Interview

sleepyhead 『NIGHTMARE SWAP』の完成で加速する脳内優先のアーティスト像

sleepyhead 『NIGHTMARE SWAP』の完成で加速する脳内優先のアーティスト像

今年6月にリリースした1stアルバム『DRIPPING』で独創的な世界観を提示したボーカリスト・武瑠のソロプロジェクト、sleepyhead。そんな彼がさらなる高みを目指して手掛けた次の一手が1st EP『NIGHTMARE SWAP』だ。メジャーシーンの異端児ラッパー・SKY-HIを筆頭に、個性あふれるアーティストをゲストに迎えて構築した “無責任な悪ふざけ”が詰まった1枚に迫る。さらにsleepyheadが目指す、音楽を音楽として捉えない“3D音楽”とはなんなのか。

取材・文 / 鳴田麻未 撮影 / 荻原大志

むしろメジャーのアーティストよりもクリエイティブにお金をかけることができる

1stアルバム『DRIPPING』のリリースから今日まで、6月から10月にかけての活動を振り返ってみていかがですか?

初ツアーでちゃんと手応えを感じられたのが大きかったですね。一つの証が見えたなって。あんまり客観視できない状態で作ったアルバムでもあったので、どうなるかよく分からなかったんですけど、リリースしてツアーファイナルの光景を見て「今、脱皮してる」感を得られました。(バンドの)延長じゃないっていうか。

前作は1人で全作詞・作曲、スタッフの手も介在せず完全自主制作で生んだアルバムでしたからね。

だからこの3〜4カ月も、人に手伝ってもらわないデメリットとメリットの両方を感じたな。今作で言えば、もしサポート・スタッフがいたら逆にこのクオリティのMV(「1 2 3 for hype sex heaven feat.SKY-HI,TeddyLoid,Katsuma(coldrain)」」は撮れなかったなと。音楽の実売的な数字だけでいろんなスタッフを動かすとなるとMVにこの予算は割けない。でもメンバーもスタッフもいないので、むしろメジャーのアーティストよりもクリエイティブにお金をかけることができるんですよね。

「1 2 3 for hype sex heaven」のMV、アニメーションも実写のシーン数もストーリーもめちゃくちゃ手が込んでますよね。

このみんなを誘う時にすでにどういう映像を撮るとかこういう話にするとか決めていて、企画から送りました。これを作れて、体感的に一段上のところに行けた感じがします。

やっといろんな洗脳が解けてきた感じがするというか……

では「1 2 3 for hype sex heaven」に関しては、絵が浮かんだところからスタートした?

いや、最初に決まったのはSKY-HIとコラボすることです。この曲、もともとデモはあって、タイトルも曲調も全然違かったんですよ。SKY-HIとどういう曲をやるか話し合ったうえで、いろんなデモを聴き直してるうちに、これのアレンジを変えたら使えそうだなと思ったんです。そうしたら彼が「アレンジャーならTeddyくんがいい」と指名したので頼んで、さらに俺がバンドシーンの人にも頼んだら面白そうだなと思ってKatsumaくんに頼んで……と、SKY-HIだけフィーチャリングする予定だったのが連鎖していきました。とはいえ、制作期間2カ月半の中で4人が合うのがたった1日の、6時間しかなくて。何よりもスケジュール調整が一番大変でした(笑)。

6時間! でも、四者のスキルが見事合わさって密度の濃いパワーチューンができましたね。MV公開予告の武瑠さんのツイートでは、この曲について「異端な理論で塗り替える正義」と銘打っていましたが。

やっといろんな洗脳が解けてきた感じがするというか……。「嫌われないようにキャッチーにしなきゃ」みたいな使命感がずっと自分に乗っかってたと思うんですよね。でも本来自分の一番得意なことってもうちょっとおかしなところにあるというか。この間、別の取材で「話すと頭はけっこうぶっ飛んでるのに、音楽の時は優等生にまとまりすぎてる気がするけど、どうしてなの?」と言われて、あっ確かにそういうところあるなって気付いたんです。受け手のことを想像しすぎちゃう、良く言うとファンを考慮しすぎちゃう癖がずっとあるなって。それがうまいこと外れてきてて、尚かつ、誰にも理解されなくていいみたいなところまでいかず、この曲は今の自分の立ち位置的にすごくバランス良くできたと思います。中毒性のあるメロディも入ってるし、歴史とかもちゃんと含めて、今の自分に見合ったものができた手応えがありますね。

今回のEPに収録された5曲どれも武瑠さんが指揮を執って「こういう曲をやりたい」とオーダーした形ですか?

1曲目と2曲目は自分の(作曲した)曲ってこともあって、ガチガチに「NIGHTMARE SWAP」ってイメージで作りました。で、割とゴシック要素を強めにできたから後半はちょっと遊ぼうと思って、あまり注文をつけずに自由にやってもらいました。4曲目なんかは特に。一番ポップですからね。1、2曲目が確立できてなかったらもう少し暗い曲にしただろうなって。

そんな2曲目は、フィーチャリングにMOMIKEN(SPYAIR)さん、アレンジに[email protected]さんを迎えたピアノバラード「INSIDE OUT KISS」です。

MOMIKENさんには俺が休んでる時に「いつか一緒にやろうね」と言ってもらってて。MOMIKENさんの感性ってSPYAIRのいわゆるスタジアムロックみたいなものより少し耽美でゴシックなところがあるなと思ってて、そういう意味で自分と合うなと思ってたんです。で、MOMIKENさんに詞を書いてもらうならこの曲だなって、本当は自分で書きたいくらい気に入ってるサビの曲を渡しました。

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