黒選!メディアコンテンツ研究家・黒川文雄がテーマで選ぶ 3+1  vol. 48

Column

2018年のゲーム業界を総まとめ!3+1選

2018年のゲーム業界を総まとめ!3+1選

2. 中国系スマートフォン向けゲームのブレイクスルー

スマートフォンゲームの台頭と同時に問題となったのは、中国製ゲームでいわゆる「パクリゲー」が多数登場したことでした。

チャイナジョイ2018の様子

『機動少女-Gundam Girls』では、版権元のサンライズやバンダイなどに許諾を得ておらず、ガンダムを美少女に擬人化したキャラクターが参戦し、さらには擬人化された美少女も「新世紀エヴァンゲリオン」で有名な「綾波レイ」をモチーフとしたものや、BGMも「鎧伝サムライトルーパー」から「サムライハート」を使用するなど、なんでもパクり放題な内容です。

いくら発想が面白く、ゲームも遊べたとしても、許諾を得てない作品を勝手に使えばユーザーから反感を買うのは明白でしょう。

またもっと酷いものになると『暴走塗鴉(SEPIA GO!)』という任天堂の『スプラトゥーン』を丸パクリしたゲームまで登場しました。似ているのではなく、キャラクターも遊び方も、そのままスマホへコピーしたレベルです。

ブラウザゲームで大ヒットした『艦隊これくしょん』においても、パクリゲームが登場しました。『艦娘世界』というゲームで、艦船を美少女に擬人化したものですが、よく見ると出て来る美少女の衣装や兵装こそ違いますが、立っている姿やシルエットは丸パクリです。他にもホーム画面や出撃画面など、トレースした作りになっています。

このように、世界的にヒットしている作品やゲームをコピーもしくは模倣をするという、お家芸のような状況でしたが、それらのゲームがあまりにも数多く台頭したため、係争ごとになったり、一般ユーザーの支持を得ることなくサービスを終了したものがほとんどでした。

しかし、2018年は少し風向きが違ってきました。

チャイナジョイ2018の様子

もちろん従来のようなパクリ路線もありましたが、オリジナル要素が目立つコンテンツも徐々に増えてきました。

その代表格が、2017年9月13日に日本で配信サービス開始となった『アズールレーン』。

大量のテレビコマーシャル(以下CM)が行われていたので、ゲームを遊んでいなくてもCMくらいは見た覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。

このゲームは『艦隊これくしょん』の艦娘に似たデザインで、美少女に擬人化した艦船を使用するゲームですが、遊び方の基本はシューティングであり、そこに出撃する戦略性を持ち合わせています。

つまり、見た目は模倣しているように見えても、中身は全く別物というわけです。

しかし、すでにいくつかのサイトでも比較されているように、パクリではないものの「引用」に近いキャラクターデザインが多数報告されていますので、オリジナル性という意味ではまだ不完全だと言えるかもしれません。

このゲームを広く知らしめた功績はAbemaTVゲーム専門チャンネル「ウルトラゲームス」だと言えるでしょう。AbemaTVではCMも大量に投下されていました。

やはり今の時代は、ゲームのプロモーション映像やテレビCMだけの告知では限界があるのかもしれません。
実際にプレイしている人の姿を見て「自分もやってみたい」と感じさせることがユーザー拡大の一つの方法になりつつあります。

また、美少女で擬人化をするプロジェクトはここ数年の流行のようです。

例えば、雪印乳業ではコーヒー牛乳を擬人化した「俺たちのゆきこたん」、セガゲームスからは歴代セガハードから擬人化した「セハガール」など、どれも好評でした。

この流れに乗るのはビジネスとして正しいと思いますが、そこにオリジナル性がうまくハマらないとあらぬ疑いを掛られたり、訴訟問題に発展するなど、コンテンツが売れれば売れるほどそのデメリットも大きくなるように感じます。

チャイナジョイ2018の様子

また、この他に『荒野行動』という中国系ゲームでは、ゲーム開始時にパラシュートで落下し、武器等を現地調達して生き残るバトルロワイヤル方式を採用していることから、『PUBG』とゲーム性が酷似しているとアメリカで訴訟(著作権侵害・トレードドレス侵害・不正競争防止法違反)に発展しています。

しかし、逆の状況も起きています。中国ゲームである『放置少女~百花繚乱の萌姫たち~』という三国志の世界を舞台にした育成放置型RPGでは、日本の「iGames株式会社」が『戦姫コレクション』という戦国時代を舞台にした育成放置型RPGを制作して、中国メーカーである「Fight Song.Inc」から訴えられる事件(配信等差し止め仮処分命令申し立て)に発展しています。UIやスタート画面など、かなり酷似していますので、ちょっと行きすぎなのでは・・・・と感じた事例です。

このように、少し風向きが変わりつつある感じですが、まだまだ目先の企業利益を追いかけているメーカーが多いのが現状のようです。

チャイナジョイ2018の様子

個人的には、双方が良い方向で協業したりすることが理想と思っています。果たして、国境を超えたスマートフォン系ゲームの仁義なき戦いはどの方向へ向かうのか、2019年以降の動向に注目したいと思います。

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