1stフルアルバム『ハルシメジ』から約8ヵ月ぶりとなるキャリア初のEP「うたはつづくよどこまでも」をリリースするさくらしめじ。本作は、フォークデュオとしての新たな決意を表明したメッセージソングから始まり、AAAの人気曲のカバー、初のみんなのうた、そして初の失恋ソングと、新境地に挑んだ全4曲が収録されている。台風が直撃した夏の野音を乗り越えた二人が見せる表情、声色、トーンには、まちがいなくこれまでとは異なる、大きな変化と成長の跡が見える。
取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 大庭元
今までのさくらしめじの上に新しいものを積み上げたんだっていうことが分かってもらえるんじゃないかなって思いますね(雅功)
EPを聴いて、まず、驚きました。この半年で何かあった?っていうくらいの変化がありますよね。もう、可愛くて優しくて、ほっこりしてるだけではないというか。
髙田彪我(以下:彪我) あはははは。そうですよね。今回はいろいろと新しいことに挑戦してて。4曲それぞれに個性がつまってます。
田中雅功(以下:雅功) 特にそう感じるのはリード曲「My Sunshine」なのかなって思いますね。この曲には、「僕たちがみなさんを楽しませるし、笑顔にもする。だから、僕たちについてきてくれ!」っていう力強いメッセージが込められていて。というのも、僕らは高校2年生になって。彪我は17歳、来年になったら車の免許も取れるという、大人の階段を一歩ずつ登っている中で、今までのちょっと可愛らしいのではなく、大人の部分も見せられたらいいなと思っていて。ただ、よく、アーティストが違うことをやると、「あ、変わったな」って言われるじゃないですか。僕らは変わったのではなくて、よく聞いてもらえると、今までのさくらしめじの上に新しいものを積み上げたんだっていうことが分かってもらえるんじゃないかなって思いますね。
彪我 雨の野音でみなさんと一緒に歌ったことで、みなさんと一つになれたという実感があったし、より近くに感じられたし、ファンの方がいてくれる大切さを改めて感じたりもして。そういう意味でも、これからもさくらしめじは続いていくんだっていう決意表明が込められた曲になってるんじゃないかなと思いますね。
雅功 世の中的にも色々問題は絶えませんし、個人個人でも嫌なこやと悩みがいろいろとあると思うんですけど、そんな日常をちょっとでも照らせるような曲になってくれればいいなと思ってます。
サビはかなり高いところまでいくんですけど、だからこそ、表現も含めてうまく録れた時は嬉しかったし、気持ちよかったです(彪我)
メロディはフォークだけど、トラックは4つ打ちでリードシンセも入ったダンスビートになっていて。二人のハモには力強くて広がりがあって、胸がすくような思いがしました。
雅功 つくってきたハモのラインをレコーディングで歌ってみたときに、作家さんに「そのハモリはドイツ和声論ですごく響きがいいんだよ」って褒められて。僕らは全然意識せずにやってたんですけど、「そうなんです」って答えました(笑)。レコーディングはすごく楽しかったですね。
彪我 決意表明というところで、しっかり地に足つけるっていう意味でも低めの感じで歌ってます。サビはかなり高いところまでいくんですけど、だからこそ、表現も含めてうまく録れた時は嬉しかったし、気持ちよかったです。
雅功 今、持ってる自分の全てを出した感じはありますね。今回、表現力を意識してて。淡々と歌っていても、今までのさくらしめじと変わらないじゃんって言われちゃうので。曲調だけ変わったんだなって言われちゃうので、歌詞の一つ一つを汲み取って、自分なりに消化して、解釈して。相手に伝わるように歌うことを意識しましたね。
言葉も詩的で難しくなってます。
雅功 歌詞をもらった時に一番最初に思ったのは、<あざとい>って<小聡明い>って書くんだってことでしたね(笑)。さくらしめじの歌は漢字の勉強にもなるなって。
彪我 タイトルが英語って言うのも「お!」ってなりましたね。
雅功 ひらがなからカタカナになって、今回が英語。綴りが心配ですね。
彪我 そんなに難しくないよ(笑)。
雅功 そうだね。そこ一つを取っても、さくらしめじの成長を見せられてるんじゃないかと思います。
大人の恋愛。今まで歌ったことなかったので、二人でどういう構成になってるのかなっていう話し合いもいっぱいして(雅功)

(笑)2曲目がAAA「恋音と雨空」のカバーということにも驚きました。
雅功 今年の6月14日に開催した結成記念ライブでカバーした曲なんですけど、もともと僕がAAAさんが好きなんですよ。ちょうど新しい感じの曲をカバーしてみたいねっていう話になって。みんなが「まさか、こうきたか!」って思うような曲をカバーしようって言うところで、この曲を選んだんですけど、ライブでやったときに皆さんの反応が思ったよりも良くて。
彪我 最初、雅功から入るんですけど、そこで会場がうわーって盛り上がって。
雅功 びっくりしちゃった。歌詞飛ぶかと思ったわ。
彪我 うわはははは。いきなり<「好きだよ」と伝えればいいのに>から始まるので。どきっとしますよね。
雅功 大人の恋愛。今まで歌ったことなかったので、二人でどういう構成になってるのかなっていう話し合いもいっぱいして。別れちゃった二人だよな、ここは思い出してるんだろうなとか。
彪我 遠距離恋愛なんじゃないかっていう説も出て。
雅功 結局は、未練のある曲だっていうことでまとまって。AAAさんは女性もいるグループなのでキーが高いんですよね。女性が歌ってるところを僕らがどう表現するかも難しかったんですけど、アレンジから違ったので、本家を意識せず、自分たちが思う「恋音と雨空」をやろうって思ってました。
歌とはまた違う感じなので、ここの表現も難しかったなって思いますね。どう歌えばいいか悩みましたね(彪我)
ラップにも挑戦してます。
彪我 初めてだよね。
雅功 初めてライブでやったときは何を言われるかって、すごいドキドキして。皆さんが「よかったよ」って言ってくれて嬉しかった。
彪我 歌とはまた違う感じなので、ここの表現も難しかったなって思いますね。どう歌えばいいか悩みましたね。
雅功 ラップを二人で合わせるところもあるので。そこもめっちゃ二人で練習してやりました。あと、フックがいっぱいある、なかなかクセのある曲でして譜割も独特で。
<でも今は束の間の幸せ>とか、すごく細かい歌い分けがされてます。
雅功 すごい悩んだんですよ。本家は一人で歌ってるんですけど、二人で歌いたいなってなって。<しあ>と<わせ>は小節の感覚で分けて。その前、ずっと彪我が歌っているので、切り替える部分でも、僕が入ってもいいのかなってなって。そのあとの<ありふれた/恋人たちになりたい>は歌詞の意味で分けてたりしてましたね。