TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』特集  vol. 4

Interview

『SSSS.GRIDMAN』全話を終えて。雨宮哲監督が語るアカネの魅力、『エヴァ』からの影響と回答、そして…「まだまだ火種は残ってます」

『SSSS.GRIDMAN』全話を終えて。雨宮哲監督が語るアカネの魅力、『エヴァ』からの影響と回答、そして…「まだまだ火種は残ってます」

自分が作った世界に入っちゃいけないという構造は、アカネちゃんに表れてると思います

たしかに『エヴァ』の前半部分の特徴である特撮的な演出は『SSSS.GRIDMAN』に通じる部分ですが、個人的には後半部分からの影響も感じました。特に最終回の一番最後のカットを実写パートにされているのは、原作が特撮だからという意味合いもあると思いますが、『エヴァ』に対する回答というふうにも取れると思いますし。

雨宮 その影響もありますし、アニメ業界には『エヴァ』が好きな人はたくさんいるわけですけど、「俺の方が好きだよ!」という部分では絶対に負けてないと思っているので。それをあまり作品に込めてはいけないとは思うんですけど、『エヴァ』のことになると冷静になれない部分があるんですよね。

なので、(『SSSS.GRIDMAN』の)終盤の3話は『エヴァ』の前半部分を守る意識が薄弱になって、手癖が出てる部分があるし、自分の中ではまだ冷静な評価とか結論を付けられてはいなくて。

また、アカネが自分の好きなように世界を創ってその中で過ごす箱庭的な構造からは、押井守監督の劇場作品『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を思い出したりもしたのですが。

雨宮 ああ、それはよく言われます。僕もすごく好きな作品ですし、あの構造は当時話題になって、時代が経ってからも『涼宮ハルヒの憂鬱』に受け継がれた部分じゃないですか。僕は『ハルヒ』も好きなんですけど、そういうものが無意識下にあったんだと思います。設定の構造自体は『メガゾーン23』(『超時空要塞マクロス』のスタッフが集結して制作したOVA作品)にも近い印象なので、よくあると言えばよくあるものなんですけど、ジャンルとしては好きですね。あと『ウルトラQ』の最終回は意識してました。

『ウルトラQ』の最終回というと異次元列車のエピソードですね(第28話「あけてくれ!」)。

雨宮 そうです。僕はあの話が好きで、最初に観たときは、作家が自分の作った世界(異次元列車)に入って帰ってこなくなっちゃうのがよくわからなかったんですよ。でも、アニメを作る立場になってからは、その気持ちがすごくよくわかるようになって(笑)。あのエピソードでは、異次元列車に連れ去られた人が元の世界に戻りたくて「開けてくれ!」と言いますけど、最終的には(現実の世界に嫌気がさして)「連れて行ってくれ」という結末になるんですよね。それを観て僕は「やっぱりみんな作り物の中にいたいんじゃないの?」と思うんですよ。もちろん入ったまま出てこなくなっちゃうと問題なので、その自分が作った世界に入っちゃいけないという構造は、アカネちゃんに表れてると思います。ぜひ観返してほしいですね。

まだまだ火種は残ってるから、今は次へとモチベーションが向いてます

ちなみに監督はアカネのキャラソン「もっと君を知りたい」(『SSSS.GRIDMAN CHARACTER SONG.2』)で作詞を担当されてますね。

雨宮 この曲は元々EDテーマの候補曲のひとつとして作られたものなんです。いくつかあった候補の中で僕が気に入ってたんですけど、結果的にEDテーマはEDアニメの絵コンテを書いたスタッフ(中村真由美)が選んだ曲に決まったので、この曲はボツになったんですね。

ただ、いい曲だったので何かの形で使えたらと思っていたら、僕の作詞でキャラソンを作らせていただけることになって。曲をサルベージできたうえに作詞もやらせていただけるなんて、こんなうれしいことはなかったですね(笑)。

作詞をされたのは初めてとのことですが、挑戦してみていかがでしたか? 

雨宮 アカネは、最初の頃はスタッフからも「どういうキャラなのかよくわからない」と言われてたんですよ。まあ悪役なので理解されなくてもいいかなと思ってたんですけど、僕としてはわかりやすく作ったつもりなので、詞に関してもやりやすかったです。

他のキャラについては100パーセント理解できるわけじゃないんですよ。キャラの構造がすべてわかってしまうと人間として薄くなってしまうので、「こいつわかんないなあ」というところを残しといたほうが生っぽくなると思ったんですね。でも、アカネちゃんはリアルに存在しなさそうなところが良さだと思うので、むしろ逆に100パーセントわかるようにしたほうがいいかなと思って。

この曲では六花との関係性が表現されてるようにも思ったのですが。

雨宮 2番の歌詞にはそういう部分もあると思いますよ。でも、結局は自分のことばっかりなんですよね。自己中で、クヨクヨしてるけど自分のことで精いっぱいだから他人が見えてない。そういうところもアカネちゃんらしさを表してるんです。歌詞は夜中に書いてましたね。起きて読み返した時に「やべえ」と思うようなものじゃないと純度が低くなると思って(笑)。やっぱり気持ち悪い部分がないと、面白くないんですよね。アカネちゃんを表現するならそれぐらいしないと、他のキャラには勝てないと思いますし。

最後に、『SSSS.GRIDMAN』は監督のキャリアにとってどんな作品になりましたか?

雨宮 完成した時点でいい結果が得られたと思いましたし、周りのスタッフも「やってよかった」と言ってる人が多かったのがうれしかったですね。もちろんまだまだ改善の余地はありますけど、やりたいことはできたし、やりたいことを詰め込みすぎると燃え尽きてしまうかなと思ってたのに、意外とそんなこともなくて。

いつもアニメを作ってると、自分のタイトルでも人のタイトルでも不完全燃焼で終わることが多いんですけど、今回もいい不完全燃焼だったなあと思ってるんです。別に燃え尽きることばかりがいいことではないし、まだまだ火種は残ってるから、今は次回にモチベーションが向いてますし、また別の形でやりたいとは思いますね。

TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』

【スタッフ】
原作:グリッドマン
監督:雨宮 哲
脚本:長谷川圭一
キャラクターデザイン:坂本 勝
グリッドマンデザイン:後藤正行(円谷プロ)
アレクシスデザイン:コヤマシゲト
怪獣デザイン:西川伸司 /丸山 浩 / 板野一郎 / 山口 修 / 前田真宏
アシストウェポンデザイン:野中 剛
ジャンクデザイン:三宮昌太
ヒロイック作画チーフ:牟田口裕基
3DCG監督:宮風慎一
3DCG制作:グラフィニカ
美術監督:渡辺幸浩(アトリエPlatz)
色彩設計:武田仁基
撮影監督:山本弥芳(グラフィニカ)
編集:吉武将人(グラフィニカ)
音楽:鷺巣詩郎
音楽制作:ポニーキャニオン
音響監督:亀山俊樹
音響効果:森川永子
ラインプロデューサー:竹内雅人
アニメーションプロデューサー:舛本和也
アニメーション制作:TRIGGER

【キャスト】
響 裕太:広瀬裕也
グリッドマン:緑川 光
内海 将:斉藤壮馬
宝多六花:宮本侑芽
新条アカネ:上田麗奈
サムライ・キャリバー:高橋良輔
マックス:小西克幸
ボラ―::悠木 碧
ヴィット:松風雅也
謎の少年:鈴村健一
アレクシス・ケリヴ:稲田 徹
六花ママ:新谷真弓
なみこ:三森すずこ
はっす:鬼頭明里

OP主題歌 : OxT「UNION」
ED主題歌 : 内田真礼「youthful beautiful」

©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

『SSSS.GRIDMAN』オフィシャルサイト

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