Interview

土屋公平、『午前三時の残光』の全曲を語るセルフライナーノーツ

土屋公平、『午前三時の残光』の全曲を語るセルフライナーノーツ

06「香り(pt.2)」

これも、作ったときは弾き語りで、それをエレクトリックのギターで弾くならこんな感じかなあと思って。

やっぱりエレキで弾くとなると、音を重ねる方向に行きやすいんですか?

うん。これはでも薄いよ? (ドラムスの)ブラシとベースと、ちょっとしたオルガンぐらいだから、薄いです。でも、ハチロク(8分の6拍子)のこういったオーソドックスなブルーズっていうのかな、も、なかなか日本語でやるのは難しいなあなんて思いながらね。でも、曲のテーマと言葉の選び方で、自分ならこんな感じでやれるのかなあっていうところで。

ちょっとハチロクだから跳ねているしね。

今は、あんまりそういうのない。

ないよね。

うん、みんなこういうのは英語でやってるからね。

07「デルタクイーン号で河を下り」

これ、ブルースハープを吹いたんですか?

うん、自分で。もともとはリトル・ウォルターとかね、ああいうの好きで聴いてたんだけど、自分が吹くっていうのはなかなか――まあずっと持ってはいたんですけど。で、ちょっとイタズラしてみたりとか、そんな感じで、まあホントに自己流で。でも、今回はサウンド的に、こういう方向に振り切ったアルバムなのでね、絶対サウンド的にはあってほしいなあっていう感じだったので、ちょっと自分で吹いてみたんだけど。

この曲調にドンピシャですよね。「あなたはデンキナマズ」っていう詞もいいしね(笑)。

ははは! 「ミシシッピ川といえばナマズでしょう!」ということでね、ちょっと出ちゃった(笑)。ミシシッピは行ったことないんだけどさ、あの大きな水車が回るじゃない、船が。あれが憧れでね。あんなのがミシシッピのね、ニューオリンズとかメキシコのあっちの方に向かってね、行き交ってて、煙がもくもく出てたのかなあ、みたいな。それも妄想の中から。だから、「行ってみたいなあ」みたいな曲なんだけど(笑)。

08「午前三時のブルー」

これはブッカーT&ザ・MG‘sとか、そういう感じですかね。

そうだねえ……ホーンが入ってるからね、MG‘sよりちょっと――まあでも、そういうことかな。でも、“午前三時”っていうのがね、もう、子供の頃からのブルーズのワードとして焼き付いてるのでね。それは今回はやっぱりちゃんと使わなきゃいけないなと思って、タイトルにも、B.B.キングさんの「スリー・オクロック・ブルース」っていうのがあって、タイトルを見ただけでわかるじゃないですか、真夜中にうめいたり叫んだりしてる自分がいるっていうのが。それこそがブルーズなんだっていうふうにね。その内容的になんとなく最初に感じたのは、とてもタイトルの簡単な「スリー・オクロック・ブルース」だった。「そういうことが歌われてるんだ」っていう。他の曲はわからないけども、でも、そういうものなんだっていうのがなんとなくその頃に焼き付いたんだよね。だから、ブルーズといえば午前三時!(笑)

代名詞なんだね(笑)。

自分の中でね、そういう強いイメージがあって。

今回それを出しておこうと。

それを出したいって。だからあの曲の、まあB.B.キングの中でも初期のレコーディングのうちの曲なんだけどね。

あれのイントロがまた強力なんだよね(笑)。

んはは。もう、出そうとしても出せないこのムードというかね。

あれはもう……枯れていながらもやるせなく。

で、うめいているようなね。で、ちょっとした3、4小節のアタマに♪テテテ~ンって来るんだけど、それがね、あらーって。もうやられました、すいませんでした(笑)。まあ、機会があったら「スリー・オクロック・ブルース」も聴いてみてほしいなと。

09「Soul Airplane」

これはどっちかっていうとアトランティック系ですかね。

これは、ファンキーなブルーズだけど、かすかにニュー・ソウルも入ってるっていう雰囲気になっちゃた。これはベース・ラインからできた曲で、自分で弾いてて「おっ、このリフは!」っていうんで。で、12小節一回りものばっかり作ってたらどうしてもこういうのが1曲(笑)。

欲しくなった?(笑)

制作してる中で、もうやらずにはいられないっていう気分に。「どうしても1曲、ワン・コードのものがやりたい!」と。それでベース・ラインがあったから、ちょっと作ってみようかなと思って。

それで広げていったんだね。これが最後から1曲前に出てくると、いいですよね。

そうですか、良かった。

いいアクセントになってて。

10「二人の影が重なる時」

インストで終わりたかったんですか?

インストで、うん。まあ、そこにしか置けなかったっていうことなんだけど。これはやっぱり亡くなっちゃったんだけど、チェス・レコードの歌姫のエタ・ジェイムズさんっていうのがいて、彼女のバックで鳴ってるサウンドっていうのがずっと好きでね。

おしゃれですよね。

うん、チェスにしては一番おしゃれかもしれない。チェスで一番おしゃれです。だから、自分でそんなサウンドの中でギターを弾いて、ギターで歌ってみたいなあっていう、そしたらどんな感じになるかなあと思って、やりだしたらわりといい感じになったので。

ちょっとありそうでなかったインストだなあと思って。

うんうん、そうだよね。ギターのインストじゃこういうのないでしょ。

ないですよね。で、これがクロージング・タイムの曲になってアルバム終了というところで、全曲コメントありがとうございました。

いえいえ、どういたしまして。お粗末様でした。

いえいえ、何それ(笑)。では、これにてインタビュー終了でございます。ありがとうございました。

取材・文 / 佐伯明


tsuchiya_gozen3jiJK

『午前三時の残光』

LR-0032 ¥2,500(税込)

01.僕と焔のBlues
02.スペードのクイーン
03.Foxy(pt.2)
04.根無し草なら
05.Do Me Baby
06.香り(pt.2)
07.デルタクイーン号で河を下り
08.午前三時のブルー
09.Soul Airplane
10.二人の影が重なる時

音楽配信はこちら(mora)


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