Interview

仲井戸麗市と土屋公平が語る、音楽知性を育んだ「麗蘭」25周年 Vol.2

仲井戸麗市と土屋公平が語る、音楽知性を育んだ「麗蘭」25周年 Vol.2

CHABOさんが書いてくれた物語を一緒にやれて良かった。

ナチュラル系だしね。

仲井戸 だからね、俺達ののJ.J.caleに捧げたサウンドを聴いてね、J.J.caleを聴いてくれたらまたもっと嬉しいしね。B.B.も、まあジョニー・ウインターもね。

土屋 B.B.はそれこそ、お爺ちゃんみたいな存在で、ずっと敬愛し続けてきたのに、いなくなっちゃうって、「ホントにいなくなっちゃうんだな」っていうふうに、B.B.のときはさすがにちょっとこう、ガクッと来ました。でも今回、ね、CHABOさんが書いてきてくれて、CHABOさんが書いてくれた物語を一緒にやれて良かった。

あと、聞きたかったのは「夜風」ですね。これはCHABOさんの作風が、それこそ“歌詞上での言いきりの美学”をやめてますね。

仲井戸 ああ、それはいいところを突いてくれてるけどね。

やってみたかったんですか。

仲井戸 やってみたかった。基本的に俺、言葉をプラスしちゃうほうだから、マイナスしていくっていうかね、J.J.caleさんみたいな人から学ぼうとしたことのひとつかもしれないけど、人生や青春を語りきらない、とかね、そんなねらい。「ただ夜風が吹いてる」という、まさに佐伯くんが言ってくれた感じ、なんかそういうふうにしたかった。それの習作かな。

CHABOさんの場合、絶対言い切って、もう「これこれである!」みたいな、「こうしよう!」みたいなね。

仲井戸 どっちかって言うとそうなんだよね。

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CHABOさんは最終行に向けて言葉を連ねていく、そういうタイプなので、なんか放りっぱなしというか投げっぱなしというか――

仲井戸 そういうふうにしてみたかったっていう習作かな。

そこに、このハイサウンドがバッチリ!

仲井戸 佐伯、成長した!(笑)

ははは!

仲井戸 まあよくそういう話をするしね、公平とね、で、今回はハイの話よくしたな。

土屋 ファンキーでありながら淡々としてるっていうね。

そう。ハイサウンドって、昔の言葉で言うとハイカラなんですよ。洗練されてる。

仲井戸 うんうん。スタックスは泥臭いじゃん。

アル・グリーンのバックトラックとか、すごい……。

仲井戸 ねえ、すごいじゃん。

土屋 相当弾けないとできないっていうね。

仲井戸 で、去年石田長生くんも亡くなったけどさ、石やんとそんな話を、以前よくしててさ、スティーヴ・クロッパーの話とかね。公平と出会う前は、そんな話が出来るのは石やんぐらいだった。

で、最終楽曲「サフラン」。これもまた何か、初期の麗蘭の感触でねえ。

仲井戸 うん、まさに。これはこういうのを入れたかった。ちょっとドラッギーなね。

「アルバムの最後で元に戻るんだ!」と思って。

土屋 ふふふ。

仲井戸 そういう作品をやっぱり作りたくて。これを入れられたのがすごく嬉しかった。最後インストにしようかって言ってたんだけど、何か自分に足りないような気がして、そしたらたまたまそういう詞が生まれたから、公平もワンテイクで。昔、デモテープのときの、最初の出逢いで俺の歌に何にも考えずにギターを付けたときと同じような感じで。いっちばん最初のテイクだもん。

土屋 プリプロのテイクそのままで。

仲井戸 ははは! 聴いてすぐ弾いたやつ。まだ何の歌かなって探りながら弾いてるタッチなんだけども、言い当てちゃってるっていうかね。

そのやり方って、ホントに最初の麗蘭でしょ?

仲井戸 まさにそうだね。

土屋 CHABOさんが歌って――

仲井戸 俺が1stアルバムの「ミッドナイトブギ」を当時やったときに公平が付けたときのパターンだね。

最後はやっぱり音楽で飛べたらいいなって。公平とね。

CHABOさんがアコギをストロークして、そこに土屋さんがエレキで入れると。

仲井戸 「何だろう、この歌は」ってさぐりながら弾いて、で――もうキャッチしてるんだけどさあ(笑)、不思議だね、テイクワンってね。

大きな変化がこの25年の中にありながら、最後のこの「サフラン」で「おお、これ初期だ!」と思って。けっこうトリップできますよね、これ。

仲井戸 うん、初期の匂いもあるよね。

25年トリップアルバム。

仲井戸 やっぱり飛んじゃってんだあ、みたいな(笑)。

(一同笑い)

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仲井戸 なんかねえ、飛びたかったの、すごく。年齢が40歳から始まって25年経って、いろんなことあって、「紅 く・れ・な・い」の歌詞内容にある「人間ってよお」みたいなのあったり。で、最後はやっぱり音楽で飛べたらいいなって。公平とね。きっとそんな想いだと思うけど…小さな想いだけど、そんなことかもしれない。

時間軸を行き来して、いろんなことを回想をしながら、「おお、最後、元に戻るんだあ」っていうね。実にその、インナートリップがね。

仲井戸 ははは!

土屋 古いね、いんなぁとりっぷ (笑)。

「好きだから」っていう、稚拙な答えだけどね……だから離れられない

そういうアルバムだと思いました(笑)。最後に、日本のミュージックシーンが誇る2大音楽知性、と僕は呼んでいる、CHABOさんと土屋さんを前に、何故僕らは10代の頃影響を受けてしまった音楽から離れられないのか? それについて。新作内のデディケイト、捧げた3曲の楽曲もそうですし、ずっと蓄積されてきたものがこのアルバムで噴出している。逆から言えば離れられないとも言えるわけでね。それは何故か。

土屋 ひとつはね、それしか信じられなかったからだと思うんだよ。そのときに、若い頃に聴いて、「すごい!」って思って、大好きになって、それだけしかたぶん信じるものがなかったせいで、その刷り込まれ方が尋常じゃない。
そのあといろんなことがわかってから、いろんなことから影響を受けたロックを聴いても、なんかあんまりピンと来ない――まあ「いいのをやってるな」とは思うけど、やっぱりその原石というかね、僕らの音楽になったルーツの音楽はもう、それしかきっと音楽的に信じられなかったんだろうなあって。

その後、信じるに足るものは現れなかったってことですね。

土屋 うん。それは自分の変化かもしれないし。それ以上の音楽が出てきてないってわけじゃないんだけど、ただその頃を過ごしてた僕らはそれしかきっと信じられなかった。っていうか、決定的なものとして、どこか焼き付いたんだね、たぶん。
だからいまだにそれは変わらないし、ますます強くなってきてる感じが、最近になってまたするんですよ。「あのときのあの音」っていうのが。だから、困ったもんだなと思いながらも(苦笑)、ただ、ねえ、音楽の形もどんどん変わっていくものだからね、「それはそれで」っていうふうに思っているところもあるけど、やっぱり今でもきっと変わらずにいると思いますけどね。

仲井戸 俺はものすごく素朴な稚拙な答えからすると、「そこが大好き」なんだ。プリンスもすごいし、ニルヴァーナもイカしてるけど、やっぱり一般論としてロックを眺めても、どう考えても60年代の歌は燦然と輝いちゃうわけじゃん。

もう明らかに図抜けてる。

仲井戸 そこをやっぱり通ってきた自分の「ああ、そんなところを俺は通れてたんだ」とかさ。だから「離れるはずがない」と。懐かしさももちろんあるんだけど、懐かしさでもいいような気がして。懐かしさってどっちかって言うとネガティブに「昔ばっか見てんじゃん」って――でももしかしたらそうでもないような気がして。どうしてそこをネガティブなイメージで括ろうとするのかなって。

「年齢を経たってことは、懐かしさが増えたってことじゃねえか、それは恥ずかしいことじゃないんじゃねえか」ってのが俺の個人的な最近の思いで。だから無理して今の音楽をキャッチしようとする必要はないんじゃねえかと勿論興味もあるし、いいものとも出会うけど。自分にとっちゃリアルはやっぱり、オーティス・レディングだったりね、B.B.キング、ビートルズ、ストーンズ、JJケール……。そこは、なんか自分で外面をよくするポーズを作んなくていいんじゃないかなっていう。
「好きだから」っていう、稚拙な答えだけどね……だから離れられない。

では、おふたりの総括的な意見を聞いたところで、インタビューをこの辺で終わりにしたいと思います。ありがとうございました。ではまた25年経ったら!(笑)

仲井戸 何歳だ?(笑)

リリース情報

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2016年10月5日発売
アルバム「25」 CD+DVD (デジパック2枚組)
LNZM-1151~2 ¥3,703+税
Mastard Records(ローソンHMVエンタテイメント)

【収録曲】
1. マニフェスト(we are the Lay-Run)
2. 何はなくてもR&R
3. しり切れトンボのブルース
4. Mr.Blues Man(B.B.KINGに捧ぐ)
5. 清掃の唄
6. SONG for J.J.cale
7. 太陽のシェリー
8. Go Johnny Go(J.Winterに捧ぐ)
9. 夜風
10. 今 Yes We Can
11. 紅く・れ・な・い
12. サフラン

【Bonus Track DVD収録曲】
1. マニフェスト(we are the Lay-Run) -Music Video-
2. Blues イン 回転木馬 -Live@京都・磔磔2013年12月30日-
3. 真冬の熱帯夜 -Live@京都・磔磔2013年12月30日-

イベント情報

麗蘭 インストアイベント(サイン会)

10月22日(土)12:00スタート / タワーレコード新潟店
10月26日(水)19:00スタート / HMV栄
10月28日(金)19:00スタート / タワーレコード梅田大阪マルビル店

対象店舗にて、10月5日発売の麗蘭ニューアルバム『25』をお買上げの方にイベント参加券を配布いたします。
参加券をお持ちのお客様はサイン会にご参加いただけます。
対象店舗にてご予約をいただいたお客様には、商品購入時に優先的に参加券を差し上げます。
サインは「25」ジャケットのみとなりますので、イベント当日、必ずCDをお持ちください。
※詳しくは、それぞれの店舗の情報をご確認下さい。

Lay-Run 25th Anniversary Year「愛があれば歳の差なんて」
麗蘭are…仲井戸麗市(Vo.G)土屋公平(G.Vo)早川岳晴(B)JAH-RAH(Dr)

10月9日(日)東京 赤坂 BLITZ
10月21日(金)新潟 LOTS
10月27日(木)名古屋 DIAMOND HALL
10月29日(土) 大阪・Billboard Live OSAKA

麗蘭

RCサクセションのギタリストとして日本のロック・シーンに偉大な足跡を残した仲井戸“CHABO”麗市と、同じく伝説となったロック・バンド、ザ・ストリート・スライダーズのギタリスト、土屋公平が、双方のバンドが活動休止期間に入っていた1991年に結成。
同年、まずはツアーを行い、その模様を収めたビデオ作品『Welcome Home!!』を発表。そして10月に1stシングル「ミュージック」と、1stアルバム『麗蘭』をリリースして大きな話題を巻き起こした。
翌年4月には新宿・日清パワーステーションにて結成1周年ライブを開催。
’93年には再び全国ツアーを行い、2ndシングル「マンボのボーイフレンド」と限定生産ライブ盤『宴』を発表。
’94年から始まった京都・磔磔での年末ライブは、今でも恒例となっている。
2004年には2ndアルバム『SOSが鳴ってる』を発表。
その後も互いの活動の合間を縫ってライブ活動を続けてきた彼らは、2016年、結成25周年を迎えた。

オフィシャルサイト http://www.up-down.com/040reiran/

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