黒選!メディアコンテンツ研究家・黒川文雄がテーマで選ぶ 3+1  vol. 43

Column

潜む、隠れる、忍び寄る!「ステルスゲーム」の名作 3+1選

潜む、隠れる、忍び寄る!「ステルスゲーム」の名作 3+1選

ステルスゲームそのものを築き上げた作品『メタルギアソリッド』

1998年9月3日にPlayStation向けタイトルとして発売された『メタルギアソリッド』。
前作まではMSX2用のゲームとして発売されていました。

『メタルギア』の生まれたきっかけは、MSX2のハード性能にありました。

数多くの敵や弾を出現させることが難しく、当時のアクションゲームの水準を達成することが困難でした。そこで開発を主導した小島秀夫監督は映画「大脱走」からヒントを受け、「見つからないように逃げる」という発想を得てステルスアクションというジャンルを確立させました。

【参考映像】『METAL GEAR SOLID THE LEGACY COLLECTION』トレーラー

PlayStationになってハードの性能が格段に上がり、『メタルギアソリッド』の目指した姿は3次元のコンピュータグラフィックス(3DCG)によってリアルな戦場を構築するという、前代未聞のフィールドマップでした。

そのフィールドに常に警戒をしているゲノム兵を配置し、敵の侵入の痕跡を見つけると索敵をしたり、仲間を呼ぶなど、これまでのアクションゲームに無いリアルタイムな緊張感を構築しました。また、無線という前作からあったシステムをさらに改良し、ゲームの進行を示唆するだけではなく、敵が索敵モードに入ると無線連絡が入ったり、チャフを使うことで通信を妨害するなど、戦略性も増したのです。3DCGになったことで周囲の状況を知るのには“ソリトンレーダー”という新システムを使って視覚化します。はじめてステルスゲームをプレイする人にも、安心してプレイできるように一定の配慮がされているのも特徴です。

そして、“ソリトンレーダー”を開発した「メイ・リン」との無線を通じた中国のことわざを交えた会話。核貯蔵施設や核のゴミ問題などのテーマを切り込む道先案内人の「ナスターシャ・ロマネンコ」。最新の医療技術などに精通した「ナオミ・ハンター」など、リアルな世界観を構築するために必要な情報源を登場人物にうまく割り振っています。他キャラクターとの距離感や作戦中に育つ人間関係、そして各々が持つ相関関係に影響を与えつつ、シナリオにボリュームを持たせることで、ただのステルスアクションゲームではない重厚なストーリー性を持たせるのに成功しています。

『メタルギアソリッド』は、特定の場所での戦闘以外では、戦う必要はありません。とにかくじっと堪えて、敵が居なくなるのを待ったり、麻酔銃で眠らせたり、後ろから忍び寄ってホールドアップさせたままにしたり、気絶させてしまうことも出来ます。このバリエーション豊かな方法で、ゲームの攻略方法が幾通りも可能になっていて、遊び方の自由度にもなっています。その為、色々な遊び方が見つかり、その遊びをゲーム内のカメラで撮影して、一時期、写真コンテストのような盛り上がりさえ生んだのです。

派手なアクションゲームではありませんが、コツコツと自由に遊べる点も評価されています。ユーザーの遊び方に委ねられている部分があったからこそ、ロングセラーシリーズとして人気が出たのではないかと思います。

今遊んでも十分楽しめる作品ですが、最新ハード向けには移植はされていないようです。
コジプロ解散後、コナミがこのシリーズをどのように扱うかわかりませんが、移植発売を熱望されているソフトの一つですので、期待して待つしかなさそうです。

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