ウィリアム・シェイクスピアの有名戯曲『ロミオとジュリエット』が、鈴木勝秀による脚本・演出でエネルギッシュなロック・オペラに!
6月から上演されるRock Opera『R&J』は、タトゥーやシルバーアクセサリーが印象的なロミオとジュリエットのビジュアルからうかがえるとおり、大胆にアレンジされた新しい“ロミジュリ”だ。全体主義的政治が支配する近未来の世界を舞台に、エネルギーを持て余す若者たちの出逢いと生き様をロックミュージックに乗せて描く。
ロミオを演じるのは2.5次元ミュージカルでブレイク以降、バンド活動などでも人気を誇る佐藤流司。ジュリエットは、日本人アーティストをはじめ、2015年にマドンナのワールドツアーのバックダンサーなどグローバルに活躍し、最近はアーティスト・女優としても活動を開始した仲 万美。ふたりの初対談を取材。誰も観たことがない“ロミジュリ”に臨む今の心境を聞いた。
取材・文 / 片桐ユウ 撮影 / 増田慶
鈴木勝秀さんの“ロミジュリ”であり、私たちが演じる“ロミジュリ”
Rock Opera『R&J』に出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
仲 万美 「信じられない!」というのが正直な感想です。自分がそういう場所に入るとは思ってもいなかったので、喜びよりも驚きが強かったですね。これまでダンスしかやったことがなかったですし、演技経験も片手の指で数えられるくらいなので、最初は「なんで私なの!?」という気持ちがありました(笑)。でもビジュアル撮影や取材などがあり、こうして日にちが迫ってきてようやく「そうか、自分は出る人なんだ」と実感しているところです。緊張もしていますし、不安もたくさんありますけど、それが“楽しみ”になってくれたらいいなと、今は思っています。ミュージカル自体は結構観ていて、実は“テニミュ”とかも……。
佐藤流司 え!? そんなこと言ってなかったよね?(笑)
仲 恥ずかしくて言っていなかったんですけど(笑)、実は一方的に存じ上げていました。ロミオ役のお名前を見たときに「あれ? 待って、佐藤くんってさ?」ってすぐに調べて「やっぱりー!」って(笑)。
佐藤 前に観られていたのが、財前(財前 光。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで佐藤の演じた役)って(苦笑)。

佐藤流司
佐藤 俺は、自分の人生でロミオをやるというプランがなかったので、ビックリしました。役柄的にマーキューシオとかはやることがあるかもしれないかなとは思っていたんですが、ロミオはなかったから。でも今回は“Rock Opera”で、さらに独自の世界観で……という概要をお聞きして、そういうものだったらぜひやらせていただきたいなと思いました。ミュージカルが苦手なので、ロックだと聞いて安心したところはあります。
仲 え!? ミュージカル、苦手なんですか!?
佐藤 観るぶんには好きなんですけど、ミュージカルは皆さん“伸びの良い声”というイメージがあるから。俺はどちらかと言うとハスキーなので、この声はないと思ってしまう。だから、ロックと聞いて「良かった」と思った自分はいました(笑)。

仲 万美
“Rock Opera”ということもあり、舞台設定は、“近未来”で“全体主義的政治が市民を支配する閉塞した社会”など、原作の『ロミオとジュリエット』とは大きく異なります。世界観を知ったご感想は?
仲 結構攻めていますよね! 近未来ですけど、想像できそうでできない世界だなと。
佐藤 そうそう、ロミオの設定も見せてもらったんですが、いろいろとすごくて。でも、その中で社会に反発してグループを組んでいるような悪ガキたちのアンダーグラウンドな世界というのは、やっていてすごく面白いと思うし、自分の中では演じやすい、入り込みやすいところではあるかもしれないと思っています。
仲 私は良い子……ではないのですが、周りにたくさん“ワル”はいたんですけど、そこを見ないように過ごしていたので(笑)、これからちょっと勉強しなきゃなと……。
佐藤 ん? そうすると俺は“ワル”で育ってきたみたいになる(笑)。
仲 すみません!(笑)なんというか、役者さんってカメレオンじゃないですか。“コレ”って言われたらその色にスポーンってすぐになれるけど、そういうものが自分にはまだないので、いろんな方を見て吸収していかなくてはと思います。皆さんの知っている“ロミジュリ”ではないっていうのはあきらかですけど、これがスズカツ(鈴木勝秀)さんの“ロミジュリ”であり、私たちが演じる“ロミジュリ”なんだよって見せられたらいいなと思います。
佐藤 そうだね。たぶんですけど『ロミオとジュリエット』というタイトルを借りた別作品になるのかなと。スズカツさんも原作をなぞるつもりはないみたいですし、俺自身もそう思っていて。勉強として『ロミオとジュリエット』は観ようと思っていますけど、参考にはせずに、自分が脚本を読んだときのインスピレーション、そのままのロミオを演じていけたらと思っています。
この作品のロミオは“グルッパという若者たちのリーダーで、刹那主義、守るものもなく未来も信じていない”という青年。そしてジュリエットは“不良お嬢様で、権力を笠にきた悪徳警察署長の娘なので甘やかされており、なんでも思いどおりになると思っている、やりたい放題で自己中心的”な女の子、という設定です。
仲 お嬢様で不良とは、困った娘ですよ(笑)。でもちょっと自分と似ているんですよね。
佐藤 ということは、親父さんは権力を笠にきた……?
仲 いえ、そこは似ていない!(笑)“甘やかされて”育ったというところが、若干似ているかもと思います。それと、“なんでも思いどおりになると思っている”ところもありますし、“やりたい放題”や“自己中”も……結構当てはまりますね。あとは“不良”の部分はこれから(笑)。
佐藤 俺が役と似ているところは、“グルッパのリーダー”であるってとこですかね(笑)。あとは、“刹那主義”はわからなくもないです。漠然とした人生設計しかしていない、行き当たりバッタリの感じはあるので。でも守るものは……家に猫が2匹いるので。
仲 猫ちゃん! 2匹もいるの?
佐藤 だから設定の中で似ているとなると半々くらいです。
俺は一目惚れ、絶対しない。 “一目嫌い”はするけど
ビジュアルのキャッチコピーは「オレはこいつに一目惚れ/アタシもこいつに一目惚れ」ですが、おふたりは一目惚れの経験は?
仲 私は全然あります。人にもモノにも何にでも。一目惚れしたらグイグイいきます! 欲しいものは欲しいので、好きになったら手に入れるまで絶対諦めたくないんです。たとえば、欲しいものが高価だったら働きます! それでも、もし先に売れてしまったとしたら「そういう運命だったんだな、OK!」って切り替えます(笑)。
佐藤 俺は一目惚れ、絶対しない。人間なら、中身がやっぱり大事だと思うから。“一目嫌い”はするけど。
仲 一目嫌い?
佐藤 一目見た瞬間に「この人とは合わないな」と思うと、その人とはだいたい合わない。だから一目惚れの逆バージョンならある。
仲 へえー。面白い!

佐藤 あ! でも猫を飼ったときは一目惚れだったかも。お店に入って5秒くらいで決めましたから。
仲 それ、一目惚れやん!(笑)
佐藤 ほんまや!(笑)
仲 「コイツだ!」って思ったの?
佐藤 速攻で「ください、この子」ってなった。
一目惚れ経験、ありましたね! きっと本作にも活かせるのでは?
佐藤 なるほど!
仲 あはは(笑)。