Interview

ズーカラデル にわかに注目度が高まる札幌発の3人組は、その状況のなかで何を感じ、その意識をどう音楽化したのか?

ズーカラデル にわかに注目度が高まる札幌発の3人組は、その状況のなかで何を感じ、その意識をどう音楽化したのか?

作品としてちゃんと聴けるものを出したいなというような気持ちで作っていたような気がします。

すでにあった3曲を踏まえて、「だったら、こういう曲を作ろうか」みたいな感じでできたのが残りの4曲、というような感じでしょうか。

そういうわけでもなかったと思います。他にもライブでやってた曲があったり、まだライブではやってなかったけど「こういう曲もあるんだ」という感じでメンバーに聴かせた曲があって、そのなかからこの4曲を選んだと思います。

その選曲の際に何か大枠のイメージ、例えば「このバンドの名刺になるようなラインナップにしよう」とか、あるいは「バンドの今を切り取ったような感じになるように」とか、そういうイメージが何かあったような気はしますか。

「名刺になるような」というのは…、そう! 「夢の恋人」や「パーティーを抜け出して」は、バンドとしては持っているフィーリングなんだけど、これまではあまり出していなかった部分が出ている曲なので、そういう曲が入ったのは良かったなということは出来上がってから思いました。それでも「名刺になるような」とか「バンドの今を切り取ったような」とか、そういうコンセプトめいたことは本当になくて、ただ「7曲揃って聴けるCDがいいよね」という、作品としてちゃんと聴けるものを出したいなというような気持ちで作っていたような気がします。

曲作りの方法について聞かせてください。歌詞については、曲が出来上がる過程のどの段階でどういうふうに書くんですか。

僕は、自分が一度も通ってないことは書けないというか、そういうことをあたかも現実のように書くスキルはあまり高くなくて、なにかしら思ったことを伝わりやすいように形を変えたりして書いていくんですけど、今回だったらバンドでちょっとずつ作り上げていった曲と自分のなかにあるなにかしらの情報を付き合わせて、“うまくハマるものはないかな”と四苦八苦しながら作っていきました。

さっき話に出た「アニー」という曲では、♪取るに足らない日々の中で出会ったものを歌え♪と歌いますよね。今回のアルバムに入っている「ビューティ」という曲では♪僕らの情けない日々を言葉にするからきいてよ♪と歌っています。吉田さんのなかに、“自分が歌うべきはそういうこと”という感覚はあるんですか。

いや、いろいろやってて、例えばレイジ・アゲンスト・ザ・マシーンみたいな曲も書きたいなと思ってトライしたりしてるんですけど、それをちゃんとした形にしてアウトプットできるようになっていないということで、今の段階でなんとか上手に作れたのがここにある曲、という感じです。題材は本当になんでもいいんですけど、ただ個人的な性癖として、ちょっとマイナスに傾いていたものが何かのきっかけでプラスに切り替わるとか、ゼロだったものが何かのきっかけでちょっと動き始めるとか、そういう瞬間が好きで、だからそういう瞬間があるような曲を作りたがってるかもしれないですね。

「恋と退屈」という曲は、雨が降りそうな天気のなかバスを待っている人のことが歌われていますが、いまの話を踏まえて言えば、次の展開に切り替わる前の、バスはなかなか来ないし雨もまだ降ってこないみたいだから歩こうかと思い始めたところで終わります。はっきり切り替わる瞬間まで描かずに、その手前で話が終わるのはどういう気持ちだったんでしょうか。

あの曲の最後の♪雨降らないし/歩こうか迷っている♪という部分はレコーディングの当日くらいに思いついたことで、それまでは“バスがずっと来ないな、ああ辛いなあ”というような曲だったんです。それが、歩いてもいいかもしれないなというところに着地させられたのは、自分としてはめちゃくちゃハッピーエンドな感じになったなという気がしています。

「恋と退屈」は吉田さんの内面が自然と表れた曲なんじゃないかなという気がしていて、つまり何かをずっと待っている状態から次の局面に向かおうとしている感覚が吉田さんのなかにあるんじゃないのかなと思ったんです。

あの曲は、自分が通ってきたというか、自分が知っている感情について多分歌ってるんだと思うんですけど、とは言えそんなに自分に引き寄せたという意識もなくて、それでも例えばロック・ミュージックが好きだからってそれをずっと追いかけているのも面白くないよなと思う瞬間があったり、そもそもそういうふうにずっと追いかけて生きていること自体ロックなのかな?と思うことがあって、そういう気持ちを歌った部分があるし、今の自分の状況と言うよりは今まで自分が聴いてきたロック・ミュージックや、それを聴いている人たちの有り様は美しいじゃないかという気持ちで書いたような気がします。

「漂流劇団」という曲を聴いてまず思ったのは、♪歯の浮くような台詞を並べて♪という歌詞の“台詞”を“歌詞”にすれば劇団じゃなくて楽団の話になるのに、ということだったんですが、そこは何か意識ははたらいていますか。

「漂流劇団」というタイトルは、奥山漂流歌劇団というバンドが札幌にあって、僕とドラムの山岸がそのバンドで演奏してたんですけど、そこからタイトルを持ってきたということがひとつあります。で、歌詞を書いていて「漂流楽団」というタイトルも確かに頭を過ぎったんですが、でもあの曲は音楽に限った話ではなくて、「漂流劇団」的な世界に生きている人たちへのラブソングというような気持ちで書いたんです。

その話と、その前の「恋と退屈」についての答えを合わせて考えると、吉田さんが書く曲の主人公と吉田さん自身はある程度距離があるほうがいい、あるいは距離がある主人公を描きたいと考えていると受け取っていいですか。

距離が離れているほうが気持ちいいとは一概に言えないかもしれないですが、でも自分のことばかり言っててもしょうがないよねという気持ちはあります。僕らはずっとお客さんの数が1桁みたいなところでライブをやってきたので、今ステージに立つと目の前にお客さんがブワーッといるというのはけっこう感動的な、衝撃的な経験で、それくらい聴いてくれてる人がいるんだということを思うと自分のことばかり言ってられないということをすごく感じるんです。

自分たちの音楽の受け取り手が増えるほど、自分のことに止まらないことを歌ったほうがいいなという気持ちが膨らんでいるということですか。

例えば「今日は○○を食べて、おいしかったです」というレポートを書いて渡すんじゃダメだなということですね。僕らの音楽を受け取った人も一緒においしかったと思えたり、僕がおいしかったと思ったことを伝えることによって受け取り手のなかで何かが起こるようなものを作るべきだよねって。それは前から思ってはいたんですけど、最近より明確に強く思うようになっています。

続いていくということを、特にポジティブでもネガティブでもなく、ちゃんと認めて生きていけたらいいなというふうに思ったりしています。

『夢が醒めたら』というアルバム・タイトルは、どういうタイミングで決めたんですか。

このCD全体に、そういうムードがあるというか、どの曲の根底にも流れていることだなと思っていて、それは例えばずっとやってきたことを諦めなきゃいけないとか、絶対的だと信じていたものが実際にはそうでもないかもしれないと思ったりとか、あるいはずっとラブラブだった関係が今はそうでもないとか、そういうことの先にもいろんなことが続いているよねっていう。そういうことを思いながら、ここに入ってる曲を書いたなと思って。

今の吉田さんのなかでは、夢が醒めた先に続いている事柄はポジティブなイメージですか。それともネガティブなイメージですか。

どっちでもないというか、ただただフラットにあって、それに新しいものを見つけたり始めたり、あるいはいままでやってきたことを止めたり諦めたりということも、これからも普通に続くんだろうなというような感覚があって、その続いていくということを、特にポジティブでもネガティブでもなく、ちゃんと認めて生きていけたらいいなというふうに思ったりしています。

最後に、来年の今頃、1年後にはズーカラデルはどうなっていると思いますか。

全然、わからないですね。正直に言って、今回のCDがみなさんのところにどういうふうに届くのかということでも全然変わってくると思うし…。ただ、バンドの共通認識としては、ちゃんと人に求めてもらえるような音源をしっかり作って、いいライブをやって、その結果としてどんどん大きなところでライブができるようになるといいよねというのはあるんですけど。それでも1年後ということで言えば、本当に「なるようになれ」という気持ちですね(笑)。大きくなれたらいいけど、なれなかったらしょうがないねという気持ちで精一杯やるのみでございます。

まずは年末のツアーを楽しみにしています。ありがとうございました。

ライブ情報

『夢が醒めたら』RELEASE ONEMAN TOUR「地獄の入り口TOUR」

12月14日(金) 北海道・札幌SOUND CRUE
12月18日(火) 大阪・大阪Live House Pangea
12月20日(木) 東京・下北沢BASEMENT BAR

ズーカラデル

吉田崇展(Gt、Vo)、鷲見こうた(Ba)、山岸りょう(Dr)から成る、札幌発の3ピースロックバンド。2017年9月に1stミニアルバム『リブ・フォーエバー』を会場販売開始。2018年3月に現体制となり、11月21日2ndミニアルバム『夢が醒めたら』発売。12月には初ワンマン・ツアーとなる“地獄の入り口ツアー”を実施予定。活動の幅を全国に広げている。

オフィシャルサイト
https://gooutzoo.com

フォトギャラリー
< 1 2