大場ななの繰り返す時間、そして東京タワーの謎
9人の中で、アニメでは大場ななが時間をループさせているという、重大な秘密をもったキャラクターとして描かれました。
それは、ななちゃんだけキャラクターが決まりきらなかったからですね。他のキャラクターはわかりやすく主人公と幼なじみ、その三角関係に陥る女の子とかあるんですけど、ななちゃんはポヤッとした雰囲気で、みんなの面倒見がいいという以外に何もなかった。「ななちゃんって何者なんだろう?」と思ったときに、何者でもないからこそ、この子に大仕掛けをもたせなければいけないと思って。しかも、作品にとってある意味「関係ない」仕掛けのほうがいいかなと思ったんですよ。
たしかに、あのループは作品の根幹に関わっていたというわけでもないですね。
そうすると、それはストーリーの作品になってしまう。でも、この作品はキャラクターをお客さんに届ける作品。となったら、その仕組みはキャラクターの個性であり、キャラクターをかわいらしくお客さんにキャッチしてもらうためのアイデアでなければいけないと思いました。
じゃあ、何故それが繰り返しということになるのかといったら「やり直したい、何度も繰り返したい」という感情は絶対みんな共感できるはずだと。その感情の根っこにあるのは16歳とか17歳の少女が選んだような、ちっぽけな願望――。これはハッキリと樋口(達人)さんにセリフで書いてもらったんですけど、「ななは大きいのに子供みたい」という、あのセリフを言いたかっただけなんですよね。ああいったときに誰かに「大丈夫だよ」って、そばでキャッチしてもらいたいという願望が、人間の中には絶対あるだろうというのがあって。
だから、ななちゃんに寄り添える子もいれば、純那ちゃんみたいに諦めないで最後まで努力したいという子もいるだろうし、キャラクターをあえて類型にしたかったというのもあります。双葉と香子みたいな関係性に憧れる人もいると思うし、ひかりちゃんに関しては子供の頃にした約束を守って、そのために一生懸命な子が応援したくなるかなと思って。「ひかりちゃん、頑張れ!」って、ヒーローショーみたいにわかりやすく応援したくなる感じにしたというところです。そのうえで東京タワーが落っこちてくれば、そりゃみんな笑うしかないよねって(笑)。
最終話のあの東京タワーが横から刺さるシーンも、何か監督のこだわりがあるのかなと気になっていたのですが……。
実は東京タワーが刺さるのはまったく決まっていなかったんですよ。コンテを描きながら「もう刺すしかねー!」みたいな(笑)。直観です。それを説明しろと言われたら本当に「刺すしかねー!」としか言えないので、申し訳ございません(笑)。
でも“約束の象徴”だからですかね。華恋ちゃんとひかりちゃんにとって、東京タワーがシンボリックな約束の象徴ですし、そのうえ映像的にスペクタクルなものでなければいけないとなったときに「じゃあ、横から刺すしかないな」と。このアニメのいいところって「舞台装置」ってテロップを出せばいいという。舞台装置と書いてあれば、お客さんも「しょうがないよね」となるかなと思ったんですけど、どうだったんですかね? 僕はテロップが出た段階で「よし、説明終了!」と思っていました(笑)。
演者にフィルムへの愛着をもってほしかった
第10話ではレヴュー曲としてスタァライト九九組の「Star Divine」を元にした「-Star Divine- フィナーレ」が流れました。
あれは単純に、アニソンが好きな人からしたら外しようがない曲だからですね。あと、何よりもこれは重要なことなんですけど、演者にフィルムへの愛着をもってほしかったんです。せっかく二層展開式といっているんだから、アニメを放送する前に舞台やライブで本人たちが歌っていた曲を、どうしても入れたかった。そうすることによって「これは私たちの作品なんだな」って……特に声優さんとしてのキャリアが少ない人からすると、自分のキャラクターなのかどうか、わからなくなる瞬間があると思ったんですよね。だから、キャストの個性をキャラクターの個性にわざと反映させるということもしています。
たとえば、ななちゃん役の小泉(萌香)さんがカエルグッズ好きだから、ななちゃんもカエルが好きみたいなふうにしてあげると、愛着を共有できるかなと。全キャストでできたわけじゃないので難しい部分ではありましたが、そのうえで彼女たちの持ち物である「Star Divine」と「舞台少女心得」は絶対かけようと思っていましたね。「舞台少女心得」は、僕が好きだったからというのもありますが(笑)。
最後に、今後の展開へ向けて、監督ご自身の展望をお聞かせください。
もし可能なら続きをやりたいというのもあるし、先ほども言いましたが『レヴュースタァライト』とは9人のキャラクターであるので、より本人たちの持ち物になっていくのがいいかなと思っています。使い込んでいった道具が、その持ち主のものになるように、たとえば華恋ちゃんだったら、どんどん小山(百代)さんの持ち物になっていくといいかなと。せっかくの二層展開式というコンテンツなので、より彼女たちがキャラクターを自分たち自身のものにしていくのをその目で確かめてもらったら、あなたもスタァライトされたことになるんじゃないでしょうか(笑)。僕と一緒に、それを確認しましょう!
TVアニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』
【スタッフ】
監督:古川知宏
シリーズ構成:樋口達人
キャラクターデザイン:齊田博之
副監督:小出卓史
プロップデザイン:高倉武史・谷紫織
グラフィックデザイン:濱祐斗・山口真生
色彩設計:吉村智恵
美術監督:秋山健太郎・福田健二(studio Pablo)
3D監督:秋元央 (T2studio)
3D舞台照明:カミヤヒサヤス
撮影監督:出水田和人(T2studio)
編集:黒澤雅之
音響監督:山田陽
音楽:藤澤慶昌・加藤達也
戯曲脚本・劇中歌作詞:中村彼方
アニメーション制作:キネマシトラス
【キャスト】
愛城華恋:小山百代
神楽ひかり:三森すずこ
天堂真矢:富田麻帆
星見純那:佐藤日向
露崎まひる:岩田陽葵
大場なな:小泉萌香
西條クロディーヌ:相羽あいな
石動双葉:生田輝
花柳香子:伊藤彩沙
リリース情報
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』Blu-ray BOX 1
2018年10月24日発売
品番:OVXN-0041
価格:¥14,000+税
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