今は聴き流せるかっこよさもかっこいいなあという感じがあるんです。
とすると、例えば2曲目「吸血鬼はAB型がお好き」のようなポップな曲も聴きたい気分だったと思っていいですか。
金井 ポップかポップじゃないかというのは結果論だと思ってて、自分が尖ってると思っていても聴いた人が丸いと思えばポップだし。それでも、とりあえず歌詞は面白いほうがいいなと思っていて、それはやっぱりお店にいろんなCDが並んでいるなかで、これを見つけてほしいからだし、見つけてくれた人がちょっとでも笑えてしまうほうがいいと思うから。それに、音楽のコンビネーションというかマリアージュというか、「揃ってると楽しいことがあるんだよ」ということを歌詞でやってみせることが自分にはできると思っているので。
確かにこの3曲は、曲調はそれぞれ違うけれど、歌詞の世界では通じ合っているところがあります。
金井 最初、「mummy mummy」の仮タイトルがscience、つまり科学だったから、カップリングも数学と国語みたいな並びで、時間割みたいなシングルにできるといいなというようなことを思っていたんです。でも、作っていくなかで僕の気分も変わるし、他の人の気分もあるし、流れたみたいなこともありますから。1曲目のタイトルが「mummy mummy」になったところで、そのなかに木乃伊と書いたからカップリングは吸血鬼と狼男で揃えようかなって。自分で漠然と縛ってるだけなんですけど、そのほうが楽しいし書きやすいかなと思うので、そういうテーマ設定をある意味では無理矢理やったわけです。で、2曲目の歌詞については、歌詞って賢さやメッセージ性が絶対必要なわけではないし、楽しければいいじゃんと思っていて、この曲はまさにそういう曲ですね。血液型がどうこうという話をするのはちょっと楽しかったりもするし。
こういう歌詞を書くにあたって、血液型に関する一般論は一応確認するんですか。
金井 それは調べますよ。でも結果的に僕が何を思ったかと言えば、ものすごく適当なことで(笑)。ただ、例えば「A型は真面目」というのは誰にでも書けるけど♪Aはキリッと♪と書くのは自分だけだろうから、それがいいなと思いました。で、B型のことをあまり悪く言うと嫌われるかなと思って♪Bはまろやか♪にしておこうと言う配慮がはたらいたり。O型は自分なので、これは悪く言ってもまだ許されるかなと思って…。
東出 おいおい、私もO型だよ(笑)。
(笑)。僕もO型ですが、「O型は大雑把」という話もありますよね。
東出 「O型は頑固」というのもありませんか?
ありますね。
東出 このバンドの中ではO型はこの二人なんですよね(笑)。
レコーディング中に、バンドの中でそういう話になったりしましたか。
東出 これまでに何度もしてきましたから(笑)。女の子みたいないキャッキャッした話にはならないですけど…。
金井 でも、話はしましたけどね。
東出 「O型っぽいねえ」みたいなね。
3曲目「Wolfgang in the moon」は、受け取った時にはどういう印象でしたか。
東出 金井くんが、出来上がりに近い感じの音を持ってきて、すごくはっきりしたイメージも示してくれたので、それに沿うようにやっていきました。2曲目もそうでしたけど。
2曲目、3曲目のデモ作りも、さっき話してくれた「聴きたい作品を作りたい」というシングルのアウトラインに沿って進めたんですか。
金井 次の作品をどういうものにするか考えた時に、何か1点だけを定めているわけではなくて、ただ前作とは違う方向を向いている、と。それをどういう言い方をしたら収まるかいろいろやってみるわけですけど、やってみて結果的にわかったことがあって、それは「生々しさというのは聴いててちょっと緊張するというか、リラックスして聴き流せないな」ということで。
気楽に聴き流すと、悪いことをしたような気がしたりしますよね。
金井 魂の一挙手一投足を刻んだような表現も好きだしアリだけど、でも今は聴き流せるかっこよさもかっこいいなあという感じがあるんです。ちょっと力が抜けたほうがフォームがきれいだったりするじゃないですか。それと同じような感じで作品に向かうことができるんじゃないかなと思ったし、意図的に力を抜くことは2周目ならけっこう容易く出来るんですよ。自分が作ろうとするものはどうしても濃くなりがちなんだけど、それを薄くするのにいい形でいいバランスというのを見つけようとしたのが、多分、今回の大枠の気持ちだったんだと思います。それをひと言で言えば、「もうちょっと聴きやすいものを作りたいなあ、作るべきかなあ」ということなんだと思うんですよね。
ところで、BIGMAMAのシングルには、収録曲のタイトルではないタイトルが充てられたことも過去にはありますが、今回はどのタイミングでこのタイトルに決めたんですか。
金井 僕のなかには別のタイトルがありますよ。さっきも話したように、最初は時間割みたいなシングルがいいなと思ってましたし、最終的に「mummy mummy」になる手前は「Teacher is a creature」でした。“怪物から学べ”みたいな感じですよね。木乃伊と吸血鬼と狼男を出して何を描きたいかと言えば、彼らに対して愛もメッセージも特にはないんですけど、彼らから何かを学ぶというのが自分のなかではオチになってるんですよね。そういう意味で自分なりのタイトルはいつもあって、それはつまりその作品のテーマであるわけですが、でもその作品に名前をつける場合にそれがそのままタイトルにならなくてもいいんです。今回で言えば、選ばれたもののほうが見栄えが良かったんですよ。客観的に見て、僕が思ってるものよりみんなが思ってるもののほうが良さそうだったから、僕がそこに乗ったということですね。
さて、今回のシングル・リリースは2周目の2歩目を踏み出した段階だと思いますが、この後はどういう動きになりそうですか。
金井 実は「mummy mummy」と同時進行ですごくいい曲が録れていて、いい歌詞がはまっていて、それはいつにも増して丁寧に差し出したなと思っているところなんですが、そういうものがまず一つあって、それ以外にもう一つ今バンドとしてやるべきことがあって、それは長くBIGMAMAの活動を追っかけてくれている人なら“そろそろかな”と思っているかもしれない。そういう状況ですね。
その他のBIGMAMAの作品はこちらへ。
ライブ情報
BIGMAMA presents 「mummy’s day」
5月12日(日)Zepp Tokyo
BIGMAMA
金井政人(vo,g)、リアド偉武(dr)、柿沼広也(g,vo)、安井英人(ba)、東出真緒(violin/key)。
ヴァイオリンを擁する5人編成のロック・バンド。
2006年にミニアルバム『short films』をRX-RECORDS/UK.PROJECTから発表しデビュー。2007年より現メンバーで本格的に活動開始。ヴァイオリンを生かし、ロックとクラシックを融合させたコンセプト・アルバム『Roclassick』を発表するなど、日本のロック界に新たな革命を起こす。現メンバーとなって10周年となった2017年9月、キャリア初となるベスト・アルバム『BESTMAMA』を発売し、10月に開催された初の日本武道館公演はソールドアウト。翌18年、ユニバーサルミュージックとパートナーシップを組み、3月にメジャー1stシングル「Strawberry Feels」を発売。10月にはメジャー1stアルバム『-11℃』を発売した。
オフィシャルサイト
http://bigmama-web.com





