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かつてない最高難度!? 『SEKIRO』がやめられない面白さに転換する理由

かつてない最高難度!? 『SEKIRO』がやめられない面白さに転換する理由

すべての技を駆使し、困難を乗り越える

さて、葦名源一郎に左腕を落とされてしまった狼は謎の仏師に助けられます。一命をとりとめ、彼によって左腕に特殊な義手を装着されました。仏師曰く、これは失った腕を補うだけのものではなく、いろいろな忍具を仕込んで便利に使える“忍義手”とのこと。以後、探索で忍具を手に入れることがあれば、仏師の所で忍義手に新しい機能を着けてもらえます。手裏剣を投げたり、獣が恐れる爆竹を鳴らしたり、仕込み傘で敵の攻撃を弾くことができるようになったりと特殊な機能が追加されるので、多彩な戦略を練ることが可能になります。

▲敵を炎上させることができる“火吹き筒”。特に赤目の敵に効果大です

▲忍義手に付けられる忍具を“義手忍具”といいます。アタッチメントで便利な機能が付け替えできる仕組み。これはワクワクしないわけがないですよ!

戦闘によってゲージを溜めて攻撃スキルやパッシブスキルを修得できるスキルツリーがあり、ジャンプ中にガードできたり、義手忍具を使うときに消費されるアイテム“形代”の所持数を増やしたりと、これによっても狼の動きはどんどんバリエーション豊かになります。スキルや義手忍具はすべて揃えたほうが攻略に有利であることは間違いないですが、直接主人公のパラメータが強化されるわけではなく、「技を揃えたので、攻略がぐんと楽になったぞ」とはちっともならないことを、あらかじめ伝えておきます。それでも、新しいスキルや忍具を手に入れたときの興奮やそれを使用したときの面白さはこたえられないですし、得た技は必ず役に立ちます。すべては、スキルを利用するプレイヤーの腕次第です。

▲スキルや忍具を全く手に入れなくてもクリアは可能でしょうが、相当な茨の道となるでしょう

敵と戦って得たアイテムで主人公のパラメータ自体を任意に上げていくという要素はありませんが、各ボスを倒すなどして手に入るアイテムによって、攻撃力や体力・体幹ゲージの最大値をアップさせることができます。ボスクラスの強敵を倒さないとパワーアップが叶わないというのは厳しい仕様です。しかし、それだけにボス撃破の達成感はかなりのものとなるでしょう。プレイヤー自身が鍛錬を重ね強敵を倒した満足感を味わうことで狼とプレイヤーが一緒に強くなったように思える、VRコンテンツにも劣らない臨場感のある体験ができると筆者は考えています。

▲先ほど「プレイヤーの腕次第!」なんて言ってた筆者、現在までに相当数死んでいます……

最初はせっせと死亡数を数えていましたが、すぐに数えきれなくなりました。まず、最初のボスで30回は死んでますし、ちょっと強い敵でも各10回くらいは死んでいると思います。いや、もっとかも。世界規模で考えると、全プレイヤーの合計死亡数はどれほどになるのでしょう。本作にはオンライン要素がないので、『ダークソウルII』のように全プレイヤーの死亡回数が表示されるようなシステムももちろんないのですが、無残に死んだプレイヤーが吐いた絶望のため息だけで大きい積乱雲ができるくらい、世界の皆もバタバタと死んでいるんだろうな……。

ここで、個性的な戦闘のルールについて説明しておく必要があるでしょう。敵にもプレイヤーの使用キャラである狼にも、体力ゲージのほかに“体幹ゲージ”というものが必ず存在しているのが、本作の戦闘における大きな特徴です。体力ゲージを最後まで削っても敵は倒せるのですが、相手の体幹ゲージを削り体勢を崩した隙に“忍殺”(必殺できる攻撃)を叩き込むことでも倒すことが可能……というか、ある程度以上の強敵は忍殺でしか倒せません。何度か忍殺をしないと倒れないような強敵もいますが、決まりさえすれば敵の体力がフルに残っていようが関係なく倒せてしまうのです。

▲このように、敵に発光する赤丸が見えたらすかさず攻撃ボタンで忍殺! モタモタしていると相手は態勢を立て直してしまいます

▲形勢不利でもジャンプを駆使して戦線離脱! 引くこともときには大事です

敵の攻撃に合わせて防御ボタンを押すことで発動する“弾き”、いわゆるジャストガードが成功すると相手の体幹ゲージを大きく削ることができます。弾きはずっと多用していくことになる技ですから、苦手ならば練習あるのみ。実は筆者もまだまだ練習中です。敵の動きと攻撃タイミングに合わせて弾くにしても敵キャラごとに行動パターンが違いますし、とにかく戦闘の流れが素早いので、読み切って即座に対応を判断するのは非常に難しいです。

▲“危”の文字が出た直後に敵が繰り出す攻撃は、弾くことができません。ジャンプやステップで避けます

敵の体幹さえ崩せば忍殺できるのなら、体力ゲージを削る意味とは何でしょう。実は、体幹ゲージはある程度削っても時間が経つと徐々に自然回復してしまいますが、体力が少なくなるほど体幹ゲージの回復も遅くなるという性質があるのです。体力ゲージを減らすことによって体幹の回復を遅くしゲージを削り切るという作戦が使えますよね。弓矢で遠くからチクチクとHPを削ることや、ノックバックで相手の落下を誘うなどの変化球で敵を倒せるといった、いわゆる正攻法以外の攻略を工夫して編み出すことはしにくいですが、敵と対峙した瞬間からはステップで攻撃を避けつつHPを削り体幹ゲージを減らしやすくする、忍具義手で敵に隙を作る、弾きで体幹にダメージを食らわせるなど、次の一手に何を持ってくるかという選択肢が豊富。敵の出かたを瞬時に判断し対策を取るという一連の駆け引きは、とにかくスピードが速く最初は全くついていけません。しかし何戦もしていくうち、相手の動きが徐々に読めるようになってくるのですよね。この、プレイヤー自身のスキルが上がったことを実感できる感覚が最高にうれしいのです。

▲スタミナの概念がないのでずっと斬り続け、走り続けることができます。しかし、戦闘中にガードで攻撃を受け続けていれば体幹ゲージが減ってしまい、体勢を崩されやすくなりますから、ガード一辺倒ではいられません

前項でも述べたとおり、本作にはオンラインの要素はありません。従って協力・対人プレイなどはなく、強敵にも絶対に自力で勝たなくてはならないのです。この点が、難度を引き上げている要素のひとつでしょう。敵としっかり向き合って、ときには死んで覚える。まあ何度も死ぬのがデフォルトともいえる本作ですが、冒頭にもちょっとだけ書いた“回生”というシステムで、実は生き返ることができるのです!

▲あともう少しで倒せるというときに死んでしまっても、生き返ることができたら嬉しいですよね!

ふつうは死ぬと最後に休んだチェックポイントに戻され、倒した敵は復活し、与えたダメージもすべてリセットされてしまうのですが、御子から得た回生の力を使えば基本的には一度、その場で生き返ることができます。しかし、そんな回生にはデメリットがあります。回生の力を使い続けるにはそれなりの代償を支払わなければならないのです。なんと犠牲になるのは、“NPCたちの健康”とデスペナルティが免除される“冥助の確率”です。

▲自分がヘマをすると、狼に関わるNPCたちは次々と具合が悪くなっていくのです。自分のせいでいつも忍具を仕込んでもらっている仏師殿が弱っているなんて、本当に申し訳ないとしか……

特定のNPCたちは狼が回生を重ねると“竜咳”という病気に罹り、苦し気な咳をするようになります。これによりNPCが死亡することはありませんが、彼らと話ができなくなればいくつかのイベントが進められなくなり、スキル経験値と所持金が半減するデスペナルティが課せられずに済む“冥助”の確率が下がってしまいます。そういえば最近、筆者はNPCの咳ばかり聞いているし、冥助なんてとんとお目にかかってないですね。ついでに言えば、いつもお金がなくて貧乏です。……うっ、悲しくなってきました。ところで、狼がこの力を得たことにはしっかりと物語上の理由があるので、ぜひゲームのなかで確認を! 竜咳はそのまま放っておいてもクリア自体に影響はありませんが、治す方法の条件はちょっと厳しいものの用意されています。いかにもゲーム的だと感じさせずにストーリーとシステムをリンクさせ、没入感を高める巧みさは見事というほかありません。

自分の力を研ぎ澄ませ、自分の実力と真正面から向き合いガチ勝負をするゲーム。これが、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』というゲームであると筆者は思います。無残に死んでしまい、画面にドンと映し出された“死”の文字を見つめ茫然とする……そんなことも一度や二度で済むわけはなく、この原稿を書いている今現在も、まだクリアには至っていません。何度も何度も、自らの過失や実力不足によって引き起こされる死を見つめながら歯を食いしばって進む苦しさと、その先に必ず見える一筋の活路で強敵を撃破した瞬間のカタルシスは、筆者が今まで味わってきたゲームのなかでも最高のものだと断言します。だれにでも受け入れられる傑作では決してありませんが、きっと今後発売される他のゲームにも多大な影響を与えるに違いないと確信できる問題作です。次回は、思い出すだけで食いしばった歯茎からダラダラと血が流れそうなほどの悔しさと、撃破後の達成感がよみがえる強敵、ボスたちとの戦いを中心に本作の魅力を紹介していきたいと思います。

フォトギャラリー

■タイトル:SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE
■メーカー:フロム・ソフトウェア
■対応ハード:PlayStation®4、Xbox One、PC
■ジャンル:アクション・アドベンチャー
■対象年齢:17歳以上
■発売日:発売中(2019年3月22日)
■価格:各機種通常版(パッケージ版・ダウンロード版) 7,600円+税


『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』オフィシャルサイト

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