プレイバック・平成アニメの31年  vol. 1

Column

いくつもの社会現象がここから……平成アニメの名作を生んだスタジオ3選

いくつもの社会現象がここから……平成アニメの名作を生んだスタジオ3選

ロボットアニメだけ……じゃない!!「サンライズ」

鬼才・富野由悠季監督が手掛けた『機動戦士ガンダム』(1979年)を筆頭に、数々のロボットアニメを世に送り出してきた、国内トップクラスのアニメ制作会社、サンライズ。荒唐無稽な「スーパーロボットアニメ」がマンネリ化しつつある中、ガンダムの生み出した「リアルロボットアニメ」という潮流は、80年代のアニメシーンを席巻し、以後も数々の名作へとつながっていく。

このリアルロボットアニメブームは、昭和の終わりと共に下火となっていくのだが、サンライズはそれを敏感に察して、新時代のスーパーロボットアニメとも言える、勇者シリーズ(1990年『勇者エクスカイザー』~1997年『勇者王ガオガイガー』)や、エルドラン3部作(1991年『絶対無敵ライジンオー』~1993年『熱血最強ゴウザウラー』)などで、見事に平成キッズの人気を獲得していく。

その上で、平成初期のリアルロボット路線もガンダムシリーズを中心に継続。『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(1989年)『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(1991年~1992年)で発表の場をOVAへと移しつつ、大人の鑑賞に堪えるガンダムを作り出すことで、見事に“伝統”を継承&昇華していった。

なお、ガンダムシリーズはその後、1993年に『機動戦士Vガンダム』でTVシリーズ復帰を果たし、翌年以降はそれまでの伝統に縛られない(舞台や設定を共有しない)「アナザーガンダム」路線に転換。ロボットプロレス的な要素を加味することで少年ファン増に貢献した『機動武闘伝Gガンダム』(1994年)、美少年キャラ勢揃いで女性ファンを虜にした『新機動戦記ガンダムW』(1995年)、従来ガンダムを見事に換骨奪胎した『機動戦士ガンダムSEED』(2002年)などで、“その時代のアニメファンのためのガンダム”の展開に成功。直近では『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(2015年/2016年)が幅広い層から支持を集めている。

もちろん、宇宙世紀という“伝統”を受け継いだガンダムシリーズも健在だ。こちらはOVA『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』(2010年~2014年)で再び人気に火が付き、近年は、ファーストガンダム前夜を描いた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(2015年~2018年)も話題に。新元号を迎えた令和時代には、これまでほとんど語られてこなかった『機動戦士ガンダムUC』以降の100年間を描く「UC NexT 0100」プロジェクトが本格展開することになっている。

……と、現在もロボットアニメのトップランナーとして業界に君臨するサンライズ。こうして見ていくとロボットアニメばかりの会社というような印象もあるが、実はそれは大きな勘違い。アニメ市場の拡大と共に規模を拡大していった同社は、時代が平成に移り変わったタイミングでその方向性を大きく拡大し、リアルロボットアニメブームの終焉と時期を同じくして、ロボットが出てこない、さまざまな作品に携わっていくことになる。

アニメの演出が原作にもフィードバックされた『ミスター味っ子』(1987年)、エンディング曲「Get Wild」が印象的だった『シティハンター』(1987年)などがその端緒。以降も、『犬夜叉』(2000年)や『銀魂』(2006年)などといった人気コミック原作作品や、『ケロロ軍曹』(2004年)、『男子高校生の日常』(2012年)のようなコメディ作品など、さまざまな作品のアニメ化に携わっている(ちなみに『銀魂』や『ケロロ軍曹』では、頻繁に挿入されるガンダムパロディが話題となったが、これもサンライズ制作だからできたこと)。

そうした手広い展開の中でも、特に中でも驚かされるのは、サンライズが『アイカツ!』(2012年)や『ラブライブ!』(2013年)のようなアイドルアニメも手掛けていること。可愛い女の子が歌って踊るアイドルアニメは、銃弾飛び交うロボットアニメ(戦争アニメ)とは真逆の存在と言っても過言ではない。その双方のトップタイトルを同じ制作会社が作っているというのはにわかには信じがたいことだ。

社内に10を越えるスタジオを抱え(その中には3DCGの制作に特化した実験的・先進的なスタジオもある)、毎クール、数多くの作品を生み出しているサンライズ。国内アニメの“質”と“量”、双方を担う、最重要スタジオの1つと言えるだろう。

(文 / 山下達也)

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