健さんだからこその演出の特徴はありますか。

基本的にはコメディタッチのお話で、少しでもテンポが狂うと笑いが取れないことを役者であれば知っているので、健さんも笑いのテンポや間を理解された演出をされるのは、役者ならではの演出だと感心しています。感情を吐露する場面のお芝居も、初めは僕たちに任せてくださって、演者なら「こうしたい」という気持ちを理解したうえで、健さんが全体を見渡して「もう少しこうしたほうが面白い」とおっしゃってくれるので、僕らも健さんの意図を納得できますし、役者のことを大切に考えた演出をされると思います。

今作のお芝居は難しい。もっと役の精度を高めていきたい

稽古もすでに荒通しまでされているそうですね。稽古の手応えを聞かせてください。

今作のお芝居は難しいです。やはり、薫はひとりだけ未来から来た人間という設定なので、どうしても異物感が生まれてしまって、それを感じさせないようにしなければいけないので大変です。その中で母親に出会ったり、冷え切った関係の父親の本当の姿を知って成長していく。なので、僕の感情の変化に嘘が少しでもあったらお客様が冷めてしまうのはわかっているのですが、まだ自分がどんな感情をすれば正解なのか模索している状態で、本番まであと約1週間ですが、さらに1週間稽古が欲しいぐらいで(笑)、とにかく残りの稽古期間に、もっと役の精度を高めていきたいと思います。

太田将熙 エンタメステーションインタビュー

太田さんが演じる薫はどんな役だと思いますか。

脚本を初見で読んだときは、とても暗くて内にこもっている印象を受けたのですが、稽古をしてみると、友達と喧嘩をしているシーンでは感情を爆発させたり、見知らぬ母親はどう思っているのだろうという切ない気持ちにもなるので、人間的な部分がたくさんあります。ただ、お客様は最初のうちはひたすら嫌な奴に見えるだろうと思いますね(笑)。けど、そんな青年が過去にタイムスリップして父親や母親と出会い、父親の愛を感じたり、母親が子供のことをどう思っていたのか理解し始めて変わっていくので、お客様の心を動かす役でもありますから、演じ甲斐があるし、演じていて楽しいです。

ご自身の中で今作のポイントは何だと思いますか。

人は生きていれば何度でも人生をやり直すことができるというメッセージがあると思います。生きてさえいれば自分が変わることができるし、自分が変われば相手も変わることを伝えたいです。それから、家族のありがたみを感じて、故郷にいるおじいちゃんやおばあちゃんに会いたいと思ったり、日常の些細なことを大切にすることが幸せに繋がるといったことをテーマにした作品だと思います。

お話を伺っているとSF的な要素だけでなく、家族の絆を描いた物語のように感じます。父親の徹 役は横山真史さんですが、どのような関係性を築いていこうと思っていますか。

僕と横山さんには、初めは冷え切った関係が、中盤からは友達になれるかもしれないというぐらいに変わらなくてはいけない難しいお芝居を要求されます。それでも横山さんとは以前共演をして見知っているので、良い関係性を築いてお互い演じることができると思います。最初はお互い顔を背けるように演じながら、徐々にアイコンタクトをとったり、子供が父親に対して心を開いていく様子がお客様にしっかり伝わるようにお芝居をしようと思います。

どれだけ本気で芝居と向き合っているか姿勢で見せていきたい

本作で太田さんは単独初主演になりますね。

ありがたいのひと言です。舞台『ゴールデンレコード』(2019)でダブル主演のときには、稽古場の雰囲気づくりはそこまで意識していなかったのですが、単独になるとそうは言っていられない。でも、僕は周りに気を遣ったり、気を遣われたりする状況があまり好きではなくて、フラットに僕のことをいじって欲しいし、ふざける部分はふざけるカンパニーにしたいです。とにかく、みんなでつくっていくことを大切にしたくて、稽古場が明るく楽しくなるよう心がけています。

太田将熙 エンタメステーションインタビュー

では、どのように座組みをまとめていきますか。

どれだけ本気で芝居と向き合っているのか姿勢で見せていきたいです。稽古以外のふざけている部分では隙を見せても大丈夫だと思いますが(笑)、稽古中はほかのキャストも熱心に取り組んでいるので、お芝居では隙を見せないように意識しています。言葉よりも想いを大切にしながら、みんなのお手本となれるよう、少しでも「あいつは頑張っている」と思ってもらいたいですね。

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