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『STEINS;GATE ELITE(シュタインズ・ゲート エリート)』という時を越える物語が時を越えて愛される理由

『STEINS;GATE ELITE(シュタインズ・ゲート エリート)』という時を越える物語が時を越えて愛される理由

濃ゆくも愛おしいキャラクターたち 

物語の純粋な展開だけを見ても非常に秀逸な本作ですが、プレイヤーをより強く引き込んでくれるのが、強烈な個性を持ち、プレイヤーが強く感情移入できるキャラクターたちの存在です。読み手がそれを演じるキャラクターたちとのあいだに距離を感じてしまえば、物語の骨子がいかに巧妙であっても台無しになってしまいます。本作の登場人物たちはいずれもいろいろな意味で常人離れしているのですが、不意に覗かせる弱さや真摯さが人間味を感じさせ、思わず応援したくなってしまうのです。なかでも、厨二病まっしぐらのヤバい奴と見せかけて、もろさと強さの両方の面で人間的な魅力を見せてくれる岡部倫太郎は、本作において欠かすことのできない存在です。

▲一見するとシリアスな会話をしているシーンですが、“機関”というのは彼が勝手に作った設定のひとつであり、耳に当てている電話も誰かと通話をしているわけではなく、ポーズをつけたただのひとり言であり、”エル・プサイ・コングルゥ”という言葉にもとくに意味はありません

日常生活のなかではひたすらに厨二病で、それでいて気の弱いところもあるという、どちらかというとかなり頼りにならないイメージの岡部。筆者も最初は、上の写真のような彼の厨二病行動と発言に「子供のころは自分もそんな妄想をよくしていたな」などと懐かしいような恥ずかしいような思いで笑ってしまうのですが、物語を読み進めていくと、岡部の振る舞いは同じでもその見えかたが違ってきます。

自称マッドサイエンティストらしく、ふだんは高慢な態度を取っている岡部ですが、頭の上がらない相手や不測の事態にはめっぽう弱く、いろいろな場面でヘタレっぷりを見せます。しかし、ラボメンを助けるためならば自分の苦労も犠牲もいとわない仲間想いの部分も持っており、ある種の男らしさを感じさせます。

物語後半ではみずから身体を張り、絶望的な運命を覆すための過酷な戦いに挑んでいくのですが、そんなときですら厨二病全開のテンションで物事を進めるのです。随所でヘタレながらも徹底して自分のスタイルを貫く姿が非常に格好良く、最初はその発言を笑っていたプレイヤーもいつの間にか厨二病な岡部、というよりはむしろ鳳凰院凶真という男に心底惚れこんでしまうでしょう。

▲序盤は本当に「何を言っているんだこいつは」ぐらいの温度差がありますが、終盤はこのマッドサイエンティストっぷりがとんでもなく格好良く見えてしまうのです

岡部倫太郎というキャラクターは仮に小説として、音声抜きで見ても魅力的なキャラクターですが、その魅力をさらに倍増しているのが、彼のボイスを担当する宮野真守による熱演です。マッドサイエンティストモード中のねばっこいほどに強いアク、気弱になった際のヘタレ具合、そして覚悟を決めたときの男らしさ。そのいずれもが声によって増幅しています。

▲牧瀬を煽りまくるシーンは表情のウザさも特級品ですが、調子に乗っていることが120%伝わるボイスも必聴です

▲こちらの場面はフォントサイズだけでも力の入りようが伝わってきますが、実際のボイスはプレイヤーの想定をさらに上回る力強さで、キャラクター間のやり取りをいっそう面白くしてくれています

通常のセリフにおける勢いやトーンの匙加減だけでなく、岡部の口癖である高笑いでも熱演が光ります。謎の高笑いはマッドサイエンティストには定番とも言えるだけあって、岡部のセリフにはかなりの頻度で「フゥーハハハ!」といった笑いが登場します。テキスト上で出せる高笑いのバリエーションにはもちろん限りがあるのですが、ボイスでは同じ高笑いでもここまで違うのか、もはややりすぎなのではないか、とすら思えてしまう強烈な笑い声を堪能できます。

▲一度聞けばもう忘れることはできないほどに濃い高笑いは、岡部の強烈すぎる厨二病をまさに音として具現化したような声であり、『STEINS;GATE』を代表する名ゼリフ(?)と言って差し支えないでしょう

そのほかにも、ふだんはわりとアウトな発言が目立つダルがここぞという場面でまさかのイケメンっぷりを発揮したり、可愛らしい少女が作中で1、2を争う恐怖のシーンを生みだしたりと、物語自体の面白さとともに、キャラクター性が強いからこそ生まれる強烈なギャップが本作の魅力になっています。

▲可憐で可愛らしい外見(だが男)の漆原るか、相手が目の前にいてもメールで会話をしようとする極度の携帯電話依存症である桐生萌郁(きりゅう もえか)など、ビジュアル的にもステキなキャラクターが揃っています

2011年に放映されたTVアニメ『シュタインズ・ゲート』、2018年4月から放映された『シュタインズ・ゲート ゼロ』でも物語やキャラクター性、そして各キャラクターを演じる声優たちの演技が高い人気を博しており、『STEINS;GATE』シリーズの面白さは折り紙付きと言えます。もしもまだ本作に触れていないのであれば、アニメからでも『STEINS;GATE ELITE』からでも、ぜひ触れてみてほしいものです。オタクコンテンツが好きな人や科学的な話に興味のある人、あるいは単純に劇的な展開を見せる物語が観たい人、誰しも本作が見せる世界、岡部倫太郎という男が体験するひと夏の物語に魅了されてしまうことでしょう!

次回の記事では、『STEINS;GATE ELITE』がゲームとして本作の物語をどのように表現しているか、その表現手法やゲームシステムなどに注目していきます。Nintendo Switch版の初回特典としてダウンロードできるファミコン風ソフトの『ファミコレADV シュタインズ・ゲート』にも注目です!

フォトギャラリー

■タイトル:STEINS;GATE ELITE
■メーカー:5pb.
■対応ハード:PlayStation®4 / PlayStation®Vita / Nintendo Switch™
■ジャンル:フルアニADV
■発売日:発売中(2018年9月20日)
■価格:各機種 通常版7,800円+税、ダウンロード版 7,000円+税

PlayStation®4版
PlayStation®Vita版

『STEINS;GATE ELITE』オフィシャルサイト

©MAGES./5pb./Chiyo St. Inc. ©2009 MAGES./5pb./Nitroplus
協力 未来ガジェット研究所

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